3 / 8
第3話 エフとの新生活
しおりを挟む
とりあえず今日は休日で用事がない(今朝のゴミ捨て以外は)ので、エフの説明書を読むことにした。
「えっと、『FQシリーズは女性に人気のケータイです。イケメンに変身するだけでなく、防水、耐衝撃仕様。家事ができるので一人暮らしの方に重宝、もちろんご家族がいる家庭でもお手伝いさん感覚で大助かり! もちろん彼らはお金も食べ物も必要としないので、充電さえすればオーケーです!』……携帯らしからぬクオリティだね」
『家事ができる携帯』なんてフレーズ、耳慣れなさすぎる。
「最近は、携帯電話に多くの機能を付加すると売れるのだと、FQ社の方が言っていました」
「そうだね、こんな機能がついてたら他社は勝てないね。……てか、どうやったら携帯が人に化けるの?」
「それは企業機密です」
「だよねえ」
この機密が漏れたら、どの電話会社もこぞって真似するだろうしな……。
「家事ができるってことは、料理とかも得意だったり?」
「料理本やレシピなどがあればできますよ。作ってみましょうか?」
ちょうどお昼時ですしね。
エフはにっこり微笑んだ。
試しに何か作らせてみようと、本棚の料理本を漁る。
「どうしようかなー。何か良さげなものは……」
「別に、ご主人が食べたいものでいいですよ?」
「いや、今食べたいのはラーメンだけど、そんなのインスタントで出来るからつまらないし」
「……なるほど」
しばらく料理本とにらみ合いをして、ようやく作ってもらう料理を決めた。
「プレーンオムレツ」
私は一言、そう言った。
「……案外、一般的なのがきましたね」
「いやー、私、あの卵でひき肉を包むのが苦手でさー。どうやっても上手くいかないの。ちょうど誰かのお手本を見たいと思ってたんだよね」
「承知いたしました。では、その本をお借りします」
エフは私から料理本を受け取ると、オムレツのページに目を通した。
エフの目から光の線が出て、ページの上から下まで光線が通っていった。
「うわ! 何それ!?」
驚く私とは裏腹に、エフは私に本を返した。
「ああ、私たちの目はカメラやスキャナの役割を持っているんです。今のは、この本のレシピや調理法を一通りスキャンさせていただきました」
「へー、ハイテクだねえ」
私は思わず、おばあちゃんのような言い方になってしまった。
「ふふ、これでも最新機種ですから。台所お借りしますね」
エフは嬉しそうに笑って、台所に向かっていった。
ふむ、これはなかなか便利かもしれない。
料理ができる携帯電話なんて、世の中進歩したものだ。
問題は、何もかもをエフまかせにしたら、私は堕落してしまうかもしれない。
あくまでエフは手伝いをさせる程度にとどめないといけないな。
今後のエフのポジションについて考えていると、エフが台所からひょっこり出てきた。
「あの、ご主人……」
「ん? どしたの?」
「大変申し訳ありませんが、冷蔵庫にプレーンオムレツの材料が不足しているようです」
自分のせいでもないのに、エフは本当に申し訳なさそうに言った。
「あー、最近買い物に行ってなかったからなー……何が足りない?」
確か玉ねぎを切らしていたような気がする。まあ、玉ねぎくらいなら無くても……。
「玉ねぎと卵とひき肉です」
……致命的に材料が足りなかった。
「じゃあ、他の料理にするか……今、冷蔵庫に何が入ってる?」
「何故かカップラーメンが入ってます。以上です」
……。
「あー……この前、寝坊して慌てたときにやっちゃったのかな……」
「この前って……最近、冷蔵庫を使ってなかったんですか……?」
エフは、本気で心配そうな顔をして私を見ている。
やめて……そんな可哀想なものを見る目でこっちを見ないで……。
「……お昼食べてから買い物に行こうか」
「そのお昼はどうなさいますか」
「とりあえずカップラーメンで」
〈続く〉
「えっと、『FQシリーズは女性に人気のケータイです。イケメンに変身するだけでなく、防水、耐衝撃仕様。家事ができるので一人暮らしの方に重宝、もちろんご家族がいる家庭でもお手伝いさん感覚で大助かり! もちろん彼らはお金も食べ物も必要としないので、充電さえすればオーケーです!』……携帯らしからぬクオリティだね」
『家事ができる携帯』なんてフレーズ、耳慣れなさすぎる。
「最近は、携帯電話に多くの機能を付加すると売れるのだと、FQ社の方が言っていました」
「そうだね、こんな機能がついてたら他社は勝てないね。……てか、どうやったら携帯が人に化けるの?」
「それは企業機密です」
「だよねえ」
この機密が漏れたら、どの電話会社もこぞって真似するだろうしな……。
「家事ができるってことは、料理とかも得意だったり?」
「料理本やレシピなどがあればできますよ。作ってみましょうか?」
ちょうどお昼時ですしね。
エフはにっこり微笑んだ。
試しに何か作らせてみようと、本棚の料理本を漁る。
「どうしようかなー。何か良さげなものは……」
「別に、ご主人が食べたいものでいいですよ?」
「いや、今食べたいのはラーメンだけど、そんなのインスタントで出来るからつまらないし」
「……なるほど」
しばらく料理本とにらみ合いをして、ようやく作ってもらう料理を決めた。
「プレーンオムレツ」
私は一言、そう言った。
「……案外、一般的なのがきましたね」
「いやー、私、あの卵でひき肉を包むのが苦手でさー。どうやっても上手くいかないの。ちょうど誰かのお手本を見たいと思ってたんだよね」
「承知いたしました。では、その本をお借りします」
エフは私から料理本を受け取ると、オムレツのページに目を通した。
エフの目から光の線が出て、ページの上から下まで光線が通っていった。
「うわ! 何それ!?」
驚く私とは裏腹に、エフは私に本を返した。
「ああ、私たちの目はカメラやスキャナの役割を持っているんです。今のは、この本のレシピや調理法を一通りスキャンさせていただきました」
「へー、ハイテクだねえ」
私は思わず、おばあちゃんのような言い方になってしまった。
「ふふ、これでも最新機種ですから。台所お借りしますね」
エフは嬉しそうに笑って、台所に向かっていった。
ふむ、これはなかなか便利かもしれない。
料理ができる携帯電話なんて、世の中進歩したものだ。
問題は、何もかもをエフまかせにしたら、私は堕落してしまうかもしれない。
あくまでエフは手伝いをさせる程度にとどめないといけないな。
今後のエフのポジションについて考えていると、エフが台所からひょっこり出てきた。
「あの、ご主人……」
「ん? どしたの?」
「大変申し訳ありませんが、冷蔵庫にプレーンオムレツの材料が不足しているようです」
自分のせいでもないのに、エフは本当に申し訳なさそうに言った。
「あー、最近買い物に行ってなかったからなー……何が足りない?」
確か玉ねぎを切らしていたような気がする。まあ、玉ねぎくらいなら無くても……。
「玉ねぎと卵とひき肉です」
……致命的に材料が足りなかった。
「じゃあ、他の料理にするか……今、冷蔵庫に何が入ってる?」
「何故かカップラーメンが入ってます。以上です」
……。
「あー……この前、寝坊して慌てたときにやっちゃったのかな……」
「この前って……最近、冷蔵庫を使ってなかったんですか……?」
エフは、本気で心配そうな顔をして私を見ている。
やめて……そんな可哀想なものを見る目でこっちを見ないで……。
「……お昼食べてから買い物に行こうか」
「そのお昼はどうなさいますか」
「とりあえずカップラーメンで」
〈続く〉
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる