学園一のイケメンにつきまとわれています。

永久保セツナ

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エンディング(ルート分岐、お好きなキャラをお選びください)

エンディング【曽根崎END】

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「~♪」
曽根崎逢瀬は鼻歌を歌いながら私と手を繋いで夜の街を歩く。
ちゃっかり恋人繋ぎである。
「随分ごきげんですね」
「当然でしょ?」
栞ちゃん自ら、俺を誘ってくれたんだから。
曽根崎は目を細めて笑う。
――そう。私――文月栞は、修学旅行の最終日、曽根崎をクリスマスデートに誘った。
修学旅行の十一月からクリスマスの十二月まで、コイツは笑顔を絶やさなかった。要は常にニマニマしていたのである。
曽根崎は、イルミネーションを見に行こうと言った。
「神楽坂センパイみたいにお金があればもっといいとこ連れてってあげられるんだけど、俺にはこのくらいしか思いつかなかった。ごめんね?」
「いえ、学費を親御さんに返しているのなら仕方ないですし賢明な判断です」
これで贅を凝らしたデートプランを用意していたら逆にひっぱたいているところである。
私達はコートにマフラー、手袋とブーツできらめく街に繰り出した。
夜の街、といっても、繁華街は危ないし学校側からも踏み込むことを禁じられているので、やってきたのはショッピングモール。
両脇に並んだ店の列を突っ切ると、奥に広場があってイルミネーションが展示されているという寸法だ。
「イルミネーションの前に、買い物でもしようか?」
「いいんですか?」
「もちろん! 栞ちゃんが満足するまでデートを堪能してほしいからね」
曽根崎はおちゃめにウィンクする。……ウィンクできるんだ、コイツ……。
そういうわけで、私達は買い物を楽しんだ。……いや実際の話、本当に意外なほど楽しかったのだ。曽根崎が「栞ちゃんにはこれが似合う」と言って勧めてくる服はどれもセンスが良かったし私好みだった。
私の両手にはたちまち紙袋が大量にぶら下がっていたのであった。
「栞ちゃん、俺、荷物持つよ」
「いえ、私の買い物ですから」
譲らないまま通路を歩いていると、紙袋が通行人の男にぶつかった。
「あ、すみません」
「アァ?」
うっわ、いかにもガラが悪そうなのにエンカウントしてしまった。
「ケッ、バカップルかよ。クリスマスなんてぶち壊したくなるよなァ。女、こっち来い」
男に手首を握られ、思わず反射で抵抗するが振り払えない。
まずい。この男、おそらくは格闘技を習得している。我流の喧嘩殺法では勝てない相手だ。
どうしよう、と頭をフル回転させていると、
「――俺の女に触るな」
私の手首を掴む男の手首を、更に曽根崎が掴む。ギリギリと握りつぶすようにしているらしく、男が顔を歪め、手を離す。
「テメェ――!」
曽根崎に向かって殴ろうとした男の動きが止まる。
――曽根崎の拳が、男の顔の前で寸止めされていた。
「……俺たち、暴力沙汰は起こしたくないんですよ。せっかくのクリスマス、お互い警察沙汰にはなりたくないでしょう?」
曽根崎はどこか冷ややかな温度を感じさせる笑顔を浮かべていた。
「……チッ」
男は舌打ちをして歩き去っていった。
「曽根崎くんって意外と強かったんですね」
さすがボクシングを習っているだけはある――
と言いかけて、私の思考はそこで止まってしまった。
曽根崎に、抱きしめられてしまったから。
「……やっと、やっと栞ちゃんを守れた……」
曽根崎は泣きそうな笑顔で言う。
「栞ちゃんは覚えてないかもしれないけど、君は俺を助けてくれた。その時からなんだ、君を守りたいと思ったのは。君はいつも誰かと戦っていてボロボロだったから。恩を返したかった」
嬉しい、嬉しい、と、曽根崎は腕に力を込める。
「あ、あの、曽根崎くん、みんな見てるので……」
イケメンに抱きしめられている女の図。注目の的である。なんならドラマの撮影かと思われている。恥ずかしい。
「ふふ、ごめんごめん」
曽根崎はやっと解放してくれた。
「あと、やっぱり荷物は俺が持つよ。さっきみたいになったらやだし……ね?」
「……そうですね、甘えさせてもらいます」
渋々と買い物袋を渡すと、曽根崎はまたニマーッとしている。
「……なんですか」
「いや、栞ちゃんが俺に甘えてくれると思うと、なんか……ニヤニヤが止まらなくて……」
「どんだけ私のこと好きなんですか」
「宇宙で一番好きだけど?」
スケールでかいな。
こういうところがバカップルに見られるんだよな、と思いつつ、私はおかしくて笑ってしまうのであった。
やがて私達はイルミネーション広場に辿り着く。
「綺麗だねえ」
「そうですね」
二人でベンチに座って一息つく。雪は降っていないのでベンチは濡れていないのが幸いだった。
「曽根崎くん」
「うん?」
「好きです」
もう単刀直入に言ってしまおうと、私は何の脈絡もなく告白した。
チャンスを伺っていたら、恥ずかしくて言えそうにないから。
曽根崎の様子を見ると、フリーズしたように動かなくなってしまった。
「……え、なにこれ、夢?」
「夢じゃないですよ」
私は曽根崎の顔に平手打ちをする。手袋はしてるからダメージは抑えられてる、といいね。
「痛い!」
「ほら、夢じゃないでしょう?」
「夢じゃなかったけど、他にもっと確認の方法あったよね!?」
曽根崎は頬を押さえながら、涙目で抗議する。
……正直、平手打ちは私なりの抵抗というか、照れ隠しだ。
こんなクソストーカー野郎が、認めたくないけど、好きなのだ。
「……ホントに? 本当に俺のこと好き?」
「好きですよ」
「俺、嫉妬と独占欲でドロドロだよ? 多分、一度自分のものにしたら離してあげられなくなるよ?」
「知ってます」
今までの経験上、よーくご存知ですとも。
「ホントに、ホントにいいの?」
「あんまりしつこいとなかったことにしますよ」
「わー! ウソウソ! これからよろしくお願いします!」
そして、曽根崎は緊張気味にこちらに顔を近づける。女慣れしてるくせに、まるで初めて女とデートしてるみたいだった。
額にチュッと口づけされる。
「……口は、誰もいないとこで、ね?」
曽根崎が顔を真赤にしながら言うもんだから、私は(珍しいな……)くらいに思っていたのであった。
「来年も、再来年も、俺とずっと一緒にいてください」
「曽根崎くんがまた留年しなければ、はい、必ず」
「俺そこまで馬鹿に見える?」
そんな会話をして、二人でクスクスと笑う。
イルミネーションに温度なんてないはずなのに、その光はとても暖かかった。

【曽根崎ルート END】
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