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星月

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はじまりのない物語

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ドッジボール最終決戦

「うわあああ!マジかよ!」
「これじゃ勝てねぇ...ここまでか!」

運動場へと響き渡る、観客席からの絶叫。
球技大会最後の種目ドッジボールにて、俺達のチームは絶体絶命のピンチに陥っていた。

残るは俺とケン、ツカサの3人。
対する相手は5人であり、しかも相手チームのリーダーは、コントロール抜群の強敵だ。

真彩「ユウ!最後まで頑張って!」
サキ「ここまで来たんだら絶対勝ってよ!」

外野から幼馴染の真彩と、クラスメイトのサキの声が飛ぶ。

ケン「ユウゴ、お前の大事な幼馴染が応援してるからって、油断してんじゃねぇぞ?」

俺の隣に立つと、飛んでくるボールに備えて身構えるケン。
ニヤニヤしながら、俺の背中をバシッと叩く。

ユウゴ「うるせぇ!お前こそサキの声掛けにデレてんじゃないのか?」
ケン「なわけねぇだろ!誰があいつなんかに...」

思わず反論をするが、2人はちらりと彼女の方を見やる。
真彩とサキは、外野の線ギリギリにまで来て、必死になって声援を送っていた。

ツカサ「...やれやれ、お一人様は気楽でいいわ。」

そんな俺達の間に、ツカサが肩をすくめながら割って入る。
まとまった俺達を狙ったボールが、ツカサの手の内にすっぽりと収まる。

ツカサ「そして...ここで注目するのもお一人様なんだよ!!」

声を張り上げると、ツカサは相手に目掛けてボールを投げつけた。
目にも留まらぬ速さで、相手のうちの1人は彼の剛球をもろに受ける。

「おぉ~!すげぇ!」
「カッケェ!あいつやるな~!」

観客席からは一気に歓声が沸き起こり、この空間の騒々しさを一層増す。

「怯むな!やれお前ら!!」

それでも相手チームは、手を引くことなく反撃に出た。
味方を鼓舞し、士気を高め合っている。

しかし、俺達も負けていられない。
人数差はあるが、息を合わせればなんとかなると信じて。

膠着状態が続く中、味方のケンとツカサが脱落してしまった。

諦めずに粘っていると、相手チームの人数も徐々に減っていく。
そして...。

俺と相手チーム、残ったのは共に一人ずつだった。

制限時間は過ぎたものの、決勝戦ということもありサドンデスに突入したのだ。

ユウゴ「これ勝てるのかよ...」

正直、相手のボールを受け止められる自信がなかった。
そんな時、真彩の声が脳裏をかすめる。

真彩「ユウならできる!頑張って!」

...なにを諦めムードになってるんだよ。

俺には応援してくれるチームやクラスのみんながいる。
そして、これまで支えてきてくれた真彩だって...。

相手はボールを持ち直すと、俺へと目掛けて投げてきた。

...見えた!

確信した俺はニヤリと笑うと、相手のボールを足で受け止めた。

「うおおおお!あいつ足で止めやがった!」
「マジかよ!?どういうことだよ!」

理由は簡単、俺はケンとツカサ、そしてそれ以前のチーム員の被弾した箇所を思い返していた。
位置を見ると、彼らは共通して足を狙われていたことが分かる。

今度も相手はそこを狙ってくるだろうと推測した俺は、あいて上半身を大きく見せて足へと誘導させた。
見事に釣れたことで、俺は安全にボールを回収することができたのだ。

ユウゴ「サッカー部を舐めんなよ!!」

渾身を込めた一球が、俺の手から放たれる。
俺の声が運動場全体に響き渡ると共に、相手は脱落した。

「やったぞー!ユウゴすげぇ!!」
「優勝だ~!ありがとうユウゴ君!!」

俺達のクラスから、歓声が沸き起こる。
見事に逆転勝利を収め、場は大盛り上がりだった。

クラスメイト達はコート内に押し寄せると、俺を胴上げし始めた。

「ユウゴ最高~!」
「今日のMVPは間違いなくお前だ!」

みんなの笑顔が、眩しい。
俺は「お前らやめろ~!」と言いつつも、実は嬉しさが内側にはあったのだ。

そんな中、俺は思った。

ユウゴ「ていうかいきなり始まっといて終わんなよ!」

この物語は、突然終わりを迎えた。
まるで、最初から何もなかったかのように。

まあ、ハッピーエンドだしいいよね!

ユウゴ「よくねぇよ!」
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