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睦月
すき焼きの回・年賀状(全2話)
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【すき焼きの回】 ~アルスの日常~
今日はみんなで集まってすき焼きをやることとなっていた。
普段学校でつるんでいるメンバーで、机を囲っている。
鍋が沸騰始めたのを見て、エルはキッチンへと向かった。
アルス「いや~、すき焼きとか久々やな。」
割り箸とお手拭きを配りながら、アルスは呟いた。
近藤「いつぶりなんだ?」
アルス「去年の年明け」
1年前の同じ時期に一度やったようだ。
近藤「因みにその前は?」
アルス「2年前の年明け」
サトシ「毎年やってんじゃねぇか」
年明けにやるのが恒例らしく、それ以外ではやることはないみたい。
エル「そろそろ最初のお肉入れちゃおっか!」
キッチンから戻ってきたエルが、肉を卓上へ運んできた。
近藤「よっしゃ!食うぞ食うぞ~!」
はちまきを締め、菜箸で次々と肉を入れていく。
優奈「肉ってさ、入れたらどのくらいで食べれるようになるの?」
アルス「この火力だったら1,2分くらいじゃね?」
コンロの火力を弱めながら、アルスが言う。
エル「思ったよりもサクッとできちゃうからオススメだよ」
サトシ「たけぇだろ肉がよ」
安いお肉もあるよサトシ君。
お正月だから奮発してるだけなんだけどね。
近藤「てかこれ、杏姉もできるんじゃないか?」
アルス「煮るくらいならな。焼き肉みたいに焦げることはないし。」
極端な話、色合いを見てひっくり返したりするだけだ。
なので、料理が苦手な杏姉でも、ひょっとしたらできるのではないかと思った。
ジン「失敗する要素なくね?」
エル「でも煮すぎると固くなっちゃうよ」
固くなるのは致命的だ。
すき焼きは柔らかくなくちゃ。
サトシ「そもそもカップ麺すらろくに作れんやつにはなにをやらせてもだめだ」
衝撃なんだけど。
それこそどこで失敗するというのだろうか。
エル「今のままだと、ちょっと味が薄くなっちゃうかな。」
ジン「え、なんで?」
肉の色が変わり始めた頃、エルが呟いた。
優奈「ねぇ、これ野菜とか汁少なくない?」
エルは台所から、ボウルを持ってきた。
エル「肉をある程度炒められたら、具材とすき焼きのタレを注ぎ足すんだよ。」
そう言って、 ボウルの野菜を足していく。
アルスがその上から、タレをかける。
アルス「ほんでこの肉が煮込めたら、また足してくんだよな。」
エル「そうそう!よく分かってるね~!」
どことなくご機嫌なエル。
突然どうしたというのだ。
サトシ「ほーん、それなんの意味があんの?最初から入れててもよくね?」
肉をひっくり返しながら、サトシが聞く。
エル「うーん...うちはいつもこのやり方でやってるからね。」
工程の意味はよく分かってないらしい。
アルス「まあ、美味ければ全てよし。」
近藤「違いない。」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【年賀状】 ~ナタモチ~
早く起きた美優は、毎日とっている新聞を取りにポストへと向かった。
美優「う~、寒いなぁ...。」
さっと取って戻ってくるだけなので、パジャマのままでもいいと思っていた。
この考えは甘かった。
せめて羽織の1枚くらい着てくるべきだったと後悔する。
美優「...あれ、いっぱい来てる。年賀状かな?」
郵便受けの中を覗き込むと、新聞とはの別に、数枚のはがきが見えた。
外は寒いので、一旦家に入ってから確認する。
1枚1枚送り先を見ていく。
大半は親戚だったが、友人や先生からも来ていた。
美優「これは美浦からだね。デザインかわいいなぁ。」
裏面には、デコレーションテープや小さなシールで可愛く装飾されている。
続いて隼士。
例年はボールペンで「今年もよろしく!」と書いてあるくらいだったが、今年はなにやら色々書いてある。
まあ、内容はあとでよく読むとして。
他には、藍夏や賢澄達からも送られてきていた。
このメンバーは、かつて共にナタモチの恐怖に襲われた人達だ。
あの出来事があってから私達は仲良くなった。
冬休み前に、せっかくだしみんなで年賀状を送り合おうという話となった。
美優「あんなことが無かったら、こんな関係にはなってなかったよね。」
人生で一番怖い...そんな思いをしたのに、心のどこかではある意味良かったと思ってしまう。
美優「...ん?」
最後の、私宛の1枚を見ようとしたら、差出人が書いてないことに気が付いた。
美優「誰からだろこれ...」
裏をめくると、「またの参加をお待ちしてます」と達筆で書かれていた。
美優「二度とやらないよ!」
これ絶対ナタモチの人だ。
私は思わず声を上げてしまった。
今日はみんなで集まってすき焼きをやることとなっていた。
普段学校でつるんでいるメンバーで、机を囲っている。
鍋が沸騰始めたのを見て、エルはキッチンへと向かった。
アルス「いや~、すき焼きとか久々やな。」
割り箸とお手拭きを配りながら、アルスは呟いた。
近藤「いつぶりなんだ?」
アルス「去年の年明け」
1年前の同じ時期に一度やったようだ。
近藤「因みにその前は?」
アルス「2年前の年明け」
サトシ「毎年やってんじゃねぇか」
年明けにやるのが恒例らしく、それ以外ではやることはないみたい。
エル「そろそろ最初のお肉入れちゃおっか!」
キッチンから戻ってきたエルが、肉を卓上へ運んできた。
近藤「よっしゃ!食うぞ食うぞ~!」
はちまきを締め、菜箸で次々と肉を入れていく。
優奈「肉ってさ、入れたらどのくらいで食べれるようになるの?」
アルス「この火力だったら1,2分くらいじゃね?」
コンロの火力を弱めながら、アルスが言う。
エル「思ったよりもサクッとできちゃうからオススメだよ」
サトシ「たけぇだろ肉がよ」
安いお肉もあるよサトシ君。
お正月だから奮発してるだけなんだけどね。
近藤「てかこれ、杏姉もできるんじゃないか?」
アルス「煮るくらいならな。焼き肉みたいに焦げることはないし。」
極端な話、色合いを見てひっくり返したりするだけだ。
なので、料理が苦手な杏姉でも、ひょっとしたらできるのではないかと思った。
ジン「失敗する要素なくね?」
エル「でも煮すぎると固くなっちゃうよ」
固くなるのは致命的だ。
すき焼きは柔らかくなくちゃ。
サトシ「そもそもカップ麺すらろくに作れんやつにはなにをやらせてもだめだ」
衝撃なんだけど。
それこそどこで失敗するというのだろうか。
エル「今のままだと、ちょっと味が薄くなっちゃうかな。」
ジン「え、なんで?」
肉の色が変わり始めた頃、エルが呟いた。
優奈「ねぇ、これ野菜とか汁少なくない?」
エルは台所から、ボウルを持ってきた。
エル「肉をある程度炒められたら、具材とすき焼きのタレを注ぎ足すんだよ。」
そう言って、 ボウルの野菜を足していく。
アルスがその上から、タレをかける。
アルス「ほんでこの肉が煮込めたら、また足してくんだよな。」
エル「そうそう!よく分かってるね~!」
どことなくご機嫌なエル。
突然どうしたというのだ。
サトシ「ほーん、それなんの意味があんの?最初から入れててもよくね?」
肉をひっくり返しながら、サトシが聞く。
エル「うーん...うちはいつもこのやり方でやってるからね。」
工程の意味はよく分かってないらしい。
アルス「まあ、美味ければ全てよし。」
近藤「違いない。」
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【年賀状】 ~ナタモチ~
早く起きた美優は、毎日とっている新聞を取りにポストへと向かった。
美優「う~、寒いなぁ...。」
さっと取って戻ってくるだけなので、パジャマのままでもいいと思っていた。
この考えは甘かった。
せめて羽織の1枚くらい着てくるべきだったと後悔する。
美優「...あれ、いっぱい来てる。年賀状かな?」
郵便受けの中を覗き込むと、新聞とはの別に、数枚のはがきが見えた。
外は寒いので、一旦家に入ってから確認する。
1枚1枚送り先を見ていく。
大半は親戚だったが、友人や先生からも来ていた。
美優「これは美浦からだね。デザインかわいいなぁ。」
裏面には、デコレーションテープや小さなシールで可愛く装飾されている。
続いて隼士。
例年はボールペンで「今年もよろしく!」と書いてあるくらいだったが、今年はなにやら色々書いてある。
まあ、内容はあとでよく読むとして。
他には、藍夏や賢澄達からも送られてきていた。
このメンバーは、かつて共にナタモチの恐怖に襲われた人達だ。
あの出来事があってから私達は仲良くなった。
冬休み前に、せっかくだしみんなで年賀状を送り合おうという話となった。
美優「あんなことが無かったら、こんな関係にはなってなかったよね。」
人生で一番怖い...そんな思いをしたのに、心のどこかではある意味良かったと思ってしまう。
美優「...ん?」
最後の、私宛の1枚を見ようとしたら、差出人が書いてないことに気が付いた。
美優「誰からだろこれ...」
裏をめくると、「またの参加をお待ちしてます」と達筆で書かれていた。
美優「二度とやらないよ!」
これ絶対ナタモチの人だ。
私は思わず声を上げてしまった。
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