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神無月
借り物を返すだけなのに・ガラス張りの回・歌姫の戦士(全3話)
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【借り物を返すだけなのに】~四元戦士の理~
カツキ「はまちんに借りたペン返すの忘れてた!」
放課後、帰りの支度をしていたカツキがポケットから取り出したのは、一本のシャーペンだった。
今朝、筆箱を忘れたカツキを見かねた担任の浜瀬先生が、自身のシャーペンを貸してくれたのだった。
帰りのSHRが終わってからは、しばらく友達と談笑していた。
その間に、浜瀬先生は教室を出ていってしまった。
向かった先はおそらく教務室であろう。
放課後に教務室へ行くと、大体は自分の机でパソコンを打ってる姿が見られる。
そう思い、私は荷物をまとめる。
カツキ「ちょっと教務室行ってくるから、あんた待ってなさいよ?」
話の輪に入っていた、私との双子の妹であるマリンに待機をするよう告げた。
カツキ「なによマリン、その顔は。」
マリンはなにを期待しているのか、嬉しそうな顔をしている。
多分、私がなにかやらかして、それについての呼び出しを受けたとでも思っているのだろうか。
カツキ「これをはまちんに返してくるだけだよ、話しててタイミング逃しちゃったからね。」
そう説明すると、マリンは少し残念そうな顔をした。
カツキ「あんたね、人の不幸をからかおうとするんじゃないよ。全く失礼しちゃうっての。」
マリンは「いつもお姉ちゃんが発端なのに」と、痛いところを小突いてきそうな表情を浮かべた。
それを感じ取ったカツキは「ぐぬぬ...」と悔しそうな声を漏らす。
カツキ「もう!なんでもいいから待っててよ、すぐ戻ってくるんだから!」
そう言い放って、私は教室を飛び出した。
カツキ「全く、うちの妹は生意気なんだから...。」
指を使ってペンを起用に回しながら、教務室へ向かうべく廊下を歩く。
浜瀬先生の机は廊下側にあるので、壁の下にある小窓を開ければ様子をうかがうことができる。
マリンの期待通りではなく、今日はただペンを返しに来ただけなので、なにも悪いことはない。
少しくらい遊んでも問題はないだろう。
教務室の前まで来ると、ある場所でしゃがみ、小窓に手をかける。
重さが感じられず、鍵はかかっていないことが分かった私は、そっと小窓を開けて中を覗いた。
中を覗くと、真正面に浜瀬先生が座って作業をしている姿が見受けられた。
コピー用紙等が入った箱が邪魔で、ほんの隙間からしか見ることができない。
立ち塞がる箱をどけようと、箱に手をかける。
すると、浜瀬先生のもとへ齋籐先生が歩み寄るのが見えた。
齋籐先生「浜瀬先生、ちょっと時間よろしいですかな。」
眼鏡の位置を直しながら、齋籐先生が都合を尋ねる。
げげ、このタイミングで来ないでよ。
浜瀬先生「ああ、今なら手が空いてますが。」
パソコンのキーボードから指を離し、齋籐先生に向き直る。
齋籐先生「話があってね。おたくのクラスにいる、鳴宮カツキについてだが。」
つい、声を漏らしそうになった。
まさか、自分の名前が出るとは思わないじゃん?
慌てて自分の口を抑え、その様子を見ていた。
浜瀬先生「あいつがどうかしましたか」
膝に手をつき、下から顔を覗くようにして、齋籐先生を見上げていた。
齋籐先生「私はおたくのクラスで、国語の授業を受け持っている。その授業でだ、なんだねあいつの態度は。」
齋籐先生は腕を組み、足をトントンと鳴らしている。
多分、不機嫌そうな表情を浮かべているに違いない。
理由については心当たりがある。
いや、ありすぎて逆にどれのことなのか。
いやいや、全部だろうなぁ。
齋籐先生「前の席の生徒にちょっかいをかけるわ、後ろや隣を向いて駄弁っているわ、立ち歩いて余計なことをするわ...。」
齋籐先生の肩は震えており、顔を見なくとも苛立っていることは十分に感じ取られた。
齋籐先生「休み時間にやればいいものをわざわざ授業に持ち込んで...はっきり言って授業妨害だ!一体どんな教育をしていたらそんな授業妨害をする生徒が仕上がるというんだ!」
遂に怒りの矛先を、担任である浜瀬先生に向けた。
齋籐先生「真面目に授業を受けたいという生徒もいると言うのに、あの一人のせいで全てが台無しだ!」
不満は募るばかりで、勢いも増し徐々にヒートアップしていく。
齋籐先生「あんな不真面目な生徒を作り出した浜瀬先生にも責任があり、どうしてくれるんだ!」
声を荒げ、室内に留まらず廊下にまでこの怒鳴り声は響いていた。
宇栄先生「ちょっと齋籐先生!なにもそこまで言うことないじゃないですか!?」
その場に飛び込んできたのは、陸上部の顧問を務める宇栄先生だった。
これから部活動に行こうとしてたのか、ストップウォッチやバインダーを手にしている。
齋籐先生「本当のことだからだ!今すぐにでも徹底させないと、調子に乗り続ける!」
しかし、怒りが収まることもなくあとを引かない様子。
高橋先生「その辺にしといたらいいと思いますよ」
コーヒーを啜っていた、白衣をまとった高橋先生。
これから物理室にでも行くのか、授業で見たことのある器具も手にしている。
高橋先生は2人の間に器具をねじこみ、距離を遠ざけた。
これまで黙って話を聞いていた浜瀬先生だったが、遂に口を開いた。
浜瀬先生「そういうのは、直接言えばいいんじゃないのか?」
齋籐先生「ああいうやつは、なにを言っても通じん。」
少し落ち着いたのか、先ほどまでと比べて声のトーンは低くなっている。
浜瀬先生「だったらうちら教師が方法を改めるべきではないのだろうか」
齋籐先生「何故あいつのためにこっちが対策しないといけないんだ」
頭を掻きむしりながら、悪態をつく。
再び怒鳴り上げるのではないかと、宇栄先生は身構えた。
浜瀬先生「それも教師の務めだと俺は思うが」
しかし、浜瀬先生がそう答えると、やっとのところで齋籐先生は引き下がった。
浜瀬先生「まずはあいつのクラスを受け持っている俺がなんとかする。首を出すというのならそのあとにしてくれ。」
対応をまとめた浜瀬先生に「そうしてくれと言ってるんだがね」と言い捨て、齋籐先生はその場を去った。
高橋先生「あいも変わらず難しいですな」
コーヒーを飲み終えたのか、高橋先生はマグカップを置いて身体を延ばす。
小杉先生「他にもカツキさんのことをよく思わない先生はいるのでしょうかね...」
宇栄先生の後ろに隠れるように立っていた、陸上部の副顧問である小杉先生。
控えめに、心配の声を上げる。
高橋先生「ああいう生徒は、クラスに1人くらいはいてもいいとは思いますよ。」
自分なりの見解を見せ、フォローに回る。
高橋先生「かと言って、楽しい授業作りというものを履き違えてはいけない。教師が元を作るべき、とだけ言っておきますよ。」
小杉先生「なるほど...勉強になります。」
教員歴が浅い小杉先生にとって、高橋先生の言葉は大変ためになるものだった。
授業というものは、生徒だけが作るものではない。
教師が始めとした形を作ることが大切なのだと、小杉先生は気付いたのだ。
宇栄先生「それで、先生は今後どうするんですか。ああいうの聞いたら、私だって少しくらい心配はしますよ。」
腰に手を当て、これからの対応についてを問う。
浜瀬先生「これはあいつのことだ。様子を見てこちらから声を掛けていくことにする。」
組んでいた腕をほどき、再びモニターに目を向ける。
浜瀬先生は「空気を濁らせてしまってすまなかったな、さっきも言った通りあとは俺がなんとかする。」と言って、中断していた作業に取り掛かった。
私は立ち上がると、手にしていたペンを握りしめ、その場から逃げるように走り去った。
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【ガラス張りの回】~アルスの日常~
アルスは友人と共に、映画を観るため映画館へと来ていた。
上映が終わり、近くのショッピングセンターへと足を運んでいた。
アルス「近藤、ちょいと上を見ててくれ。」
近藤は「お、おう?」と怪しさを疑いつつも、指示に従う。
アルスの誘導で、ある位置に立たされた。
アルス「ほい、下見てな。」
言われた通り足元を見ると、俺は空中に立っていた。
近藤「おわ~っ!?」
驚きのあまり、腰を抜かしてしまった。
慌てすぎて思考が追いつかず、なにがどうなっているのかが理解し難かった。
アルスは「ただの合成樹脂の床やで」
と説明するが、それについても意味が分からないといった様子。
ガラスの下には、エルとクレがおり、こちらに向かって手を振っていた。
気付くまで手を振ろうと考えていたが、怖くて下を見れないのか、近藤は気付く気配がなかった。
そう勘付いた2人は、ゆっくりと手を降ろした。
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【歌姫の戦士】~電脳戦士の理~
サトシ「お前、映画どうやったん?」
隣を歩くリリーに、先ほど観た映画についての感想を尋ねた。
リリー「面白かったよぉ。歌姫の戦士、カッコよかったねぇ~。」
サトシ「てめぇも同じようなもんやろが」
と、サトシは言うが...。
それを聞いたリリーは「えぇ~、なんのことぉ~?」と、とぼけるだけだった。
リリー「でもやっぱりぃ、多種多様な歌声を出せるのは強みだよねぇ~。私も色々な表現がもっとできるようになりたいなぁ~。」
リリーの歌声は、透明さのある綺麗な声色である。
一応、低音や力強さのある声も、発声することはできるようだが。
しかし、それらを用いて具現化することについては、そう長いこと上手く続かないそうだ。
サトシ「お前はがなり声出せるんか?」
杏姉「む、無理ですよ!喉も痛めますし...。」
杏姉も同様、迫力のある声は出せないようだ。
やはり女にとってはムズいもんなのか。
カツキ「はまちんに借りたペン返すの忘れてた!」
放課後、帰りの支度をしていたカツキがポケットから取り出したのは、一本のシャーペンだった。
今朝、筆箱を忘れたカツキを見かねた担任の浜瀬先生が、自身のシャーペンを貸してくれたのだった。
帰りのSHRが終わってからは、しばらく友達と談笑していた。
その間に、浜瀬先生は教室を出ていってしまった。
向かった先はおそらく教務室であろう。
放課後に教務室へ行くと、大体は自分の机でパソコンを打ってる姿が見られる。
そう思い、私は荷物をまとめる。
カツキ「ちょっと教務室行ってくるから、あんた待ってなさいよ?」
話の輪に入っていた、私との双子の妹であるマリンに待機をするよう告げた。
カツキ「なによマリン、その顔は。」
マリンはなにを期待しているのか、嬉しそうな顔をしている。
多分、私がなにかやらかして、それについての呼び出しを受けたとでも思っているのだろうか。
カツキ「これをはまちんに返してくるだけだよ、話しててタイミング逃しちゃったからね。」
そう説明すると、マリンは少し残念そうな顔をした。
カツキ「あんたね、人の不幸をからかおうとするんじゃないよ。全く失礼しちゃうっての。」
マリンは「いつもお姉ちゃんが発端なのに」と、痛いところを小突いてきそうな表情を浮かべた。
それを感じ取ったカツキは「ぐぬぬ...」と悔しそうな声を漏らす。
カツキ「もう!なんでもいいから待っててよ、すぐ戻ってくるんだから!」
そう言い放って、私は教室を飛び出した。
カツキ「全く、うちの妹は生意気なんだから...。」
指を使ってペンを起用に回しながら、教務室へ向かうべく廊下を歩く。
浜瀬先生の机は廊下側にあるので、壁の下にある小窓を開ければ様子をうかがうことができる。
マリンの期待通りではなく、今日はただペンを返しに来ただけなので、なにも悪いことはない。
少しくらい遊んでも問題はないだろう。
教務室の前まで来ると、ある場所でしゃがみ、小窓に手をかける。
重さが感じられず、鍵はかかっていないことが分かった私は、そっと小窓を開けて中を覗いた。
中を覗くと、真正面に浜瀬先生が座って作業をしている姿が見受けられた。
コピー用紙等が入った箱が邪魔で、ほんの隙間からしか見ることができない。
立ち塞がる箱をどけようと、箱に手をかける。
すると、浜瀬先生のもとへ齋籐先生が歩み寄るのが見えた。
齋籐先生「浜瀬先生、ちょっと時間よろしいですかな。」
眼鏡の位置を直しながら、齋籐先生が都合を尋ねる。
げげ、このタイミングで来ないでよ。
浜瀬先生「ああ、今なら手が空いてますが。」
パソコンのキーボードから指を離し、齋籐先生に向き直る。
齋籐先生「話があってね。おたくのクラスにいる、鳴宮カツキについてだが。」
つい、声を漏らしそうになった。
まさか、自分の名前が出るとは思わないじゃん?
慌てて自分の口を抑え、その様子を見ていた。
浜瀬先生「あいつがどうかしましたか」
膝に手をつき、下から顔を覗くようにして、齋籐先生を見上げていた。
齋籐先生「私はおたくのクラスで、国語の授業を受け持っている。その授業でだ、なんだねあいつの態度は。」
齋籐先生は腕を組み、足をトントンと鳴らしている。
多分、不機嫌そうな表情を浮かべているに違いない。
理由については心当たりがある。
いや、ありすぎて逆にどれのことなのか。
いやいや、全部だろうなぁ。
齋籐先生「前の席の生徒にちょっかいをかけるわ、後ろや隣を向いて駄弁っているわ、立ち歩いて余計なことをするわ...。」
齋籐先生の肩は震えており、顔を見なくとも苛立っていることは十分に感じ取られた。
齋籐先生「休み時間にやればいいものをわざわざ授業に持ち込んで...はっきり言って授業妨害だ!一体どんな教育をしていたらそんな授業妨害をする生徒が仕上がるというんだ!」
遂に怒りの矛先を、担任である浜瀬先生に向けた。
齋籐先生「真面目に授業を受けたいという生徒もいると言うのに、あの一人のせいで全てが台無しだ!」
不満は募るばかりで、勢いも増し徐々にヒートアップしていく。
齋籐先生「あんな不真面目な生徒を作り出した浜瀬先生にも責任があり、どうしてくれるんだ!」
声を荒げ、室内に留まらず廊下にまでこの怒鳴り声は響いていた。
宇栄先生「ちょっと齋籐先生!なにもそこまで言うことないじゃないですか!?」
その場に飛び込んできたのは、陸上部の顧問を務める宇栄先生だった。
これから部活動に行こうとしてたのか、ストップウォッチやバインダーを手にしている。
齋籐先生「本当のことだからだ!今すぐにでも徹底させないと、調子に乗り続ける!」
しかし、怒りが収まることもなくあとを引かない様子。
高橋先生「その辺にしといたらいいと思いますよ」
コーヒーを啜っていた、白衣をまとった高橋先生。
これから物理室にでも行くのか、授業で見たことのある器具も手にしている。
高橋先生は2人の間に器具をねじこみ、距離を遠ざけた。
これまで黙って話を聞いていた浜瀬先生だったが、遂に口を開いた。
浜瀬先生「そういうのは、直接言えばいいんじゃないのか?」
齋籐先生「ああいうやつは、なにを言っても通じん。」
少し落ち着いたのか、先ほどまでと比べて声のトーンは低くなっている。
浜瀬先生「だったらうちら教師が方法を改めるべきではないのだろうか」
齋籐先生「何故あいつのためにこっちが対策しないといけないんだ」
頭を掻きむしりながら、悪態をつく。
再び怒鳴り上げるのではないかと、宇栄先生は身構えた。
浜瀬先生「それも教師の務めだと俺は思うが」
しかし、浜瀬先生がそう答えると、やっとのところで齋籐先生は引き下がった。
浜瀬先生「まずはあいつのクラスを受け持っている俺がなんとかする。首を出すというのならそのあとにしてくれ。」
対応をまとめた浜瀬先生に「そうしてくれと言ってるんだがね」と言い捨て、齋籐先生はその場を去った。
高橋先生「あいも変わらず難しいですな」
コーヒーを飲み終えたのか、高橋先生はマグカップを置いて身体を延ばす。
小杉先生「他にもカツキさんのことをよく思わない先生はいるのでしょうかね...」
宇栄先生の後ろに隠れるように立っていた、陸上部の副顧問である小杉先生。
控えめに、心配の声を上げる。
高橋先生「ああいう生徒は、クラスに1人くらいはいてもいいとは思いますよ。」
自分なりの見解を見せ、フォローに回る。
高橋先生「かと言って、楽しい授業作りというものを履き違えてはいけない。教師が元を作るべき、とだけ言っておきますよ。」
小杉先生「なるほど...勉強になります。」
教員歴が浅い小杉先生にとって、高橋先生の言葉は大変ためになるものだった。
授業というものは、生徒だけが作るものではない。
教師が始めとした形を作ることが大切なのだと、小杉先生は気付いたのだ。
宇栄先生「それで、先生は今後どうするんですか。ああいうの聞いたら、私だって少しくらい心配はしますよ。」
腰に手を当て、これからの対応についてを問う。
浜瀬先生「これはあいつのことだ。様子を見てこちらから声を掛けていくことにする。」
組んでいた腕をほどき、再びモニターに目を向ける。
浜瀬先生は「空気を濁らせてしまってすまなかったな、さっきも言った通りあとは俺がなんとかする。」と言って、中断していた作業に取り掛かった。
私は立ち上がると、手にしていたペンを握りしめ、その場から逃げるように走り去った。
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【ガラス張りの回】~アルスの日常~
アルスは友人と共に、映画を観るため映画館へと来ていた。
上映が終わり、近くのショッピングセンターへと足を運んでいた。
アルス「近藤、ちょいと上を見ててくれ。」
近藤は「お、おう?」と怪しさを疑いつつも、指示に従う。
アルスの誘導で、ある位置に立たされた。
アルス「ほい、下見てな。」
言われた通り足元を見ると、俺は空中に立っていた。
近藤「おわ~っ!?」
驚きのあまり、腰を抜かしてしまった。
慌てすぎて思考が追いつかず、なにがどうなっているのかが理解し難かった。
アルスは「ただの合成樹脂の床やで」
と説明するが、それについても意味が分からないといった様子。
ガラスの下には、エルとクレがおり、こちらに向かって手を振っていた。
気付くまで手を振ろうと考えていたが、怖くて下を見れないのか、近藤は気付く気配がなかった。
そう勘付いた2人は、ゆっくりと手を降ろした。
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【歌姫の戦士】~電脳戦士の理~
サトシ「お前、映画どうやったん?」
隣を歩くリリーに、先ほど観た映画についての感想を尋ねた。
リリー「面白かったよぉ。歌姫の戦士、カッコよかったねぇ~。」
サトシ「てめぇも同じようなもんやろが」
と、サトシは言うが...。
それを聞いたリリーは「えぇ~、なんのことぉ~?」と、とぼけるだけだった。
リリー「でもやっぱりぃ、多種多様な歌声を出せるのは強みだよねぇ~。私も色々な表現がもっとできるようになりたいなぁ~。」
リリーの歌声は、透明さのある綺麗な声色である。
一応、低音や力強さのある声も、発声することはできるようだが。
しかし、それらを用いて具現化することについては、そう長いこと上手く続かないそうだ。
サトシ「お前はがなり声出せるんか?」
杏姉「む、無理ですよ!喉も痛めますし...。」
杏姉も同様、迫力のある声は出せないようだ。
やはり女にとってはムズいもんなのか。
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