毎日!アルスの日常365

星月

文字の大きさ
上 下
304 / 369
神無月

イベントチラシの回・夕立の遅れ(全2話)

しおりを挟む
【イベントチラシの回】~アルスの日常~

カヤサ「アルスおるか~?」

昼休み、窓際の席でエルと話していたアルスは、廊下から顔を出したカヤサに名前を呼ばれた。

アルス「なんや、なんかあったか?」

返事をすると、カヤサは一枚のチラシを持ってこちらにやって来た。

カヤサ「明日古本祭りってのがやるらしいぞ」

チラシを受け取り、内容を確認する。

今週末の2日間、いらなくなった本を出品するという、フリーマーケット的な類のイベントが行われるようだ。

アルス「行くわ」
エル「判断早いね!?」

古本を愛してやまない人にとっては、最高のイベントであるに違いない。
アルスは明日、カヤサと一緒に行ってみることにした。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【夕立の遅れ】~ナタモチ~

美優と隼士は放課後、図書館で試験勉強をしていた。
必要事項を暗記し、配布された対策問題を徹底する。

2人で教え合いながらやっているうちに、外は暗くなり始めていた。

美優「雨降りそうだね」分厚い雲が空一面に広がり、怪しい天気となっていた。隼士「だよな、降る前に撤収しようぜ。」

そう言って、教材を片付けていた。

美優「じゃあ、帰ろうか。」

鞄を持ち、席を離れようとする。

その時、眩しい光が辺りを包み込んだ。
数秒も経たないうちに、雷の落ちる音が鳴り響いた。

そこからぽつりぽつりと雨がちらつく。

美優「...降ってきちゃったね。」

そう呟くと、換気のためか数センチだけ開いた窓を、次々と閉めていく。

隼士「どうするよ、今日ばかりは傘持ってないぞ。」

まさか雨が降るとは思っていなかった。それに、予備の傘も用意してない。
窓を閉め終えた隼士は、どうしようかと悩んだ。

そんな時、美優の携帯から通知音が鳴った。

美優は携帯を取り出し画面を確認すると、「...あ」と小さな声を漏らした。
隼士は「どした?」と彼女の元へと近付き、携帯の画面を覗き込んだ。

美優「美浦から連絡が来たんだけどね」

そう言って、メッセージのやり取り画面を見せてくれた。

要約すると、母親と買い物に出掛けていた美浦が、このあと学校の前を通るようで、よかったら車乗っていかない?というものだった。

最初に「雨降ってきたけど大丈夫!?」と心配している文言が綴られている。
あんな生意気なやつでも、友達のことを想う心を持っているんだな。

そんなことを思いながらもう一度メッセージを読み通していた。

文末には「仕方ないけど隼士も拾ってあげる」と書いてあり、思わず「俺はついでか!」とツッコんでしまった。
しおりを挟む

処理中です...