事故の出会い

詩織

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高谷さんは、本社に戻って行った。

交際後の私達は特に変わらずで美味しい店に行ったり、あと少しお互いの家にお邪魔したりだった。

キスは何度かしたけどそれ以上は…

高谷さんは奈津乃と呼んでくれるようになったけど私は恥ずかしくって未だに高谷さん

本社に戻って半月。

本社に戻ってからはまだ会ってなかったが

「奈津乃、もしよかったら今度の週末うちに来ない?」

と言われて今東京に向かってる

泊まるってことだよね?

きっと、いや絶対…

今からドキドキする。

東京も久々だしな。

電車を降りると高谷さんが迎えに来てた。

「来てくれてありがとう」

サラッと荷物を持ってくれるのも、もう手慣れてるというか…


「うわー、凄い!」

連れてこられたのは、高層ビルからの夜景。

「奈津乃と一緒に見たくって」

キラキラしてさすが東京。

あっ…

手を繋いで

「一緒に見られてよかった」

夜景のキラキラと高谷さんの笑顔が印象的でドキドキする。

その後そのビルの中にあるレストランでご飯を食べて

「じゃ、帰ろっか」

高谷さんのマンションに向かった。

「陸人!」

このマンションだよって言ってくれたとき、女性の声が

「!?」

「陸人、もう!!つれないなー」

あっ…

「だから、より戻そうって話考えてくれた?」

元カノさん…

「昨日も言ったけど、その気はない。それに恋人いるから」

私をみると

「やだー、妹はさんかと思った。幼いから」

私をみて1言。

都会的な女性。高谷さんの横に合いそうだな。

「ホントに?その子と付き合ってるの?」

じっーと見られて、タジタジになって、ズルズルと後ろに下がる。

それをガシッと押さえられて

「俺の彼女にとやかく言う必要ないだろ!もう帰ってくれない?話は昨日で済んだよ?」

そう言うと

「わかったわよ!折角よりもどしてあげようとしたのに」

と言って居なくなった。

「ごめん、気分悪くさせちゃって、部屋入ろうか」

そのまま部屋に入るも

「奈津乃、何でも聞いて!答えるから」

こんな気持ちで高谷さんのマンションに入りたくなかったな。

「奈津乃?」

そんな、聞けないよ…

こんな私と付き合ってくれてるのに

「奈津乃?」

近くにきて

「…」

「ちゃんと言って!」

「…言うことなんか…」

「奈津乃!」

!?

「好きだよ」

初めて言われた気がする。好きって…

「俺が今好きなのは奈津乃だけ。それだけだから」

でも、今なんだよね?この先は…

そんなことは言えず、高谷さんの腕の中にいた。

「奈津乃…」

シャワーを浴びて、その後は一緒にベッドの中に。

高谷さんの目が凄い熱くって、今愛されてるのは私なんだっと思うと嬉しくって

「高谷さん…」

「陸人!」

え?

「陸人って呼んでよ」

「陸人…さん」

「陸人!!」

「陸人…」

そう言うと、キスが降ってきて

「もう少し思ったこと、我儘俺、言ってよ」

そう言って、その先は甘い時間を過ごした。


翌日は夕方に帰るのでそれまでは自宅でまったり過ごした。

「初めて奈津乃の料理食べた」

と言っても朝ご飯なんだけど。

ご飯、味噌汁、卵焼きに、サラダに、ほうれん草があったんでお浸し程度。

その後少し買い物をして自宅でDVDを観てそしたらあっという間に時間になってしまった。


「またな」

「はい」

あの女性とは…

と聞きたいけど

「俺は奈津乃が好きだから」

見透かしたように言われてドキドキする。

「…ありがとう」

その優しさが嬉しかった


その後は毎週でないけど、隔週くらいでお互いの家を行き来する仲になった。

『ホントに?その子と付き合ってるの?』

元カノの1言が今でも突き刺さる。

…地味…、なんだろうな。

元カノさんは、綺麗だったな。

私なんかよりいつ飽きられるか…



あっ、そういえば

従姉妹の早苗ちゃんに電話した


「もう、ずっとやりたかったのよね!」

とニコニコしてる従姉妹の早苗ちゃん

早苗ちゃんは、ファションモデルの事務所のアドバイザーの仕事をしていて、昔からフファッションセンスはいいし、オシャレに敏感。メイクも素敵。

前から私の改造したいと何度も言われてた。

「で、その元カノさんがメッチャ美人だったわけだ」

「…うん」

「奈津乃ちゃんの彼氏見せてよ」

と言われたのでスマホで撮った写真を見せると

「こりゃヤバい…、イケメンじゃない…、メッチャカッコイイ」

「…うん」

私もそう思う。

「じゃ、奈津乃ちゃんの改造計画スタート!!彼氏を驚かせよう」

と言って、まずは髪型から。

長い黒髪をバッサリショートに。

そして、ブラウンのカラーを入れてかなり明るくなった。

髪型だけでも随分変わるな。

それからメイクの仕方をバッチリ伝授された。

眉の細かい書き方からリップ1つの塗り方まで、本当に丁寧に教えてくれた。

そして服装も黒、紺、茶系から明るい色を進められて、進められた服を大量入荷。

本当に似合うのかな?

試着もしたけど、本当に似合うか自信がなかった。

これは、このスカートが合うから着てみてと言われて

言われたまま着ると

「やっぱ合うね!」

鏡を見ると、髪型もメイクも服装も自分じゃないみたい。

「改造計画はここまで!後は自分で磨くんだよ!今の奈津乃ちゃんめっちゃ素敵だよ!彼氏ビックリするよ」

そうかな?似合わなすぎて引かないかな?

と思ってしまった。

その週末は私が東京に行くことになっていた。

東京に行くのも4回目。

大きな駅だとまだ迷子になってしまう。

「奈津乃?ついた?」

「あ、うん。」

「いつもの改札口にいるよ」

改札口に向かうと、いつもの場所にいた。

「?」

気づいてない?

こっち見たよね?

もしかしてこのイメチェンで解らなかったとか? 

私は近くによって

「陸人さん?」

と声をかけて

「えっ!?」

見開いて

「奈津乃?」

「あっ、うん」

やっぱり変だった?

「あ、あの…」

「…いやー、びっくりした。」

と言ってまじまじ私をみる。

「髪型も化粧も服装もみんな変わってるからはじめ気づかなかった」

「あっ、うん。やっぱり変だった…かな」

「それって、俺のため?」

「え?」

「俺のためにイメチェンしようと思ったの?」

「あっ…」

そうだと言ったら引くかな。でも素直に

「…うん」

と答えると

周りに人がいるのに抱き締められて

「…ヤバい!嬉しすぎて胸いっぱい」

「えっ?」

「誰にも見せたくない、奈津乃のこと。もうこのまま連れて帰りたい」

そのまま陸人さんのマンションに行った。

後頭部押さえられて

「奈津乃…」

色っぽい声でキスされて

「俺のために綺麗に変身した奈津乃見て興奮しないわけないだろ!」

そう言いながら、壁ドンされながらキスが深くなる。

もうされるがままで、でも求めてくれるのが嬉しくって、私も必死にこたえた。

気がつくとお互い裸でベッドの上で

「ごめん、ちょっとがっつきすぎた」

隣をみると陸人さんが謝って

「…もし、喜んでくれたなら嬉しい」

「ほんと、奈津乃は…」

チュッとキスをして

「最高!」

あー、幸せをだな。


翌日朝ご飯を食べたあと

「あー、何にもないわ!後で買い物行かないと」

「うん。」

二人でスーパーで買い物なんて嬉しいな。

昼間にマンションを出たとき

「あー、陸人!今の行こうとしたのよ!えっ?また新しい彼女?前の地味な子は?」

私は後ずさりして下を向いた。

元カノだ!

「もう来るな!って言ったよな?」

「えー!どうせ、一時的なものでしょ?どうせ私の所に戻ってくるし」

えっ!?

「なに勘違いしてるかわからないが、もう過去のことだ。帰ってくれ」

「3年も片思いしてた陸人がやっと付き合えて、それですぐ他の子に気持ちが行くとは思えないんだけどなー」

な、なに?

「新しい彼女さん、振られる前に去ったほうがいいわよ!」

「おい!!」

「じゃ、また来るわ!」

そう言って元カノさんはいなくなった。

3年も片思い…

「…」

私の知らない陸人さん。彼女のことずっと好きだったんだ。

「ちょっといいかな」

2人で歩いて小さな公園についた。

「…あいつの言ったことだけど、転勤前につきあってた。」

「…うん」

「俺はずっと3年間片思いしてて、やっと付き合えるようになって半年たった頃、転勤の話が出て、半年くらいの転勤だからって言ったんだが、それでも離れるなら別れるって言われて、まぁ振られたわけ」

「…うん」

「こっちに戻ってきたら、あいつもちょうど男と別れたみたいでより戻そうて」

「…うん」

「俺は彼女がいるって断ってるんだが、私のこと忘れられること簡単にできるのか?って…、まぁとんだ自信過剰だよな」

アハハって笑ってる。

もしかして

「今でも…好きなの?」

「え?」

「今でも好き?」

「…」

そっか…

「それならちゃんと話したほうがいいよ。私と付き合ってるなんてダメだよ」

「奈津乃?」

「絶対離しちゃダメだよ!」

「私…凄い幸せ。陸人さんにこんなに愛されて幸せだった。だから大丈夫、ありがとう」

「な、奈津乃!」

私は走って公園を出た。

後ろからすぐ走ってくる陸人さん、すぐ追いつくと思ったけどその前に車が通った。

目の前に止まってたタクシーに乗ります!と言って乗った。

すぐ発車してもらって、駅を目指してそのまま家に帰った。

家に着いた途端一気に涙が出てきて、ただひたすら泣いた。

昨日の夜はあんなに愛してくれてたのに、それは幻だったんだ。

あっ!ちょっと買い物のつもりで出ただけだったから着替えの荷物はマンションに置きっぱなしだ。

スマホも怖くって電源つけられない。

でも、これであの彼女とうまくいくなら…

陸人さんが本当に好きな人のところに行けばいいんだ。

ちょっと幸せな夢をみたと思うことにしよう。


その後3日間はスマホの電源をつけられないでいた。

やっと電源をつけたとき、大量のメールがきた。

怖くって読めない。

読むこと出来ず、でも気になりながら仕事をした。


あっ…

お隣さん、新しい車が止まってた。

陸人さんが居なくなったことで少しの間はあいてたけど。

思えばこの駐車場で、全てが始まったんだった。

そう思いながら家に向かおうとすると

「え?」

「奈津乃」

平日のど真ん中なのに…

「陸人さん、仕事は?」

「今日午後休とって明日は休みとった」

!?

「話したいことある」

別れ話…

そうだね。あれじゃ中途半端たし、しっかり別れないと

「…うん」

家に入れようか迷ったけど、まだ寒いし、家の中で話すことにした。

「ごめん」

入ってすぐ謝られた。

あっ…

泣きそう。

「確かに好きな気持ちはあったと思う。長い間好きだったから。」

「…うん」

顔を見れず下を向いて話を聞いてる。

顔見たら泣きそう。

「ちゃんと話してきた。それであいつにしっかり別れる言葉俺言ってなかったんで言ってきた。」

「えっ?」

「きっと、しっかりと区切りつけてなかったからなのかな。今はスッキリしてる」

「…陸人さん?」

私は恐る恐る顔を上げ

「別れ話じゃ…」

「何でそうなる?だから逃げたし電話もチャットも通じなかったのか!心配するだろ!事故でもあったのかって」

「あ、あの…」


「高見奈津乃さん」

!?

「俺と生涯を共にしてくれませんか?」

え?なに?

それって…

「結婚して下さい」

「…」

「ここ数日通じないでずっと心配させたんだからバツとし拒否権はないよ」

「えっ?だって…」

「もう奈津乃以外考えられない」

「陸人さん…」

「愛してる」

涙が止まらない。

「嫌な涙?出来れば嬉し涙のが嬉しいけど…」

胸がいっぱい

「…奈津乃?」

私は陸人さんに抱きついた。

「もう、離さないで」




「一生離す気はないよ」
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