尻軽女

詩織

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はぁー、またか...

「ミキちゃんは、可愛いねー」

我慢我慢!!

今思いっきりおっさんに尻を触られてる。

酒井鳴海さかいなるみ、27歳。普段はシステム会社の事務をしている。

そして今、私は副業で夜はキャバクラの仕事をしてミキという名前で呼ばれている。

このおっさんは、よく指名してくれて尻を触る。

このくらいは日常茶飯事だ。

「今度さ、2人でどよ?」

「えー?どうしようかなぁー」

絶対無理!!とは言えないのでこんな曖昧にしている。

私にはどうしてもお金が欲しい!だから、クビになるわけにいかない。



夜の仕事が終わり、マンションに帰ると弟妹は寝てる。

母は15年前に事故でなくなった。そして父が育ててくれた...はずだった。だが5年前に急に行方不明に。どうやら会社の若い娘と蒸発した情報が高く、仮に見つかったとしてももう戻ってきてほしくなかった。

だから私が弟と妹の学費を稼ごうと頑張っている。

弟は大智だいち、大学2年生。妹は奈央なお、高校2年生。2人ともバイトしてくれたり助けてくれてくれてる。

それでも奈央も大学行かせたいし、色々考えるとお金が必要だ。



「酒井さん、山下やました本部長がお呼びですよ」

「えっ!?あっはい」

朝出勤し、突然先輩に言われた。

本部長って...

この会社はそこまで大きくはない。100人ちょっとの規模の会社だ。それは社長がまだ40代で会社が出来てまだ7年くらい。高校を卒業し衣料メーカーの会社に就職していたが、残業代が付かないなどのブラックで退職し、この会社に4年前に転職した。その時はまだ30人くらいの規模の会社だった。

「失礼します」

ドアを叩き、そう言って本部長の部屋に入る。

山下本部長は社長を含め8人で会社を起業したメンバーの1人。

「酒井さん、これを見てほしいんだが」

と言って山下本部長のスマホをみると

「!?」

頭が真っ白になった。

「君は、副業でこの店に働いてるようだね?」

キャバクラで働いてる写真。しかも胸を揉まれている最悪な...

「何をしてるんだね?」

「あ、あ、」

頭が真っ白で言葉が出ない。

「この店では、君は触られ放題らしいな」

「こ、これをどこで?」

「あまりこういう店は好きでないのだが、元同僚が好きなやついてねー、一度付き合ってくれ!と頼まれて行ったら見覚えのある人が居たので写真を撮ったんだが」

「...」

ク、クビ...だ

「申し訳ありません」

「我が社では副業をするな!とはルールは決めてないが、社会人になればその辺のことは解ると思ってるのだが」

「は、はい」

「君は...こういうことが好きなのか?」

「...えっ?」

「だったら、うちで働かなくてもいいんじゃないか?」

「い、いえ、そういう訳では」

「だったら、何故働いてる?」

「...お金が」

「金...か」

そう言って私を見下すように見る。

「金の為ならってことか」

「...」

「...なら、今日の夜19時、Aホテルの2階のBARに来い!」

えっ?

「以上だ!戻っていい」

「は、はい」

その時はそれで終えたが、クビじゃない?のか?なんなんだ?という疑問が残った。


そしてその夜、断ることの出来なかった約束の時間に行き、先に山下本部長は居た。

隣に座り

「率直に言おう。君に愛人になってもらいたい」

「え?」

「金はこの店と同等。もしくはそれ以上くらいということでどうだ?」

「あ、あの...」

「俺は恋愛ってのが面倒なんだ。だから女は割り切ったものでいいと思ってる。週2くらいでいい。時間は数時間。ここで仕事するよりも短い時間で手短に稼げる」

「...」

何も言えず言葉が出ない。なんていう提案なんだ。

「金が欲しくないのか?」

「!?」

「もし、条件飲んでくれたら会社には夜働いてたことを黙っとこう」

お、脅し!?

やな性格!

頭の中が沸騰するも仕事がクビにならないこと、短時間で稼げることを考えてしまった。

奈央は、美術のセンスがあって多分だが美大に行きたいのでは?と思っている。だけどこんな状況だから言えないんだろう。二人とも私には負荷かけたくないといってる。

大智もギリギリまで就職するって言い張ってたし、大学に行かせるまでに説得するのに凄い時間がかかった。

奈央のためにも...

「わ、わかりました」

「やっぱり、君は金なんだな」

鼻で笑われ

「あと、夜の仕事はやめて欲しい。それだけの金は出すし他の男が触った後に触るのはさすがに引くからな」

「はい」

男と寝てるまで思われてるんだろうか?どっちにしても今からそれをするので何も言えないが

その後、という上の階の部屋に行き

「金出すんだから、もう少し気持ちいい顔しろよ!いつもの事だろ?」

そう言われながらその日はベットを共にした。

出ていくとき、テーブルの上のお金を取り、そして連絡先を交換して部屋を出た。

「うううっ」

泣くな!泣いても仕方ない!私が二人を育てるって決めてんだ!何があっても不自由させない!


その後キャバクラは辞め、山下本部長が連絡があれば指定のホテルに行く。大智達には夜のバイトはしてると言ってたのでそれ以外はネットカフェに篭り、手に職を持たないとと思い、システムの勉強をするようになった。

プログラムってこんなむずいのか。よく皆やってるよな。

システム部で同期の鳥川とりかわさんに、おすすめのサイトや本などを借り、個室で勉強に励んでる。

私が中途なので歳は4歳離れてるが、姉のように慕ってくれる。

見た目はフワフワしてかわいいこなのに、芯はしっかりしてる。

私がシステムの勉強したいと聞いたとき驚いてたが、興味があるならやったほうがいいとチャットでプログラムを組むコツなんかも送ってくれる。

少しでも手に職をつけて、給料を上げて今のこの状況を...


『21時、いつもの部屋で』 

山下本部長からはこんな連絡のみ。私はそれでも行くしかない。

「まぁ、君みたいな人なら男を喜ばせるテクとかあるだろう?見た目はそこまで派手じゃないが、そういうのは派手なんだな」

なんて言われてる。

「俺とはそこまでする気はないのか?男を喜ばせろよ!」

と無理やりむせ返ることをさせたりと苦痛になってきてる。

それでも私は...

歯を食いしばり、お金だけを求めた。



「奈央、大学に行きなさい」

「えっ?私就職希望出したよ」

また大智と同じことを...

「お金はなんとかしてるから」

「お兄ちゃんのだって出してるのに、どうやってそこまで稼げるのよ!大嫌いな接客...しかもキャバクラまでやってるのに、そんなのしこまでしてまで私進学できないよ!」

「大丈夫よ」

「奨学金...どうしても行きたいなら奨学金考えるなら、お姉ちゃんは気にしないで」

ふたりともほんと同じこと言うんだから

「私はね、2人がやりたいことをさせたいの!私のことは気にしないで。好きなようにやりなさい」

「...」






あまり上手くないな。それでよく客が取れてるな

俺は山下尚理なおみち、36歳。独身。

大学卒業後はシステム会社に入社。そこで上司だった村上むらかみさんに気に入ってもらい、村上さんが独立の時に付いて行って今の会社で本部長となっている。

村上さんが社長となり、村上さんの同期だった人たちが専務、常務となり会社は成長し続けていた。

「おまえ、そういうの昔からのかわらんな」

村上さん...、村上社長と飲みに行った時言われたこと。

俺は女性に執着がない。女は割り切った関係くらいでいいと思っている。めんどくさいというのが大きな理由だ。こうなったのには色々あるが女は面倒くさいという結果になった。

そんな時に出会ったのがうちの会社の総務の女だ。確か中途だった気が...

友人に無理やり連れて行かされたキャバクラでその女は、尻や胸を揉まれている。

「ふーん」

身体まで売ってるってことか。

俺は次の女をその女に絞った。社内はやばいと思ったが、まぁこういう女はすぐ辞めるだろう。

そして金をちらつかせると了承し、やっぱりそういう女なんだなと。ただあまり上手くない。よく客がとれるなっと思ってしまう。

その関係が4ヶ月続いた頃。

「いつも頑張ってますね」

俺はシステム部で気になった子に声をかけた。決して変な意味じゃない。若いのにグングンと才能を発揮し優秀って意味だ。

「あっ、本部長!お疲れ様です!」

名前は鳥川菜々香とりかわななか、23か24くらいのはず。彼女の成長はすざましいものがあった。

「仕事が楽しくって!色々出来ると達成感があって嬉しいんです」
 
嬉しそうに言う彼女。

「そうか。それはいいことだ」

「それに、人に教えてたりもしててそれがまた勉強になって」

「あー、後輩に?それも自分にはプラスになるね」

「勿論それもあるのですが、あまり経験のない人なんのですが興味を持ってその人に教えてるのが、凄い勉強になるんです。その人が解ると教えてよかったなって」

「へぇー」

彼女は色々ステップアップしてるようだな。次の新年年度の時ちょっと考えてみるか。

「あっ、酒井さんから連絡きたー」

少し小声で言ったが聞こえていた。

「えっ?酒井さん?」

「あっ、本部長だからご存知ですよね?総務の酒井さんです。同期で仲良くしてて彼女に教えてるんです」

「あっ、そうなんだ」

「凄い飲み込みよくって、なんで初めからこういう仕事しなかったんだろう?って思うくらいです」

「そーなんだ」

意外なところから名前が

「酒井さん、本当に苦労されてるんですよね。こんなことで役に立てるならって」

「えっ?苦労?お金が欲しい苦労とか?」

と、葉っぱをかけると

「そうなんです!ご存知かもしれませんが、酒井さんが弟さんと妹さんの面倒みてて、弟さんの大学の費用とか今度は妹さんも大学に行かせたいって」

「!?」

「ご両親いないの?」

「あっ、ご存知なかったんですね。じゃ余計なことを...、ええ、お母さんはだいぶ前に亡くなったとかで」

「お父さんは?」

「えっと...」

なんだ?言えないことなのか?

「まぁ、色々あるよな。すまんちょっと気になったんで」

とそこまでにして話は終わらせた。

総務で家族構成をみたが、同居人は父、弟、妹と書いてある。これは入社時だからそれ以降変わったということか。

「もしもし、ちょっと頼みたいんだが」

俺はあるところに電話をした。


それから数日後

「...」

「ひでぇー親父だな。」

と、目の前の友人はいう。

俺は数日前に電話した友人、大学の友人だが。そいつに依頼をした。そいつは私立探偵をしてたのですぐに調べてくれた。

「確定ではないが、会社の若い娘と蒸発してる。母親の保険金はそこまで手をつけてなかったらしいが、その金も全部持ち逃げして子供3人残して行方不明になってるわ!」

「!?」

「残された3人、長女?この人はお前の会社の子か。そして弟はまだ高校生、妹は中学生だった。この長女が必死に育ててるみたいだな。以前は副業でスナックとかキャバクラをしてたみたいだが、今は他に収入でもあるんかな?ネットでも稼げることできるしな」

「...」

俺は...間違ってたのか?

てっきり欲の為の金の欲しさだと思ってた。

だが、身体を...、あんなに慣れてないのに本当に身体まで売ってたのか?俺はまた勘違いしてないか?

「社員の副業の調査か?まぁこういう問題はきりないしな。今はネットで稼いでる人も多い。だから副業ってバレずらいしな。この長女もネットカフェに定期的に最近は行ってるぽい。そこで稼いでるのかもな。たまにホテルにも行ってるようだがもしかしたら男とあってる?のかもだが、そこまでは依頼されてなかったんで調べてないが」

それ以上調べたら俺が出る!調べ過ぎてる!!

「いやいい。あくまで社内での調査だから」 

「まぁ、そう思ったんでそこまでにしといたよ」


歯を食いしばってる感じがしたのは、もしかして...

俺との関係をすれば夜の仕事は会社には言わないと言った。だがそれは、そんなことを仮に言わなくってもこの女なら...と思った。

もし仮にそれを信じてたとしてら、俺は脅してたということになるのか。

勿論客と身体の関係がなかったとは言い切れない。だが...、もし、もし仮に





鳥川さんのお陰でホームページが作成出来るくらいまでになった。少し前ならこんなの全く興味なかったし、できっこないと思ってたのに。

でもこの年で未経験だしなー、やっぱり今からじゃ無理かな?と考えていた。

でも少しでも手に職をつけてお金にプラスになりたいし、それに会社を辞めればこの関係もなくなるし...

既に会社を辞めることを考えていた。ただし今よりも給料がよくてあとは...、やっぱり掛け持ちのバイトはいないとな。前みたいに触られ放題のキャバクラはもう勘弁。


いつものように呼出され、身体の関係を要求される。

あれ?今日は無理やり口でとか言わなかった。それは助かるが、やっぱり苦痛でしかない。気持ちいい顔しろ!って言うけど、できるわけない!私はギュッと目を瞑って終わるときを待った。


「あっ」

やばい!いつもは終わったら服を着てテーブルにあるお金を取り部屋に出るのに一瞬寝てしまった。

急いでベットから出ようとすると

「どこで悩んでるんだ?」

「えっ?」

「だから、どこで悩んでるんだ?」

手元にはプログラムの本があった。

それって、バッグ入れたやつ。

「どこだ!?」

と強い口調で言うので

「あっあの、ここです」

と素直に言ってしまった。

「あー、ここははじめは誰でも悩むところだ」

と言ってペンをだして、考え方の構図を神に書き出した。

「こう考えれば、別々と思うだろう?そのほうが理解が早い」

「あっ」

そうか。なるほど

「あ、ありがとうございます」

「他には?」

「えっ?」

「他にはないのか?」

「いや、えっと、まだ勉強しはじめで最近ホームページくらいは作れるようになったのですが、本来どれをやるのが今後いいのかと」

「え?ホームページを?」

「あっはい、これをみて作れるようになったのですが」

と、小さなノートパソコンをだしてそれを見せると

「これを...、独学で作ったのか?」

「あっはい。色々本を見たり同期に聞いたりですが」

「そうか」

て、色々いいずきた?

「あっ!調子にのってしまってすいません」

「いや、気にするな」

「これからは遠慮せず聞け」

そう言ってその後は話すことなく私は部屋を出た。

今までベットの上で嫌味くらいしか言わなかったのに、どうしたんだろ?と思ったが、それ以降から本部長は変わった。

「だから、そうじゃない!」

部屋に入ってシャワーを.浴びてすることはして部屋を出る。そんな流れだったのに今は部屋に入るなり、わからないことはあるか?って聞かれる。そして質問をすると答えてくれた。

「まずは、ここからこのまでは一つの処理なんだ。ここは別々に考えたらうまくいかない!もう少し考えてないといけない」

「はい」

「例えばだが、こうして、こっからを別で呼び出すんだ!そうするとだな」

とてもわかり易い!ってか、どうしてこうなったんだ?

「ここまで出来れば、ある程度のものは作れる」

「あ、ありがとう御座います」

そしていつもの帰る時間になると、お金を置く

「えっ?」 

「今日はもういい」

「ちょ、ちょっとまってください!受け取れません!教えて頂いただけなのに」

「金が欲しいんだろ?」

そうだけど

「で、でも逆にお金を出す側です。これは受け取れません!」

私はお金に触らず帰り支度をする。

「おい!」

「で、では、失礼します」

そして、それから連絡がなくなった。



もう飽きたんだろうな。

バイト見つけないと!

私はネットで夜のバイトを探し始めた。

来月になったら奈央は3年生になる。そしたら進学希望にさせたい。

今日大智は、バイトで遅くなるって言ってたな。奈央は練習試合で帰り遅くなるって言ってたけ?

マンション戻ったら誰もいなかったので改めて思い出した。

いつも奈央が夕飯作ってくれてるもんな。あの子も本当は他のことしたいはずなのに

と、考えてたら

「あ、あれ?」

なんか目が周るな。疲れてるのかな?




「...ちゃん!お姉ちゃん!!」

「えっ?」

「あ、気が付きました」

「おい!大丈夫か!?」

「はぁ!?」

なんで奈央と本部長が?しかもここうちだよね?

「とりあえず、病院に連れて行こう!熱はまだ下がってないし」

「すいません。」

「君も来るか?」

「もう少ししたら、お兄ちゃんが帰ってくるのでお兄ちゃんと行きたいので、すいませんがお任せしていいですか?病院わかったら連絡ください!あっ、私の連絡先は」

と、連絡先を交換してる奈央と本部長。

「えっ?」

私は本部長にお姫様抱っこされ

「お願いします」

「こっちのことは心配しなくていい」

と言って私は本部長に抱っこされながら部屋を出た。

「あ、あの」

というと

「頑張りすきだ!」

と言われ車に乗せられた。

「まだ熱は下がってない。そこでゆっくり寝てろ!」

ど、ど、どうなってるの!?



「軽い肺炎を起こしてます。こちらに数日入院して頂くことになります」

「...わかりました」

「ではご主人様、手続きありますのでこちらに」

「あ、いや、あの」

「わかりました」

って、なに了承してるのよ!

「あ、あの、先生違うんです。この方はそういうでなく」

「あ、恋人ですか?失礼しました。」

そうじゃない!!

そ、その後なぜか本部長が入院の手続きをはじめた。しはらくして奈央と大智がきて

「姉ちゃん、いつ倒れるかって心配だったんだよ!ったく、もう少し自分の身体いたわれよ!」

「あっ、うん、ごめん」

「えっと、はじめまして!俺弟の大智です。姉がお世話になっています」

「あっ、いや、こちらこそ」

「でも、ずっと働きづめだったからさ、彼氏がいるなんて驚いてるよ!」

と、奈央が言う。

「ちょ、ちょっと奈央あんた」

「俺達だってな、俺等の心配も嬉しいが自分の幸せも考えて欲しかったんだよ!奈央も大学行くなら奨学金って言い切ってるし、俺のときも断固として反対されたからな。俺が就職したらその奨学金の援助もするし、だからもう少し姉ちゃんも自分だけに追い込むなよ」

「あ、あのね、そんなこと...ケホッ、ケホッ」

頭がまわる。

「ごめん、あとでそれは話そう。今はゆっくり休んで」

奈央が言いその話は終わった。

本部長は帰り、私が彼氏じゃないと言っても奈央、大智は信じてくれず

「そうじゃなきゃ、来てくれないじゃん!」

「あっ、そうだ!なんで本部長がいるのよ!」

と聞くと、私が倒れてるのを見て奈央はパニックになり、そんな時に私のスマホが鳴り、それが本部長からだったようで。奈央は姉が倒れてると言ったので来てくれたということだった。

びっくりと同時に電話なんか来たことないのに何の用だったんだろ?と思ってしまう。

とりあえずは、休め!寝ろ!の連呼なので私は病室で静かに休んだ。

それから1週間で退院し、自宅で更に1週間静養した。

入院中は、奈央と大智交互に来てくれた。本部長はあれから来てないが、逆に手続きとかしてもらって悪いことしたなっとは思う。私の中でお金のために抱かれてた関係から少しだけ人間味のある感情が出ていた。

だからと言って、人として好きになる相手ではないが。

だけど、それを了承したのも私。本部長だけ恨んでも仕方ない。



「長らくすいませんでした。」

久々に出社し、皆さんに頭を下げる。

「無理しないでね」

と暖かく声をかけてくれた。

そしてすぐに部長からの呼び出しが来たのでクビ?と思ってしまってる。

「実はね、来月の新年度から酒井さんをシステム部に異動することになってね」

「えっ?」

「独学で勉強してそれを見みてる人も居て評価が高いらしく、ぜひシステム部にって話になってるんだ」

あまりにも異例な異動に驚いてる。

辞令にはなってるんで、決定事項?なんだろう。

「不満とかあるかね?」

「いえ、とんでもない!素人レベルのものを評価して頂いてることに驚いてます」

というと、部長は笑顔になって

「社長もこんな人材がいたなら早く異動させればよかったと言ってたよ!新しい部署で頑張ってね!」

「はい!」

技術職ができる事に嬉しさを感じ、でもそれってやっぱり鳥川さん?もしかして...と考えてしまった。



「こんな感じで独学で勉強しているようです」

と会議で彼女のホームページを見せた

「独学でここまでとは」

「確かに質問したりする人はいたようですがそれでも初心者がここまで1人ではなかなかかと」

「そう..だな」

社長はそういい

「それにしても、山下がこんなことするなんて意外だな」

と興味がある顔をされた。他の立ち上げメンバーの元同僚の先輩たちも

「その辺関与したくない奴なのにな」

「...」

「まぁでも会社の戦力になるのは確かだ!総務部の人員を確認し問題なければ酒井鳴海をシステム部に異動させよう」

「はい!ありがとうございます」

俺はきっと大きな勘違いをしてる。彼女は家族のために必死で働いてたんだ。決して自分の欲望のためじゃない。

彼女が入院したとき、兄妹が言ってるのをみて確信した。

俺は彼女を脅し、身体を買った。しかも恐喝してだ。

俺ができる最大限のことをしたい!

そう思い、会議で彼女の話をした。

会議後

「おい、山下!」

社長に声をかけられた

「酒井さんとは...」

と言って俺の顔をみた。

「うちの会社の人間だ。もしいつもの調子なら容赦しないからな」

そう言って社長は戻って行った。

何でそんなこと言うんだ?俺には理解が出来たかった。

新年度になり、彼女はうちの部署にきた。彼女は必死で食らいつこうとしてる。そんな姿が可愛らしくも見えた。

彼女が退院してから呼び出してない。そろそろ身体もなおり、このままだとバイト?を始めるかもしれない。また夜のバイトなんかやられたらたまったもんじゃない。

だから俺は





今までと違う仕事に刺激を感じ、毎日ワクワクする。まさか鳥川さんと同じ部署&同じチームで仕事できるとはなー

日々やりがいを感じる。

給料は以前よりよくなったけど、やっぱりバイトはしないとな。というのも退院後、本部長からもう連絡はなくなってる。

入院で迷惑もかけたし、いいタイミングで終わったのかもしれない。ってかそのほうがいい。

あんな関係お金のためとはいえ...、しかも拒否したら会社に連絡するって言われたもんな。あの時はもう無我夢中だった。

「酒井さーん!ランチ行きましょう!」

鳥川さんがいつも声をかけてくれて、一緒に行動することが多い。鳥川さんの実力はここにきて実感した。 それでもいつも私を気にかけてくれて本当嬉しいな。

2人でランチした帰り

『いつものところで20時』

「...」

同じ部署といっても、本部長室があるからフロアは違うけど、それでも続ける気なんだろうか?私はもう続けることが出来ないことを話そうと思った。もし仮に前みたいに会社に言うって言われたら?でもなんかそんな人でない気がしてる。もしそうなったとしてもこういう関係になったんだもん。全部話すと言うつもり。


このホテルに来るのも久しぶりだな。前は週2くらいで通ってたのにな。

ノックをするとドアが開く。本部長がいて私は何も言わず部屋に入った。

「本部長!あの」

「まずは俺から話したい」

部屋に入ってすぐ言われ言葉が止まった。

「俺は君を勘違いしてた。申し訳ない」

ぞう言って頭を下げる

「な、な?」

「俺は君に対して尻軽女と思ってた。あの店で触られ放題、そして金の為ならって寝る女だと」

「えっ?」

寝る女!?

いやまぁ、本部長とはそうなってるから否定は出来ないけど

「だから俺は君を金で抱いた。俺にとっては後腐れないし都合がいいから」

それは前にも聞いてるから理解はしてるけど、そこまで思われてたのかと言葉が出なかった。

「君は自分の欲望で金が欲しいんでなく、家族のために必死で働いてたんだ。申し訳ない」

「...」

「で、こんなことしても許されることではないと思うけど受け取ってほしい」

目の前に手紙のサイズの茶封筒を渡された。

開けてみると

「!?」

ま、ま、まって!!

「こ、これは、こんな額頂けません」

小切手が入っていて、とんでもない金額が書かれてる。

「まずは、謝罪...、慰謝料として。そして...君が今後副業しないための...だ。夜のバイトをまた再開してうちの仕事が影響出ないとは言い切れない!だからそのための金だ」

「も、もしそうだとしても、こんな大金頂けません!」

「妹さん...、大学に行かせたいんだろ?」

「そ、そうですけど、でも」

「なら、受け取れ!」

「それは駄目です」

流石に頂けない。最近妹は本当の気持ちを言うようになった。やっぱり美大に行きたいらしい。本人は奨学金で行くと言い張ってる。大智のときもそうだった。けど今回は大智と奈央と2人で奨学金と言い張ってて最近押しに負けてしまった。

とはいえ、やっぱり少しでも足しになればと考えていた。そしてまた夜のバイトでもっと思ってたところだった。

本部長には受け取れないことをハッキリ言った。本部長も困り

「では、こういうのはどうだ?俺の金を奨学金だと思え!そして返せる時に返して欲しい」

「え?」

「妹さんも弟さんも君のことを心配してる。君が無理してまた入院でもしたらあの2人はどうなるんだ?」

「...」

「2人に心配かけないよう身体を大事にしてほしい」

「それでもこんな大金」

「じゃ、もう一つ条件つけていいか?」

「えっ?」

「...君を...手放したくない」

それは...

「あ、あの、それは、今まで通りの関係をってことですか?」

「ち、ちがう!」

少し大声になったのでビクッとした。

「好き...なんだ」

えっ!?

「だって本部長は」

「も、勿論断って貰っても結構だ!でも断ったからと言ってそれは返さないでいい」

告白...だよね?まさかの展開についていけない。

「私とはそんな関係をしてたから、本部長のことはそういう風にはみれません。」

「そう、だよな」

「私、本部長のことはいいイメージはありません。身体だけの関係を要求されたし、でもそれは私も了承したので私にも問題はあります。」

「...ああ」

「でも、私をシステム部に入れて頂いたのは本部長なんですよね?ご期待に添えるように頑張ります」
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