現在の政略結婚

詩織

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好きでもないし嫌いでもない

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「梨衣子、合コンいかない?」

「えっ!?」

昼休み、同僚から声がかかった。

仮にも戸籍上では既婚者だしな…、出ていいのかどうか…

でも、類さんは恋人いるみたいだしな。

どうしたらいいもんか…

もし合コンでいい人いて、付き合うことになっとして、今の状況を説明するってかなり大変だ。

「あ、ごめん、ちとパス」

「えっー?なんで?恋人でもできた?」

「そうじゃないんだけど、今は気分がちょっと…」

と、曖昧に答えて断った。

私が恋人作りたくなったら、世間からは不倫になるのか。

それもどうなんだか…

類さんはいるし、私だって作ってもかまわないと思うが、相手に説明しずらい。



「どお?元気にしてる?」

母から久々に電話がきた。

結婚してとりあえず4ヶ月。

世間からしたら新婚さんだけど

「まー、とりあえず」

「何か辛いことない?」

辛いことか…

うーん、凄い辛いのはないけど。

「類さんとはどお?うまくいってる?」

「うーん」

1番答えるのが難しい。

正直、好きでも嫌いでもない。

素直に

「よくわからない」

と、答えた。



数日後、買い物に隣の駅のショッピングモールに出掛けた。

今日はバーゲンだし買いたい服いっぱい買おうと意気込んでた。

ネットでみたお気に入りを2点ほど買えて、テンションが高いとき

目の前に類さんと女性が腕を組んでいた。

類さんも気づいたようで、私を見ていたが、恋人と一緒のようだしどうしよう…

類さんと彼女を見たのは既に4回目。ただ、今までは遠くでみたり、気づかれないことが多かった。

彼女はそのことに気づいてないようなので、私は反対を向いて歩いて行った。

こういうときは、知らないふりが1番よね。

類さんとここであったことは忘れよう。あとほしいの2点ほどかったら、ここ出ればいいんだし…



買い物を終えて、両手でいっぱいになった荷物をもって、自宅に帰宅した。

あっ、まだ帰ってないみたい。

まぁ、明日は日曜だしお泊りもあるかもしれないか…

そういえば、たまに帰ってこないときもあったから、泊まってたのかれないな。

と思いながら、買ったものを紙袋からだして整理してた。

夜の23時前に玄関の音が聞こえたので帰ってきたみたい。

私は自室でテレビ見てたのでその程度にしか思わなかった。


翌朝、前日に買ってきたパンと卵、ソーセージなどを取り出し朝食を作ろうとしていた。

その時、リビングのドアの空いた音がしたので振り返ると類さんがいて

「あっ、おはようございます」

「…あ、おはよう」

まだ寝起きのようでぼーとしている感じだった。

私がフライパンを持っているのをみて

「あ、朝ごはん?」

「はい。簡単なものですけど」

「…そっか」

と、じっと見ていたので

「あ、あの、もしよかったら、一緒に作ってもいいですか?」

「え?」

「いや、ご迷惑でなければ」

「あ、いいの?」

「でも、凄い簡単なものですよ」

「あ、いや、ありがとう。じゃよろしくお願いします」

類さんは、リビングのソファに座ってテレビを見出した。

本来ありえないことだけど、類さんがリビングのソファで座ってるのみたの初めてだった。

本当に簡単なものなので、パンとスクランブルエッグとソーセージとハム入のサラダと、コンソメスープ、珈琲で

「出来ました。と言っても本当に簡単ですが」

「お、ありがとう」

嬉しそうか顔をしてテーブルに来てくれた。

二人でテーブルを使うのは二回目だ。

「うまそう」

「いやいや、本当に簡単ですが」

「頂きます」

類さんは、嬉しそうに食べてくれた。

「そういえば、以前もご飯食べさせてもらってお礼するって言ってまだだったね」

「あー、気にしないでください。私が食べたかったついでみたいな感じでしたから」

少し類さんは考えて

「梨衣子ちゃん、今日予定空いてる?」

と聞かれたので

「特に予定は…」

本屋さん行こうかなーくらいな程度だったからな。

「じゃ、俺とデートでもどお?」

「うっ、ゲホッゲホッ」

突然言い出すから詰まってしまった。

急いで、オレンジじゅーで飲み込む

「大丈夫?」

「急に言うからビックリしましたよ」

というと、笑顔で

「あ、ごめんごめん」

「あっ、でも私なんかとデートしたら恋人に申し訳ないです」

と言うと、

「あっ」

昨日のを思い出したのか…

「あ、いや大丈夫!」

大丈夫!って何が大丈夫なんだろ?

ちょっと、気にはなったが、お昼前から出かけることになった。
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