幸福を運ぶ女

詩織

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目が覚めた。

ぼーっとして信哉の部屋だと、少しして思い出した。

時間は...、夜中の5時すぎか。

まぁ家には今日友人の家に泊まるって言ってあるからいっか。

始発の電車も出てるし、帰ろうと服をかき集めた。

服を着て、そっと出ようとしたとき

「舞子なにシャワー?」

半分寝ぼけて、信哉の声が聞こえた。

しばらくして服を着てる私にビックリしてる。

「えっ、朝早くない?帰るの?」

「うん」

「舞子?」

「信哉、別れよう」

「え?」

「信哉の目標は達成されたから、終わろう」

「な、なにを」

「細田との会話聞いてたの。私」

目を大きく見開いた。

「信哉も同じだったのね。他の人と」

「そ、それ知っててなんでしたんだ?」

「なんでだろ?わからない」

私は苦笑した。

「今回ほど幸福を運ぶ女って願ったことはないよ。全てがうまくいきますように」

そしてバッグを持って玄関に向かった。

信哉は裸で追いかけてくる。

「ま、舞子」

「信哉、さよなら」

腕は掴まれたが、力強く振り払い私は玄関を開け出て行った。

これでよかったんだ。

私っておめでたい女だな。

馬鹿な女過ぎて泣くこともできない。

でも、恋させてくれてありがとう。








「お父さんの会社は急に大量の発注依頼が来たとかで起動に乗り始めたみたい」

「そう」

「妹さんは今まで歩けなかったのに、歩行器使って歩けるようになったとかで担当医もびっくりしてる」

「そっか、よかった」

「営業成績が低迷してたけど、先輩や後輩の手伝ってた仕事も結果になったとかで成績が上位になったみたいよ。それで昇格試験の話も来たとか」

「そう」

「資格の試験もしてるようだけど、そこはまぁわからないな」

「まぁそこは本人次第だよね」



「あんた、なにやってるのよ!」

「何が?」

樹理に怒られてる。

「解っててして、あんた馬鹿?」

「は~い、馬鹿で~す!」

笑って答えた。

「お人よしにもほどがあるわ」

呆れられてる。


「ああ、そだ樹理。私さ」

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