大好きな背中

詩織

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一緒にいたい

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「へ?」

翌日、みどりに話したら間抜けな声が出た。

「こんなことって…」

みどりもビックリして声が出ない。

まさか悠人とまたこんなことになるなんて、やっぱりみどりも信じられないでいる。

「あんたたち、運命だったんだね。」

「私もそう思ってる」

「離婚さ早かったけど、それは松井さんと会うための…かもしれないね。」

「そうかもしれない」

結果良ければ全て良し!じゃないけど、今ならそういう風にも考えられて

「それで、結婚の話までしたんだ」

「うん。まぁ、離婚してまだ日が浅いからすぐとかはあれだけど」

「そうねー、透子、あんたが一番行きたかった所に行けてよかったじゃない。」

「うん」

みどりも凄い喜んでくれた。



この次の週末は、悠人の家に行った。

「まだ2年前のままだけど」

初めて入る悠人のマンション。

「本当はここでなく、二人で住む方に案内する予定だったんだけどな」

前は仙台に来てばかりだったので、一度も悠人のマンションに来たことなかったので、凄い新鮮で

「これからは、好きに入っていいからね」

と言って合鍵を貰った。



それから2週間後、2人で私の実家に行った。

悠人は私と付き合ってからのことを話し、意識不明で長い間眠ってたこと。お互いに好きでいたことを、ゆっくり両親の前で話した。

「透子さんに辛い思いをさせて、長い間ずっと待っててくれて、それでも連絡がとれず、そして諦めて結婚して、私はその時に目覚めました。その時に透子さんが結婚したのを知って諦めないとと何度も思いました。でもやっぱり諦めきれなくって、その時に透子さんが離婚したと聞いて、少しでも望みがあるならば、また透子さんと一緒になりたい。2度と離したくないと思いました。」

「でも、離婚したばかりだしね」

「お母さん、私悠人が諦めきれなかったの。春樹さんとはお互いそういう溝があって長続きできなかった。でも悠人とはずっと幸せになれる自信がある」

父もやっぱり困惑してたけど

「松井さんが大変な思いして、それでもずっと透子を思ってたんだから、大丈夫だとは思うが、でも結婚するのは少し先でお願いしたい。親戚やら色々な手前もあるんで」

母も

「本当に透子がそれを望んでるなら、私ももう何も言わないわ」

渋々ではあったけど、結婚は承諾してくれて、そして悠人のご両親にも挨拶したけど

「退院して少し落ち着いたと思ったら、結婚って…」

ご両親とも目を丸くして私達をみた。

私との出会い経緯を話すと

「そうだっんですか。息子をずっと好きでいてくれてありがとうございます」

と、お義母さんが言ってくれた。

お義父さんも

「頼りない息子てすが、よろしくお願いします」

と言ってくれて、私達の結婚を承諾してくれた。



1ヶ月くらい時間をかけて不動産屋をまわりまくってようやく気に入ったマンションが見つかった。

お互いの仕事先からも近いし、スーパーや悠人が通院する病院も近い。

「やっと、透子と一緒に住めるな」

「うん。やっとだねー」

2LDKの賃貸マンションを借りて、この先は周りに緑が多い一軒家に住みたいねと話してた。

「透子」

「ん?」

「遅くなったけど」

と言って小箱を私に渡した。

「悠人、これ…」

開けると、ダイアモンドの指輪が入ってて

「いいの?」

「受け取って貰わないと困る」

「ありがとう」

「いや、こちらこそだよ!俺のところに来てくれてありがとう」

しばらくお互い何も言わず、抱き合っていた。

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