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「全く...、なんで北海道なのよ?本社にもどれなかったの?」
「まぁ色々あってね。しばらくはこっちにいるよ」
とりあえず、帰国したことだけは両親に電話をした。
「一周忌だっていなかったのに。可憐が悲しむわよ」
という母。
やっぱり可憐か。
「じゃ切るね!また連絡する」
最近はなくなったが、可憐の夢を結構みていた。それは可憐をしたことで怒ってる?と思った。
けど可憐は穏やかな顔だった。
何かを言いたそうには見えるけど...、突然の死だもん。言いたいことも言えないで死んだんだ。心残りはいっぱいあるだろうに。
はじめの2ヶ月は会社がウィクリーマンションを借りてくれる。その間に自分で住まいを探さなければならない。
会社から近いこと。スーパーが近いこと。あとは医者とかまぁ、色んな店が近ければ尚良しだな。
そんな感じで探してたら結構いい条件のが出てきてすぐに見つかった。3つほど悩んだが、3階の部屋にすることにした。
北海道支店はそこまで規模は大きくなかった。けど、アットホーム感があってすぐに気に入ってしまった。
若い人よりも熟年の方のが多い。色々教えて貰う日々だ。
「吉野さーん、今日飲みに行かない?」
そんな感じで誘ってくれることもちょくちょくある。家に帰っても1人なので有り難い。
「そんな穴場があるんですか?」
「そそ、隣の駅なんだけどね」
美味しいお店や、安い店、その他珍しい観光など、いつも色々教えてくれる。
「あとさ、この間ハンバーグの専門店ができてね、かなりの評判でね」
「へぇー、どこにあるんですか?」
やばい!情報量多すぎてお酒なんか飲んでる暇ないわ!
といつもこんな感じだった。
「じゃ、お疲れ様です!」
終電までには、飲みお開きにし自宅に戻る。最近の週末はこんな感じになっていた。
明日こそは、荷物の整理しないとな。そんなことを思いながら目の前に恋人同士がよりそって歩いていた。
裕人君も今頃は、こんな感じで新しい人が見つかってるかな?かなって欲しい気持ちと、そうなって欲しくない気持ちが半々。それでもやっぱり幸せになってもらいたい。
私もいい加減吹っ切れないとな。
マンショに着いたとき
「可音さん?」
えっ?
後ろを振り向くと少し離れたことろに人がいた。
こんなことろに、会社の人以外で私を知ってる人はいない!なんで私の名前を!?と恐怖を感じ始めた。そして
「可音さんですよね?」
改めて言われてハッとする。
この声って...
どんどん近づいてきて
「お、お久しぶり...です」
なんで?なんで裕人君が!?
それから10分後、私達2人は私の部屋にいる。
夜中だし、店なんかあいてないし
「すいません、まだ段ボールだらけで」
まさか人がくるとは、しかもそれが裕人君なんて予想もできないじゃん!
「いや、大丈夫」
私に用があるから来たんだよね?もしかして記憶が戻った?ってことは、私だってばれちゃってるよね?怒ってる...とか?
冷たいお茶をテーブルに出した。部屋は1LDKでリビングはまだテーブルと小さいソファくらいしかなかった。
「記憶戻ってるんだ」
その一言は、ドキッともしたし、ズキッともした。
「あ、あ、あのそれじゃ」
「可音さんが可憐として居てくれたことも後で気がついた」
「...」
「俺のせいで、すいせんでした」
と言って頭を下げる
「えっ?いや、あの私が勝手にしたことなんで、こちらこそすいませんでした」
と言って頭をさげる。
「俺が弱いあまりに可憐と間違えるなんて」
「いえ、それだけ妹を愛してくれてありがとうございます」
これは本心。可憐をここまで愛してくれて姉としては嬉しい。
「いや、あの...」
その後は話が続かなくなった。
沈黙が辛い。でも何を話したらいいのか
「あ、あの、そうだ!この時間だと泊まる所が...、う、うちは何もありませんが、それでよければ」
「...」
最近ベッドを購入したばかりなので、それまで使ってたシングルの布団があった。
「あっ、あの、お疲れでしょうから、シャワーとか浴びますか?」
「...」
「あ、あの、それともお腹とか空いてます?何もありませんが、冷蔵庫にある材料でならちょっとしたものなら」
と言って冷蔵庫をあけにいこうとすると
「えっ?」
手を掴まれた。
「ずるいよ!それ」
えっ?えっ?な、なにが!?
「俺を男と見てない?」
「えっ!?」
「それとも安心しきってる?」
「な、な、な!?」
「それとも何をされても問題ないってこと?」
「えっ、あ、あの」
「ずるい!」
そう言ってわたしは抱きしめられていた。
久々に抱きしめられてる。でもそれは可憐としてだった。
「あ、あの」
「会いたかった」
「え?」
「会いたかったです」
えっ!?
「可憐が亡くなってまだ2年もたってないから、俺の中でもどうしていいか解らなかった。けど、貴方が可憐として居た期間、俺は可憐の新たな一面が見れてびっくりりはしたけど、でも更に惚れ直してた。調子がいいかもしれないし、何言ってるんだ?って思うかも知れないけど」
!?
「わ、わたし」
「引いた?」
「そんなこと...」
そんなことない。引くわけない!
けど、可憐が頭に浮かぶ。それは裕人君も同じ?なのか
「まぁそうだよね。俺も自分の気持と、可憐への...」
〝2人共馬鹿じゃない?何遠慮してるのよ!私に遠慮したら許さないから!!〝
「「...可憐?」」
顔を見合わせて2人で同じことを言った。
「聞こえた?」
「ああ、聞こえた」
裕人君は私の顔を触り
「実はここに来たのも可憐に押されたんだ!素直になれって夢で何度も言われた」
と苦笑し、可憐には敵わないよとボソッと言う。
そして何かを言おうとしたとき
「私、裕人君が好きです」
「俺も、俺も好きだ」
可音として初めてキスをした。
それから裕人君は北海道に引っ越してきた。同期の仲いい友達と会社を起こし、在宅でも出来ることからこっちに来てくれた。2LDKのマンションを借り今では同棲をしている。
「いつもごめんね!ありがとう」
家に帰るとだいたい夕飯が出来ている。
「いつも買い物してくれるからね。俺はそれを作ってるだけたよ」
家事も積極的にやってくれる。
「ねぇ、可音さん」
そういって私の顔をみて
「ありがとう」
!?
穏やかな顔で裕人君は言った。
何がありがとうなんだろ?って思ったが、でもきっと色々なことを込めての一言な気がしたので
「私の方こそありがとう!」
そう答えた。
2人で笑みをし抱き合った。
これからは可音として貴方の前に...
「まぁ色々あってね。しばらくはこっちにいるよ」
とりあえず、帰国したことだけは両親に電話をした。
「一周忌だっていなかったのに。可憐が悲しむわよ」
という母。
やっぱり可憐か。
「じゃ切るね!また連絡する」
最近はなくなったが、可憐の夢を結構みていた。それは可憐をしたことで怒ってる?と思った。
けど可憐は穏やかな顔だった。
何かを言いたそうには見えるけど...、突然の死だもん。言いたいことも言えないで死んだんだ。心残りはいっぱいあるだろうに。
はじめの2ヶ月は会社がウィクリーマンションを借りてくれる。その間に自分で住まいを探さなければならない。
会社から近いこと。スーパーが近いこと。あとは医者とかまぁ、色んな店が近ければ尚良しだな。
そんな感じで探してたら結構いい条件のが出てきてすぐに見つかった。3つほど悩んだが、3階の部屋にすることにした。
北海道支店はそこまで規模は大きくなかった。けど、アットホーム感があってすぐに気に入ってしまった。
若い人よりも熟年の方のが多い。色々教えて貰う日々だ。
「吉野さーん、今日飲みに行かない?」
そんな感じで誘ってくれることもちょくちょくある。家に帰っても1人なので有り難い。
「そんな穴場があるんですか?」
「そそ、隣の駅なんだけどね」
美味しいお店や、安い店、その他珍しい観光など、いつも色々教えてくれる。
「あとさ、この間ハンバーグの専門店ができてね、かなりの評判でね」
「へぇー、どこにあるんですか?」
やばい!情報量多すぎてお酒なんか飲んでる暇ないわ!
といつもこんな感じだった。
「じゃ、お疲れ様です!」
終電までには、飲みお開きにし自宅に戻る。最近の週末はこんな感じになっていた。
明日こそは、荷物の整理しないとな。そんなことを思いながら目の前に恋人同士がよりそって歩いていた。
裕人君も今頃は、こんな感じで新しい人が見つかってるかな?かなって欲しい気持ちと、そうなって欲しくない気持ちが半々。それでもやっぱり幸せになってもらいたい。
私もいい加減吹っ切れないとな。
マンショに着いたとき
「可音さん?」
えっ?
後ろを振り向くと少し離れたことろに人がいた。
こんなことろに、会社の人以外で私を知ってる人はいない!なんで私の名前を!?と恐怖を感じ始めた。そして
「可音さんですよね?」
改めて言われてハッとする。
この声って...
どんどん近づいてきて
「お、お久しぶり...です」
なんで?なんで裕人君が!?
それから10分後、私達2人は私の部屋にいる。
夜中だし、店なんかあいてないし
「すいません、まだ段ボールだらけで」
まさか人がくるとは、しかもそれが裕人君なんて予想もできないじゃん!
「いや、大丈夫」
私に用があるから来たんだよね?もしかして記憶が戻った?ってことは、私だってばれちゃってるよね?怒ってる...とか?
冷たいお茶をテーブルに出した。部屋は1LDKでリビングはまだテーブルと小さいソファくらいしかなかった。
「記憶戻ってるんだ」
その一言は、ドキッともしたし、ズキッともした。
「あ、あ、あのそれじゃ」
「可音さんが可憐として居てくれたことも後で気がついた」
「...」
「俺のせいで、すいせんでした」
と言って頭を下げる
「えっ?いや、あの私が勝手にしたことなんで、こちらこそすいませんでした」
と言って頭をさげる。
「俺が弱いあまりに可憐と間違えるなんて」
「いえ、それだけ妹を愛してくれてありがとうございます」
これは本心。可憐をここまで愛してくれて姉としては嬉しい。
「いや、あの...」
その後は話が続かなくなった。
沈黙が辛い。でも何を話したらいいのか
「あ、あの、そうだ!この時間だと泊まる所が...、う、うちは何もありませんが、それでよければ」
「...」
最近ベッドを購入したばかりなので、それまで使ってたシングルの布団があった。
「あっ、あの、お疲れでしょうから、シャワーとか浴びますか?」
「...」
「あ、あの、それともお腹とか空いてます?何もありませんが、冷蔵庫にある材料でならちょっとしたものなら」
と言って冷蔵庫をあけにいこうとすると
「えっ?」
手を掴まれた。
「ずるいよ!それ」
えっ?えっ?な、なにが!?
「俺を男と見てない?」
「えっ!?」
「それとも安心しきってる?」
「な、な、な!?」
「それとも何をされても問題ないってこと?」
「えっ、あ、あの」
「ずるい!」
そう言ってわたしは抱きしめられていた。
久々に抱きしめられてる。でもそれは可憐としてだった。
「あ、あの」
「会いたかった」
「え?」
「会いたかったです」
えっ!?
「可憐が亡くなってまだ2年もたってないから、俺の中でもどうしていいか解らなかった。けど、貴方が可憐として居た期間、俺は可憐の新たな一面が見れてびっくりりはしたけど、でも更に惚れ直してた。調子がいいかもしれないし、何言ってるんだ?って思うかも知れないけど」
!?
「わ、わたし」
「引いた?」
「そんなこと...」
そんなことない。引くわけない!
けど、可憐が頭に浮かぶ。それは裕人君も同じ?なのか
「まぁそうだよね。俺も自分の気持と、可憐への...」
〝2人共馬鹿じゃない?何遠慮してるのよ!私に遠慮したら許さないから!!〝
「「...可憐?」」
顔を見合わせて2人で同じことを言った。
「聞こえた?」
「ああ、聞こえた」
裕人君は私の顔を触り
「実はここに来たのも可憐に押されたんだ!素直になれって夢で何度も言われた」
と苦笑し、可憐には敵わないよとボソッと言う。
そして何かを言おうとしたとき
「私、裕人君が好きです」
「俺も、俺も好きだ」
可音として初めてキスをした。
それから裕人君は北海道に引っ越してきた。同期の仲いい友達と会社を起こし、在宅でも出来ることからこっちに来てくれた。2LDKのマンションを借り今では同棲をしている。
「いつもごめんね!ありがとう」
家に帰るとだいたい夕飯が出来ている。
「いつも買い物してくれるからね。俺はそれを作ってるだけたよ」
家事も積極的にやってくれる。
「ねぇ、可音さん」
そういって私の顔をみて
「ありがとう」
!?
穏やかな顔で裕人君は言った。
何がありがとうなんだろ?って思ったが、でもきっと色々なことを込めての一言な気がしたので
「私の方こそありがとう!」
そう答えた。
2人で笑みをし抱き合った。
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