トラガール

詩織

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想い人

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角を曲がって見えなくなった。

必死で追いかける。

お願い気づいて!!

「翔悟さん!」

大声で言った。

一瞬止まった気がした。

そしてまた

「翔悟さん!!」

と、叫んだ。

ゆっくり振り向いて、私をみて目を大きくした。

「えっ!?」

と、言葉を発し、周りに居た会社の人に私を見ながら何か言われてる。

近くによって

「ご、ごめんなさい。突然。あの後でお時間よければ頂けないですか?」

と言うと、しばらく呆然として

「あ、あ、あの無理なら結構です。えっとよければで。ホテルはTLホテルに…」

「いや、大丈夫」

と、言い出して、並んでた会社の人?と話して、彼らは先に歩いていった。

「あ、あの、大丈夫ですか?」

「ああ」

と言うと、

「驚いたな。」

「ですよね、すいません」

「いや、大丈夫だけど。どっかお店でも入る?」

と、言われたので2人で話せるところと言ったら、個室ぽいレストランに案内してくれた。

「お腹すいた?」

あっ、そういえば…

でも、その前に

「先お話したいので」

と言ったら、解ったと返してくれて、とりあえずお互いノンアルノールの飲み物だけ頼んだ。

「翔悟さん、ここまでお仕掛けてすいません。どうしても言いたいことがあったんです」

「…うん」

「私、翔悟さん好きです。今でも好き。でも…踏み出せなかった。確かにご両親とか周りとかそういうので断った感じになったけど、私も蓋をしてました。」

「蓋?」

「私だけ忘れたのやっぱり辛くって、誰にも言えなかった。翔悟さんになんで私だけ?って言うのも出来なかった。仕方ない、しょうがないって自分に言い聞かせてた。でも本当は私だけなんて辛かった」

「…」

「私だけ忘れてる、その想いがどうしても進めなかった。そして今でも未練がある。もう遅いかもしれないけど私…」

「ちょっと待って!」

途中で話を止められた。

「す、すいません。今は恋人とか居るかもなのに、ここまで図々しく。でももう言えたので…」

「だから待って!」

大声で止められて

「出よう!」

引っ張っられて店を出る。

「あ、あの…」

ぐいぐい引っ張られて意味が解らなかった。

公園?と思ったとき、急に止まって

「俺、多分全部じゃないと思うけど志奈乃のこと思い出したよ」

「え?」

「一生懸命で、しっかりもので、ちょっと抜けてるけど、でもギックリ腰のときでも頼らないし」

!?

「俺も辛い…」

「え?」

「なんで!なんで志奈乃だけ思い出せないんだ!」

「でも、1つだけ言えるから」

そう言って私を引き寄せて

「記憶を忘れても、思い出しても、志奈乃を愛してる」

「あ、あの…」

「恋人なんかいないよ!作る気にもなれない。大事な人の記憶が思い出せないことで俺達の間に色々あって、志奈乃を傷つけて、そんな俺に次の恋愛なんかする気になれないよ」

「わ、私…」

ど、どうしよう…。胸がいっぱいで

「ごめん、ごめんな」

ギュッと抱きしめられて、言葉にならず涙が出てくる。

「辛いと思う。しんどいと思う。でも俺を信じてついてきて」

「…いいの?」

見つめ合って久々のキスをした。

「このキスも覚えてるよ。堪らなく愛しい」

もう気持ちが…止まらなかった。

辛い気持ちを言えたことで気が楽になって、気持ちがどんどん溢れてきて

手を繋いでタクシーに乗った。30分ほどしたら止まって降りた先は

「ここに住んでる」

建物をみると、マンション。

エレベーターに乗り、真ん中くらいの階のボタンを押す。

その間も手を繋いだままお互い無言。

目的の階についてエレベーターを降りて、何も言わずついて行って玄関のドアを開けて中に託されたと同時に

「志奈乃…」

抱きしめられた

「もっと思い出したい。失って失望してそれで少しづつ思い出した。だから今度は志奈乃に満たされて思い出したい」

キスが始まり、何も考えられなくなる。

もう、立ってるのも…

ガクッと力が抜けて支えられて抱っこされた。

「翔悟さん、好き」

「俺も」

チュッとキスをして、そのまま寝室に向かった。

「いい?もう我慢出来ない。志奈乃を愛したい」

ドキドキする顔に気持ちも高ぶり

「私も翔悟を愛したい」

久々に触れた翔悟さんの肌は変わらずで、でもどこか少し変わった気もして、それでも私達はずっと好きだったんだと思ったらそれだけで気持ちが高ぶってしまった。

「この肌、この声…、忘れてないよ。志奈乃はここ好きだもんな」

「あっ…そこは…」 

「覚えてるよ、ちゃんと安心して」

1つ1つ確かめるように愛されまくって、泣きそうになる。

「志奈乃…」

キスをして見つめ合っての繰り返し。

そしてまた身体のどこかにチクッとする甘い痛み。

「絶対もう離さない!」

そう言って私の中に入ってくる。

久々の衝撃に逃げたくなって腰が動く。

でもガッチリ抑えられて、再び動き出す

「あっ…そんな…」

それでもかってくらいの衝撃に身体が麻痺して意識を手放す。それでもまた現実に戻されて、翔悟さんの動きに答える。

「あっ、もう…」

「ごめん。足りない」

そう言って、まだまだ動き出す。

「もってかれる…」

と、ボソッと言うとまた動きが早くなって、私は声にならない声を何度も出すしかない

「あーー!!!」

大声で叫んだと同時に翔悟さんの動きが止まり、そして私は頭がぼーとする。



「…志奈乃」

オデコにキスをされて、腕枕をしてくれて

「俺さ、志奈乃にプロポーズするつもりでいたんだ」

「え?」

「あの事故の週末に」

「記憶がない時、家に帰って誰にこの指輪用意したのか覚えてなかった。でも日に日に大事な人がいるんだって思うようになった。あれから3年近くもたってしまった…」

私の顔をみて

「ねぇ、志奈乃。俺の嫁さんになって」

「…」

「あの時は両親恨んだのもあった。上手くのせられて見合いして、以前から乗り気だったように言われて、志奈乃に手切れ金渡すし、絶縁状態で今はいる。でもそれじゃ志奈乃、嫁さんの立場だし辛いよな。ちゃんと話すよ。」

「…うん」

「だから、嫁さんになって」

「…はい」

やっと、受け入れられた。

「ありがとう」

「あ、あの…、でもね、私仕事が…」

「うん。解ってるよ。だからゴメン。あと1年待って!そしたら日本に帰るから」

「うん」



「いつまでこっちに?」

「明後日には帰る」

「えっ?そんな早く!?」

確かに翔悟さんからしたら早いけど、私は4日前から翔悟さんを待ってたことを話した。

「そうだったの?昨日までは支店の方に行ってたからな…、ごめん」

「勝手にきた私が悪いんだし」

「いや、嬉しかったよ」

翔悟さんは嬉しそうに抱きしめてくれた
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