友達の告白

詩織

文字の大きさ
上 下
1 / 1

友達の告白

しおりを挟む
高校卒業後、私、道端璃子みちはしりこは短大に行く。

「どうだった?」

「わかってたとはいえ、やっぱりなぁ」

落ち込んで帰ってきた設楽尚司したらなおじ。同じクラスで本日高校を卒業する。

卒業時に好きだった子に告白すると意気込むも敗北して戻ってきた。

「大事なお友達って言われたわ」

ううう

うなだれる設楽。

「よく頑張ったよ」

「お前、他人事だろ?」

「え?」

「だって、感情が入ってない!」

「そんなことないよ、設楽凄い好きだったの知ってるし」

ずっと好きだったのも知ってるし、応援はしてた。

「大学でいい出会いを期待するか」

設楽は大学の法学部に進学する。

見た目も悪くないし、背も高い。少しかわいい感じはあるが、愛嬌もあるから男女問わず友達はすぐできると思う。

「そういえば、お前ってさ好きな奴とかいないの?」

「え?」

「だって、お前から好きな奴の話とか聞いたことない。」

「あー」

「いないの?」

「いなくはないけど...」

「へぇーいるんだ、ずっと俺の相談のってもらったからな。もし何かあったら話聞くよ。といっても卒業するからそこまで会えなくなるがな。」

「そうね」

もう会えなくなるし、そういう相談もないだろう。

「今までありがとな!」

「こちらこそ、ありがとう」

「LINE繋がってるからたまには連絡しろよ」

「うん、そうだね」

「じゃな!」

「うん」

お互い別々の方向に行こうとしたとき

「設楽!私は、設楽が好きだったよ!」

「え?」

びっくりして設楽が振り返った時、私は逆の方向に歩いて行った。

別に困らせるつもりもないし、設楽は好きな子いたし、実るとも思ってなかった。

言えただけでよかった。





「今日どっか寄る?」

短大に通学して3か月。友達もできたしそれなりに充実している。

設楽からLINEもなし、私からもしてない。

「ごめん、今日ちょっと用事あって。明日いこー」

バイトで仲良くなった子が合コン誘ってくれた。

合コンなんて初めてだし、少し緊張するが気軽にって言ってたしあまり気張らず行こうかなって。

「わかった。じゃまたね」

大学の友達とは別れて、約束の店に向かた。

「ああ、璃子ちゃんこっち!」

皆既に集まってた。

「遅くなりました」

多分私で最後かな?

と思ったら、

「お、すまん!すまん!遅れた」

私の後ろから来たのは

設楽だった。

合コンは、それなりに盛り上がった。

1人男性から連絡先交換しよって言われたので、交換した。

そのままお別れする人もいたし、そのままカップルになってどっか行ってしまった人もいた。

さっきの連絡交換しようっていった男性が

「もしよかったらこれから」

っと言ったときに

「悪い、俺と約束してるんだ」

っと、設楽が割り込んできた。

いやいや、約束してないでしょう?

設楽が私の腕を取って、グイグイと歩き出した。

「ちょっ、設楽なにしてるのよ?」

何も言わず、グイグイと引っ張る。

「ちょっと!」

と、無理やり腕を離した。

「お前、最後にコクってそれで終わりってなに?」

「は?」

「だから、あれ何?」

「何って?」

「あんなことされたら、忘れられなくなるだろ?」

「そう言われても設楽ずっと好きな子いたし」

「それは、そうだけど」

「言えただけで満足したし」

「お前には、その先を望むものはないのか?」

「その先?」

「付き合いたいとか」

「そんなの、設楽は他の子が好きなのに付き合えるとか思えないでしょ?」

「まぁ、それ言われたらそうだが...」

もう終わったことだし、私も進みたい。

まさかこんな感じで再会すると思わなかったが。

「俺は、あれからお前がコクったのずっと忘れられなかった。」

「え?」

「ずるいよな!言い逃げ。俺の相談ずっと聞いてくれて、その時お前...」

確かに辛かった。でも設楽が好きなの知ってたから応援もしたかった。

「ごめんな!本当はつらかったんだよな」

そう言われて、一気に涙が出てきた。

「なによ、今更」

「なぁ、チャンスくれない?」

「チャンス?」

「道端璃子さん、俺とお付き合いして頂けませんか?」

え?

「な、なによ!合コン来たくせに」

「先輩に頭数足りなかったからこい!って内容も知らず来たんだよ。まずは友達からでいいんで」

「友達でなかったの?」

「そうだったな」



「よろしくな!璃子」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...