美形貴族のお坊ちゃん×極悪非道のツン/ヤンデレ海賊の激甘執着ラヴ

ゆっくり

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一章

所有の証明

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 こうしてあっさりと捕まってしまった。
 その辺にいる人々は、この奴隷はどこからきたのかと疑問に思っているようだ。というのも、通常、手続きが終われば奴隷は首輪がつけられ、逃げることができないように管理される。しかし、私にはその首輪がついていなかったため、混乱が広がっているようだ。結果的に、まだ売られていない奴隷が逃げ出したということになった。逃げ出した奴隷は見せしめに殺されると聞いたが、誰がその所有者か分からないままでは対応が難しいらしい。
 居合わせた人々は、別に私の所有者でないのに私の所有者は自分だと言い張り、言い争っていた。馬鹿なのかな?

「てめぇ………」

 しばらく経って、大激怒の表情を浮かべた船長の彼がやってきた。彼はこの混乱した状況にさらに苛立ちを募らせ、部下に八つ当たりしている。そして、彼は私の前に立ち、後ろ手に縛られた腕を無慈悲に引っ張ってきた。

「めんどくせぇことしてんじゃねぇぞクソが。船に帰ったら覚えておけ、必ず後悔させてやる」

 そんなことを言われたら余計に帰りたくなくなる。私は舌を出して彼に反抗した。だが、その行動が彼をさらに苛立たせたようで、彼は拳を振り上げて私の顔を容赦なく殴った。激痛が顔全体に走り、目の前が一瞬かすんだ。 

「ちょっと、お客さん!商品に手ェ出されちゃ困ります!」

「あ??何が商品だテメェ、こっちはまだ売る手続き終わらせてねぇだろうが!」

 大変お怒りのご様子の彼は奴隷市場の人々にも掴みかかろうとした。それを見た部下の男は必死に彼を止めようとしている。沸点が低すぎて逆に面白いなと私はヘラヘラしていたが、彼は再び大激怒の表情を浮かべた。

「何笑ってやがる殺すぞ!!」

 私が笑っていることにめざとく気がついた彼は、その辺に置いてあるテーブルなどをガツンと蹴り倒した。彼の暴力的な振る舞いに、周囲の人々も驚きと恐れを露わにしている。私は苦笑いを浮かべながら、彼が怒りに振り回される様子を目の当たりにしていた。

「おいお前、ゲート入った時こいつの主人だって手続きこっちはしてんだよクソ」

 彼が市場の管理人に半券を渡している様子を見て、私は面倒な予感を覚える。もしかして私、このまま船に持って帰られるんじゃないか?

「た、確かに。この奴隷はあなたの所有物ということで。それで、売る手続きはいかがいたしましょう、このまま致しましょうか?」

「んな訳ねぇだろうが!!おい、こいつ持って帰るからちゃんと手綱握っておけ、無能」

 持って帰られるやつだ。最悪だ。
 そうしてなぜか奴隷市場に来たのに売られることなく船に帰宅したのであった。

 何をしに来たんだろう?




 船に戻ってきた私は、予想通り大層痛めつけられた。船長の彼は私が逃げようとしたことが気に入らなかったのか、怒りを爆発させている。売って金にするはずだったのに、逃げようとしたから怒っているのだろうか?いや、だとしたらなぜ私が売られずに船に戻ってきたのかが理解できない。

「なぜ、私を痛めつけるのです?」

「……………」

 彼は無表情なまなざしでこちらを見下していた。彼は無言で私をもう一度殴った。
 まあでも、変態貴族に売られて性奴隷になるより、彼の暴力の方がマシかもなと思った。性暴力といえば、彼は暴力は振るってくるが、性暴力はしてこない。野蛮な海賊だからよういうことも嬉々として消費するだろうと思っていたのに。彼にはそういった傾向が見当たらないと感じる。

「連れて行け」

 そしてなぜか彼は私を殺さなかった。部屋の天井に飾られている、見せしめの骸骨たちのようにはならなかった。私はあそこに飾られる運命だと思っていたのに、彼の意図がわからない。
 なぜ彼は私を殺さないのだろうか?その疑問が頭を巡ると同時に、死への概念がさらに薄まっていることを自覚する。こればっかりはどうしようもないことだな。




「ルイスちゃんおかえりー!えらい派手にやられてるやん」

「ただいま……」

 またあの狭い檻の中に戻ってきた。
 薄暗い牢屋に戻ってきた瞬間、自由を手放す無念な気持ちが心に広がった。相変わらずそこはジメジメしており、閉ざされた空間が息苦しさをもたらした。

「その様子やとお話しできんかったみたいやな~ボロボロやん」

「手酷く殴られたよ」

 そういえばこの人もなぜ殺されていないんだろうか。彼の話を聞くに、私以上に金髪の彼との間にかなり大きな因縁があるように思う。

「神遊楽が潰されてここに来たって言ってたよね。なんであなたは殺されていないの?私も、殺されていない」

「うーん、なんでやろ。多分嫌いなやつは殺すんじゃなくて生かして地獄を見せるってのが好きなやつやからちゃう?」

 彼はケラケラと笑っているように見えたが、その笑顔には空元気な様子が漂っていた。彼の笑いを見て、可哀想だなと他人事なようにに思った。

「趣味悪」

 そういえば彼は私の妹、ドロシーを攫おうとしたのも殿下に復讐するためだと言っていた。対立した人間は楽に死なせるよりも生き地獄を味合わせたいんだろうな。


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