美形貴族のお坊ちゃん×極悪非道のツン/ヤンデレ海賊の激甘執着ラヴ

ゆっくり

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三章

傷薬

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「………クソがよ」

 レイは泣いていた。そして私のことをまた、弱い弱い力で殴った。私は彼の行動を甘んじて受け入れる。レイは私の方に倒れ込んだ。私は彼を支えた。

「なんで置いていった、ふざけるなよ」

「……ごめんなさい、わざとじゃないんです」

 そんな言い訳が口からこぼれた。レイは私の肩に顔を擦り付けて泣いていた。彼は深く深く傷付いていた。改めて、彼とはぐれてしまったことを申し訳なく思った。

「……………」

 彼を優しく抱きしめて、背中を優しくとんとんと叩き続ける。彼は私の手を嫌がることなく、私に抱きついていた。
 いつもの堂々たる雰囲気が無くなった彼に、再びなんて可哀想なんだと思った。申し訳ない。


 彼が泣き止んだあと、私は彼の頬の涙の跡に触れた。彼は私の方をキッと睨みつけて、私の手を叩き落とした。どうやら彼が望む時以外に触ると怒られるようだ。私は苦笑した。

「傷、手当するために今から傷薬買いに行くんだけどここにいますか、それとも一緒に行きますか」

 そう問いかけると、気を遣われていることがわかったのだろう、レイはキッと睨みつけて私のおでこをぺちんと叩いた。

「一緒に行く」

 そう言って私の一歩先を行くレイだが、私のおでこを叩いたその手は氷のように冷たく、異常な緊張状態にあることがわかる。この島にきてからずっと顔色が悪いが、あのことがあってからさらに悪くなっている。私は黙ってレイの後ろをついて行った。
 私は全く土地勘がないのでどこがどうなっているかはわからないのだが、レイはすいすいと進んで夜マーケットが行われている広場に着いた。そこで出ている市場を一店舗一店舗見て、薬と包帯が売っている店を探す。すごい人混みなのでお金をスラれないように一生懸命守りつつ、レイを見失わないように歩いた。 

「ほら」

 その声で顔を上げれば、そこには何かのハーブのようなものや包帯などが雑多に置かれている露店があった。私はしっかり抱きしめて守っていたそのお金袋からお金を出す。どれくらいの値段なんだろう、私はとりあえず金貨を10枚差し出した。

「……これだからお貴族様は嫌いなんだよ。馬鹿なのか?銅色のやつ5枚出せ」

「わかりました」

 どうやら多すぎたらしい。店主も動揺していたので、おそらく常識的にとんでもないことをしていたのだろう。
 おじさんはどう考えても訳ありの私たちにあまり関わりたくないようで、薬と包帯を渡したらそそくさと屋台の奥にすっこんで行った。レイもそそくさと歩き始めるので、私は黙ってついて行った。

「……………あれ………?」

 自分自身が嫌になる。私はまたしても迷子になった。今度はちゃんとレイのことを見ていたはずなのに、いつの間にかレイがいなくなっていた。
 私は困ったなと思いつつその辺を探す。様々な人に言葉が通じないながらも、金髪という要素を伝えて探したが結局見つからなかった。

「………でも、これで良かったのかも」

 彼のトラウマを知る私と一緒にいても、彼の心は休まらないだろう。私はレイがいなくなって少し寂しかったが、仕方ないことだと受け入れることにした。

私はこれからどうしようかと考えて、一旦アルバートさんと話をしようと思った。彼のことを最低なクズ野郎だと見限るには、あの地下牢で様々なことを話しすぎた。私はアルバートさんを完全に見限ることが出来なかった。
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