美形貴族のお坊ちゃん×極悪非道のツン/ヤンデレ海賊の激甘執着ラヴ

ゆっくり

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三章

抗争

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 私たちは夜になってから、武器を揃えるために武器屋を訪れた。店内は鋭利な刃物や頑丈な防具が並んでいた。結局、扱いが簡単そうなナイフと拳銃を購入した。

「……似合わねぇな、武器」

 私が拳銃を持っていれば、レイは鼻で笑った。そして私の髪を一束取り、私をじっと見ながら髪を撫でた。
 私はなぜ急に罵倒されたのに甘やかされたのかよく分からなかったのでレイの方をキョトンとした顔をして見た。

「………」

 そんな顔をした私を見て、レイはさらにニヤッと笑っていた。






「……レイ、あれ」

 コソコソと何か嗅ぎ回っている人間がいるなと思ってそちらを見れば、男たちがが私たちの姿を見つけ、徐々に近づいてくるのが見えた。レイにそう告げれば、レイも気付いたようでジロっとそちらを睨みつける。

「……逃げて住処が割れるより殺しちまった方がいい」

 レイは暗い暗い声でそう告げた。彼はその辺の善悪の境界線が薄く、かなり非道な性分をしている。普段ツンデレで可愛いレイだが、対他人となれば途端に非情な海賊と成り果てた。
 私は冷静に息を整え、武器を握りしめ、彼らの接近に備えた。心臓の鼓動が耳に響き、緊張感が身体中に広がっていた。

「お前は後ろ下がってろ。俺が殺す」

「でも………」

「自衛はしてもいい。ただお前は手を汚すな、分かったな」

「…………」

 男たちが襲いかかってきた。
 追っ手たちとの対峙が始まると、レイは機敏に動き、的確な攻撃を仕掛けた。武器の刃が風を切り裂き、追っ手たちを次々と刺してゆく。死んでいるのかは不明だ。私は目の前に対峙した男を転がして頭を蹴りつける。
 夜の静けさが、戦いの音と息遣いで満たされていた。

「………これで全部か」

 なんてことは無かった。ただ数が多いだけで一人一人は本当に弱かった。戦い慣れていないのが一目瞭然で、恐らく本国からの刺客ではなかった。

「サーカスの連中か。場所が割れているな」

「もう、この国から出るしかないかも」

「ああ、そうだな」

 私たちはあの宿屋に戻り、荷物をまとめてお金を払って出ていった。かなり長い間宿屋で生活していたし、かなり出入りもしていたので、追っ手がここを把握しているかもしれないからだ。結局私たちは良い所が見つかるまであの古屋に隠れていようという話になり、古屋での生活が始まった。



 
 古屋にやってきて、換気と掃除を2人で終わらせて、ようやくソファでゆっくり出来るようになった。私たちは疲れたのでソファでグダグダしていた。
 今日のあの襲撃で、私も顔を覚えられたかもしれない。2人セットでいればバレる確率は大幅に上がっただろう。買い物ももうろくに行けないだろうなと思うとうんざりした。

「………」

 レイは私を黙ってじっと見ている。レイは私の髪先を優しく触り、その髪にキスを落とした。普段荒々しい彼がする優しい仕草は、私を驚かせると同時に胸を高まらせる。

「髪、切りましょうか。目立ってますよね?」

 男なのに白髪はくはつのロング。その顔も相まって女性のようだが、やはり男特有の身長や骨格も私も持っていた。要はレイと同じく私も目立つのだ。

「馬鹿かお前は、切るな。本当に美しい髪だ」

 彼は髪をサラサラと触ってそして頭を撫でている。私の髪がなぜそんなに好きなのかよく分からないが、まあ金髪である彼にとっては珍しいのだろう。現に若くして白髪の人間はあまりいないし。

「私じゃなくて、髪が好きなんですかあなたは」

 そう意地も悪く尋ねれば、レイはぎょっとした顔をして黙った。そして、頬を少し染めて私を抱きしめ、私の長い髪に埋もれる。

「お前の髪だから好きなんだ、決まってるだろ」

「ふふ」

 少し笑った私に怒ったような顔をしてゆるい力で肩あたりを叩く。痛くは無いし、照れ隠しにしか見えなくて可愛い。




 とりあえず話し合いにより、買い物は1人ずつ行くこととした。2人揃っていると目立つということを告げればレイはたしかにという顔をしたが、話し合いはかなり揉めた。
 特にレイが私と離れるのが本当に嫌そうで嫌そうで、私にくっついて離れなくなった。

「離れたくない」

「でも、2人揃って捕まって、牢屋に入れられてはなればなれになったらあなたのことたすけられませんよ?」

 そう告げれば、彼はむーーーーーーとした顔をして黙り込んだ。ずっと抱きしめあっているし、手は繋いだままだ。この提案をしたら真っ先にレイがピトッと私にくっつき、そして手を繋いできた。
 正直、私と離れたくないと駄々をこねているレイは本当に可愛かった。

 結局、約束した時間以内に絶対に帰ってくること、帰ってこなかった場合即座に探しに行くことを条件に買い物は私が行くこととした。

 (こういう時にスマホがあれば便利なんだけど)

 そんな呟きはもちろん心の中で押しとどめておいた。
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