巻き込まれた薬師の日常

白髭

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1H-鎮守と毒性

1H-04 大人の時間

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 食事を終え、あとは眠るだけ。寝床はどうするのかと思っていたら、パラケル爺さんが食後の運動と称して土魔法を行使した。六畳ほどの広さに屋根まで備えた簡易小屋があっという間に出来上がる。

「さすがパラケルね。ほんと繊細な仕事の時は便利だわ。一パーティーに一パラケルね」
「お前が大雑把すぎるのだ。何でもかんでもトゥルボーで吹き飛ばすからな」
 二人の掛け合いにも慣れてきた。小屋は十分に硬度があり、頑丈そのもの。さらにパラケル爺さんは周囲に警戒用の魔導具を設置していった。

「これは周辺の魔素を拾って警報を発する魔導具だ。五個で一組、魔石を分割して連動させてある。本体はこの箱だ。部屋に置けば外を警戒してくれる。二組あれば保険になる」
「さすがですね。きっちりしてます」
 これで夜間警備は不要だ。妖精たちも魔力感知に優れている。除外範囲は20m、出歩きすぎるなと釘を刺される。
「さて、妖精三人と私たち三人。それぞれの組で当番を回す。パラケル、私、レッドの順でいいかしら」
「「「はーい」」」
「いいだろう」

 強制的にシフトが決まり、早めの就寝。羊毛のブランケットを重ね、目を閉じるとあっという間に眠りに落ちた。

 ♢♢

 レッドが小屋に入ったのを見届け、ワシとエリスは焚き火の前で一息つく。妖精たちは自由に飛び回っている。

「道程は半分ね。明日は少し採取して、昼には里に着くわ」
「ああ、小僧も薬草採取で満足するだろう」

 今日のレッドは採取に物足りなさを感じていたようだ。森を歩く時間を与える必要がある。
「そういえば、レッドで解決できるかしら?」
「ああ、あれのことか」

 エルフの祈願。なんでもポーションで済ませる悪癖を改めたい。だがレッドは料理や菓子、酒づくりに強い執着を見せた。物質鑑定の精度も高い。

「視る段階はすでにワシを超えている。主や族長も魔力には精通しているが、鑑定は得意ではない。常識に縛られているからな」

「現状、あなたを超える鑑定者はいないわ。それなら望みはある」

 依頼という形で話を振り、冒険者ランクも早めに上げる必要がある。無駄な軋轢を避けるために。

「薬草も一通り見せる必要があるわね。群生地を開放したくないのが里の本音。でも、早く解決しないといけないわ」
 話題が変わり、エリスが目を光らせる。ローセアが小屋を覗き、レッドが熟睡しているのを確認した。

「ここには誰もいないわ。もちろんあるわよね?」
「ああ」
 ワシはグラスを五つ取り出す。三つは妖精の依頼で作った特製のガラス器だ。

「ようやく拝めるのね。しかも二種類も作って」
「楽しみだね♪」
「確かめさせてもらうわ。あなた達の仕事を」

「間違っても魔力を込めて名付けるなよ!?これはあくまで葡萄酒のアクアヴィーテ。経過の確認が目的だ」

 これはまだ『無銘』。名付けの名誉は主か族長に譲るべきだ。ヒトとエルフの立場を対等にするためにも。

 さあ、ここからは大人だけの時間。製造者の特権を楽しむとしよう。

「あくまで経過を見るための試飲だ。献上前に確かめる必要がある。大切なだからな」


 もちろん、里の指導者に知られないよう、こっそりと。

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