俺のせいでえっちな呪いにかけられた同僚騎士に責任を取りに行ったら、与えられたは夜通しの⋯説教!?泣いた

春瀬湖子

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スライムでえちち

7.その存在、自然災害につき

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俺のせいでえっちな呪いにかかってしまった相方の同僚騎士であり、想い人でもあるキャロン・クラレンスに解呪という名目で抱かれたその翌朝。
今日も今日とて俺ことエイベル・ロッカは項垂れていた。


「⋯俺が何について説教をしているかわかっているか」
「えーっと、その、⋯理由がわからないこと⋯かな?」
「それは今から説教するやつだ」
「ぎゃ!増えたっ」

いつの間にか自分だけ服を着ているキャロンの長いため息を聞き、俺は自分の主張で説教タイムが伸びた事を察し慌てる。


「俺は寝る前なんと言った?」
「つ、続きは起きてから⋯?」
「何の続きだ」

“何のって⋯”


夜通し抱かれた後、続きと言われた事を考えるとそれは再び体を重ねる事ー⋯


ー⋯なんて事は、もちろんなく。


“そもそも夜通し抱かれたというより夜通し説教されていたのを途中で有耶無耶にして解呪に持っていったというか⋯”

それを理由に、抱かれたかったというか。

――なんて事を連想した俺の頬は、みるみるうちに赤く染まって。


「?おいエイベル、熱があるんじゃないのか?顔が熱いぞ。俺が無理させたせい、だよな⋯」
「え!?いや、ないよ!?ないし別にキャロンのせいでは⋯」

“⋯あるか?”
俺の心臓が跳ねるのも俺の頬が染まるのも、元を正せばキャロンのせいで間違いないのだ。

“キャロンが、格好いいから⋯”


敬遠されていた俺の手を取り、長いお説教も俺を想っての事。
失敗しても、そこからどうすべきかを同じ目線で考える努力までしてくれる。

それを自然に出来る人がこの世に何人いるのだろうか。

“だから、絶対助けたいと思ったんだけど――”

「えーっと、やっぱり解呪の方法がダメ、でしたかね⋯」
「⋯方法ではなく、順番だ。そもそもだな、俺は何度も忠告したのにお前は自分を犠牲にするようなやり方ばかりをー⋯!」
「そんなことないよ!」

俺を心配してくれての説教だとはわかっているが、それでも納得出来ずに思わず口を挟む。


「自分を犠牲に⋯って、じゃあキャロンも俺を助けてくれた後はいつもそう思ってたってこと?」
「はぁ?そんな訳ないだろう!俺は俺の意思で行動をしている。だから犠牲だなんてそんなこと⋯」
「うん、俺もだよ」

言いながらハッとした様子のキャロンに少しホッとし、お説教中だというのに俺の頬が少し緩んだ。


「俺も、俺の意思でキャロンに何かしたかったんだ。確かに恋人がするような行為⋯だったとは、思うんだけど⋯」

言いながら少し恥ずかしくなり、キャロンから視線を外す。
今彼がどんな顔をしているのか、知るのが怖かったから。

“⋯だってもし後悔したような顔をしていたら、流石に立ち直れない⋯”

あの時のあの行動は呪いを解くためのもので決してキャロンの意思ではなくて。
だからこそもし彼の嫌そうな顔を見てしまったら、自分の恋が終わるということを突き付けられてしまうような気がした。

の、だが。


「だったら恋人になればいいだろ」
「⋯⋯⋯へ?」

予想していなかったキャロンの言葉に、ぽかんと口を開ける。

「俺は順番が気に入らないと言ったんだ。それともエイベルは呪いを解くためなら誰にでもあんなことをさせるのか?」
「しないよ!あれは⋯キャロンだったから、だし⋯」

呪いの責任を取りたいのは本当だったが、体を差し出したのは俺の下心でもあったのだ。
キャロン以外に当然そんなことをするはずもなく⋯


「なら問題ないだろう。恋人の“ような”行為ではなく、恋人“だから”の行為ならエイベルも納得いくだろう?俺と恋人にならないか?」
「キャロンと、恋人に⋯?」


片想いできるだけでも満足だと言い聞かせていたこの気持ちは、『抱かれたい』という下心が芽生えている時点で足りないと言っているようなもので。

そしてだからこそキャロンからのこの提案は、俺にとっては夢のようなものだったけれど――


“⋯俺のせいで呪われたのに、キャロンに俺の『責任』の責任を取らせるなんてこと出来ない⋯よな”


キャロンの事が本当に好きだからこそ、ヤってしまったというその罪悪感から関係を迫るなんてことは出来ないと考えた俺は心臓が潰れそうな気持ちになりながら首を横に振った。


「⋯何故?」
「だって、キャロンは俺とのその⋯、行為の責任を取るって言ってくれてるんだろ?」
「⋯ほぉ?」
「元は俺のせいなのに、キャロンがそこまで責任を感じる必要はないんだ。それにあの行為は、俺が⋯その、望んだことだし⋯」
「なるほど?」
「だからいいんだ!キャロンは忘れてくれていいんだよ」
「あぁ、わかった」

忘れてくれていい、なんて言ったくせに、わかったという言葉を聞いた俺の心臓がチクリと痛む。

“でも、それがきっと二人の為だから⋯”

「俺の気持ちがひとつも伝わっていないことがよおぉっっく、わかった」
「⋯⋯え、き、キャロン?」

少し荒々しいキャロンの声色にドキッとした俺は、さっきまで外していた視線を慌てて彼の顔に戻しー⋯

“ぅげっ!”

キャロンのこめかみが、これ以上なくピクピクと痙攣している事に震え上がった。


“な、なんで!?キャロンからの慈善事業断ったから!?で、でもキャロンを好きだからこそ頷けない事だってあると思うんだけど!!?”

内心必死に弁解するが、怒り心頭といった様子のキャロンが怖くてもちろん声に出せるはずもなく。



そしてそんなキャロンの部屋のドアがかなり乱暴にノックされて、驚いた俺は彼のベッドでちょっと跳ねた。


「えっ、な、なに!?まだ朝だよな!?」
「⋯そもそも今日は俺もエイベルも休みだったはずだが⋯くそ、エイベル、この話は必ず後程続きをするからな」
「ひょえっ」


まるで死刑宣告をするかのような表情で話し合いの延期を告げられた俺は、少しだけ伸びたらしい猶予期間に安堵⋯するはずもなく。

“えーっ、ほ、本当に何がダメだったんだ⋯?”

いい思い出として後腐れなく同僚に戻る。
それがキャロンにとっての『最善』だったはずなのに。


「⋯やっぱり、責任感からくる同情⋯かな」

同情でも想い人の恋人になれるなら⋯、なんて事が一瞬過り、そんな煩悩を追い出すように両頬を思い切り叩く。


「しっかりしろ、エイベル・ロッカ!俺は他でもないキャロン・クラレンスの相方だろ!」


同情で傍にいるより、相方として堂々と彼の隣に立ちたいから。

“それでいい、これが正解だ”

それは、エイベルとして⋯そしてキャロンの相方である魔法師としての俺の結論だった。

騎士団に所属しているのだ、いつまたどんな凶悪な魔物が現れるかなんてわからない。
そしてそんな時、キャロンの相方として、彼の傍で共に戦う為に。


どんな魔物にだって怯えたりしない、なんて誓った俺の耳に、緊急伝令という声が聞こえた。

そしてその単語に俺の心臓がはね上がる。

「緊急伝令⋯!?」

“緊急伝令って、確か魔物の大群だとかドラゴンとか、とにかくやっばいやつが出た時に出されるやつだよな⋯!?”

扉を叩き割りそうな勢いでノックしていた理由を察した俺は、慌てて散らばったままの服を着ながら扉のところで話すキャロンと騎士団の仲間の声に耳をそばだて次の言葉を待ち⋯


「スライムが出た!」


そして聞こえた魔物の名前に青ざめた。
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