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1.予言の魔女は百発百中がウリなんですが
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王都のど真ん中にある占いの館。
その名も『魔女の館』。
「その日は雨が降り恋人のドレスが馬車から跳ねた雨水で台無しになります、別日がいいでしょう」
「その日呼び出されるのは間違いなくプロポーズ。赤いドレスが良くお似合いですわ」
なんてプロポーズする側、される側関係なく魔女の館は人気を博していた。
百発百中の“占い”は、男女共に人気で日々お客さんに溢れており、まさに“予言”だなんて言われる程で⋯
「⋯って、当たり前よね。だって私、本当に予言の魔女だもの」
長い黒髪と神秘的な赤い瞳。
『魔女の館』の主人であり占い師である私ことローズは、大切な商売道具でもある水晶を磨きながらそう呟いた。
魔女なんて存在はお伽噺という認識のこの世界で、全然ひっそりとせずに生きる魔女は実は多く⋯
ローズもそんな魔女の一人だった。
魔女と言っても能力は様々で、ローズの能力は1つだけ。
水晶を通して見た相手の未来が見えるというもので。
そしてその能力を存分に活かし大成を果たした、の、だが⋯
「プロポーズしたいのだが成功するだろうか」
その日来たのはハジメマシテの騎士のお客さん。
切れ長な濃紺の瞳に淡い栗色の髪が少し柔らかそうにも見える、エバンジェス・バラッドと名乗ったその客の未来が⋯
“た、た、大量にあるんですけど!?”
水晶を覗く瞳が思わず驚愕に開かれるのも仕方ない。
普通は1人に1つ。
あっても精々2つしか未来はなく、そしてその未来を“予知”として告げてアドバイスをするのがいつものローズの占いだ。
それなのに、このエバンジェスと名乗る客の未来は水晶がミッチミチに見えるほどの未来を映していて⋯
“未来とは枝分かれするもの、とは言っても多すぎるわよ!?”
私の予言を聞いてプロポーズの日を変える事もあれば迷っている事柄でどちらを選ぶかのように、選んだ時と選ばなかった時のどちらの未来も見える事がある。
と、言うことはつまり。
“それだけ色んな選択肢や可能性を日々考慮しながら生きてるって事!?”
「い、いやいやいや!あり得ないでしょ!?頭パンクしちゃうわよ!」
「?」
思わず仰け反りながらそう叫び、しまったと顔をしかめる。
そんな私に怪訝な顔を向けるエバンジェス。
とりあえず咳払いでその場は誤魔化すものの⋯⋯
「恥ずかしながら俺が所属している騎士団は男ばかりでな、あまり女性というものに慣れていない。どうすればプロポーズは成功するんだ?」
「えっと、ですねぇ⋯⋯」
どうしようか、と迷いうぐぐと唸る。
適当な事を言うわけにはいかないが、占い師として何も答えない訳にもいかなくて⋯
「そ、そうですね、まず明後日なんですが」
苦し紛れに一番手前に見えた未来で予知をしようと口を開いた私だったが、話し出した途端に水晶の中が揺らめいて。
『この間盛大に外したらしいよ』
『百発百中じゃないなら別にこの占いの館じゃなくてもいいよなぁ』
“!!??”
ヒュッと思わず息を呑んだ。
これはまさか!
“わ、私の未来!?やだっ、このままじゃ廃業一直線なんですけど!?”
水晶の映し出したその未来に嫌な汗が背を伝う。
これはマズイ、とてもマズイ。
「で、明後日どうなんだろうか?」
「明後日は、パン屋さんの安売りですね!買いにいかなきゃだわぁ!!!」
あはははは、と無理やり笑い会話を流す。
完全にお互い顔が引きつっているが本気でそれどころではなかった。
外すと死!
私の生活が死!!
“なんとしてもこのプロポーズ、成功させなくちゃだわ⋯!?”
予言の魔女のプライドにかけて、というより私の今後の生活の為にも!
とにかくこの騎士様のプロポーズ、何がなんでも成功させてみせる⋯!!!
その名も『魔女の館』。
「その日は雨が降り恋人のドレスが馬車から跳ねた雨水で台無しになります、別日がいいでしょう」
「その日呼び出されるのは間違いなくプロポーズ。赤いドレスが良くお似合いですわ」
なんてプロポーズする側、される側関係なく魔女の館は人気を博していた。
百発百中の“占い”は、男女共に人気で日々お客さんに溢れており、まさに“予言”だなんて言われる程で⋯
「⋯って、当たり前よね。だって私、本当に予言の魔女だもの」
長い黒髪と神秘的な赤い瞳。
『魔女の館』の主人であり占い師である私ことローズは、大切な商売道具でもある水晶を磨きながらそう呟いた。
魔女なんて存在はお伽噺という認識のこの世界で、全然ひっそりとせずに生きる魔女は実は多く⋯
ローズもそんな魔女の一人だった。
魔女と言っても能力は様々で、ローズの能力は1つだけ。
水晶を通して見た相手の未来が見えるというもので。
そしてその能力を存分に活かし大成を果たした、の、だが⋯
「プロポーズしたいのだが成功するだろうか」
その日来たのはハジメマシテの騎士のお客さん。
切れ長な濃紺の瞳に淡い栗色の髪が少し柔らかそうにも見える、エバンジェス・バラッドと名乗ったその客の未来が⋯
“た、た、大量にあるんですけど!?”
水晶を覗く瞳が思わず驚愕に開かれるのも仕方ない。
普通は1人に1つ。
あっても精々2つしか未来はなく、そしてその未来を“予知”として告げてアドバイスをするのがいつものローズの占いだ。
それなのに、このエバンジェスと名乗る客の未来は水晶がミッチミチに見えるほどの未来を映していて⋯
“未来とは枝分かれするもの、とは言っても多すぎるわよ!?”
私の予言を聞いてプロポーズの日を変える事もあれば迷っている事柄でどちらを選ぶかのように、選んだ時と選ばなかった時のどちらの未来も見える事がある。
と、言うことはつまり。
“それだけ色んな選択肢や可能性を日々考慮しながら生きてるって事!?”
「い、いやいやいや!あり得ないでしょ!?頭パンクしちゃうわよ!」
「?」
思わず仰け反りながらそう叫び、しまったと顔をしかめる。
そんな私に怪訝な顔を向けるエバンジェス。
とりあえず咳払いでその場は誤魔化すものの⋯⋯
「恥ずかしながら俺が所属している騎士団は男ばかりでな、あまり女性というものに慣れていない。どうすればプロポーズは成功するんだ?」
「えっと、ですねぇ⋯⋯」
どうしようか、と迷いうぐぐと唸る。
適当な事を言うわけにはいかないが、占い師として何も答えない訳にもいかなくて⋯
「そ、そうですね、まず明後日なんですが」
苦し紛れに一番手前に見えた未来で予知をしようと口を開いた私だったが、話し出した途端に水晶の中が揺らめいて。
『この間盛大に外したらしいよ』
『百発百中じゃないなら別にこの占いの館じゃなくてもいいよなぁ』
“!!??”
ヒュッと思わず息を呑んだ。
これはまさか!
“わ、私の未来!?やだっ、このままじゃ廃業一直線なんですけど!?”
水晶の映し出したその未来に嫌な汗が背を伝う。
これはマズイ、とてもマズイ。
「で、明後日どうなんだろうか?」
「明後日は、パン屋さんの安売りですね!買いにいかなきゃだわぁ!!!」
あはははは、と無理やり笑い会話を流す。
完全にお互い顔が引きつっているが本気でそれどころではなかった。
外すと死!
私の生活が死!!
“なんとしてもこのプロポーズ、成功させなくちゃだわ⋯!?”
予言の魔女のプライドにかけて、というより私の今後の生活の為にも!
とにかくこの騎士様のプロポーズ、何がなんでも成功させてみせる⋯!!!
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