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3.初デートは突然に
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「何度か伝えたが、あまり女性というものに慣れていないんだ。だからその⋯」
「明確なイメージが出来てないって事ですね?」
だからこそとっちらかった未来になってるって訳なのだろう。
相手の女性の好みが把握さえ出来ればそれに合わせてあれはダメこれはダメと数を減らせばいい。
しかしそこがわからず多くのパターンを考慮してしまうのならば、逆にエバンが『これ!』というプロポーズを考えその結果を予言する方が楽だというもので。
「とりあえずまずは慣れてイメージを固める事です!サクッとデートでもなんでもしてくださいっ!」
「サクッとと言われてもな⋯」
小さくため息を吐くエバンをただ眺める。
少し先の未来が視えるだけのローズには手伝える事はないからだ。
「⋯じゃあ、魔女殿がデートしてくれないか?」
「⋯⋯えっ」
悩みながら導きだした結論です!というある意味自信すら垣間見えるその表情で言われた言葉に唖然とするのはもちろんローズで。
「え、な、なんで私が⋯?」
「俺の所属してる騎士団には女性が」
「いないんですよね!?でも、なんで私!?」
「? 魔女殿は女性ではないのか⋯?」
そうじゃない!
何故婚約者の女性を誘わないんだという抗議がしたい訳でッッ
「誘えるのが貴女しか思い付かないのだが、ダメ⋯だろうか?」
「うぐっ」
全力で文句を言おうと口を開くが、困ったように眉を下げ下から窺うように見上げられて言葉に詰まる。
“子犬みたいなのは卑怯でしょ⋯!?”
意思の強そうな彼が見せる突然の可愛さに苛立ちつつ、罪悪感を刺激された。
それに、誘えるのが私しかいないって⋯
“婚約者の女性は地方貴族なのかしら?”
貴族ならば当日まで手紙のやり取りのみということもあるのかもしれないと納得し、そして渋々頷く。
「⋯まぁ、練習に付き合うくらいなら」
“私の百発百中記録に傷を付ける訳にもいかないし、サポートするって約束したのは私だし⋯”
仕方なくため息混じりにそう返事したローズ。
そんなローズとは反対にパッと破顔させたエバンは
「ありがとう」
と満面の笑みでお礼を言いつつローズの手を取りしっかり握ってきて。
“ちょ、ちょっとーー!ここで笑顔は卑怯じゃない!?ムッツリのくせに!ムッツリのくせにぃ!!”
ドキンと胸が高鳴ったのは、思いの外笑った顔が幼く可愛いなんて思ったからではなくて、私も恋愛経験が少ないからだとそう必死に思うことにした。
いざ出発、とは思ったのだが。
「とりあえず観劇でも行くか?」
「プロポーズの相手にはいいかもしれませんが私には良くないですね」
立ち塞がるのは主に服の壁だった。
“絶対ドレスコード引っ掛かる、そもそもドレスを持ってない!”
しがない占い師に、そんな高級な遊びをする余裕なんかあるはずがなくて。
「では、市場の散策に⋯」
「お相手様も散策とか行かれるんですかね?」
だからと言って庶民の私に合わせたデートがいい訳もなく。
いや、お忍びであれば貴族も行くかもしれないが⋯
でもさすがに初デートでお忍び、プロポーズもお忍びはない!と、思う!!
「ではどうすれば?」
「それは⋯」
最もな質問を投げられ、思わず口ごもる。
ぶっちゃけ私とプロポーズ相手の身分差を埋める方法が思い付かなくて⋯
うんうん唸る私を暫く見ていたエバンが、突然スクッと立ち上がった。
「俺の相手に合わせるのもいいが、今日は普通に出掛けよう」
「へ?」
「そもそも俺は女性に慣れていないんだ、経験は多い方がいいだろう」
「それは⋯そうかも、しれませんが⋯」
でも、だけど、とまだまごまご言っている私をスルーし、勝手に私の腕を取ったエバンはそのまましれっと歩きだして。
「え!?ちょ、」
「魔女殿はどこに行きたい?希望があれば言って欲しい」
なんて言いながら迷いなく歩くその腕に引っ張られ向かった先はまさしく市場だった。
「えーっと、どこか目的が?」
「特にない」
「じゃあなんでここに?」
「意味はない」
“ないんかい!!”
思わず心の中で盛大に突っ込むが、来てしまったものは仕方なく。
「お腹とか、すいてます?」
そもそもこの市場はお貴族様方のデートには少々相応しくはないが、それでも私には慣れ親しんだ市場でもあって。
「今日は仕方ないから案内してあげます!」
「そうか、それは助かる。ありがとう魔女殿」
ははっ、と爽やかに笑われ思わず息を呑む。
堅物に見える彼は案外よく笑うらしい。
「その、魔女殿ってやめません?私もお名前で呼んでますし、私の事はその⋯ローズと呼んでください」
笑顔に当てられて照れてしまった顔を誤魔化しながら、少し気になっていた名前を指摘する。
それをすぐさま了承した彼は。
「あぁ、よろしくな、ローズ」
「ッ!!」
さらりと呼ばれ一気に顔が熱くなる。
いやいやいや、いやいやいや!!!
名前呼ばれただけなんですけど!?
エバンが女慣れしていない以上に自分の免疫力の無さに思わず震えた。
「明確なイメージが出来てないって事ですね?」
だからこそとっちらかった未来になってるって訳なのだろう。
相手の女性の好みが把握さえ出来ればそれに合わせてあれはダメこれはダメと数を減らせばいい。
しかしそこがわからず多くのパターンを考慮してしまうのならば、逆にエバンが『これ!』というプロポーズを考えその結果を予言する方が楽だというもので。
「とりあえずまずは慣れてイメージを固める事です!サクッとデートでもなんでもしてくださいっ!」
「サクッとと言われてもな⋯」
小さくため息を吐くエバンをただ眺める。
少し先の未来が視えるだけのローズには手伝える事はないからだ。
「⋯じゃあ、魔女殿がデートしてくれないか?」
「⋯⋯えっ」
悩みながら導きだした結論です!というある意味自信すら垣間見えるその表情で言われた言葉に唖然とするのはもちろんローズで。
「え、な、なんで私が⋯?」
「俺の所属してる騎士団には女性が」
「いないんですよね!?でも、なんで私!?」
「? 魔女殿は女性ではないのか⋯?」
そうじゃない!
何故婚約者の女性を誘わないんだという抗議がしたい訳でッッ
「誘えるのが貴女しか思い付かないのだが、ダメ⋯だろうか?」
「うぐっ」
全力で文句を言おうと口を開くが、困ったように眉を下げ下から窺うように見上げられて言葉に詰まる。
“子犬みたいなのは卑怯でしょ⋯!?”
意思の強そうな彼が見せる突然の可愛さに苛立ちつつ、罪悪感を刺激された。
それに、誘えるのが私しかいないって⋯
“婚約者の女性は地方貴族なのかしら?”
貴族ならば当日まで手紙のやり取りのみということもあるのかもしれないと納得し、そして渋々頷く。
「⋯まぁ、練習に付き合うくらいなら」
“私の百発百中記録に傷を付ける訳にもいかないし、サポートするって約束したのは私だし⋯”
仕方なくため息混じりにそう返事したローズ。
そんなローズとは反対にパッと破顔させたエバンは
「ありがとう」
と満面の笑みでお礼を言いつつローズの手を取りしっかり握ってきて。
“ちょ、ちょっとーー!ここで笑顔は卑怯じゃない!?ムッツリのくせに!ムッツリのくせにぃ!!”
ドキンと胸が高鳴ったのは、思いの外笑った顔が幼く可愛いなんて思ったからではなくて、私も恋愛経験が少ないからだとそう必死に思うことにした。
いざ出発、とは思ったのだが。
「とりあえず観劇でも行くか?」
「プロポーズの相手にはいいかもしれませんが私には良くないですね」
立ち塞がるのは主に服の壁だった。
“絶対ドレスコード引っ掛かる、そもそもドレスを持ってない!”
しがない占い師に、そんな高級な遊びをする余裕なんかあるはずがなくて。
「では、市場の散策に⋯」
「お相手様も散策とか行かれるんですかね?」
だからと言って庶民の私に合わせたデートがいい訳もなく。
いや、お忍びであれば貴族も行くかもしれないが⋯
でもさすがに初デートでお忍び、プロポーズもお忍びはない!と、思う!!
「ではどうすれば?」
「それは⋯」
最もな質問を投げられ、思わず口ごもる。
ぶっちゃけ私とプロポーズ相手の身分差を埋める方法が思い付かなくて⋯
うんうん唸る私を暫く見ていたエバンが、突然スクッと立ち上がった。
「俺の相手に合わせるのもいいが、今日は普通に出掛けよう」
「へ?」
「そもそも俺は女性に慣れていないんだ、経験は多い方がいいだろう」
「それは⋯そうかも、しれませんが⋯」
でも、だけど、とまだまごまご言っている私をスルーし、勝手に私の腕を取ったエバンはそのまましれっと歩きだして。
「え!?ちょ、」
「魔女殿はどこに行きたい?希望があれば言って欲しい」
なんて言いながら迷いなく歩くその腕に引っ張られ向かった先はまさしく市場だった。
「えーっと、どこか目的が?」
「特にない」
「じゃあなんでここに?」
「意味はない」
“ないんかい!!”
思わず心の中で盛大に突っ込むが、来てしまったものは仕方なく。
「お腹とか、すいてます?」
そもそもこの市場はお貴族様方のデートには少々相応しくはないが、それでも私には慣れ親しんだ市場でもあって。
「今日は仕方ないから案内してあげます!」
「そうか、それは助かる。ありがとう魔女殿」
ははっ、と爽やかに笑われ思わず息を呑む。
堅物に見える彼は案外よく笑うらしい。
「その、魔女殿ってやめません?私もお名前で呼んでますし、私の事はその⋯ローズと呼んでください」
笑顔に当てられて照れてしまった顔を誤魔化しながら、少し気になっていた名前を指摘する。
それをすぐさま了承した彼は。
「あぁ、よろしくな、ローズ」
「ッ!!」
さらりと呼ばれ一気に顔が熱くなる。
いやいやいや、いやいやいや!!!
名前呼ばれただけなんですけど!?
エバンが女慣れしていない以上に自分の免疫力の無さに思わず震えた。
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