1 / 1
夢と目的
しおりを挟むさて、夢について語ろうか。
子供の将来の、夢。お化けに追いかけられて高い所から落ちる、夢。作家になる夢は諦めろ、の夢。子供の夢と大人の夢は同じか否かは頭の中の議論の対象外。そもそも、法律を抜きにした場合の大人と子供の境界線があまりにも不明瞭で不明確だ。まぁ、その話はおいおいしてゆくとしよう。
夢、とは何か? ありきたりで曖昧な言葉。強制力のない願い。夢、の一言で片付けられる問題がこの世に数多く存在するとは思わないかい? それは夢か。これは夢だ。夢は大切だと言われて育つ子供。夢を見るなと言われる大人。どうも時間が関わってくるような気がするね? 深夜に枕と重なる頭で見る夢じゃあない。起きた頭で思い描く夢さ。考える、夢、じゃあない。思い描く、夢。ここが大切。
え? 早く結論を言え? おいおい、ちょっと待ってくれ。これは僕の頭の中の議論であり独り言だ。人生の叡智を結集しても答えの出ないような問題の結論をおいそれと出せるわけが無いだろう?
考える、夢。なんだかおかしく聞こえないかい? 夢は思い描くものであり、考えるものではない。思い描くと考える、似て非なる存在、いや、言葉。思い描く、とは想像を膨らますことであり、考える、とは論理を組み立てることである。議論の余地は、もちろんあるぜ?
想像を膨らます。論理を組み立てる。妄想する。計算する。おやおや、だんだんと夢の正体が分かってきたようだ。もちろん、寝ている時に見る夢は妄想の類だろう。現実に起こり得る事象だ、と叫ぶ占い師もいるかもしれないが、ね?
夢とは妄想であり、大人が見るものじゃあない、とある人が言えば納得する人もいるかもしれない。ちょっと待て、と言う人もいる。夢が妄想なら、それを現実のものとする成功者たちはどうなる、と。僕の中のある人が騒がしい。
夢を現実に変える成功者は確かに存在する。野球選手を夢みてそれを叶える人。宇宙飛行士を夢みて地球を見下ろした人。宝くじで大当たりする夢を見た人の話は、この際、抜きにして貰えるとありがたい。いや、宝くじを買った時点で確率論の分野に入るわけだから、議論の内に入れてもいいか。でも、僕は数学が苦手なんだ。
長くなるね。独り言は止まらない。そう生きてきたのだから。おっと、話が脱線してしまう。
大人は夢を見るな、とは叶わぬ妄想をやめろと言うことだ。本当はここで妄想と計算の違いも議論したいのだが、時間がない、いや、短編では終わらない。
では、夢が妄想ならば、なぜ成功者は存在するのか? 先ほどの宝くじは悪い例だ。議論を長くする。成功者は初めに夢を見た。つまり、妄想したわけだが、ここからが夢みがちな少女と一線を画く。彼らは計算する。どうすれば夢を叶えられるのかを。妄想を考える、はおかしいよね? つまり考え始めた時点でそれは夢から目的に変わる。もちろん、途中で計算をやめれば机上の空論にすらなり得ないわけだが。つまり、夢とは妄想であるからして、いずれ成功する者が見るのは夢の先の目的である、と。
人生に必要なのは目的だ、と僕の中のある人は言う。夢ではなく目的。例えば家庭を持って子供を育てるのを人生の目的とするものは、安定した経済力が必要であり、大学に出ていい会社に入社するのは目的を達成する良い手段となるだろう。野球選手を夢見ながら白衣を着て病院を闊歩するものがあれば、確かに、もう夢は見るなと言いたくなる。いや、見てもいい、ただ、追いかけてはいけない。夢は妄想なのだから。
人生に必要なのは目的であり、目的とは計算の上に成り立った将来だ。
子供は夢を見てもいい。何故なら導いてくれる者がいるから。大人は夢を見るのも大概にしなければいけない。何故なら導いてくれる者などいないのだから。大人は自分で目的を定め、計算し、遂行し、その目的にあった生き方をしなければいけないのだよ。分かったかい、僕?
例えば作家を目的とするのならば、結婚を夢みてはいけない。安定した経済力は望めないからね? おっと、分かってるさ、そんな事は。全く、嫌な独り言だ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる