7 / 66
第一章 邂逅編
砂漠の戦い
しおりを挟む
商隊とともに旅を始めて数日が過ぎた。
最初は無口で怯えがちだったティアも、今ではよく笑うようになった。荷の積み下ろしや、野営の手伝いも進んで行い、特に女性陣とはすっかり打ち解けていた。
「ティア、これ持ってってー!」
「はーい!」
陽に焼けた腕を振る女性に、ティアは小走りで駆け寄り、荷を受け取る。その顔は、どこか楽しげだった。
女性陣は気さくで逞しく、まるで大きな家族のような一体感があった。笑い声が絶えず、どんな過酷な旅路も、彼女たちといれば心強かった。
この商隊は、ただの交易団ではなかった。隊は各地の王都や辺境、港町にまで路を持ち、獣人やエルフの住まう地へも出入りしていた。
商人だけでなく、吟遊詩人のような者や、身体に刺青を刻んだ職人、珍しい品を売る亜人たちも混じっていて、旅のあちこちが異国の香りに満ちていた。
ティアはそんな世界に触れるたび、自分が今までどれほど狭い檻の中にいたのかを思い知らされるのだった。
──そして、事件は起きた。
その日は、女性たち数人で、砂漠の外れにある水源へ水を汲みに行っていた。隊の男たちが荷の整理に追われていたこともあり、彼女たちだけでの行動だった。
そのときだった。砂丘の向こうから、異様な唸り声が響く。
砂色の鱗をまとった、四つ足の魔獣が姿を現した。
背丈は馬よりも高く、全身が鋭利な甲殻に覆われている。裂けた口からは粘液が滴り、獲物を前に涎を垂らすように牙を鳴らした。目のない顔が、水辺に群れる女たちを捉え、うなり声と共に突進してくる。
「きゃああああっ!!」
「ティア、逃げてっ!」
悲鳴が上がり、誰かが転ぶ。
その瞬間、ティアは後ろを振り返った。
逃げることはできた。けれど、背を向けてしまえば、誰かが喰われる。
彼女は足を止め、息を吸った。
「……ッ、風よ!」
その声と共に、周囲の空気が震えた。
ティアの足元から巻き上がるようにして風が渦を巻き、モンスターに向けて鋭く吹きつける。その一撃は砂を巻き込み、魔獣の視界を封じたかと思えば──
ズン、と地を打つ重い音。
魔獣の体がぐらつき、膝をつく。
その隙を見逃さず、ティアは地を蹴った。
袖口から現れたのは、飾り気のない短剣。ただの護身用ではない。彼女はそれを片手に、敵の喉元へ一閃を浴びせた。
ぬらりとした鱗を裂き、魔獣が悲鳴を上げて地に沈む。
しばしの静寂。女たちの目は、呆然とその場に立つティアに注がれていた。
「……ティア、あんた……」
息を呑むように誰かが呟く。
賞賛とも、信じがたいものを見るような目。
けれど、その刹那。砂丘の上の影が、揺れた。
先ほど倒した個体と同じ魔獣が、さらに三体、砂を蹴立てて現れる。
しかも、その奥。地響きを伴って、ひときわ巨大な影が姿を現し始める。
女たちの顔から、先ほどまでの安堵が消える。
ティアは、短剣を握り直した。だが、その指先が、僅かに震えていた。
砂丘の向こうから迫ってくる怪物たち。
鋭い爪が砂を裂き、低い唸り声が喉を震わせて響いてくる。
ティアは、後ろの女たちを一瞥し、静かに短剣を構え直した。
恐怖はあった。だが、それ以上に、彼女の中にあったのは譲れない何かだった。
風の刃をまといながら、彼女は走った。
「はああああっ!」
一体目の首元に風の刃を叩き込み、横から跳びかかるもう一体の顎をかわして肩を斬られる。悲鳴を飲み込むように踏みとどまり、足元に突き出された爪を跳び越え、短剣を逆手に構えて喉を裂く。
砂が血と体液で濡れ、風が生臭さを運ぶ。
次第に、ティアの身体は傷で覆われていく。
太ももに爪がかすり、二の腕を裂かれ、頬にも傷が走る。
それでも、彼女は下がらなかった。
「……まだ……終わってない……!」
息が上がる。視界が揺れる。
けれど、彼女の瞳は、決して折れなかった。
三体目の魔獣が、咆哮と共に跳躍した。
真正面からぶつかるように風を放ち、短剣を構えて突き上げる。
喉元に突き刺さった刃と、風の衝撃が怪物を吹き飛ばす。
やがて、砂上に沈黙が訪れた。
「……っ、はぁ……は……っ」
ティアは、血まみれの短剣を握ったまま、その場に膝をついた。
風が髪をなびかせ、破れた衣が揺れる。
「すご……」
「一人で、あんな数を……!」
水を汲みに来ていた女性たちが、呆然と彼女を見つめる。
誰かが口元を押さえ、誰かが涙ぐんだ。
そして次々に言葉がこぼれる。
「……ありがとう、ティア」
「あなたがいなかったら、あたしたち……!」
そのときだった。
空気が、変わった。
ズン……と、重く、大地を叩くような足音。
砂が舞い、女たちが再び顔を上げたその先。
砂丘の上から現れたのは、先ほどの魔獣よりも遥かに巨大な一体だった。
甲殻は黒光りし、背中には棘のような突起が何本も伸びている。
赤黒い眼光が、地に膝をついたティアにまっすぐ向けられた。
「──……っ」
ティアは、動けなかった。
体が、限界だった。
──ダメ……動かない……このままじゃ……
魔獣が飛びかかる。まさにその瞬間。
空を裂くような風音と共に、閃光が斜め上から降り注いだ。
鋭い金属音。豪快な打撃音が響く。
次の瞬間、魔獣の片腕が、爆ぜるように吹き飛んだ。
「ティア──!」
砂を切り裂くように、風をまとった影が割って入る。
黒い髪が風にたなびき、太陽のような金の瞳が鋭く輝いていた。
旅装に身を包み、肩に担いでいた槍を構えるその姿は、まるで誰かの物語から抜け出してきた英雄のようだった。
槍の穂先が砂を弾き、金属のうなりと共に再び親玉へと突き立てられる。
魔獣が唸りを上げ、後退する。
青年は、荒く呼吸するティアに目をやった。
その瞳には、驚きも動揺もない。ただ、静かな安堵と誇りだけがあった。
「……よく耐えたな、ティア。あとは俺に任せろ」
そう言って、彼は槍をゆっくりと構え直す。
獣が再び唸り声を上げた刹那、彼の足が砂を蹴った。
風と共に走り出したカイの姿が、砂塵の中で揺らめく。
その動きは、一言で言えば「異質」だった。
静と動を切り替えるように、足を止めたかと思えば、次の瞬間には目にも留まらぬ速さで間合いを詰める。
槍が唸りを上げ、親玉の甲殻に鋭く突き立てられる。
硬質な音と共に火花が散り、だがそれだけでは終わらなかった。
「重力崩壊」
カイの声が響いた瞬間、突き刺さった槍を起点にして、砂地がうねり、激しく崩れ始める。
重力の魔力が周囲に広がり、砂漠の地面が吸い込まれるように沈み込み、巨大な魔獣が一瞬で深く埋まった。
その巨体が砂に飲み込まれる様子に、ティアは目を見開いた。
しかし、親玉はすぐに体を捩じらせて砂から這い出て反撃に転じる。
棘を振り回し、鋭い尾を跳ね上げて襲いかかる。
「っ……!」
カイは跳んだ。
身体にまとった魔力が風を裂くように放出され、空中で体勢を崩すことなく宙返りを描く。
槍をくるりと回転させながら、空中で詠唱する。
「 雷鎖結界」
宙に浮かんだ魔法陣から、稲妻の鎖が幾筋も奔った。
雷の閃光が獣の四肢を絡めとり、暴れるたびに焼き焦がす。
親玉の咆哮が砂漠に木霊する。
そこに、カイは着地と同時に肉薄した。
地を蹴り、一気に踏み込む。
槍を一回転させ、逆手に持ち替えて勢いよく叩きつける。
ゴゥッ……と空気が震えた。
魔力を纏った一撃が、親玉の胸部を深々と貫いた。
「ッ、終いだ! 次元穿突!」
放たれたのは、魔力と質量を乗せた渾身の突き。
それはただの物理攻撃ではない。魔法で空間を断ち切る“概念突き”だった。
音もなく、親玉の体が奥深くまで抉られ、黒い体液を噴き出して崩れ落ちる。
静寂が訪れた。
風が吹き、砂が舞う。
槍を肩に戻したカイは、ようやくこちらを向いて微笑んだ。
「……遅れてごめんな、ティア」
その姿は、まさに英雄だった。
地に伏した魔獣の上に立つ彼を、ティアはただ、見つめていた。
最初は無口で怯えがちだったティアも、今ではよく笑うようになった。荷の積み下ろしや、野営の手伝いも進んで行い、特に女性陣とはすっかり打ち解けていた。
「ティア、これ持ってってー!」
「はーい!」
陽に焼けた腕を振る女性に、ティアは小走りで駆け寄り、荷を受け取る。その顔は、どこか楽しげだった。
女性陣は気さくで逞しく、まるで大きな家族のような一体感があった。笑い声が絶えず、どんな過酷な旅路も、彼女たちといれば心強かった。
この商隊は、ただの交易団ではなかった。隊は各地の王都や辺境、港町にまで路を持ち、獣人やエルフの住まう地へも出入りしていた。
商人だけでなく、吟遊詩人のような者や、身体に刺青を刻んだ職人、珍しい品を売る亜人たちも混じっていて、旅のあちこちが異国の香りに満ちていた。
ティアはそんな世界に触れるたび、自分が今までどれほど狭い檻の中にいたのかを思い知らされるのだった。
──そして、事件は起きた。
その日は、女性たち数人で、砂漠の外れにある水源へ水を汲みに行っていた。隊の男たちが荷の整理に追われていたこともあり、彼女たちだけでの行動だった。
そのときだった。砂丘の向こうから、異様な唸り声が響く。
砂色の鱗をまとった、四つ足の魔獣が姿を現した。
背丈は馬よりも高く、全身が鋭利な甲殻に覆われている。裂けた口からは粘液が滴り、獲物を前に涎を垂らすように牙を鳴らした。目のない顔が、水辺に群れる女たちを捉え、うなり声と共に突進してくる。
「きゃああああっ!!」
「ティア、逃げてっ!」
悲鳴が上がり、誰かが転ぶ。
その瞬間、ティアは後ろを振り返った。
逃げることはできた。けれど、背を向けてしまえば、誰かが喰われる。
彼女は足を止め、息を吸った。
「……ッ、風よ!」
その声と共に、周囲の空気が震えた。
ティアの足元から巻き上がるようにして風が渦を巻き、モンスターに向けて鋭く吹きつける。その一撃は砂を巻き込み、魔獣の視界を封じたかと思えば──
ズン、と地を打つ重い音。
魔獣の体がぐらつき、膝をつく。
その隙を見逃さず、ティアは地を蹴った。
袖口から現れたのは、飾り気のない短剣。ただの護身用ではない。彼女はそれを片手に、敵の喉元へ一閃を浴びせた。
ぬらりとした鱗を裂き、魔獣が悲鳴を上げて地に沈む。
しばしの静寂。女たちの目は、呆然とその場に立つティアに注がれていた。
「……ティア、あんた……」
息を呑むように誰かが呟く。
賞賛とも、信じがたいものを見るような目。
けれど、その刹那。砂丘の上の影が、揺れた。
先ほど倒した個体と同じ魔獣が、さらに三体、砂を蹴立てて現れる。
しかも、その奥。地響きを伴って、ひときわ巨大な影が姿を現し始める。
女たちの顔から、先ほどまでの安堵が消える。
ティアは、短剣を握り直した。だが、その指先が、僅かに震えていた。
砂丘の向こうから迫ってくる怪物たち。
鋭い爪が砂を裂き、低い唸り声が喉を震わせて響いてくる。
ティアは、後ろの女たちを一瞥し、静かに短剣を構え直した。
恐怖はあった。だが、それ以上に、彼女の中にあったのは譲れない何かだった。
風の刃をまといながら、彼女は走った。
「はああああっ!」
一体目の首元に風の刃を叩き込み、横から跳びかかるもう一体の顎をかわして肩を斬られる。悲鳴を飲み込むように踏みとどまり、足元に突き出された爪を跳び越え、短剣を逆手に構えて喉を裂く。
砂が血と体液で濡れ、風が生臭さを運ぶ。
次第に、ティアの身体は傷で覆われていく。
太ももに爪がかすり、二の腕を裂かれ、頬にも傷が走る。
それでも、彼女は下がらなかった。
「……まだ……終わってない……!」
息が上がる。視界が揺れる。
けれど、彼女の瞳は、決して折れなかった。
三体目の魔獣が、咆哮と共に跳躍した。
真正面からぶつかるように風を放ち、短剣を構えて突き上げる。
喉元に突き刺さった刃と、風の衝撃が怪物を吹き飛ばす。
やがて、砂上に沈黙が訪れた。
「……っ、はぁ……は……っ」
ティアは、血まみれの短剣を握ったまま、その場に膝をついた。
風が髪をなびかせ、破れた衣が揺れる。
「すご……」
「一人で、あんな数を……!」
水を汲みに来ていた女性たちが、呆然と彼女を見つめる。
誰かが口元を押さえ、誰かが涙ぐんだ。
そして次々に言葉がこぼれる。
「……ありがとう、ティア」
「あなたがいなかったら、あたしたち……!」
そのときだった。
空気が、変わった。
ズン……と、重く、大地を叩くような足音。
砂が舞い、女たちが再び顔を上げたその先。
砂丘の上から現れたのは、先ほどの魔獣よりも遥かに巨大な一体だった。
甲殻は黒光りし、背中には棘のような突起が何本も伸びている。
赤黒い眼光が、地に膝をついたティアにまっすぐ向けられた。
「──……っ」
ティアは、動けなかった。
体が、限界だった。
──ダメ……動かない……このままじゃ……
魔獣が飛びかかる。まさにその瞬間。
空を裂くような風音と共に、閃光が斜め上から降り注いだ。
鋭い金属音。豪快な打撃音が響く。
次の瞬間、魔獣の片腕が、爆ぜるように吹き飛んだ。
「ティア──!」
砂を切り裂くように、風をまとった影が割って入る。
黒い髪が風にたなびき、太陽のような金の瞳が鋭く輝いていた。
旅装に身を包み、肩に担いでいた槍を構えるその姿は、まるで誰かの物語から抜け出してきた英雄のようだった。
槍の穂先が砂を弾き、金属のうなりと共に再び親玉へと突き立てられる。
魔獣が唸りを上げ、後退する。
青年は、荒く呼吸するティアに目をやった。
その瞳には、驚きも動揺もない。ただ、静かな安堵と誇りだけがあった。
「……よく耐えたな、ティア。あとは俺に任せろ」
そう言って、彼は槍をゆっくりと構え直す。
獣が再び唸り声を上げた刹那、彼の足が砂を蹴った。
風と共に走り出したカイの姿が、砂塵の中で揺らめく。
その動きは、一言で言えば「異質」だった。
静と動を切り替えるように、足を止めたかと思えば、次の瞬間には目にも留まらぬ速さで間合いを詰める。
槍が唸りを上げ、親玉の甲殻に鋭く突き立てられる。
硬質な音と共に火花が散り、だがそれだけでは終わらなかった。
「重力崩壊」
カイの声が響いた瞬間、突き刺さった槍を起点にして、砂地がうねり、激しく崩れ始める。
重力の魔力が周囲に広がり、砂漠の地面が吸い込まれるように沈み込み、巨大な魔獣が一瞬で深く埋まった。
その巨体が砂に飲み込まれる様子に、ティアは目を見開いた。
しかし、親玉はすぐに体を捩じらせて砂から這い出て反撃に転じる。
棘を振り回し、鋭い尾を跳ね上げて襲いかかる。
「っ……!」
カイは跳んだ。
身体にまとった魔力が風を裂くように放出され、空中で体勢を崩すことなく宙返りを描く。
槍をくるりと回転させながら、空中で詠唱する。
「 雷鎖結界」
宙に浮かんだ魔法陣から、稲妻の鎖が幾筋も奔った。
雷の閃光が獣の四肢を絡めとり、暴れるたびに焼き焦がす。
親玉の咆哮が砂漠に木霊する。
そこに、カイは着地と同時に肉薄した。
地を蹴り、一気に踏み込む。
槍を一回転させ、逆手に持ち替えて勢いよく叩きつける。
ゴゥッ……と空気が震えた。
魔力を纏った一撃が、親玉の胸部を深々と貫いた。
「ッ、終いだ! 次元穿突!」
放たれたのは、魔力と質量を乗せた渾身の突き。
それはただの物理攻撃ではない。魔法で空間を断ち切る“概念突き”だった。
音もなく、親玉の体が奥深くまで抉られ、黒い体液を噴き出して崩れ落ちる。
静寂が訪れた。
風が吹き、砂が舞う。
槍を肩に戻したカイは、ようやくこちらを向いて微笑んだ。
「……遅れてごめんな、ティア」
その姿は、まさに英雄だった。
地に伏した魔獣の上に立つ彼を、ティアはただ、見つめていた。
29
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
夫より強い妻は邪魔だそうです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
「ソフィア、お前とは離縁する。書類はこちらで作っておいたから、サインだけしてくれ」
夫のアランはそう言って私に離婚届を突き付けた。名門剣術道場の師範代であるアランは女性蔑視的な傾向があり、女の私が自分より強いのが相当に気に入らなかったようだ。
この日を待ち望んでいた私は喜んで離婚届にサインし、美しき従者シエルと旅に出る。道中で遭遇する悪党どもを成敗しながら、シエルの故郷である魔法王国トアイトンに到達し、そこでのんびりとした日々を送る私。
そんな時、アランの父から手紙が届いた。手紙の内容は、アランからの一方的な離縁に対する謝罪と、もうひとつ。私がいなくなった後にアランと再婚した女性によって、道場が大変なことになっているから戻って来てくれないかという予想だにしないものだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる