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3. 天女様の再来 ???side

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「アーロンお帰り」
「天女様はどうだった」
「ただいま。今から皆に報告するよ」


アーロンはとある一室に足を踏み入れるとそこには19人の男達がいた。
一つだけ空いた席に腰を下ろすと口を開く。


「結論からいうと今回の天女様は元の世界に帰りたがっています」
「どうせフリだろ」
「か弱い振り、知らない振りどれだけ俺たちをコケにすれば気が済むんだ」
「僕はもうあの子達を悲しませたくありません」
「元の世界に帰りたいのならさっさと天に召してやればいい」
「だよねー。天から来たんだし天に召せば帰れるんじゃないのー?」


男達は口々に天女の批判をする。
此処にいる全員…いや、学園にいる全員が天女様を快く思っていない。
今回の天女は五人目だ。
今までの天女は全員この世界の事を知っていた。天女は皆同じ場所から来ているから今回の天女も恐らく同じだろう。
天女は俺たちの事を知っていてよく接触をしてくる。そうすると俺たちは"ほせい"というものにかかって天女の傍に群がっている。

一人目は学園の男全員を虜にし、二人目は高等部の生徒と先生達を、三人目は高等部2、3年生と先生達、四人目は中等部から高等部の生徒を"ほせい"で虜にする。
"ほせい"が解けた時には毎回俺たちは後悔する。何度下級生達を傷付けて来ただろうか。

もうやめてくれ。
何度そう思ったことか。

だが、この国では天女は神の思し召しとして丁重に持て成すようになっている。
厄介な事に天女が降りてくる時には空が黄金に輝くものだから国民にも天女が来たことが直ぐに知られている為隠すことも出来ない。ただ、不思議なことに天女は毎回この学園に降りてくる。


「今回もまたあいつらを悲しませることになるのか…」
「くそっ、何かいい方法はらないのか」
「"ほせい"は魔法じゃ防げないからね」
「また終わるのを待つしか出来ないのか」


系統は違えど各々端正な顔立ちをした男達が苦渋に顔を歪ませる。


「天女様には近付かないことは前提として向こうから寄って来た場合の対処法が問題だ」
「分かっているのは半径100メートル以内にいると"ほせい"にかかるって事だけだ」
「天に返そうにも"ほせい"が切れない限りは天女様に近付くことも出来ない……」


今回もこれといった打開策が見つからずに男達は溜息を零し、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


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