奴隷契約書の先

史乃あき

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⑧-1調教の日々3

 前回の悪夢のようなお泊まり調教のあとも、私、桐生春香は相変わらず、まさよしの支配を受け続けていた。
家と学校、そしてまさよしのもとを往復するだけの日々。

 彼の言葉どおり、表向きの生活は壊されてはいない。周囲に知られることもなく、大学生としての私の顔は守られていた。
 けれどその裏で、毎日の食事報告や排泄の報告、そして命じられる自慰は確実に私を侵食していく。
 ぎこちなかったはずの自慰も、今では手順を覚え、気づけば激しさを増している。
 知らぬ間に、体と心が少しずつまさよしに染められていくのを、私は恐怖と嫌悪の中で自覚していた。

 調教の内容も、少しずつ変化していった。
 鞭を振るわれることもあるが、命令に従っている限り、以前のように容赦なく叩きつけられることは減った。

 それでも、人間としての尊厳を踏みにじる行為を強いられることに変わりはない。嫌悪が顔に出ればすぐ見抜かれ、嘲笑される。
 それでも、指示どおりに従っている間は、まだ「優しさ」と呼べるものを感じる余地があった。

 そうした日々を繰り返すうちに、最初の調教から一ヶ月が過ぎた。
 あと二ヶ月。
 この地獄のような生活の中で、私は必死に、身と心を守る術を少しずつ身につけていった。

 いつものように、汚らしいまさよしの部屋で、私は服従のポーズをとっていた。
 がに股で足を開き、腰を少し落とし、頭の後ろで手を組む。
 全裸で行うその姿勢は、文字どおり何もかもをさらけ出す屈辱の型であり、幾度繰り返しても羞恥で胸が詰まる。

「ご主人様、今日も奴隷の春香の調教をよろしくお願いします」
「おう。今日も楽しもうな」

 まさよしは下卑た笑みを浮かべ、私の唇に強引に口づけを押しつけてきた。鼻を突く口臭とともに、太く湿った舌がねじ込まれ、口内を蹂躙する。  
 あまりの不快さに思わず顔をしかめるが、視線を逸らすことも、逃げることも許されない。
 まさよしが満足するまで、私は舌を差し出し、唾液を絡め取られ、呼吸が苦しくなるほどの長い時間、口内を蹂躙され続けるしかなかった。
 ようやく解放されたときには、口の周りは唾液でべったりと濡れ、惨めに光っていた。
 少し咳き込みながら、次の命令を待つ。ポーズは崩せない。

「さあ、もう1か月が過ぎたな。陰毛も脇の毛も、ずいぶん伸びたじゃないか。似合ってるぞ」
「…ありがとうございます」

 太く脂ぎった手が脇に触れると、ぞわりと背筋に冷たい感覚が走った。触れられるたび、身体の奥がじんわりと縮む。調教が始まってから、毛の処理は禁止され、毎日育毛剤を塗られてきた。陰毛は下着の端から少しはみ出すほどに伸び、脇も濃く生えていることが確認できる。鏡でその姿を目にするたび、情けなさと自己嫌悪が胸を締め付けた。
 そのうえで、まさよしの手が肌に触れる。無理やり指を這わせられる感覚に、思わず体がこわばる。羞恥と嫌悪が交錯する中で、私はただ静かに耐えるしかない。

「それにしても、これだけ伸びれば、みっともないな」
「…はい」
「まあ、春香にはお似合いだ。嬉しいか?」
「…はい」

 脇から胸、そして下半身へと手を這わせながら、まさよしは下品な口調で告げる。

「今日は痛いのと気持ちいいの、どっちがいい?両方でもいいぞ」
「痛いのは嫌です」
「どっちがいいのか聞いてるんだ」

 媚びるような表情はせず、わたしは嫌悪感を含んだ目でまさよしを見つめた。それでも答えるしかなかった。
「…気持ちいいのがいいです。気持ちよくしてください」
「そうそう、それでいい。それにしても、だいぶ従順になってはいるが、心まで堕ちきっていないのはいいことだ」

 そう言いながら、わたしのお尻を手で叩く。パーンと大きめの音が響き、じんわりと痛みが広がる。
「ありがとうございます」

 反射的にお礼を言う。ここで教えられたルールの一つは、この男のすることには必ずお礼を言うことだった。

「そうか、そうか。じゃあ今日はお前は犬だ」
「…はい」
「おすわり」
「わん」

 言われるままに膝を折り、犬のようにお座りの姿勢をとる。
 この男は、わたしを人ではなく家畜として扱い、犬や豚の振る舞いを徹底して教え込もうとする。
 人としての尊厳など最初から存在しないと告げるように、少しでも逆らえばすぐに鞭が飛ぶ。
 だからわたしは羞恥も屈辱も押し殺し、従うしかなかった。

「よしよし、いい子だ。お手」
「わん」
右手を差し出す。

「ちんちん」
「わん」
 両手を前に上げ、犬のようにポーズをとる。
 そのときは舌をだらんと口から垂らさねばならない。

「よしよし」
 頭を撫でられ、舌を引っ張られながら乳首を弄ばれる。
 抵抗は許されない。

「お、そうだった。これを忘れていたな」
 まさよしが取り出したのは、銀色のプラグが付いた尻尾だった。
 鈍く光る金属がいやに重々しい。

「今日はうんこはしたか」
「わん」
 縦に頷く。

「そうか、尻を向けろ」
「……わん」

 尻尾をつけられることには、何度繰り返しても慣れない。冷たく硬い金属を肛門にねじ込まれる瞬間の異物感は吐き気を催すほど嫌悪を覚える。排泄のための穴を弄ばれ、そこへ挿入されるという行為そのものが、本能的に拒絶すべきものであり、到底受け入れられるものではなかった。
 少し重く感じる体をひねりながら、まさよしに向かって尻を突き出す。土下座の姿勢で腰を高く持ち上げると、バシンと平手の音が響き、お尻に鋭い痛みが走った。反射的にびくりと体が跳ねる。

「入れにくい。自分で広げろ」

 淡々とした口調。怒気はなく、罰を与えられる気配も感じられない。胸の奥で小さく安堵しつつ、命令には逆らえず従う。うつ伏せのまま腕をねじってお尻へ回し、羞恥に震えながら自分の割れ目を指で開く。
 頬を床に押し付けるような格好になり、視界に入るのは掃除されていない床。埃や食べかすが散らばっていて、そこに押し付けられている自分の顔と姿勢が、たまらなく惨めで汚らわしく思えた。
 
 ふうーっと吹きかけられた息が肛門に当たるたび、反射的にぎゅっと力が入ってしまう。冷たいローションが垂れ、ぬるりと指先が入口を探る。抵抗すれば痛みが走る。深呼吸して体を脱力させるしかない。
 恥ずかしさも、悔しさも、憎しみも考えれば崩れてしまう。だから何も考えない。ただ無心になって、身を守るための術を繰り返す。
 指は容赦なく奥へと潜り込み、掻き回しながらゆっくりと肛門を広げていく。その拷問のような前戯が十分に続いたあと、ひやりとした異物が押し当てられた。金属のような無機質さに、再び身体がこわばる。

「入れるぞ」

 低い声と同時に、犬尻尾付きのプラグがぐいと押し込まれていった。強烈な抵抗感に思わず歯を食いしばるが、呼吸に合わせて吐き出すようにして飲み込んでいく。最大の膨らみを越えた瞬間、すぽりとすべてが中へ収まり、尻尾がぴたりと根元に収まった。

 犬のように垂れた尻尾が太ももに触れ、くすぐったい感覚を残す。

「よし、入ったな」

 まさよしの手が無遠慮に尻を撫でる。私は顔を伏せたまま、小さく「わん」と応えた。

 まさよしは私の首輪を乱暴に掴み、リードを取り付けた。
「散歩だ」

 命令とともに、私は四つ這いのまま部屋をぐるぐると歩かされる。
 歩く速度は鞭で調整され、少しでも遅れれば背中に鋭い痛みが走る。時折、突然の号令が飛ぶ。「おすわり」「ふせ」「ちんちん」「片足を上げろ」そのたびに、犬の真似を強いられた。

 言われるままに動けている間は、鞭も軽く流す程度で済む。私は考えることを放棄し、ただ命令に従う機械のように身を任せた。くるくると回るごとに、意識はぼやけ、現実感が薄れていく。私は春香なのか、奴隷なのか、犬なのかわからなくなっていく。

 やがて「終わりだ」と声がかかる。
 散歩の時間は終わりらしい。
「おつかれさま」

 そう言って、まさよしは私の前にペット用の水皿を置いた。
 そこには水がなみなみと張られている。

「わん」

 小さく鳴いてから、伏せの姿勢のまま顔を近づけ、ぴちゃぴちゃと舌を使って水を舐め、犬のように飲んだ。

 出された水は一滴残らず飲み干さなければならなかった。
 最初は犬のように舌で掬うようにして口に含むが、それでは到底間に合わない。やがて唇を皿に押し当て、ズズズッと下品な音を立てながら水を啜る。部屋に響くその音は、自分がどれほど人としての誇りを失っているのかを突きつけるようだった。

 何とか全てを飲み干し、私は土下座をしたまま、

「わん。ありがとうございます。わん」
 と声を出す。

 次の瞬間、リードが引かれ、顎を無理やり持ち上げられる。視界の前に、彼の怒張したものが突き出されていた。言葉はない。
 ただ「舐めろ」という無言の命令。

 グロテスクな形状、鼻を突く生臭さに顔をしかめる。それでも逆らうことは許されない。私はおとなしく口を開き、それを迎え入れた。
 まさよしの陰部は熱く、硬く、そして大きすぎて口の中に納まりきらない。歯が触れないよう神経を尖らせ、苦しくならない程度に咥え込む。そして舌先を這わせるように動かし、愛撫を始めた。
 家畜扱いされている時は手を使うことは許されない。だから私は首を前後に揺らし、舌と唇だけで彼を刺激する。彼が満足し、性欲を吐き出すまで口を話すことは許されない。
 頑張って舌を這わせ、唇を動かしながら必死に奉仕をしていた。けれども、まさよしは満足していないらしかった。
いきなり後頭部を鷲掴みにされ、そのまま強引に喉の奥へと突き込まれる。

「ごほっ…!」
 息が漏れ、喉を圧迫される苦しさに体が跳ねる。必死に逃れようとするが、首筋にかかる手は重く力強く、振りほどけるはずもない。
 鼻先に濃い陰毛が触れ、呼吸のたびにむず痒く刺さる。吐き出そうとしても、奥を塞がれて空気がうまく吸えない。ただ必死に嗚咽を抑え込み、喉奥を突き破るような衝撃に耐えるしかなかった。
 まさよしは私の苦しみなど気にも留めず、ただ己の快楽のためだけに腰を動かし続ける。頭を押さえつけられたまま、喉奥を貫くたびに「ぐぽっ」「ごぼっ」という濁った音がこみあげ、口の端からは唾液が垂れ落ちていく。
 思わず両手で胸を押し返しそうになる。けれど、ここで突き放したり、ましてや歯を立てるような真似をすれば恐ろしい罰が待っている。それを思い出し、必死に感情を飲み込み、ただなされるままに耐え続けた。
 息苦しさに頭がぼんやりしかけたその時、まさよしの腰の動きが急に荒くなる。
 「出すぞ」低く唸る声と同時に、喉奥へと熱い奔流が叩きつけられた。

 灼けるような精液が喉にまとわりつき、逃げ場もなく胃へと流れ込んでいく。強い拒否反応で押し返そうとするが、奥を塞ぐ肉棒に阻まれ、すべてを飲み下すしかない。喉がひくつき、『ごく、ごく』といやらしい音を立てながら、精液は強制的に体内へと注がれていく。
 口の端からは唾液と精が混じり合った液体が垂れ、鼻水までが流れ落ちる。頬を伝う涙も合わさり、顔はぐちゃぐちゃに濡れそぼっていく。

 やがて吐き出すように息をつきながら、まさよしは余韻に浸りつつ陰茎を引き抜いた。精液と唾液に塗れたそれはぬらぬらと光り、ひどく淫靡な滑りを放っていた。

 「みせろ」そう命じられ、私は胃の中の不快感と逆流しそうな胸のむかつきを耐えながら、ゆっくりと口を大きく開く。のどの奥がわずかに広がり、腹底から空気が抜けると、「げぷっ」と下品な音が漏れた。鼻を突く精液の生臭い匂いに、さらに吐き気がこみ上げる。
 まさよしは顎を掴み、口内を念入りに観察する。歯の間に挟まった陰毛を見つけると、指でゆっくりと抜き出した。
 「おい、食べ残しだ」下卑た笑顔でそう言い放つと、私の口に押し込まれる。拒否の余地はなく、黙って飲み込むしかなかった。

「ごほっ、ごほっ、ありがとうございます」
 土下座のまま、お礼を口にする。

「今日はお前のオナニーを見せてもらおうかな。日頃の練習の成果を確認しなくてはいけないからな」
「…はい」
「毎日のオナニーはどうやっている。そのとおりにやれ」
「…はい」

 私はおずおずと両膝を立て、仰向けに寝転がる。恥ずかしさに手が一瞬躊躇するが、息を整え覚悟を決め、右手をそっとクリトリスに伸ばす。伸びた陰毛をかき分け、人差し指で優しく撫でる。
 毎日いじるように命じられ、まさよしから何度も性的な扱いを教え込まれたせいか、すでに体は熱く反応しようとしていた。しかし、今日与えられたのは恥ずかしさと屈辱だけ。そんな自分の体の反応に嫌悪感を覚えながらも、私は人差し指でクリトリスの先をゆっくりと愛撫する。
 皮膚の敏感な感触が指先に伝わり、思わず小さく息を漏らす。まさよしの目が自分をじっと見つめる中で、恥ずかしさと嫌悪が胸に渦巻くが、手を止めることは許されない。
 少しずつ指の動きを速める。湿った感触が増していき、体の奥がじんわりと熱くなる。呼吸が荒くなるたび、頬は赤く染まり、羞恥で胸が締め付けられる。ふと意識がアナルのプラグに向かう。冷たく重い金属が奥にある違和感が、指先の刺激と相まって体を震わせる。

 「春香、胸も一緒にいじれ」まさよしの声に、私はため息をつきながら左手を胸に置く。乳首をつまみ、少しずつねじるように愛撫する。敏感な部分が触れられるたび、羞恥と快感が混ざり、体の奥がざわつく。
 快感はじわじわと全身に広がり、下腹部の奥まで熱を運ぶ。指先と胸への刺激に合わせて、体が小さく震える。アナルのプラグの存在感も、快感を不思議に増幅させる。腰の動きが反応してしまうのを必死に押さえながら、吐き気混じりの羞恥を噛みしめる。
 やがて体が限界を迎える。脚の力が抜け、呼吸が荒くなる。背中を床に押し付けるようにして、指先と胸の刺激が一気にクリトリスを揺さぶる。腰が跳ね、声にならない呻きが漏れ、熱い波が体の奥から押し寄せる。

 「はっ…あっ…っ」耐えようと必死になっても、快感は抗えず、全身が震え、胸が締め付けられるように疼く。数回の呼吸とともに波は徐々に収まり、体に重みと熱が残る。息を整え、頬を赤くしながらも、私は小さく唇を噛み締めた。

「春香は、いつもそうやってオナニーしているのだな」
「…はい」
「これからオナニーをするときは、必ず胸もいじること。それに、あおむけだけでなく、うつぶせ、立って、座っていろんな体勢でやれ。わかったな」
「…はい」
「よし、じゃあ今から立ってオナニーだ」
「えっ。…ごめんなさい、今、出したばかりで……少しだけ時間をください」

「お前は俺に逆らうのか?」
「…ごめんなさい。やります」
「やりますじゃないだろ。『させてください』だ」
「…はい、させてください」
「なにを?」
「オナニーを、させてください」
「だめだな。それでは弱すぎる。もっと卑猥に頼め。お前は俺の奴隷だろ? 気持ちよくなりたいなら、俺を納得させるように頼まなければいけない」
「…はい」
「いやならやらなくてもいい。そのかわり、俺の頼みに従わない時間が増えるだけだぞ」

 まさよしはちらりと床に目をやる。その視線の先に鞭があるのを見て、背筋が凍る。恐怖に突き動かされ、熱を帯びた体をなんとか起こして立ち上がる。どうすれば満足してもらえるかを瞬時に考え、とっさに服従のポーズをとる。

「…ご主人様。今からオナニーがしたいです。どうか、奴隷の私に慈悲をください」

 少し震えながらも、何とか言葉を紡ぐ。

「うーん、まあ今回はそれでいいかな。これからはもっと卑猥な言葉も覚えさせなければならないな」
「…はい」
「まあいい。今、いい恰好をしている。そのままクリトリスと乳首をいじれ。当然、足を閉じるなよ」
「はい。させていただきます」

 そうして私は蟹股のまま、乳首をいじりながらクリトリスも刺激した。

「…っう」

 さっき絶頂したばかりの体には、まだ刺激が強く、声が思わず漏れる。指先に力を入れず、クリトリスを優しく撫でるたび、口から甘い吐息が零れ落ちた。

「おいおい、さっきそんな緩いオナニーしてなかっただろ。なめてるのか?」
「…ごめんなさい。っあ」

 怒声に恐怖し、指先に力を込める。すると、刺激はさらに強まり、腰が逃げ、膝も笑った。

「だめだな、これを使え」

 そう言い、まさよしは手渡したのはローター。すでにスイッチが入っており、最大の振動に設定されていたそれは、私の手の中で強く震える。
 下半身に伝わる強烈な予感に、体が小刻みに震える。

「おいっ」

 少し怒気の混じった声に急かされ、私は震える手でローターをクリトリスに当てる。

「ああっ…」

 刺激が直に伝わり、声が自然と漏れた。

「……あっ……や、やめ……っ……」

 声を漏らすたび、震動は敏感な部分を容赦なく叩き、先ほど絶頂に達したばかりの肉体をさらに追い立てる。
姿勢を崩せば叱責が飛ぶのは分かっている。だから必死に膝を張ったまま、腰を震わせるしかなかった。

「いや……っ、もう無理……っ……やぁ……っ!」

 涙で滲む視界の中、身体は意思に反してまたも震え上がる。
 崩れ落ちそうなほどの衝撃に、必死で立ち続けようとするも、膝が笑い、床へと崩れ落ちた。

「おいおい、立ってオナニーすら満足にできないのか」
 冷たい声が頭上から降ってくる。

「はぁ……はぁ……ご、ごめんなさい……」
 息も絶え絶えに謝りながら、春香は崩れた体を必死に起こそうとする。

 しかし、まさよしはその動きを一蹴した。
「いや、いい。寝てろ」

 そう言うや否や、容赦なく足で春香の胸を押し戻し、仰向けに転がす。床に散らばっていたローターを器用に足指で拾い上げ、そのまま電気あんまの要領で彼女の股間へと押し当てた。

「いっ……! あっ……や、やめ……っ」
 悲鳴をあげる間もなく、まさよしは両足首を抱え込むように固定し、股を大きく開かせた。

 その体勢のまま、クリトリスの真上にローターを踏みつける。
「や……ああっ……だめっ……!」

 ゴリゴリと体重がかけられ、振動する玩具が肉にめり込み、先ほどまでの比ではない衝撃が下腹を直撃する。電撃のような刺激が脊髄を駆け上がり、春香の身体は意志に反して跳ね上がる。

「ひっ……あ、がっ……む、無理っ……!」
 思わず両手でまさよしの足首を掴み、必死に押し返そうとする。しかし力は圧倒的で、びくともしない。

 無様に足を開かされたまま、振動と圧迫に嬲られる。腰が勝手に浮き沈みし、喉の奥から嗚咽と喘ぎが漏れる。

「や……あっ……! やめてぇ……っ、これ……ほんとに、だめぇ……っ!」
 だが抵抗も虚しく、まさよしの足に抑え込まれた春香は、ただ痙攣し、のたうつ魚のように床の上で跳ねるしかなかった。

「だめ……もういく……もう無理……逝きますっ!」
 腰が激しく跳ね、膝が力強く閉じようとする。しかし、まさよしの手足に完全に押さえられ、ほんのわずかな抵抗すら許されない。
 びくびくと痙攣する腰が絶頂の波にのまれる。脳を焼くような衝撃に、思わず叫ぶ声が漏れる。しかし、まさよしは足をどけるどころか、そのままさらに体重をかけてくる。
 硬くなったクリトリスが押しつぶされ、逃れることのできない刺激が容赦なく追い打ちをかける。

「もういった……もういきました……や、やめてください……」
「……あああ…あっ…!」

 逝ったばかりの熱と快楽がまだ残る体に、さらなる強烈な刺激が叩き込まれる。口から洩れる喘ぎ声は、ただの快楽の声ではなく、苦痛と屈辱が混ざった、獣のような叫びとなって床に響いた。
 その刺激に私は耐えきれず、すぐに三度目の絶頂を迎える。しかし、それで解放されることはなく、クリトリスへの刺激は容赦なく続けられる。絶頂が押し寄せるたび、快感と嫌悪が入り混じり、体は制御できずに震える。もはや逝ったのか、感じているのかもわからず、ただ強烈な刺激に体と心が支配されていく。
 膀胱に残る熱い感覚がじわりと広がる。絶頂で力の抜けた体は自分の意志では制御できず、踏まれた股間から熱いものが床に広がっていく。ちょろちょろと黄色い液体が、まさよしの足と私の股間をぬらし、床に染みていく。手に力が入らず、つかんでいたまさよしの足からも力が抜け、頭が床に落ちる。腰は刺激に合わせてびくびくと跳ねるが、体全体の力は次第に抜けていった。

「おいおい、おもらしか。躾のなってない犬だな」
 そう言われ、両足が解放され、股間からローターを引き抜かれる。

 解放されてもなお、腰は無意識にびくびくと動き続け、絶頂の余韻で意識はまだ朦朧としていた。私は床にだらしなく大の字で横たわり、天井をぼんやりと眺めながら、床に転がる震えるローターと、耳にうるさいほど響く自分の鼓動を感じ、もうろうとした意識の中に沈んでいった。

「はあ……もう少し、これは調教が必要だな。今日も帰れるとは思うなよ」
 まさよしの声が、非現実的に遠くで響くように耳に入る。理解できない音のように、ただ頭の奥に届く。
 私は反射的に、力の入らない声で「…はい」と返すしかなかった。

「今日からまた、新しいことをやろうと思ってたんだけれどな。まあ、それはお昼ご飯を食べてからにしようか。大丈夫、契約は守るし、多分痛いことも、こんなに逝くこともないからな。さてと、お昼ご飯を準備してくるから、片付けておけよ」

 そう言うと、ボロボロのタオルを一枚投げつけてきた。
 まさよしはどすどすと足音を立てながら台所へ向かい、その背中が遠ざかていく。

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