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泣けなかった4
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気持ちいいほどの春の風を浴びながら、桜が咲き乱れる道を眺め新生活への期待を膨らませた。
4月、私はまだ西野を忘れられずにいた。
大学で新しい出会いがあると頭ではわかっていたが脳裏に西野がこびりつきなかなか離れてくれない。忘れたいという思いが余計に執着させたのだった。新しい住家、新しい景色、見るもの全てが新鮮だった。ただ変わらないのは西野への想いだけ。自分でも思う。なぜそこまでこだわっているのか、好きでいるのか。
好きと依存の違いはなんだろうか。そして今の私の西野への思いはどちらなのだろうか。
そして新生活にも慣れ、月日が経っていった。夏休み直前、帰省の予定が決まった。ダメ元で西野のLINEを開く。
「帰省するんだけどもし良かったらどこか行かない?」
ポコンと送信。期待はしていないが、当たって砕けろと思っていた。そして言おう。好きという気持ちを。直接会って。そうしたら前に進めると思ったからだ。西野からの返事が帰ってきたのは次の日の夜だった。
「ん~ちょっと待ってね」
ちょうど部屋の電気を消したころ、眩しいくらいに携帯が光った。その文面を見て私は
「(予定合わないのかな~予定確認してくれてるとか?)」
なんて思いながら返事は送らずにベットに入った。
朝目覚めるとピコーンと通知が鳴った。誰からだろうとスマホを覗くと西野からだった。昨日の返事はしてないはず、なんだろうとすぐにLINEを開く。そして西野からきていた内容は
「ごめん、彼女できた」
朝だからか、それとも心の奥底でこのことを予想していたからかこのメッセージを見てもなんとも思わなかった。あ、そっか程度にしか思えなかった。正直、わかっていた自分がいた。西野の眼中にないことも、西野は私じゃない誰かと付き合うということも。ただ、気づかないフリをしていた。少し期待を持っていた。それだけのこと。
西野の彼女はどんな人かな、どこで知り合ったんだろう、西野がオタクなのを知ってて付き合ったってことか?、知りたいことはいっぱいだった。でも私が送った返事は
「そうか~西野にもとうとう彼女ができたのか~」
「お幸せにね!!」
強がりなんかじゃない。見栄じゃない。ただ少し、いい女を気取りたかった。
その日、夜になったら泣いちゃうんじゃないか、なんて心配は必要なかった。いつも通りの夜を過ごした。あんなに好きだと思っていたのに。恋愛映画を見ては泣き、失恋ソングを聴けば泣き、何度も西野のことを思い出して泣いてきた。なのに恋人ができたという知らせで私は 泣けなかった。
安心したのかもしれない。西野を好きという気持ちだけでなく、執着心を抱いていたからこの恋を終わらせることができないと思っていたからだ。この気持ちからの解放がそう思わせたのかもしれない。
しかし大好きだったに変わりはない。またいつか思い出したときに泣いているのだろう。泣けているだろう。そして顔も思い出せなくなった時には私は別の人と笑いあっているだろう。
4月、私はまだ西野を忘れられずにいた。
大学で新しい出会いがあると頭ではわかっていたが脳裏に西野がこびりつきなかなか離れてくれない。忘れたいという思いが余計に執着させたのだった。新しい住家、新しい景色、見るもの全てが新鮮だった。ただ変わらないのは西野への想いだけ。自分でも思う。なぜそこまでこだわっているのか、好きでいるのか。
好きと依存の違いはなんだろうか。そして今の私の西野への思いはどちらなのだろうか。
そして新生活にも慣れ、月日が経っていった。夏休み直前、帰省の予定が決まった。ダメ元で西野のLINEを開く。
「帰省するんだけどもし良かったらどこか行かない?」
ポコンと送信。期待はしていないが、当たって砕けろと思っていた。そして言おう。好きという気持ちを。直接会って。そうしたら前に進めると思ったからだ。西野からの返事が帰ってきたのは次の日の夜だった。
「ん~ちょっと待ってね」
ちょうど部屋の電気を消したころ、眩しいくらいに携帯が光った。その文面を見て私は
「(予定合わないのかな~予定確認してくれてるとか?)」
なんて思いながら返事は送らずにベットに入った。
朝目覚めるとピコーンと通知が鳴った。誰からだろうとスマホを覗くと西野からだった。昨日の返事はしてないはず、なんだろうとすぐにLINEを開く。そして西野からきていた内容は
「ごめん、彼女できた」
朝だからか、それとも心の奥底でこのことを予想していたからかこのメッセージを見てもなんとも思わなかった。あ、そっか程度にしか思えなかった。正直、わかっていた自分がいた。西野の眼中にないことも、西野は私じゃない誰かと付き合うということも。ただ、気づかないフリをしていた。少し期待を持っていた。それだけのこと。
西野の彼女はどんな人かな、どこで知り合ったんだろう、西野がオタクなのを知ってて付き合ったってことか?、知りたいことはいっぱいだった。でも私が送った返事は
「そうか~西野にもとうとう彼女ができたのか~」
「お幸せにね!!」
強がりなんかじゃない。見栄じゃない。ただ少し、いい女を気取りたかった。
その日、夜になったら泣いちゃうんじゃないか、なんて心配は必要なかった。いつも通りの夜を過ごした。あんなに好きだと思っていたのに。恋愛映画を見ては泣き、失恋ソングを聴けば泣き、何度も西野のことを思い出して泣いてきた。なのに恋人ができたという知らせで私は 泣けなかった。
安心したのかもしれない。西野を好きという気持ちだけでなく、執着心を抱いていたからこの恋を終わらせることができないと思っていたからだ。この気持ちからの解放がそう思わせたのかもしれない。
しかし大好きだったに変わりはない。またいつか思い出したときに泣いているのだろう。泣けているだろう。そして顔も思い出せなくなった時には私は別の人と笑いあっているだろう。
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