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夏川 俊

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13、回天の轍

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 ホテルのロビーは混雑していた。 1階にあるラウンジの向こうには、有名ブランドのショップがテナントとして入っており、オープンカフェスタイルの喫茶店や、パスタの専門店などが続いている。 玄関ロビーとつながったロータリーには、石膏の天使像が置かれ、洒落た造形の噴水が心地良い水音を立てていた。
 土曜の午後とあって、待ち合わせカップルや挙式の出席者、買い物客など、まるでラッシュ時の駅前の様相である。
「 では、記者会見では、毎朝さんを2番目に指名しますんで、菊地さん、よろしく。 あまり、突っ込んだ事、聞かないで下さいよ? 」
「 分かってますよ。 勤皇隊、怖いっスからねえ 」
「 それですよ。 ヘンなゴシップでも持ち上げられたら、たまりませんから 」
 コーヒーカップに残ったエスプレッソを飲み干し、公産党の広報局員は、席を立って行った。
 ラウンジのカフェテラスに、1人残った菊地。 一息つくと、辺りを見渡した。
( 社の姿は、今のところ無いな・・・ )
 大きな1枚ガラスの向こうに、噴水があった。 その周りでは、待ち合わせの買い物客に交じり、同業の記者の姿も見える。 何か打ち合わせをしているようだ。
 ロビー正面には、他局のテレビスタッフもいた。 会見を中継するらしい。 ロータリーの向こう側に中継車を止め、中継基地にしているようだ。 ロビーまでのシールドコードが邪魔になるのか、ガードマンが盛んに何か言っている。
 ふと、菊地は噴水脇にいる数人の少女たちに気付き、目をやった。 買い物の待ち合わせであろうか、皆、高校か中学くらいの歳のようである。 その内の1人が、噴水の向こうに手を振った。 友だちなのだろうか、向こうからは、1人の少女が彼女らのもとにやって来た。 何と、友美であった。
「 あれっ? 友美ちゃん! 」
 菊地は、持っていたコーヒーカップを慌てて置くと、携帯電話をかけた。 間もなく友美は、呼び出し音に気付き、ポケットからスマートフォンを取り出している。  菊地は、それを眺めながら話した。
「 そんなトコで、なにしてんの? 友美ちゃん 」
『 えっ? 菊地さん、私が見えるの? 』
「 正面のカフェテラスだよ。 ほら、ここ 」
 友美の方も、テラスにいる菊地に気付き、手を振った。
「 ロビーにおいで。 今、出てくから 」
 菊地は、携帯電話を切るとレジで清算を済ませ、ロビーに出た。
「 やっぱり来ちゃったのか、友美ちゃん 」
「 だって心配で・・ あ、こちら菊地さん 」
 友美は、皆に菊地を紹介した。
「 菊地です。 友美ちゃんから、みんなの事は聞いてるよ 」
「 愛子に、里美と春奈よ 」
「 初めまして。 多岐 愛子です 」
「 三上 里美です 」
「 沢口 春奈です。 へえ~、意外と若いんだ。 もっとオジさんかと思ってた 」
「 君らから見れば、立派なオジさんだよ 」
 菊地は、笑って見せた。
 友美が、菊池に言った。
「 菊地さん、大館さんや浩子さんとは、面識ないでしょ? 愛子たちに相談したら、行った方がいいって 」
 里美が、付け加える。
「 もし、あいつらに遭遇したら、友美1人じゃ危険なんです。 あたし達、全員で立ち向かわないと・・ 」
 菊池が答えた。
「 僕も、社って子の力は、身を持って体験している。 浩子って子は、それ以上らしいね 」
「 でも、友美センパイは、この前、浩子さんのプレスを弾き飛ばしたのよ! 社との対決だって、勝ってたし・・ みんなで力を合わせれば、押さえ込めるかもしれないのよ 」
 春奈が言った後を、里美が続けた。
「 まず、あいつらが現われるかどうかなんです。 現われたら、とにかくみんなで固まっていれば、そう簡単にはやられやしないわ 」
「 里美・・ ちゃんだっけ? 第1に成すべきは、一般客の避難だ。 もちろん、彼らのターゲットである公産党員もね。 ・・彼らとの対決は、なるべく避けなくてはならない。 いいね? 雌雄を決するあまり、対決に先走ってはいけないよ? 出来る事なら、話し合いで済むに越した事は無い 」
 到底、そんな穏やかに済む筈は無いだろう。 菊地本人も含め、皆も分かっていた。 しかし、一厘の望みを託し、全員が菊地の注意に頷いた。
「 パーティーは3時から始まる。 あと、20分少々だ。 5時からは記者会見・・ 党員の代表や幹事長など、主だった者が出席する。 幹部のみを狙うのだったら、この時だ 」
 友美が聞いた。
「 会場は? 」
「 3階の大会議室だ 」
 里美が、周りを見渡しながら言った。
「 狙撃か、建物ごとか・・・ いずれにせよ、とんでもない騒ぎになるわね、この人出じゃ・・! 」
「 もう、いっそ、今から非常ベルを押したい気分だよ 」
 菊地が、苦笑いしながら言った。
「 あ・・! 」
 友美が、何かを感じた。 続いて、春奈、里美・愛子も気付く。
「 ・・どうした? 」
 只ならぬ緊迫の表情の皆に、菊地は戸惑った。
「 ・・いる・・! 社よっ! 浩子も一緒・・! 」
 愛子が言った。
 やはり、来た。 狙いは、間違いなく公産党のパーティーだろう。 しかも社の他に、浩子もいるという。
「 やはり、来たか・・!  どこだ? どこにいるっ・・? 」
 菊地は、辺りを見渡した。
「 ・・上よっ! あいつら、上にいるっ・・・! 」
 春奈が、ロビーの天井を見上げながら叫んだ。
「 ええっ? もう、上に上がっているって事かいっ・・? くそうっ、行こう! 」
 エレベーター脇に置いてあったテレビ用ケーブルを掴むと、愛子たちに渡しながら、菊池は言った。
「 そこの、工具箱も持って! 局のアルバイトみたいなつもりで・・ 友美ちゃん、そこのマイクスタンド持って! 」
 やがて開いたエレベーターに乗り、5人は、とりあえず3階へ向かった。
 階数ボタンを押しながら、菊池が言った。
「 随分、早くから来たもんだな・・・! しかも、もう上にいるとは・・・ こっちが感じてるって事は、向こうも気付いてるって事だよね? 」
 菊地は、傍らにいる愛子に聞いた。
「 そうですね・・ でも、あっちは動いてない・・・ 何か、小さな気を使ってるわ。 作業してるみたい・・! 」
「 作業・・ 会場に、小細工でも仕掛けてんのかな? 何階くらいにいるか、判るかい? 」
「 ・・ずっと、上ですね。 10階くらいかしら・・・」
「 10階は、防災センターがある階だ。 確か、集中管理室もある。 ・・どうも、クサイな。 まず、そっち行ってみよう。 人も、そんなにいない筈だし 」
 菊地は、3階に着いたエレベーターの扉を閉め直すと、10階のボタンを押した。 ・・いきなり臨戦態勢だ。 やはり、話し合いなど皆無の状態になるのであろうか。
「 ・・・捕まえた・・! 社よっ! 」
 腕を胸で組み、盛んに気を集中させていた春奈が、唐突に言った。
「 えっ? ちょっ・・ ちょっと春奈、もう?  ど、どうしよう、愛子・・! 」
 里美が、手にしていた工具箱を床に置きながら、愛子に言った。
「 春奈のホールドは強いけど、1人じゃ・・ 」
「 あっ、キャッ・・! 」
 突然、物凄い力で春奈の体はエレベーターの側壁に叩きつけられた。
「 春奈ちゃん! 」
 菊地が、春奈に手を触れた途端、バシッと青白い放電が走った。
「 痛ッ! 」
「 ダメよっ、菊地さん、触っちゃだめっ! 感電するわっ! 」
 友美が、菊地の手を押さえる。
「 春奈、頑張ってっ! あたしが行くっ! 」
 愛子は叫ぶと、春奈に覆い被さっている気との間に集中し始めた。
 室内灯が薄暗くなり、チラチラし始める。 社を束縛しようとしていた春奈は、逆に、社に束縛されてしまっているようだ。 エレベーターの狭い室内の隅の方に、追い詰められた格好で必死にプレスに耐えている。
 警報ブザーが鳴り、アナウンスが流れた。
『 エレベーターに異常を感知しました。 最寄の階に停止します。 速やかにエレベーターを降り、係員の誘導に従って下さい 』
 エレベーターが9階に停止すると、扉が開いた。
「 友美、菊地さん、早く降りてっ! 」
 里美が叫ぶ。
 エレベーター内は、愛子の気も相成って激しく放電し始め、やがて、大きな音と共に閃光が走り、気が弾け飛んだ。
「 春奈ッ、・・愛子! 」
 里美がエレベーターに駆け寄り、愛子と共に、ぐったりしている春奈を、エレベーターから引きずり出した。
「 ごめんなさい、里美センパイ・・! ミスっちゃった・・・ 」
「 1人じゃ、無理よ。 浩子が出て来たんでしょ? そこに座って・・! 衝撃波を使ったのは、愛子ね? 大丈夫? 」
「 とりあえず、あいつらの出方を見るつもりだったんだけど・・ 物凄い気だわ・・! 強いって言うか、殺気に満ちた荒々しい気よ! 最初っから殺すつもりのような・・ 衝撃波で振り払うのが精一杯・・・! 」
 荒い息と共に、メガネを掛け直しながら、愛子が答えた。
「 向こうは、もう何十人も殺してるからよ。 みんな、気を引き締めてかからないと・・・! 」
 里美が続けて言った。
「 不用意に動かないで・・! あいつら、あたしたちが見えてるわ 」
 菊地が言った。
「 非常ベルのスイッチ、その辺に無いか? 火災報知機でも何でもいい、押しちまえ! 」
 里美が見渡し、菊地に言った。
「 あっちの隅にあるわ! あそこ 」
 フロアの廊下を行った、向こうに赤いランプが見える。
「 火災報知機のようだな。 やけに静かじゃないか・・ こっちの動きを見てるのか? 」
「 動いた途端、来ますよ・・? あいつら、初めっから殺すつもりだから・・・! 」
 9階のフロアは、オフィスのようである。 土曜日とあって、休日なのだろうか、静まりかえっている。
 じっと、天井を見つめながら里美が言った。
「 友美・・・ 向こうが仕掛けて来ても、不用意に反応しちゃダメよ? あいつら、すぐ上の階にいるけど、居場所を確認してからでないと・・・! 」
 エレベーターのチャイムが鳴った。 開いたままのエレベーターではなく、その隣の、もう1基の方からだ。 誰かが、下から上がって来るようである。
「 誰かしら・・? 気は・・ 感じないわ。 普通の人よ。 もしかしたら、大館さんかも・・! 」
 里美が、愛子をかばうように構えながら言った。
 やがてエレベーターは9階で止まり、その扉が開かれた。
「 ・・おい、何やってんだ? 君ら。 この階の会社の人かね? 」
 エレベーターから出てきたのは、警備員だった。
「 ええ、そうです。 エレベーターで下に降りようとしたんですが、故障したらしくて・・・ 」
 とっさに、菊地が答えた。 しかし、床に座り込んでいる春奈や愛子たちの様子は普通ではない。 しかも、オフィスフロアに未成年の女性が何人もいるのもおかしい。 整合性のない状況に、その警備員も不信を抱いたようである。
「 どこの会社の人・・? 名前は? 」
 まずい。 不審者と判断されて通報されると、パーティーは中止になるかもしれない。 社たちにとって、非常に不都合な状況となるわけで、このまま彼らが黙って見ているはずがない。
『 現地、着ですか? どうぞ 』
 その時、警備員の左肩に付けられた無線機から、応答を求める無線が入った。 彼は応答ボタンを押して、報告をし始める。
「 ただ今、現地、着です。 エレベーターは故障の様子。 扉は開いたままです。 今の所、原因不明。 回路確認して作動復帰、試みます。 ・・え~・・ 尚、9階フロアに、数人の・・ 」
 その瞬間、彼の体は壁に叩きつけられた。 音も無くあっという間の出来事で、まるで、目に見えない巨人によって、壁に向かって投げ付けられたような動きだった。
 もんどりうって床に倒れ込んだ彼は、そのまま動かなくなった。
「 キャッ・・! 」
 足元に転がって来た警備員に、春奈が声を挙げた。 いびつに変形した頭部の耳から、血が出ている。 ・・即死のようだ。
「 なっ・・ なんて事するんだ・・! 」
 菊地は、倒れた警備員に駈け寄り、脈をとった。
「 危ないッ、菊地さん! 」
 友美の声が聞こえたと思った瞬間、何かが割れる音と共に、菊地は背中に激痛が走るのを感じた。 辺り一面に、ガラスの破片が飛び散る。 エレベーターホールの天井に下げてあったガラス製のシャンデリアが、いきなり落下して来たのだ。
「 菊地さんっ、菊地さんっ・・! 」
 友美は、菊地の背中に刺さった無数のガラス片を取りながら叫んだ。
 背広を着ていたので、深手ではないが、かなりの出血である。
「 ・・く、くそっ! ・・痛ッ・・ 」
「 動かないで! いっぱい刺さってるから・・・! 」
 菊地のもとに駆け寄ろうとした里美が、何かを感じて辺りを見渡す。
「 ・・来たわよッ! みんな、気を付けてッ! 」
 すると、天井の化粧板が何枚も剥がれ、それが愛子たちに向かって飛んで来た。 床や壁に当たって四散する化粧板・・! 消火器も、唸りを上げて飛び交い始めた。
「 あっ・・! 」
 里美の体が宙に浮いた。 次の瞬間、強烈な力で廊下側の壁に押し付けられた。 里美は押し戻そうとするが、まるで歯が立たない。 壁に張り付けにされたかのような状態だ。 全ての、体の自由を奪われているようである。
「 里美ッ! 」
 愛子が反応し、里美との気の間に入ろうとするが、強烈な気に弾かれて入れない。 ミシッという音と共に、里美が押さえつけられている壁が、里美を中心とした円形に陥没した。
「 壁が壊れるッ・・! 」
 愛子が、そう叫んだ瞬間、地響きを立てて壁が崩壊した。
「 里美っ! 」
 崩れた建材と共に、里美は、壁の向こう側の部屋に放り出されたようである。 崩壊は一部、天井まで達し、支えを失った天井の梁も、にわかにきしみ出した。
「 天井も崩れるわよッ・・! 友美、こっちへ来てっ! 」
「 菊地さんが動けないのッ! ケガしてるっ 」
「 ・・友美ちゃん、僕は大丈夫だ・・ あいつらの目標は僕じゃない。 君らだ。 早く逃げろ・・! 」
「 でも・・! 」
 その時、いきなり、数ヶ所の天井が落ちて来た。 友美は、近くに落ちて来たコンクリートの破片を気で防ごうとしたが、それよりも早く、傍らにいた春奈が反応し、防いだ。
「 センパイ、まだ気を使っちゃダメっ! あいつら、探ってるのよ。 センパイがどこにいるか・・! 私たちは、何度もあいつらと気を合わせた事があるから、すぐ判っちゃうけど、気が混線してる今は、あいつら・・ センパイの位置が判らないのよ! 」
 やがて、床がきしみ出した。 エレベーターホールだけではなく、9階のフロア全体に、その不気味なきしみ音は広がっていく。 愛子も、その異常に気付いた。
「 ・・こ、このフロア全体の床を落とすつもりよッ! 」
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