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狼男と野獣女
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モフモフモフモフモフモフモフモフ……。
嗚呼…最っ高~っ!
なんて……なんて心地良いのかしら!
「……おい」
ふわっと優しく私の身体を包んでくれる、この温かさ!
「おい……っ」
そしてこの、艶々とした毛並み!
嗚呼……たまらない……っ!
ずっと、ずーーーっとモフモフしてたい!
「お、いっ!」
ベリベリベリッ! とモフモフを強引に剥がされる。
「ああん!」
追い掛けようと手を伸ばすと、その手の甲をペシッと軽く跳ね除けられた。
「何が『ああん!』だ! 俺の尻尾を湯たんぽ代わりにするなと何度言ったら解るんだ、オ・マ・エは!?」
赤鬼さんも真っ青になって逃げるであろう怒りの形相で私を睨む部長は、長い尻尾をブルンと震わせ、ついでに眉間に皺を寄せデスクをばぁん! と叩いた。
職場の同僚達は、部長の怒鳴り声とその音に一瞬此方を振り向くものの『まーたいつものじゃれ合いが始まった』とばかりにヤレヤレと肩を竦めた後、それぞれの時間に戻っていく。
「別にいいじゃないですか、尻尾くらい……」
「オマエな……此処は会社で、仕事をする所だ! 俺の尻尾を毛布代わりに昼寝する場所じゃねぇ!」
も一つバンッと机を叩かれる。
「ええ~。昼休みなんだし、いいじゃないですか……ケチ」
「誰がケチだ! 例え昼休みだろうと、此処が神聖な職場であることには変わりない」
「でも、昼休みのお昼寝は午後からの仕事の効率をアップさせるのに有効だって、この間テレビでどっかの偉い教授さんが言ってましたよ? 部下の仕事の効率をアップ出来るんだから、いいじゃないですか。部長の株も上がりますよ、グングンと♪」
ニッコリ笑ってこう言うと、我が社切ってのエリート部長でもある彼は、ピキピキと更に怒りのボルテージを急上昇させた。
「何がテレビだ! そもそも獣人の尻尾を触るのは世間でもタブーとされてるだろう!」
「うーん……それなんですけどぉ」
腕を組んで今度は私が眉間に皺を寄せた。
「そもそも、どうして尻尾触るのがタブーとされてるんですか? モフモフで凄く気持ち良いし、癒やされるのに……」
「あ゛? し、知らんのか、オマエ……」
私がじーっと部長を見上げると、彼は目尻に皺を寄せ驚愕の表情を見せた。
嗚呼、その皺もさえも愛おしい……。
モフモフな上に、ワイルド系オヤジの部長は狼の獣人。つまり、狼男である。
まさに私の理想!
部長に食べられちゃいたいと(物理的な意味でなく)、一回り以上年下の私が夢見てるだなんて、彼は思いもよらないのだろう。
「知らないって、何が、ですか?」
本当は知っているけど、敢えて知らないフリをする。
何故ってそれは――。
「そ、それは、だな……」
部長の額から、タラリと汗が流れた。
「それは?」
追い打ちをかけるように、ググっと詰め寄った私は、窓枠に手を付いて彼を閉じ込める。
体格差があるのでなかなか厳しいけれど、そこは我慢。
「クッ……尻尾は、だな……」
「尻尾は?」
ジーッと見詰める私の妙な迫力から逃げられないと観念したのか、部長はゴクリと喉を鳴らして、口を開いた。
「……獣人にとって、尻尾は……“性感帯”だからだ……!」
小さく耳元で言われた台詞と、ちょっと頬を染めたその部長の表情に、ゾクリと背中が震えた。
嗚呼……この表情が見たかった。
普段は武骨で自分にも部下にも厳しい部長の、この表情が……!
ワイルド系オヤジの照れた顔って最高!
「成る程ぉ……」
ウンウン、と最もらしく頷くと、私は彼の下半身に手を伸ばした。
「ああ。だから触るなとあれ程……って言ってる側から触るなぁぁぁっ!」
部長は私の手から尻尾を死守するかのように自分で抱え込みつつブルブルと拳を震わせた。
そんな愛おしい部長のフサフサの耳に唇を寄せ、一言。
「性感帯だってこと位、知ってましたよ。常識じゃないですか♪」
「――なっ!? し、知ってたって……オマエ……なんで……」
絞り出したようにこう言った彼に、ニッコリと微笑む。
「つまり、そういうこと、です」
「――っ!」
いくら鈍感な狼さんにも、これで伝わったでしょ。
これで私が狼さんに食べられちゃう日も、遠くはない筈……多分。
おしまい☆
嗚呼…最っ高~っ!
なんて……なんて心地良いのかしら!
「……おい」
ふわっと優しく私の身体を包んでくれる、この温かさ!
「おい……っ」
そしてこの、艶々とした毛並み!
嗚呼……たまらない……っ!
ずっと、ずーーーっとモフモフしてたい!
「お、いっ!」
ベリベリベリッ! とモフモフを強引に剥がされる。
「ああん!」
追い掛けようと手を伸ばすと、その手の甲をペシッと軽く跳ね除けられた。
「何が『ああん!』だ! 俺の尻尾を湯たんぽ代わりにするなと何度言ったら解るんだ、オ・マ・エは!?」
赤鬼さんも真っ青になって逃げるであろう怒りの形相で私を睨む部長は、長い尻尾をブルンと震わせ、ついでに眉間に皺を寄せデスクをばぁん! と叩いた。
職場の同僚達は、部長の怒鳴り声とその音に一瞬此方を振り向くものの『まーたいつものじゃれ合いが始まった』とばかりにヤレヤレと肩を竦めた後、それぞれの時間に戻っていく。
「別にいいじゃないですか、尻尾くらい……」
「オマエな……此処は会社で、仕事をする所だ! 俺の尻尾を毛布代わりに昼寝する場所じゃねぇ!」
も一つバンッと机を叩かれる。
「ええ~。昼休みなんだし、いいじゃないですか……ケチ」
「誰がケチだ! 例え昼休みだろうと、此処が神聖な職場であることには変わりない」
「でも、昼休みのお昼寝は午後からの仕事の効率をアップさせるのに有効だって、この間テレビでどっかの偉い教授さんが言ってましたよ? 部下の仕事の効率をアップ出来るんだから、いいじゃないですか。部長の株も上がりますよ、グングンと♪」
ニッコリ笑ってこう言うと、我が社切ってのエリート部長でもある彼は、ピキピキと更に怒りのボルテージを急上昇させた。
「何がテレビだ! そもそも獣人の尻尾を触るのは世間でもタブーとされてるだろう!」
「うーん……それなんですけどぉ」
腕を組んで今度は私が眉間に皺を寄せた。
「そもそも、どうして尻尾触るのがタブーとされてるんですか? モフモフで凄く気持ち良いし、癒やされるのに……」
「あ゛? し、知らんのか、オマエ……」
私がじーっと部長を見上げると、彼は目尻に皺を寄せ驚愕の表情を見せた。
嗚呼、その皺もさえも愛おしい……。
モフモフな上に、ワイルド系オヤジの部長は狼の獣人。つまり、狼男である。
まさに私の理想!
部長に食べられちゃいたいと(物理的な意味でなく)、一回り以上年下の私が夢見てるだなんて、彼は思いもよらないのだろう。
「知らないって、何が、ですか?」
本当は知っているけど、敢えて知らないフリをする。
何故ってそれは――。
「そ、それは、だな……」
部長の額から、タラリと汗が流れた。
「それは?」
追い打ちをかけるように、ググっと詰め寄った私は、窓枠に手を付いて彼を閉じ込める。
体格差があるのでなかなか厳しいけれど、そこは我慢。
「クッ……尻尾は、だな……」
「尻尾は?」
ジーッと見詰める私の妙な迫力から逃げられないと観念したのか、部長はゴクリと喉を鳴らして、口を開いた。
「……獣人にとって、尻尾は……“性感帯”だからだ……!」
小さく耳元で言われた台詞と、ちょっと頬を染めたその部長の表情に、ゾクリと背中が震えた。
嗚呼……この表情が見たかった。
普段は武骨で自分にも部下にも厳しい部長の、この表情が……!
ワイルド系オヤジの照れた顔って最高!
「成る程ぉ……」
ウンウン、と最もらしく頷くと、私は彼の下半身に手を伸ばした。
「ああ。だから触るなとあれ程……って言ってる側から触るなぁぁぁっ!」
部長は私の手から尻尾を死守するかのように自分で抱え込みつつブルブルと拳を震わせた。
そんな愛おしい部長のフサフサの耳に唇を寄せ、一言。
「性感帯だってこと位、知ってましたよ。常識じゃないですか♪」
「――なっ!? し、知ってたって……オマエ……なんで……」
絞り出したようにこう言った彼に、ニッコリと微笑む。
「つまり、そういうこと、です」
「――っ!」
いくら鈍感な狼さんにも、これで伝わったでしょ。
これで私が狼さんに食べられちゃう日も、遠くはない筈……多分。
おしまい☆
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