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【8.婚約者の言い分】
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「ほんっと大事にしてくれちゃって。いい迷惑だよ」
アイリーンの婚約者のスターリングが、美しい顔を曇らせながらアイリーンに文句を言った。
ホーランド伯爵家での騒ぎの後、アイリーンはすぐさま婚約破棄の決意の手紙をスターリングに送ったのだが、するとさすがにヤバいと思ったのか、翌日スターリングがアイリーンを訪ねて来たのだった。
とはいえ、このセリフである。
あまり反省の色が見えないスターリングに、アイリーンはムッとした。
「それはこっちのセリフです、スターリング。まさか私が婚約破棄の憂き目に合うとは思ってなかったです。私を関わらせたくなかったのはこういうことだったんですね」
「被害者ぶるなよ。全部君がやったんだろ。よくもあれこれ人が隠しておきたいことを次々と暴露して。おかげで私とエリーゼは神殿への反逆者ってのになって、今度公式な文書で批難されるらしいよ。これから何百年も記録に残っちゃうんだから不名誉極まりないよ」
「自業自得では?」
とアイリーンが突っぱねると、スターリングはまったく厄介なことになったとばかりに、大仰にため息をついて恨めし気な視線をアイリーンに向けた。
「当然私はバルドーニ家の廃嫡がさっそく決まったしね。ま、廃嫡で言えばウィリアムもホーランド家から除籍されるってさ。マリア夫人に毒を盛った件でも王都警備隊に拘束されたっぽいし……」
「拘束されている方がマシなんじゃないですか。ホーランド伯爵は気が高ぶると何し出すか分かりませんからね。そこでしっかり怒られて禊を済ませた方がいいです」
「マリア夫人については伯爵何も言ってないけど、まあ謹慎だろうなー。今回の件でホーランド伯爵も手が出るタイプだと噂が回り始めちゃってるから、だいぶ世間の信用を失うかもしれないし。隠居させてアンソニーが継ぐって話が出てるっぽい。まあ、だいぶスキャンダルだよな」
スターリングはうーんと唸った。
そんなスターリングの堪えているのか堪えていないのかよく分からない様子に、アイリーンは呆れた。
「のんきに人んちの後始末の話をしていますけど、あなたの方は今後どうなさるおつもりなんですか」
「廃嫡されて神殿の怒りを買っちゃったのでね。神殿の赦しを得るために一先ず更生プログラムでも受けようと思っているよ。神殿の赦しが無けりゃ、市井で暮らすにもだいぶ制限があるからね」
「ほんっと他人事のように話すんですね……」
「もう、昨日からさ、ちょっと情報量が多すぎて、心がついてけないのさ」
「……。私への謝罪は?」
ぽつんとアイリーンは聞いた。
するとスターリングは、ポーズをとっているのかと思えるくらいわざとらしい仕草で首を傾げて見せた。
「え? 謝罪してほしいの?」
「なんて言い方! 謝罪する気はないんですか? だって、あなた不倫しようとしていたんでしょう」
「謝罪ねえ、君は傷ついたというの?」
「あたりまえです!」
するとスターリングは忌々しげに言った。
「話をちゃんと聞いていれば、君があれこれわざとらしく暴露したってことは分かってるんだ。ウィリアムの件も、マリア夫人の件も、エリーゼの件も! それなのに私が謝罪?」
「何への謝罪だと思ってるんですか。私とちゃんとした夫婦になる気がなかったことについてですよ。私はあなたとの結婚で、夫婦の契約を結ぶと思っていました。だから最初は愛がなくても、きちんとした妻になろうと、生真面目に思ってたんですよ。なのにあなたは、よそに女を作る算段でした、最初っから!」
アイリーンがそう詰ると、スターリングはふうっと声に出してため息をつき、
「悪かったよ」
とひとこと言った。
「! それだけなんですか? ちょっと馬鹿にし過ぎじゃありません?」
アイリーンが怒ると、スターリングはふいっと顔を背けた。
「君の他に好きな人がいたんだ。我慢できなかっただけだ」
「そんな言い方!」
「でもそれ以上に言えることなんかないよ」
スターリングは悪びれず首を竦める。
「……あなたって人は……」
アイリーンがすっかり呆れ果てていると、スターリングは「そっちだって」といった様子で口を開いた。
「そんなに言うなよ。私が廃嫡されたから、スライドしてクレイトンがバルドーニ公爵家を継ぐ。で、君はクレイトンと結婚することになるんだろ。それでいいじゃないか」
「一応、あなたのお父様からはそれで手を打ってもらえないかと話をもらいました」
「ふうん。で、君はそれでいいのか?」
「え? どういう意味ですか?」
「あいつはまあいい弟だったから、君にも夫として良く接してくれるだろうね。あいつは立場を弁えてるよ。腹立たしいくらいに思慮深い。自分の不利になりそうなことは何も言わないんだ。矢面に立つのは全部私だ」
「でも、それは彼が次男だから……。あなたや公爵家を立てての行動だわ」
「アイリーンは純粋だな。私が言ってるのは、腹の底では何を考えているのか分からないってことだよ」
「まあ、悪口ですか? 100歩譲ってその悪口が本当だったとしても、そのクレイトンと結婚することになったのは、あなたのせいですよ。あなたにクレイトンの悪口を言う資格はないと思うんですけど!」
アイリーンがスターリングを窘めると、スターリングはおどけたように首を竦めた。
「まあ、クレイトンと婚約したいならしたらいいさ。それこそもう私には関係ないね」
「したいかどうかは分かりません。ただ、一番波風立たない方法がそれだというだけで」
アイリーンだって、自分が何を望んでいるのか分からない。
つい昨日まではスターリングと良い夫婦になると信じて疑わなかったのだから!
いきなり家の都合でクレイトンと婚約しろ? クレイトンの人となりだってまだよく分かっていないのに。
心がついてけないのは、こっちの方だ!
振り回されているのは私だ。
『神事』とかいう回避が難しそうなもののど真ん中にいるのだから。
それでも、少しでも良い未来を望んでる。
不倫する気満々のスターリングなんか嫌だ。クレイトンを信じて彼とうまくやれるように努力する方がいい! クレイトンは、少なくともバルドーニ公爵家の中では立場を弁えて振舞ってきたのだから。私とも、良識ある関係を築こうとしてくれるんじゃないかって期待できる。
人生をあきらめるのは自分が可哀そうだ。
そんなアイリーンの気持ちを知ってか知らずか、スターリングは一つ小さく息を吐いてから口調を変えて、
「じゃあ君にアレを返しておこう」
と言った。
「アレって何ですか?」
思い当たる節のないアイリーンが聞き返すと、スターリングは何も言わずにアイリーンを手招きした。
「こっちへ。さあ、手を出して」
「はあ」
とよく分からないままアイリーンが近づき、何かを渡されるものと掌を差し出したとき。
その瞬間、スターリングがアイリーンの手を掴んで強引に引き寄せた。
そして「え?」と思っている間に、素早くアイリーンに顔を寄せ、キスをした。
アイリーンはスターリングの両腕で、体をすっぽり包まれていた。
「ちょっと! 何するんですか!」
アイリーンが驚いて身を捩り、スターリングの体を突き放そうとした。
しかし男性の力は強く、アイリーンを抱く腕を引き剥がすことはできない。
「ちょっと!」
ともう一度アイリーンが叫んだとき、スターリングがバッとアイリーンの体を突き飛ばした。
そして強烈に憎しみを込めた目でアイリーンを見た。
「こういうことを好きでもない君と一生!? そっちの方が狂ってる! この婚約破棄は決して間違いじゃない! 神殿の方が間違ってる!」
アイリーンは突然のスターリングの豹変ぶりに驚き、先ほどの暴力への恐怖と相まって、体が震えてしまった。
「ど、同意したじゃありませんか、婚約に。ではなぜもっと早く……、夫婦としてやれないと思っていたのなら、なぜもっと早く……婚約が締結される前とかに言ってくれれば……」
「できると思った! 献身的な夫になれると! 結婚なんか簡単だ、政略と割り切ればいいと! でも私は愛する女との時間を知ってしまっていた、それを今後一切望めないなんて! それはおかしい!」
スターリングは片手で頭を掻きむしり、心に溜め込んでいたものを吐き出した。
「同意しておいてそれを言うんですか? 同意する前なら聞く耳も持てましたけど、今になってそんな後出しのように言われても、話が違うとしか思えないです。甘えてるんですか? 人にはどうしようもないものだってあるんですよ。でも、選べない状況の中でも前向きに考えることだってできます。そういう人を私は望んでました。あなたはそうじゃないみたいなので、がっかりです」
「どうしようもないものは変えればいいんだ、自分で!」
「その方向が不倫ですか? もっと正々堂々、神殿相手にド派手にやればよかったじゃないですか! だって、これはただの古い神話の残り香なのだし。神事なんか終わりにするって言い出せばよかったじゃないですか。それが嫌なのなら、あなたは粛々とご自分の立場をクレイトンに譲ればよかったんです。それをこそこそ不倫だなんて! あなたのやり方の方が気に入らないわ」
「私は全てハイハイ受け入れる君が気に入らないね。アイリーン、一つ言っておくよ。愛していない私とどんな幸せな未来を夢想していたんだ? 君はもう少し考えなよ、自分の人生だろ。君を取り巻く状況は間違っていないか、人生を賭けて受け入れる価値のあるものかと疑いを持つべきだよ」
スターリングの言葉にアイリーンは深く傷ついた。”愛していない私と”という残酷な言葉。
アイリーンの目から涙がこぼれた。
「私は愛そうと思っていたんです。時間と信頼があれば……愛のある、良き夫婦に……」
そう言ってしまうとアイリーンは堪らなくなった。
訣別。
苦い気持ちと一緒に、アイリーンはスターリングには二度と関わらないと決めた。
アイリーンの婚約者のスターリングが、美しい顔を曇らせながらアイリーンに文句を言った。
ホーランド伯爵家での騒ぎの後、アイリーンはすぐさま婚約破棄の決意の手紙をスターリングに送ったのだが、するとさすがにヤバいと思ったのか、翌日スターリングがアイリーンを訪ねて来たのだった。
とはいえ、このセリフである。
あまり反省の色が見えないスターリングに、アイリーンはムッとした。
「それはこっちのセリフです、スターリング。まさか私が婚約破棄の憂き目に合うとは思ってなかったです。私を関わらせたくなかったのはこういうことだったんですね」
「被害者ぶるなよ。全部君がやったんだろ。よくもあれこれ人が隠しておきたいことを次々と暴露して。おかげで私とエリーゼは神殿への反逆者ってのになって、今度公式な文書で批難されるらしいよ。これから何百年も記録に残っちゃうんだから不名誉極まりないよ」
「自業自得では?」
とアイリーンが突っぱねると、スターリングはまったく厄介なことになったとばかりに、大仰にため息をついて恨めし気な視線をアイリーンに向けた。
「当然私はバルドーニ家の廃嫡がさっそく決まったしね。ま、廃嫡で言えばウィリアムもホーランド家から除籍されるってさ。マリア夫人に毒を盛った件でも王都警備隊に拘束されたっぽいし……」
「拘束されている方がマシなんじゃないですか。ホーランド伯爵は気が高ぶると何し出すか分かりませんからね。そこでしっかり怒られて禊を済ませた方がいいです」
「マリア夫人については伯爵何も言ってないけど、まあ謹慎だろうなー。今回の件でホーランド伯爵も手が出るタイプだと噂が回り始めちゃってるから、だいぶ世間の信用を失うかもしれないし。隠居させてアンソニーが継ぐって話が出てるっぽい。まあ、だいぶスキャンダルだよな」
スターリングはうーんと唸った。
そんなスターリングの堪えているのか堪えていないのかよく分からない様子に、アイリーンは呆れた。
「のんきに人んちの後始末の話をしていますけど、あなたの方は今後どうなさるおつもりなんですか」
「廃嫡されて神殿の怒りを買っちゃったのでね。神殿の赦しを得るために一先ず更生プログラムでも受けようと思っているよ。神殿の赦しが無けりゃ、市井で暮らすにもだいぶ制限があるからね」
「ほんっと他人事のように話すんですね……」
「もう、昨日からさ、ちょっと情報量が多すぎて、心がついてけないのさ」
「……。私への謝罪は?」
ぽつんとアイリーンは聞いた。
するとスターリングは、ポーズをとっているのかと思えるくらいわざとらしい仕草で首を傾げて見せた。
「え? 謝罪してほしいの?」
「なんて言い方! 謝罪する気はないんですか? だって、あなた不倫しようとしていたんでしょう」
「謝罪ねえ、君は傷ついたというの?」
「あたりまえです!」
するとスターリングは忌々しげに言った。
「話をちゃんと聞いていれば、君があれこれわざとらしく暴露したってことは分かってるんだ。ウィリアムの件も、マリア夫人の件も、エリーゼの件も! それなのに私が謝罪?」
「何への謝罪だと思ってるんですか。私とちゃんとした夫婦になる気がなかったことについてですよ。私はあなたとの結婚で、夫婦の契約を結ぶと思っていました。だから最初は愛がなくても、きちんとした妻になろうと、生真面目に思ってたんですよ。なのにあなたは、よそに女を作る算段でした、最初っから!」
アイリーンがそう詰ると、スターリングはふうっと声に出してため息をつき、
「悪かったよ」
とひとこと言った。
「! それだけなんですか? ちょっと馬鹿にし過ぎじゃありません?」
アイリーンが怒ると、スターリングはふいっと顔を背けた。
「君の他に好きな人がいたんだ。我慢できなかっただけだ」
「そんな言い方!」
「でもそれ以上に言えることなんかないよ」
スターリングは悪びれず首を竦める。
「……あなたって人は……」
アイリーンがすっかり呆れ果てていると、スターリングは「そっちだって」といった様子で口を開いた。
「そんなに言うなよ。私が廃嫡されたから、スライドしてクレイトンがバルドーニ公爵家を継ぐ。で、君はクレイトンと結婚することになるんだろ。それでいいじゃないか」
「一応、あなたのお父様からはそれで手を打ってもらえないかと話をもらいました」
「ふうん。で、君はそれでいいのか?」
「え? どういう意味ですか?」
「あいつはまあいい弟だったから、君にも夫として良く接してくれるだろうね。あいつは立場を弁えてるよ。腹立たしいくらいに思慮深い。自分の不利になりそうなことは何も言わないんだ。矢面に立つのは全部私だ」
「でも、それは彼が次男だから……。あなたや公爵家を立てての行動だわ」
「アイリーンは純粋だな。私が言ってるのは、腹の底では何を考えているのか分からないってことだよ」
「まあ、悪口ですか? 100歩譲ってその悪口が本当だったとしても、そのクレイトンと結婚することになったのは、あなたのせいですよ。あなたにクレイトンの悪口を言う資格はないと思うんですけど!」
アイリーンがスターリングを窘めると、スターリングはおどけたように首を竦めた。
「まあ、クレイトンと婚約したいならしたらいいさ。それこそもう私には関係ないね」
「したいかどうかは分かりません。ただ、一番波風立たない方法がそれだというだけで」
アイリーンだって、自分が何を望んでいるのか分からない。
つい昨日まではスターリングと良い夫婦になると信じて疑わなかったのだから!
いきなり家の都合でクレイトンと婚約しろ? クレイトンの人となりだってまだよく分かっていないのに。
心がついてけないのは、こっちの方だ!
振り回されているのは私だ。
『神事』とかいう回避が難しそうなもののど真ん中にいるのだから。
それでも、少しでも良い未来を望んでる。
不倫する気満々のスターリングなんか嫌だ。クレイトンを信じて彼とうまくやれるように努力する方がいい! クレイトンは、少なくともバルドーニ公爵家の中では立場を弁えて振舞ってきたのだから。私とも、良識ある関係を築こうとしてくれるんじゃないかって期待できる。
人生をあきらめるのは自分が可哀そうだ。
そんなアイリーンの気持ちを知ってか知らずか、スターリングは一つ小さく息を吐いてから口調を変えて、
「じゃあ君にアレを返しておこう」
と言った。
「アレって何ですか?」
思い当たる節のないアイリーンが聞き返すと、スターリングは何も言わずにアイリーンを手招きした。
「こっちへ。さあ、手を出して」
「はあ」
とよく分からないままアイリーンが近づき、何かを渡されるものと掌を差し出したとき。
その瞬間、スターリングがアイリーンの手を掴んで強引に引き寄せた。
そして「え?」と思っている間に、素早くアイリーンに顔を寄せ、キスをした。
アイリーンはスターリングの両腕で、体をすっぽり包まれていた。
「ちょっと! 何するんですか!」
アイリーンが驚いて身を捩り、スターリングの体を突き放そうとした。
しかし男性の力は強く、アイリーンを抱く腕を引き剥がすことはできない。
「ちょっと!」
ともう一度アイリーンが叫んだとき、スターリングがバッとアイリーンの体を突き飛ばした。
そして強烈に憎しみを込めた目でアイリーンを見た。
「こういうことを好きでもない君と一生!? そっちの方が狂ってる! この婚約破棄は決して間違いじゃない! 神殿の方が間違ってる!」
アイリーンは突然のスターリングの豹変ぶりに驚き、先ほどの暴力への恐怖と相まって、体が震えてしまった。
「ど、同意したじゃありませんか、婚約に。ではなぜもっと早く……、夫婦としてやれないと思っていたのなら、なぜもっと早く……婚約が締結される前とかに言ってくれれば……」
「できると思った! 献身的な夫になれると! 結婚なんか簡単だ、政略と割り切ればいいと! でも私は愛する女との時間を知ってしまっていた、それを今後一切望めないなんて! それはおかしい!」
スターリングは片手で頭を掻きむしり、心に溜め込んでいたものを吐き出した。
「同意しておいてそれを言うんですか? 同意する前なら聞く耳も持てましたけど、今になってそんな後出しのように言われても、話が違うとしか思えないです。甘えてるんですか? 人にはどうしようもないものだってあるんですよ。でも、選べない状況の中でも前向きに考えることだってできます。そういう人を私は望んでました。あなたはそうじゃないみたいなので、がっかりです」
「どうしようもないものは変えればいいんだ、自分で!」
「その方向が不倫ですか? もっと正々堂々、神殿相手にド派手にやればよかったじゃないですか! だって、これはただの古い神話の残り香なのだし。神事なんか終わりにするって言い出せばよかったじゃないですか。それが嫌なのなら、あなたは粛々とご自分の立場をクレイトンに譲ればよかったんです。それをこそこそ不倫だなんて! あなたのやり方の方が気に入らないわ」
「私は全てハイハイ受け入れる君が気に入らないね。アイリーン、一つ言っておくよ。愛していない私とどんな幸せな未来を夢想していたんだ? 君はもう少し考えなよ、自分の人生だろ。君を取り巻く状況は間違っていないか、人生を賭けて受け入れる価値のあるものかと疑いを持つべきだよ」
スターリングの言葉にアイリーンは深く傷ついた。”愛していない私と”という残酷な言葉。
アイリーンの目から涙がこぼれた。
「私は愛そうと思っていたんです。時間と信頼があれば……愛のある、良き夫婦に……」
そう言ってしまうとアイリーンは堪らなくなった。
訣別。
苦い気持ちと一緒に、アイリーンはスターリングには二度と関わらないと決めた。
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