この婚約破棄は決して間違いじゃない ~悪い人に騙されかけましたが、私には一人護ってくれる人がいました~

幌あきら

文字の大きさ
7 / 9

【7.エリーゼの真実】

しおりを挟む
 そして、アイリーンはふっとエリーゼを振り返った。
「エリーゼ。まだウィリアムとの婚約を望まれますか?」

 エリーゼは首をぶんぶんと横に振った。
「いいえ、いいえ、まさか! とんでもないわ。お話は何も無かったことにさせていただきます!」

 そして、クレイトンに支えられながら項垂うなだれているマリア夫人や、放心したようにそらを見上げているウィリアム、今後のことに頭を悩ませているホーランド伯爵を全て無視して、そそくさと一人帰ろうとした。

 そんなエリーゼに、アイリーンは柔らかく声をかけた。
「あ、では、ウィリアムから受け取った指輪をどうぞこちらへお返しになって。ウィリアムが個人的に婚約指輪を贈ったんでしょう?」

「ああそうね。もう何の未練もありませんから。――はい」
 エリーゼはアイリーンの方を振り返ると、薬指から指輪を抜き、丁寧にアイリーンのてのひらの中へ置いた。

「ありがとうございます」
と軽くお辞儀をして受け取ったアイリーンは、指輪を一瞥いちべつしてから、
「おや? こちらの指輪、刻印が『スターリングより』となっておりますが?」
とエリーゼに向かって声をかけた。

「え!」
 エリーゼはぎくっとした。恐る恐るアイリーンの顔を見る。

 心ここにあらずの状態だったウィリアムが、ばっとエリーゼの方を振り返った。

 アイリーンは無邪気むじゃきな顔で指輪をまみ上げて、中の刻印を読み上げた。
「ええと、『永遠の愛。スターリングより』ですか。あら、日付もありますわね。この日付は……」

 読み上げられたくなかったのだろう、エリーゼはアイリーンの手からぱっと指輪を奪おうとした。
 しかし、アイリーンがすらりと身をかわしたので、エリーゼは指輪を奪うことができなかった。

 エリーゼは悔しそうにアイリーンを睨む。
「ふ、ふん、そんなの何かの間違いですわ」

 アイリーンは苦笑した。
「私を睨まないでくださいよ。間違った指輪を持ってきたのはあなたでしょう? わざわざウィリアムにもらった指輪と全く同じデザインで作らせて、スターリングからもらうなんて。あなた策士さくしなんですね。確かに同じデザインなら、スターリングからもらった指輪だとしても、ウィリアムに簡単にはばれませんものね。考えましたね」

「何のこと? 私は何も知らないわ」

 エリーゼが聡明な顔をつんと澄ませてすっとぼけたので、アイリーンは困った顔をした。
「でもこれ、あなたのでしょう? 実はね、スターリングがこの指輪を作らせた注文書もね、私は持ってるんですよ。ここにはこれだけ証人がいるし……、とぼけたって無駄だと思うんですけど」

「!」
 エリーゼの眉がぴくっと動いた。

 はあっとアイリーンはため息をついた。
「あなたとスターリングは付き合っているのね、今も。でも、スターリングは家のために私と結婚しなきゃならない。それで、あなたたちが考えた方法がこれ? 隠れて愛をつらぬこう、みたいな? あなたの隠れみのはウィリアム。スターリングと身内になればいろいろ逢う口実も作れますものね」

「エリーゼ……?」
 ウィリアムがかすれた声を絞り出した。

「今回のウィリアムの婚約の件で、私の名を挙げたのもエリーゼでしたね。私と親しくなりたかったんでしたっけ。私と仲良くなっておけば、私を訪ねるふりをしてスターリングとこっそり会えるかなとか、そういうことでも考えました? そんな風に利用されるのはあんまり気分がいいものではありません。あ、いや、それを言い出したら、夫の恋人とか、そもそも全然いい気がしませんけど」
 アイリーンは鋭い目をエリーゼに向けた。

 するとエリーゼが開き直って叫んだ。
「仕方ないじゃない! あなたがいて、私はスターリング様と結婚できない! 私たちに残された道はこれしか!」

「不倫?」

「そんな俗的な言い方しないでちょうだい! 私たちの愛は特別なの! 純愛なの!」
 エリーゼは崇高な愛を信じているように、アイリーンを見下ろした。

 アイリーンはあきれたように首を振った。
「はたから見たらただの不倫ですよ。まあ何でもいいです。この指輪の日付。しっかり私が婚約している期間の日付なので、不貞ふていの証拠になってくれてます。しかるべきところに出しますね」

「出せばいいじゃない、勝手にしなさいよ!」
 完全に開き直ってやけくそになっているエリーゼは、そっぽを向きながら腕を組んだ。

 アイリーンは続ける。
「私はスターリングとは婚約を破棄させてもらいますね。こんなのが分かっては、とてもじゃないけど夫婦なんてやれませんから」

 それを聞いてクレイトンがハッとしたように顔を上げた。
 目を見開き、深刻そうな顔でアイリーンを見つめた。
 彼はバルドーニ公爵家の行方ゆくえを心配しているようだった。アイリーンとスターリングの婚約が破棄されるということは、両家はどうなる――?

 しかし、エリーゼの方は、安直あんちょくに喜びの表情を浮かべた。
「あら、スターリング様を私に下さるの? ありがとう! なんなら慰謝料だってたっぷりお支払するわ!」

 アイリーンは表情を険しくした。
「でもね、スターリングには廃嫡されてもらおうと思います。うちとバルドーニ公爵家との政略結婚には、別の方を立ててもらわないといけませんけど。ね、クレイトン?」

 さっきから一言も聞き漏らすまいとじっとアイリーンの方を見つめていたクレイトンは、自分の名前が出てきて「なっ」と思わず声を上げた。
 複雑な心境が顔にあらわれていた。
 スターリングの廃嫡で済ませバルドーニ公爵家の面目めんぼくを立ててくれそうだということは分かった。しかしここで、スペアの自分の名が出るということは……。

 しかし、クレイトンの胸中はいざ知らず、エリーゼは「ふふん」と気にしない素振そぶりを見せた。
「スターリング様の廃嫡、全然かまいませんわ。トゥック侯爵家に婿に来てもらうだけですもの。私たちは愛し合っているの。バルドーニ家を廃嫡されたからって、全然こたえませんわ! むしろ、最初からこうすればよかった! スターリング様が家を捨ててうちに婿に来れば何の問題もなかったんだわ!」

 兄の廃嫡の話で半分茫然ぼうぜんとしていたクレイトンだったが、エリーゼの言葉を聞いて、現実に引き戻されるように気の毒なエリーゼの顔を見た。

 エリーゼの言うことは間違っているから。
 兄がバルドーニ公爵家を捨ててトゥック侯爵家へ婿に? 断言できる。その選択肢は、兄の中には全くなかっただろう。

 廃嫡された後は分からないが、少なくとも嫡男としてバルドーニ公爵家で丁重に扱われているときに、家を出る発想なんかなかったはずだ。兄は生まれたときから特別で、周りに期待されてきたのだから、全てを手に入れる人生を疑ったことはなかったはずだ!

 だからバルドーニ公爵家の決まりとしてラブレー公爵家の令嬢と結婚しろと言われたとき、何の文句も言わずに受け入れたはずだ。この結婚で世間の注目を浴びることもまんざらではなかったし、両家の結びつきの中心人物として全部が自分の思い通りになると間違いなく思ったはずだ

 その上で、この件に関しては、欲深く多くを望む兄が、ただ単に、ホーランド伯爵家を使って恋人(の一人)のエリーゼを繋ぎとめる工夫をしたに過ぎない。

 断言できる。
 確かに兄は、エリーゼをウィリアムにめとらせて自分は間男まおとこになるつもりだったのだろうが、もしこのたくらみが上手くいかなかったとしても、エリーゼを何としても手に入れるために別の手段を講じるほど、エリーゼには執着していない!
 別の恋人を見つけるだけだ。

 エリーゼにはそれが分かっていない。

 クレイトンは気の毒なエリーゼから視線を外した。この人は救われない。

 しかし、アイリーンがもっと救われないことを言い出した。
「まあ、スターリングと家庭を築くならそれは好きにしたらいいと思うの。でも、たぶん、あなた方は二人そろって重大な神殿裁判にかけられるはずですから、二人で幸せに暮らすなら、全ての罪を償った後になりますね」

 エリーゼがぎょっとした。
「神殿裁判? 罪?」

「まあ、あまり知らないですよね。私とスターリングの政略結婚は、一応この国の神事しんじの一つってことになってるんですよ、実は。もちろん今の時代、大々的だいだいてきにそんなこと言いませんけど。知ってる人は知っています」

 エリーゼは『神事』という単語を聞いて、少し事の重大さを認識し始めたらしい。
 青ざめ、「あ」と両手で口元を覆った。

 アイリーンは小さくため息をついた。
「うちのラブレー公爵家とスターリングのバルドーニ公爵家はそれぞれ東と西を守る武神を祖とする――って話。まあ、もちろんただの神話ですけど。その神話の中に、どんな理由か忘れましたけど、国のいしずえを強固にするために、定期的に東と西の武神の血筋をまぜるべき――みたいな話があるんですよ。まあうちだけじゃなくて、北とか南とかも何かあるんですけど。――あ、繰り返しますけど、それはただの神話ですよ! でも、一般の方には大々的に言わないところで、この話、実は神事として地味に今でも続いているんです。だから、スターリングと私の婚約って、だったんですよね。お互い、ただの政略結婚っぽい感じでやってましたけど」

 エリーゼは、やばいことになったと冷や汗をかいていた。
「神事……。ってことはつまり……」

「はい。申し訳ないんですけど、この結婚、神殿案件だったんですよね」
 アイリーンは言った。

『神殿案件』と聞いたエリーゼは衝撃を受けた。

 神事。神殿案件。その結婚がなしになった! 自分のせいで! それはもう、神殿からの批難ひなんまぬがれない!

 エリーゼは必死に頭の中で言い逃れを探した。

 知らなかったで済ませられないかしら。
 神事をぶち壊す気はなかったと言い張ればなんとかなるかしら。
 そりゃ不倫はいけないことだけど、でもこれが神事じゃなくてただの不倫だったら、慰謝料とかで済む民事的な話よね?
 そう考えたら、自分のやったことはちょっとしたことじゃないの!

 納得のいかないエリーゼは苦し紛れの言い訳を思いついた。
「あ、あなたの婚約破棄に私は関係ないわ。私の存在があろうと、そんなに大事な結婚なら形だけでもすればいいじゃない。でも、大事な結婚をしないと決めたのはあなた自身よ。神事を優先して婚約破棄しないという選択肢だってとり得るのに……」

 アイリーンはさすがにあきれてしまった。
「その言い草はちょっとひどすぎませんか。不倫をたくらんでいたくせに、それで私が傷ついて婚約破棄しても、それは私のせいだって言うんですか?」

「ええ!」

「それはあまりにも厚かましすぎます! あなたとスターリングは、神殿からも執行妨害の損害金をたんまり請求されればいいです。でも、実際はそれでは済まないでしょうね。下手したら魔女の烙印を押されるかもしれません。少しご自分のなさったことを反省したらいいわ」
 アイリーンはちっとも自分が悪いことを認めようとしないエリーゼにピシッと言った。

 さすがのエリーゼも、『魔女の烙印』というあまりの残酷な言葉を聞くと、膝から崩れ落ちすすり泣きを始めたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

薫る袖の追憶を捨て、月光の君に溺愛される

あとりえむ
恋愛
名門の姫君・茜は、夫の高彬に蔑まれ、寂れた離れで孤独な死を迎えた…… けれど意識が途切れた瞬間、視界を埋め尽くしたのは命を削って輝く緋色の夕映え。 目が覚めると、そこは高彬との婚約が決まったばかりの十五歳の春に戻っていた。 「二度目の人生では、誰のことも愛さず、ただあの方の幸せだけを願おう」 茜は、かつて自身の孤独を救ってくれた「最推し」の東宮・暁を、未来の知識で密かに支えることを決意する。 執着を捨て、元夫に無関心を貫く茜。 一方、高彬は自分に興味を失った茜の価値に気づき、今更遅い後悔に狂い始めるが……。 「見つけた。お前は俺の、運命の番だ」 正体を隠して東宮を支えていたはずが、冷徹な暁に見出され、逃げ場のないほどの執着と溺愛を注がれることに。 平安の雅な風情の中で描かれる、逆転と救済の物語。 最後は、二人が永遠の契りを交わす和歌で幕を閉じます。

婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです

鍛高譚
恋愛
内容紹介 「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」 王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。 婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。 「かしこまりました」 ――正直、本当に辞めたかったので。 これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し…… すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。 そしてその瞬間―― 王宮が止まった。 料理人が動かない。 書類が処理されない。 伝令がいない。 ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。 さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。 噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。 そしてついに―― 教会・貴族・王家が下した決断は、 「王太子廃嫡」 そして。 「レティシア、女王即位」 婚約破棄して宰相をクビにした結果、 王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――? これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの 完全自業自得ざまぁ物語。

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

処理中です...