滅亡の天獄

フライハイト

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3話 厄災

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扉の奥には一人の女性が俯いて壁から伸びる鎖で手足を拘束され、身体中に傷があり、血を流していた。

そして何よりその女性の白い髪に、感じるこの雰囲気、信じたくない、今僕の前にいる女性は、

「ルミ、、ナ?」

僕がそう呟くと、女性が反応し顔を上げる。

「アゼル、アゼルなの?どうしてここに?」
「それはこっちのセリフだよ。どうして、そんな傷だらけで?」

アゼルの首筋に冷や汗が流れる。

「さあ、ルミナウス・ヘレナ、お前が"崩滅機関"のことを調べていたのはもう分かっているんだ。この"国"に何をしにきたのかをさっさと吐いてくれないか?」

そしてルミナにばかり気を取られていて気づかなかったがルミナの隣には鞭を持った陰湿そうな男がいた。

「言うわけないだろクソ野郎ども!」
「おっと~怖い怖い。けどそんなこと言っていいのかなぁ?」

すると僕の首筋に冷たい物が当たる感覚がした。

「え?」

僕は見なくても何が首に当てられているかを理解する。

さっき僕をここに連れてきた男が僕の首にナイフを押し当てていた。

「なっ!、ちょっとアゼルは関係ないでしょ!」
「このガキを傷つけてほしくないならさっさと吐け。そうすれば私は"崩滅機関"の階級が1段階上がり上級の仲間入りを果たせるのだから。」
「分かったわ、言うからアゼルだけは助けてちょうだい。」
「いいでしょう。」

ルミナは悔しそうに奥歯を噛み締めるが陰の熾天使について話し始めると思ったその瞬間、

ガキィィィーン!

金属が引きちぎれる音が部屋中に響く、

「なに!?」
「フゥン!」
「ぐっ!」

ルミナは自身に繋がれていた鎖を引きちぎり、鞭を持っている男の顔を蹴り飛ばし、男は壁に衝突し、壁は粉々に砕け散った。

さらにはまだ腕に残っている鎖を使って僕にナイフを押し当てている男までも吹き飛ばす。

「逃げるよ、アゼル!」
「え?」

ルミナは僕の手を握りこの部屋の扉へと駆ける。

あともう少しでこの部屋から脱出できると思ったその時、

バン!

部屋に一つの銃声が鳴り響く。

そして次の瞬間、ルミナが倒れる。

「いやー、焦った焦った。魔術器によって魔力を封じていたはずなのに鎖を引きちぎるなんて。まさかずっとこの時のために魔術器アーティファクトに吸われないほど強固に魔力を練ったのかな?いやはや恐れ入ったよ。この状況でそれほどまでに強固な魔力を練れる君の精神力に。」
「くっ、貴様、」

なんと、ルミナに蹴り飛ばされたはずの男が右手に銃を構えており、銃口からは硝煙が吹き出ていた。

僕は倒れているルミナを見た。

ルミナは足の脹ら脛から血をドクドクと流していた。

「アゼル、私の事はいいからあなただけでも逃げなさい!」
「でも、」
「いいから!早く!」

ルミナは必死にアゼルに逃げろと叫ぶ。

だが、アゼルは逃げずにルミナの足に近づき服の裾を引きちぎり止血する。

「何をしているの!早く逃げなさい。」
「無理だよ、僕にはできない。ルミナをおいて一人で逃げるなんて。」

僕は涙を流しながら無謀にもルミナの傷口を抑える。

「あー、うるさいなちょっと黙っててくれないかな?」

バンッ!

またしても男の銃から放たれた銃弾は、今度はアゼルの左肩に当たった。

「ぐあぁぁー。」

僕は、命中した銃弾の反動で少し吹き飛ばされ、左肩に走る激痛に体が反応し右手で左肩を押さえもがく。

「アゼル!、貴っ様ぁぁぁぁー。」

瞬間、ルミナから炎のような青い光が全身を覆った。

そして、足を撃ち抜かれて負傷しているにもかかわらず立ち上がり男に向けて駆ける。

「まさかだよ、素晴らしい。まだ力があるなんて。でも残念だよ、そこまで抵抗されるともう君から情報を吐かせるほどの価値はもうない。ここで処刑しよう。」

男がそう呟いた後、右手に持っている銃をルミナウスに向け、そして

バンッ、

「くがぁ、」

銃弾はルミナの心臓へと撃ち込まれた。

「ルミナ?」

アゼルは痛みに抗いつつルミナのそばに近寄る。

アゼルはルミナの手を握る。

「ゴフッ、ご、めん、、ね、、、アゼ、る」

ルミナは吐血しながらそう呟く。

そして、握られている手が青く光る。

アゼルは自分の中に何かが送られている感覚を感じていた。

「これが私のできる最後の贈り物、無属性のあなたがこれから先、生きやすいように、、アゼル、私の可愛い息子どうか幸せになっ、、てほし、い、」

アゼルは目の前で起きたことに頭が理解することを拒否する。

だが起きた事は現実であり拒否していてもそれは理不尽に脳裏に焼き付いてしまう。

アゼルの思考停止にも近い現実逃避は残酷にも鮮明さをだんだん増していく現実によって砕かれてしまう。

「あ、あぁ、、ルミナ、目を開けてよ嫌だよ。僕はまだ何も返せていないのに。」

止まらない涙はさらに僕の感情をぐちゃぐちゃにする。

悲しみがアゼルの感情を埋め尽くした時、アゼルの体に異変が起こる。

右眼が黒目から段々と濃い青色、瑠璃色に染まりかけていた。

「大丈夫ですか!シャープネル様!」

突然、部屋の扉の方から複数の男達がやって来てルミナウスを殺した男の安否を問う。

「おい!遅いぞ、そこのお前!この女を片付けておけ。」

ルミナウスを殺した男は安否を自身に問いかけて来た男に向けて荒々しく命令する。

「はい!あの、こっちのガキはどう致しますか?」
「ああ、そのガキならちょうどいいモルモットになんだろ。檻に返しておけ。」
「はっ!」

男達がアゼルの腕を抱えてその場から引き離そうとする。

だが、アゼルはそれどころではない。

なぜなら先ほどまで溜まっていた悲しみの感情が爆発したからだ。

感情が爆発した瞬間、先ほどまで瑠璃色に染まりつつあった右眼が完全に染まり切った。

「うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー」

出来事は一瞬だった。

アゼルを中心として光が周囲に広がっていく。

アゼルの周りにいた男達は言葉を発するまもなくその光に飲み込まれた、それは、ルミナウスを殺した男も例外なく。

光はどんどん大きくなっていきついには都市全体を飲み込んでしまった。

そして膨張が止まった光は一瞬で消える。

光に飲み込まれた場所は全てが消え去りただ荒野が広がるのみだった。

アゼルを除いて。
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