Lost Chaos〜本当の英雄とはなんなのか？〜

フライハイト

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第零章

予想外の影

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魔境森林に入ってから数分が経過していた。この森は中心に近づく程、魔物が強くなっていくようになっている。

「まだ、魔物は見当たらないな」

僕は周囲を厳重に警戒しながらどんどん森に潜っていく。

そして森に入ってから1時間が経過しようとしていた時、前方から魔物の鳴き声がしてきた。

僕は咄嗟に茂みに身を隠した。

茂みから魔物を観察すると魔物は5匹、人型で緑色の皮膚に尖った耳をしていた。

「ゴブリンか！」

ゴブリンは知能が低く、群れで行動する魔物だ。

初手の相手としては充分だった。

ゴブリンたちは全員棍棒を持って酷く気が立っていた。

流石は魔境森林、普通のゴブリンとは違いかなり禍々しいオーラをまとっている。

覚悟を決めた次の瞬間、僕はゴブリンの前に出ていた。

「来い、ゴブリンども」

僕は、両手に神経を集中させ血を出していく。そして、その血を刃状にして剣を一本作っていく。

これは吸血鬼の固有能力の血液操術。

血を体内から出し自由自在に形を変えることができ硬くする事もできるためいろんな武器を作ることができる。

他にも血を燃やす紅血炎レッドフレイムもあるが森の中では使えないため今回は封印する

唸りながら近づいてくるゴブリンたちに血の剣をふりかざした。

僕は首を正確に狙い一度に2匹のゴブリンを亡き者にする。

だがその時倒せたことによって安堵した僕は油断してしまった

すると隙ができてしまった僕に1匹のゴブリンが棍棒を振りかざしそれは腹部に直撃した。

威力は尋常じゃなく僕は7メートル程吹っ飛び木にぶつかった。

「ごふっ、おぇぇぇ」

腹部に直撃を受けてしまったため吐いてしまった。

なんとか体勢を整えて口についた吐瀉物を右手で拭う。

たかがゴブリンなのにこんなにも強いとは思っていなかった。

魔境森林を少し甘く見ていた。

一年間剣術をやりながら血液操術の練習もしてきたがまだ一回も実戦で使えるレベルまで維持できたことはない。

だが、できなければここで死ぬかもしれない。

僕は吸血鬼の怪眼を開眼したことにより心臓核化を手に入れており。

心臓を潰されない限り死ぬことはない筈だが、まだはっきりとした確証はない。

多少の傷や怪我、骨折ぐらいは自然回復で、すぐ回復するが、激しく損傷した場合は回復に時間がかかる場合がある。

つまり、７日間生き残るには身体に激しい損傷を受けないようにしないといけない。

「よし、かかってこい！」

僕は再び両手に集中して剣を作りゴブリンに向かって行った。

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ゴブリンを倒した後僕は魔物を順調に倒しながら森林の中心へ向けて進んでいた。

すると突然前方から誰かの悲鳴が聞こえてきた。

「きゃぁぁぁーーー」
「何だ？」

僕は悲鳴が聞こえた方向へと走り始めていた。

茂みを抜けるとそこには1人の水色の髪をした女の子が魔物に襲われていた。

「なんでこんなところにオークが」

オークの頭部は耳が尖っており豚のような鼻をしており、大きな棍棒を持っている。

「くっ、なんて威圧力だ」

ここはまだ森の浅いところだ、オークは普通こんな森の浅いところにはいない筈だ。

そしてオークは群れで行動する魔物だが今目の前にいるオークはたった一体だった。

一体でいることからおそらく群れから追い出された奴が獲物を求めて森の浅いところまで来てしまったのだろう。

オークは普通でも充分獰猛な生き物だ。

魔境森林のオークは空気をピリピリさせるほどの禍々しい威圧を放っていた。

「こんなのどうすれば」

どうするべきか迷っているとオークは大きく唸って女の子に振り翳そう足りていた。

僕は迷わずオークの前へ出てその顔面に蹴りを入れた。

するとオークのヘイトはこっちに向いた。

「逃げて！早く」

僕はオークを女の子から遠ざけるように引きつれるそして後ろを振り返り女の子が逃げたことを確認した。

想定外の強い相手に動揺していると、オークはその大きな棍棒を振り回し攻撃してくる。

僕はそれを躱そうとしただが運が悪く足元のツタに足を引っ掛けてしまった。

そしてオークの棍棒は僕の顔面に直撃し眼球が潰れて視界を失ってしまう。

僕は怪眼によって心臓が潰されない限り死なないし怪我もすぐ治るがそれは部位によって回復時間は異なる。

廃人になりかけたが父さんと一つずつ部位ごとに実験をしたが目が一番治りが遅く大体3分はかかってしまう。

目が見えず、動けないところにオークがこっちにだんだんと近づいてくる音が聞こえた。

（くそっ、こんなところで僕死ぬのか？）

そう思った瞬間、僕の頭に母さんの顔が思い浮かんだ。

その瞬間、身体は起き上がっていた。

「ああ、母さん僕は負けないよ。村で待ってくれている母さんのためにも俺は負けない！」

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