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向日葵の精と月の精霊
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向日葵の花言葉は、本数で変わるの。
1本は、“一目惚れ” 3本は“愛の告白”。7本、密かな愛、11本、最愛。99本は、“永遠の愛とずっと、一緒にいよう”108本は、結婚しよう。
そして、最後の999本目は……。
ここはとある田舎町。ここには今日も、懸命に彼に猛烈アタックする女性がいた。
女性と言っても、彼女は人ではない。ひまわり畑の向日葵の中の一輪。
そう、彼女は向日葵の化身だ。
蜂蜜色のロングヘア、エメラルド色の瞳、白いドレスと茶色の麦わら帽子。
彼女の本体は向日葵で化身の姿は、人にはみえない。
向日葵の精のはなは、今日も、恋焦がれる相手の太陽に熱い恋心を伝えようと勇猛果敢に挑んでいた。
「今日こそは、太陽の君に振り向いてもらうんだから!」
はなは、燃え盛る太陽に無謀にも、真っすぐ突っ込んで行った。
しかし……。
「キャアーーー!!!」
その想いは、無慈悲にも太陽の熱波によって、打ち砕かれ、はなは火傷を負って地上へと落下して行く。
彼女は、もう少しで激突する所で、たくさんの仲間達によって助けられた。
☆★☆
やがて、夜になり、空には琥珀色に輝く。月が現れた。
月の光が、はなを照らしている。
光が粒子になり、はなに集まってくる。
その光が弾けると、突如、凛々しく雅な男性が現れた。
平安時代の狩衣のような衣装、白い短髪の髪。
瞳も白く、右耳にはヒスイで作られた勾玉のイヤリングをしている。
彼は、痛々しい姿のはなを見つめると、はなの側にひざまずいて片手をかざした。
光がはなの体をおおって、何と、酷かった火傷が癒えて行く。
しばらくして、はなはゆっくりと目を開けた。
「大丈夫か?太陽に挑むなど。ずいぶんと無茶をしてくれるな」
はなは目の前の男性が、人ではなく。位の高い精霊であることに気がついた。
物腰が柔らかく、穏やかな彼。
「僕は月の精霊、白夜。そなたの名は?」
「あたしは、はな。向日葵の精です。白夜さま、貴方があたしを助けてくれたの?」
白夜は静かにうなずく。
はなは、一目で月の精霊。白夜に惚れてしまっていた。
「白夜さま、白夜さまなら。あたしを優しく包んでくれますか?」
目を細めて、優しくうなずく白夜。
そして、はなは決意をする。
「白夜さま。貴方は、あたしの命を助けてくれた!あたし、貴方がすき……。
太陽の君よりも、貴方が!お願いです。あたしをお嫁さんにしてください。」
手を合わせて必死に頼み込む。はな。
その告白に驚きながらも、うなずく彼。
「はな。そなたが望むなら、それも良いだろう。僕もそなたを気に入っていた。だが、天の精霊と地の精の恋情は、太古より禁忌とされている。それに、僕とは夜しか会えない。雨の日や月が雲に隠れてしまったら会えないよ。それでも良いのかい?」
見つめあう二人。しかし、はなは「貴方の妻になれるなら。耐えます!」と応えた。
「了解した。そなたが、そこまで覚悟があるのなら。僕の妻に迎えよう」
白夜は、力強くうなずき。はなを抱きしめた。
こうして、向日葵の精のはなは、月の精霊白夜の妻となった。
その日からはなは、暑い日中をひたすら耐えて夜には、夫の白夜と逢うようになった。
曇りや雨の日もはなは、もどかしい時を待ち続けて
ふたりが逢えた日には、仲間の向日葵達は、彼女の心に応えて一斉に
月の方を向き、月光に照らされ金色に光ってふたりを祝福した。
☆★☆
そして、決して結ばれない禁忌の存在とされていた。ふたりの間に子が生まれた。
名は、ののと名づけた。ののは、父の白夜の生命力を受け継いでおり、短命の母のはなよりも明らかに長命だった。
ある日、はなと白夜は、この星や生物を創りたもうた神に呼び出された。
『月の精霊と向日葵の精よ。わしは、先代の神の掟よりも、お前達の愛に応えてやりたい。』
「「神さま、有難きお言葉。光栄でございます」」
はなと白夜は、ふかぶかと首を垂れた。
そして、はなは意を決したように口を開く。
「神さま、私はもうじき、枯れてなくなりこの命が尽きます。私は、これから先も白夜さまとののを見守って行きたいのです。お願いです。私にお慈悲をお与えください!」
「僕からもお願い致します!妻の、はなの願いをきいてあげてくださいませ。僕もこの子もはなと別れるのは、身を切られるよりも辛いことです!」
白夜も必死になって頭を下げた。
『了解した……。わしの前で、誓いの口づけをしなさい。
それで、向日葵は月の生命の欠片で、記憶を失わずに毎年、生まれ変わることが出来る』
「はな、愛しているよ」
「あたしもです。白夜さま」
「あたしは、毎年生まれ変わり、貴方とこの子を愛し続けます。これから先もずっと、ずっと……」
白夜とはなは、神の御前で誓いの口づけをした。
はなと白夜の子、ののは、「きゃっ、きゃ」と愛らしく笑い。父と母に優しく抱きしめられる。
神は三人を見守りながら、祝福をした。
空から、光が降り注ぎ、三人を照らす。
親子は、尊くて大切な日々を共に過ごした。
はなは、それから間もなく。白夜と、ののに見守られながら天に召された。
「はな……。僕達は、はなが戻ってくるのをずっと、待っているぞ」
白夜は、はなの亡がらを胸に抱きながら、静かに号泣した。
深夜に天気雨が降った。それは、はなとの別れを惜しんだ空が、流した涙だったのかもしれない。
はな……。僕の愛しい妻よ。君の花のような笑顔を思い出さない日はない。
ねえ、白夜さま。知ってる?向日葵の花言葉は、本数で変わるの。
花言葉は1から999まであって。相手への愛の言葉が続いている。最後の花言葉は…(何度生まれ変わってもあなたを愛す)よ。あたしは、逢えない間も愛を送り続けるわ。
だから、ねっ?そんな悲しそうな顔しないで。笑顔で送り出してね。
~おわり~
🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛
最後までお読みいただきありがとうございます。
1本は、“一目惚れ” 3本は“愛の告白”。7本、密かな愛、11本、最愛。99本は、“永遠の愛とずっと、一緒にいよう”108本は、結婚しよう。
そして、最後の999本目は……。
ここはとある田舎町。ここには今日も、懸命に彼に猛烈アタックする女性がいた。
女性と言っても、彼女は人ではない。ひまわり畑の向日葵の中の一輪。
そう、彼女は向日葵の化身だ。
蜂蜜色のロングヘア、エメラルド色の瞳、白いドレスと茶色の麦わら帽子。
彼女の本体は向日葵で化身の姿は、人にはみえない。
向日葵の精のはなは、今日も、恋焦がれる相手の太陽に熱い恋心を伝えようと勇猛果敢に挑んでいた。
「今日こそは、太陽の君に振り向いてもらうんだから!」
はなは、燃え盛る太陽に無謀にも、真っすぐ突っ込んで行った。
しかし……。
「キャアーーー!!!」
その想いは、無慈悲にも太陽の熱波によって、打ち砕かれ、はなは火傷を負って地上へと落下して行く。
彼女は、もう少しで激突する所で、たくさんの仲間達によって助けられた。
☆★☆
やがて、夜になり、空には琥珀色に輝く。月が現れた。
月の光が、はなを照らしている。
光が粒子になり、はなに集まってくる。
その光が弾けると、突如、凛々しく雅な男性が現れた。
平安時代の狩衣のような衣装、白い短髪の髪。
瞳も白く、右耳にはヒスイで作られた勾玉のイヤリングをしている。
彼は、痛々しい姿のはなを見つめると、はなの側にひざまずいて片手をかざした。
光がはなの体をおおって、何と、酷かった火傷が癒えて行く。
しばらくして、はなはゆっくりと目を開けた。
「大丈夫か?太陽に挑むなど。ずいぶんと無茶をしてくれるな」
はなは目の前の男性が、人ではなく。位の高い精霊であることに気がついた。
物腰が柔らかく、穏やかな彼。
「僕は月の精霊、白夜。そなたの名は?」
「あたしは、はな。向日葵の精です。白夜さま、貴方があたしを助けてくれたの?」
白夜は静かにうなずく。
はなは、一目で月の精霊。白夜に惚れてしまっていた。
「白夜さま、白夜さまなら。あたしを優しく包んでくれますか?」
目を細めて、優しくうなずく白夜。
そして、はなは決意をする。
「白夜さま。貴方は、あたしの命を助けてくれた!あたし、貴方がすき……。
太陽の君よりも、貴方が!お願いです。あたしをお嫁さんにしてください。」
手を合わせて必死に頼み込む。はな。
その告白に驚きながらも、うなずく彼。
「はな。そなたが望むなら、それも良いだろう。僕もそなたを気に入っていた。だが、天の精霊と地の精の恋情は、太古より禁忌とされている。それに、僕とは夜しか会えない。雨の日や月が雲に隠れてしまったら会えないよ。それでも良いのかい?」
見つめあう二人。しかし、はなは「貴方の妻になれるなら。耐えます!」と応えた。
「了解した。そなたが、そこまで覚悟があるのなら。僕の妻に迎えよう」
白夜は、力強くうなずき。はなを抱きしめた。
こうして、向日葵の精のはなは、月の精霊白夜の妻となった。
その日からはなは、暑い日中をひたすら耐えて夜には、夫の白夜と逢うようになった。
曇りや雨の日もはなは、もどかしい時を待ち続けて
ふたりが逢えた日には、仲間の向日葵達は、彼女の心に応えて一斉に
月の方を向き、月光に照らされ金色に光ってふたりを祝福した。
☆★☆
そして、決して結ばれない禁忌の存在とされていた。ふたりの間に子が生まれた。
名は、ののと名づけた。ののは、父の白夜の生命力を受け継いでおり、短命の母のはなよりも明らかに長命だった。
ある日、はなと白夜は、この星や生物を創りたもうた神に呼び出された。
『月の精霊と向日葵の精よ。わしは、先代の神の掟よりも、お前達の愛に応えてやりたい。』
「「神さま、有難きお言葉。光栄でございます」」
はなと白夜は、ふかぶかと首を垂れた。
そして、はなは意を決したように口を開く。
「神さま、私はもうじき、枯れてなくなりこの命が尽きます。私は、これから先も白夜さまとののを見守って行きたいのです。お願いです。私にお慈悲をお与えください!」
「僕からもお願い致します!妻の、はなの願いをきいてあげてくださいませ。僕もこの子もはなと別れるのは、身を切られるよりも辛いことです!」
白夜も必死になって頭を下げた。
『了解した……。わしの前で、誓いの口づけをしなさい。
それで、向日葵は月の生命の欠片で、記憶を失わずに毎年、生まれ変わることが出来る』
「はな、愛しているよ」
「あたしもです。白夜さま」
「あたしは、毎年生まれ変わり、貴方とこの子を愛し続けます。これから先もずっと、ずっと……」
白夜とはなは、神の御前で誓いの口づけをした。
はなと白夜の子、ののは、「きゃっ、きゃ」と愛らしく笑い。父と母に優しく抱きしめられる。
神は三人を見守りながら、祝福をした。
空から、光が降り注ぎ、三人を照らす。
親子は、尊くて大切な日々を共に過ごした。
はなは、それから間もなく。白夜と、ののに見守られながら天に召された。
「はな……。僕達は、はなが戻ってくるのをずっと、待っているぞ」
白夜は、はなの亡がらを胸に抱きながら、静かに号泣した。
深夜に天気雨が降った。それは、はなとの別れを惜しんだ空が、流した涙だったのかもしれない。
はな……。僕の愛しい妻よ。君の花のような笑顔を思い出さない日はない。
ねえ、白夜さま。知ってる?向日葵の花言葉は、本数で変わるの。
花言葉は1から999まであって。相手への愛の言葉が続いている。最後の花言葉は…(何度生まれ変わってもあなたを愛す)よ。あたしは、逢えない間も愛を送り続けるわ。
だから、ねっ?そんな悲しそうな顔しないで。笑顔で送り出してね。
~おわり~
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