オメガバースの世界にトシマ区ごと異世界転生したけど、みんなオメガなのになかなかオメガバースしない話。

みゆきんぐぅ

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なるほど。トシマ区ごと異世界転生ね。

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2カ月前に異世界転生した。

トシマ区ごと・・・だ。


この異世界に来たばかりのころは、区・・・トシマ区以外は周りが海になっていて沈んでしまったものかと思った。
しかし、羽風ことハカセの調査により、沈んだわけではなくそもそも地球ではないことが分かった。
不思議な物質にハカセは燃え上がり・・・おっと脱線した。


とにかく、このハカセのおかげで様々なことが分かり、混乱は最小限に収めた。

俺?俺は東雲 京しののめ きょう

一応、財閥の次期当主だったのだが、異世界に転移したのだから関係ない。
むしろ、様々な責任から解放された!と、喜んでいたのに、喜べたのは3時間程度。
蓋を開けてみたら、いろいろな人間が俺に聞いてきて、いつの間にかトシマ区のリーダーみたいなことをしている。
責任要らないんだけどな。

なんで、区長とか人を率いることに長けた人間が1人として残っていないのだろうか。
みんな、「THE☆日本人」みたいな感じで譲り合い精神を極めた人間ばかりで、自分がこのトシマ区リーダになると言ってもだれも反対しなかった。
むしろ、「え。そんなメンドクサイの嫌なんだけど。財閥の次期当主の予定だった???だったら統率するのすきじゃん。やってよ。向き不向きあるじゃん」と、・・・誰かが言って・・・それを皆が便乗して・・・結果こうなった。
ちなみに区民全員が来ているわけではなく 大分少ない5000人程度。
残りの30万人くらいはどこか消えてしまった。
・・・いや、地球に残っているのかもしれない。

そんな理由で、今トシマ区には建物と、5000人の人口しかない。



2か月間。
リーダに祭り上げられた京は、必死に生活基盤を整え区の外、海原へと探索を進めた。
本来、リーダーがそんな所に先人切っていかないのだろうが、こちらには科学力がある。
京はハカセの力を疑うこともなく、開発に挑んだ。

なんて言ったら聞こえがいいのだが。

勿論、ハカセは信用しているが、どちらかと言えば楽しんでいた。
与えられた財閥の責任の重圧からたった5000たのだ。

え?多い?

まぁ5000人は多いか少ないかで言ったら多いのであろうが、東雲財閥にかかわる人口とくらべたら比ではない。
それにハカセの報告で核兵器などを使った武装は近隣の国は所有していなかったことは受けている。
その代わりに地球とは違う物質(無・有)や理に概念があるのは聞いていて、完全に安心できる状態ではないというのはあるが、恐怖で動けなくと言うよりも解明したい気持ちが強かった。

そんなわけで、レーダーに映った直近の国にやってきた。
海の無い区トシマ区だが、知識も廃車などの材料もありそれで船を造った。
一応ヘリもあるのだが、音が大きいためまずは海から向ったのだが・・・・、上陸するなり相手に包囲された。
服装もあるし、使っている物質、デザインが異なるから騒ぎになるのは見えていた。


周囲を囲む人物らは、武装している。
だが武装と言ってもゲームや漫画に出てくるような中世ヨーロッパのような恰好である。
失礼ながら貧相に見えてしまったのだが、ハカセによるとこの星の特殊効果が発生しているため、舐めるなと助言を受ける。
例え、その効果がなかったとしても、剣などの相手に銃で交戦するには圧倒的支配になってしまう。
なにより自分達は争いをしに来たわけじゃない。


無抵抗でいると彼等はそれをくみ取ったのか、無抵抗でも傷をつけるような者はいなかった。
彼等は皆京達よりも体格が良く、力では勝てないようには見える。
のだが。
時間が経つにつれて男達の態度が悪くなっていく。
暴力は無いのだが・・・。
厳しい顔をしていたのに、今ではニヤニヤと笑っていた。
それはまるで夜のお店のお姉さんを見るような下品さだった。

「・・・これは明らかに馬鹿にしているようだけど」

京はため息をついた。ちなみに当然言語は異なっており、彼等に京達のはなす言葉は伝わっていない。
少し頬にかかった髪を煩わしそうに掻き上げた。

すると途端に口笛が聞こえた。

「・・・何なんだこいつらは」

隣にはハカセが可愛らしい顔でほほ笑みを浮かべながらタブレットを操作している。

「そうだねぇ~気にしなくていいんじゃない?服装も下っ端そうだし」

そうは言っても、人の顔を見るなりニヤニヤと笑う表情はなんだか気分が悪い。

「あはは!」

そんな時に急にハカセが笑い出した。
何事かとそちらをみるとニヤリと笑った。

「どうやら、京様のことを犯したいって思ってるみたいだよ」
「は?」

対面している人間達の言葉は分からないのだが、ハカセは翻訳できているらしい。
流石変態である。
後ろではSP達が殺気立った。

「まぁ京様だけでなく、僕たち全員みたい」
「「・・・・」」
「僕下手くそはお断りなんだけど」

ハカセが的外れなことを言うからため息をついた。

「いやそういうことじゃないだろう。こいつらは俺達が男だと分かっていないのか」
「いや?言ったからわかってると思うけど。・・・なんかよくわからないこと言っているんだよね。
『おめが』とかなんとか」


どうやらハカセがすでに性別は伝えてくれているらしい。
というか『おめが』とやらは一体何なのだろうか。
そんなことをしていると、大陸の人間達がざわめき始めた。
どうやら、警備兵がやってきたらしい。

相手の制圧はいつでもできる。
京達はその警備兵に捕縛されまた別の場所へと連れていかれたていった。


☆☆☆


連れていかれた先に期待をしていたのだが、全くのはずれの様だ。
ハカセに翻訳機を使い話しているのだが、全く相手にならないことが分かった。
見下し話にならない。

この国に何しに来た
あの船はなんだ
『おめが』が何故あのような船を持っている
何故『おめが』だけできた?テロでも行うつもりか?


などなど。
一応すべてに返答したのだが、男は聞くつもりがないのか繰り返し聞いてくる。

「なんだか時間の無駄のようだね」
「んーそうみたいだねぇ。でも唐突にやってきた人間達にエライ人になんて会えるわけないよ」
「〇〇〇〇ッ!」
「あーもううるさいな。怒鳴るしかできないのかコイツらは」
「どこから来たんだって言ってるよ」
「何度も同じ説明をさせるな。その頭には綿でも詰まってるのか」
「・・・。それ伝えちゃっていいの?」
「駄目に決まってるだろ」

そういうとハカセは笑った。

「えーっと。じゃぁまぁそうだなぁ。すこーし、痛いことしてみる?」
「・・・。暴力なんて振ったら戦争の切っ掛けになる」

あきれながら京が言うと、『だめかぁ~』と、へらへらと笑い出した。

そんなときだった。

ゾクリと体に寒気が走る。
この異世界にきて2度目だ。
途端に体が熱くなる。

「っ・・・また、来たみたいだ」
「えー?ちょっとまってて。ボク、持ってきてるから」

ハカセによるとこの悪寒は病気ではないらしい。
ここの独自のものらしい上に、体の構造が変わったらしい。

体の構造が変わってしまったなら、まぁ仕方ない。受け入れよう

だが、四六時中、熱が上がりセックスの事ばかり考えるようになるのは困った。
おまけに男は尻からおもらしのごとく濡れて尻を弄りたくなる。
だが幸いなことに、特効薬がありそれが無かったら大変なことになっていた。
是非研究チームには解明してもらいたい。

そんなことを思っていると、ハカセが特効薬を出した。
瓶を受け取るとパキリと封を開け京は一気に煽った。

「っ・・・ふう」

あの症状は本当に困るが、この特効薬があるからまだいい。

「市販品の風邪薬が聞くような症状で本当に良かった」
「だよねぇ~ケー様が見つけてなかったら、みんなヤリまくりだね」

『ケー様』とはきょうのことだ。
ハカセは出会った時からわざとこう呼ぶ。

ふざけてそんな呼び方をするが、ハカセの能力を考えたらそれを指摘するのも馬鹿らしくなってくる。
ハカセがいなかったらトシマ区だってもっと荒れすさんでいたと思う。
そんな一目置いているハカセに、京はこの地に来た時に突如今みたいに体調を崩したときに市販の風邪薬を飲んだら、状態が改善したことを話した。

たったそれだけなのに、ハカセは何かピンと来たのか、どんな症状だったのかまた何を服用しどうしたのか聞いてきた。それを聞き終えた後、ハカセは一つの可能性として、このことを復旧させたトシマ区民が使えるネットワークに情報を流した。

「早く原因と対策が分かればいいんだけど」
「というか、雅様に知られたら大変だよね」
「・・・そうなんだよ」

雅とは京の双子の妹で、生粋の腐女子である。
今この世界にきて追っていた神(腐の創造主)がいなくなり絶望の末に、アニ〇メイトに籠っている困った妹である。
なお、アニメ〇イトには生まれて初めて行けたため、神を亡くした悲しみと神域に行けた喜びに今はフィーヴァーしているらしい。
そんな妹に尻が濡れるようになったなんて知られたら・・・なんて考えるだけでも恐ろしい。

「・・・京様方・・・一応、偵察にきていて相手国の手前なので私語はそろそろ」

そう言って止めてきたのは、SP統括の如月である。

「さっきから内容がないことばかりしか聞いてないから大丈夫だよ~」
「とはいえ、失礼になるかと」
「礼がない者に礼を尽くす必要があるか?」
「・・・」

如月の言わんとしていることも分かるのだが。

「こちらの要望は『トシマ区』から来た使者であることは伝えた。
それをどの程度重要視するかは相手次第」

そう言ったところで唐突に扉が開け放たれた。


ガンッ

荒々しい物音に驚き視線が寄せられると、そこには燃え上がるよう赤い髪を持った男がそこにいた。
着ている服は周りよりも上質であることが分かる。
どうやら、目の前でがなっていた男よりも身分は上の様だ。
それを表すように、目の前の男はこの男を見るなり慌て始めている。

「ハカセ」
「OK~『私はトシマ区という島から来た使者です』」
「!〇〇〇〇ッ!?」
「ハカセ」
「『私の運命のツガイはどこだ』だ、そうですよ」
「はい?」
「さぁ」

首をかしげるハカセに同じように首をかしげる京。
なんだか面倒になってハカセに手を差しだす。

「タブレットかして」
「はーい。・・・あ。このアプリを使って、このイヤフォン使えば普通に話せるよ?」

『使う?』ときょとんとして言うハカセにデコピンする。

「あるならなんでさっさと寄こさないんだ」
「だってぇ。あまりにも下種なことばかりいってるからぁ~」
「・・・はぁ」

翻訳してくれていた以上なことを言っていたのか?
それは嫌な話である。
ハカセからそのイヤフォンを受け取ると耳にセットした。

「あーあー。どう?」
「うん。大丈夫」

そういうとハカセはタブレットの音量を大きくする。


「私は東雲京です。まずは唐突な訪問申し訳ありません」
「!・・・ルボミール・ラージャだ」
「お話をしたいのですが・・・」
「あ、・・・あぁ」

そういうと、男がこちらに近寄ってくると目の前に座っていた男が立ち上がるとそこに掛けた。

「殿下!」
「「「(殿下!)」」」

真っ赤に燃えるような髪と、宝石のガーネットのような瞳を持ち、男として羨ましくなるような体格を持つ男が、まさか王族だとは思わなかった。
責任者が出てきてほしいとは思っていたが、いきなり・・・彼等からしたら不審者の自分達に王族が現れるなんて誰が思う?
文化が現在の日本より低く、石畳の街並みの中で少し大きめの建物だなとは思っていたが、遠目に見える城とは離れていたのだが。
もしかして、末席当たりの者なのだろうか。

良くわからないが王族と言うものはこんなところに歩いているものなのだろうか。
引きつりそうになりつつも、まぁ結果オーライだろう。

「お時間いただきありがとうございます。私たちはここから少し離れたトシマ区と言う島からやってきました」

その言葉に男・・・ルボミールは眉をひそめた。

「そのような島などあっただろうか」
「えぇ。・・・そのことなのですが、・・・私達も正確な原因は現在調査中ですが、ここは私達の住んでいた地球という星ではないようなのです」
「ホシ・・・?チキュウ・・・?」

疑問は声色に反映されていた。
それは本当に地球じゃないと言われている様だった。

「ここは何という大陸になりますか?」
「ラージャだ」

先ほど、『ラージャ』と名乗った男。
もしかして、この国は大陸一の国なのだろうか。

「そうですか。やはり、我々の星には存在しない大陸です」

そういうと、ルボミールは何か考えているようだった。

「いや、まさかそんな」
「なにかご存じなのですか?」
「貴方達はどうやら落ち人の様だ」
「落ち人?」
「異世界より落ちてきた人という意味だ。・・・だが島ごときたなんて聞いたことがない」
「島ごとというか、区ごとと言いますか」
「ク?」
「まぁ街が一つだけ来てしまったと思ってください」
「なるほど」
「落ち人という言葉は逆に私達の世界にはない言葉でした。
異世界という言葉もどちらかと言うと空想的な言葉で現実ではありませんでした。
・・・この国、・・・いや世界には『落ち人』という言葉があるのであれば、帰る方法などわかりませんでしょうか」

しかし、男は渋い顔をする。

「知らないな」
「・・・殿下」
「京様~」

ハカセの呼びかけにコクリと頷いた。

「どうやら対話は難しいようですね」
「!」

そういうと男が驚いたようにこちらを見てくる。

「誠意なき会話に意味はないでしょう」
「・・・」
「ここに居ても無駄の様です。失礼しました」
「っ・・・待ってくれ」
「・・・」

ハカセがコクリと頷き、京はルボミールのガーネットのような瞳を見つめる。

「先ほどの言葉には続きがある。聞いてはくれないか」
「・・・。えぇ」

すると、ルボミールはホッと息をついた。

「まずは、詫びよう。紛らわしい言い方をした。すまない」

そう言って男が頭を下げる。
ここにきて見下したりやにさがる笑みを浮かべる者達が多かった中、この様子は信用がおけるような気がした。

俺が早とちりしたのかな

「いえ。こちらも早とちりをしてしまったようです」
「ただ、まだ安心しないでほしい」
「どういうことです・・・?」
「落ち人がまず街ごと落ちてきたことがない」
「・・・」
「また、その方法で帰れるかは保証が出来ない」
「どういうことですか?」
「ルミールの谷という渓谷があり、そこに月が3つ揃う時、落ち人がその渓谷に立ちルミールの鏡に姿を映したとき元の世界に戻れると言われている」

まるで辺境の地の言い伝えのようなそんな内容に、チラリとハカセを見るが頷かれてしまった。
どうやらルボミールが言っていることは事実らしい。
ハカセは人が嘘を言っているかどうか判断が出来るアプリを見ているのだ。

「それに、その方法では街ごと戻れないだろう」
「・・・そうですね」

とはいえ、ここに居るよりはマシなのだろうか。

「『保障が出来ない』というのはどういう意味なのでしょうか」
「それは・・・帰ったものにちゃんと帰れたかなどを確認する方法がないからだ」

つまり、帰れたわけではなく、消滅かもしくは別の異世界に飛ばせられたのか分からないということらしい。


「なるほど。理解しました」


そういうと今日はため息をついた。


ここにきて、当主とかなくなって自由になれたと思ったんだけどな。


それはどうやら思い違いの様だ。


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