オメガバースの世界にトシマ区ごと異世界転生したけど、みんなオメガなのになかなかオメガバースしない話。

みゆきんぐぅ

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【別視点:ルボミール】冷酷な男

※京がルボミールの前で発情してしまい、抜いてもらった後の話です。


『ピアスはやっぱりしっかり気持ちがわかってからでいいよね』

そう言った京をあれこれと丸め込みピアスホールを開けさせたルボミール。

京が怯える姿でさえ、愛しく可愛らしく見えるとは思わなかった。

『運命の番』だからなのだろうか?

『運命』など信じていない頃は『運命の番』そのものよりも、番を第一に考えてしまうとされているαに信じられなかった。
自分本位であると理解しているルボミールは自分には絶対『運命』は現れないと思っていた。
他人のために、それもΩのために考えて行動するなんて考えられなかったからである。
αの恋人や伴侶相手にだってそんなこと思ったことなかったのに。

今は嫌われることを何よりも怖く思い、自分以上に大切にしたいと思う存在がになるとは。

自分をイメージして作らせたガーネットのピアスを耳元に輝かせる京はルボミールの心を満たす。
頭では第三性別の無い世界からやってきた京にはバースや、番のシステムなんて難しいだけなのだろうが。
京も説明した上で考えてくれようとしているのが、また愛おしいと思った。
ルボミールもいくら国の為に、αの男と結婚しろなんて言われたら拒否を示すと思ったからだ。

一日でも早く番たいところだが、した今。


耳に穴を開けるのは初めての様で、針を見せた途端緊張が高まり、それでも逃げまいと自分の腕の中で震える姿は最高に愛しかった。
小さく漏らした声を唇で吸い上げてしまいたかったが、『待つ』という体裁の自分は自重しなければならない。

それに、京はどうやら誰とも経験がないらしい。
特に後ろでの経験はないらしく、たった一本の指でもキツク指に絡みついていた。
それでも興奮しているのか、愛液が前と後ろから滴り・・・本当に食べてしまいたかった。
これだけ焦らされているのだ。
初めての夜はの前からでなくなるまで愛そうと幸せに浸っている時だった。

部屋に微かに残る京のフェロモンと自分以外のαの気配に眉をひそめた。

「・・・」
「出られる場合は何かことづけしていただけませんか」

ルボミールの帰還に気付いたらしい側近であるダンだ。
大変優秀ではあるが、京と交わると不快に思った。

この状況京のフェロモンでわからないほどお前は無能だったか」

βやΩなら逃げてしまいそうな気配を出しつつそう答える。

「酷い言いようですね。今回は分かりますが今後の事です。
きっとこれからは隙あらばあちらに行かれるのでしょう?」

その言葉にフっと笑みを浮かべるだけで答えないでいるとため息をつかれた。

「まぁご機嫌なようなので良いですが」

この反応で機嫌が良く見え、そう言えるのはダンが幼い頃にラージャに来てから、ずっとそばにいるからだ。

「トシマクのハカセからもっと材料が欲しいと連絡が入っています。どうしますか」
「好きにしてやれ」

京の口からハカセの名前を聞くのは心底不愉快だった。
だが、京が信用しているというのもあるが、ルボミール自身あの男の技術力や理解力は素直にすごいと思っている。

そもそもがトシマクのあったことあるΩはその香りや気配間違いなくΩなのに、京を含めてそんなふるまいを見せない。
たった半年しかたっていないのに、京も如月も流暢にラージャの言葉を話す。
鑑定施設に置いている人物に聞けば、京の警護に当たっている者達も漏れなく話せるらしい。
その中でもハカセは群を抜いて秀でている。
ハカセの有用性は理解しつつ、京にべったりなのは面白くなく、防衛システムを与えてみると、ルボミールの狙い通り食いついたようだ。
離すことに成功し、且つトシマクの防御も上がるだろう。・・・京からの信用が上がるのは面白くないところだが、致し方ない。

「・・・。結構な金額なのですがね?あなたの財産ではそのうち足りなくなりますよ」
「それは長いこと続かないだろうな。良い稼ぎ方法に京も気づいただろう」
「なにがあったんです」

そういうとダンは使用人に指示をするとソファーに掛けた。

「あのトシマクで流通している抑制剤は、ラージャの抵抗剤に匹敵するほどの効果がある」
「・・・。まさか飲んだのですか?」
「京の発情が始まったからな」
「!・・・番ったのですか?・・・いや、番になったら今ここに居ませんね」

その言葉ににやりと笑った。
実にその通りだからだ。
Ωの発情期中αはそれに引きずられてラットになる。
大抵5日程度は出てこれなくなるだろう。

そのため、Ωを番に持つαは完全に引きずらせないために軽度の抵抗剤を服用するか、同様に5日間部屋から出てこない。
陛下や王妃も良く自分の専用の屋敷から出て来なくなる。
彼等は抵抗剤を使っていないようだ。

「そんなことよりも、良く解明されていないものを口にしないでください」
「京が口にして平気なものに、俺にするなというのか?」
「・・・。貴方が他の番もちのα達みたいに面倒くさい人間になるとは思いませんでしたよ」

ダンは忌々しそうに言いながら額に手を当てる。

「それは俺が一番そう思っている。・・・しかしだ。
トシマクの住人はΩだが、文明や技術は素晴らしかったのをお前も見ただろう」
「魔法がないとああいう発展もあるのですね」
「そうだな」
「・・・ふ」
「どうした」
「貴方が鑑定施設を上流階級のそれも伴侶にΩの番がいる地域を指定したとき、京殿・・・いえ。
京様が断固拒否していたことを思い出しました」
「あぁ・・・。あの時は頭が痛かった」

そういう、ルボミールとは反対にダンはクスリと笑みを浮かべた。

「ですが、京様の言っていることは理にかなっています。
そのことにも驚きましたが、Ωの彼が貴方と普通に会話出来ているのは初めて見ました。
大抵のΩは貴方の発するオーラにおびえて家族の裏に隠れるか、発情期の時ですからね。
・・・貴方あの時結構怒っていましたよね」

そう。あまりにも聞き訳がないから、無意識にオーラで抑えつけようとしたのに、京はビクっとしたのみで少し考えたと思ったら拒否してきた。
金銭的に難しいなら下流層でも良いと言ってきたものだから仕方なし中流地域で、こちらの手配したαとβを置くことを必須にしたのだ。

「あれは・・・わざとではない」
「見てて面白かったから良いですがね。
でもわかりましたでしょう?
Ωでも彼らは異世界人です。完全に私達・・・いや。この国のΩと同じではないことを忘れないでください。
彼等には良薬も我らには毒になることもあります」
「それは困ったな。・・・私がトシマクの抑制剤が効くか実験すると言ったら」

大して思ってない口調で言いながらダンをチラリとみる。

「駄目に決まっています」

そんな反応は分かっていて、ニヤリと笑みを浮かべた。

「だろうな。死刑と第一級判決のαは何人いる」
「・・・。すぐに調べさせます」
「検体である『α』をきっと京は必要になる。
隷属の輪をつけすべて犬歯を抜き、男女ともに精巣の機能を止めろたものを準備しろ。
それと念のため『β』も用意しておけ」
「・・・。・・・思うのですが、京様を監禁したらどうです。
そしたら面倒なこともなくなりますし、その実験も京様を人質に取り上げればよいでしょう」

ダンがそういうのは、α至上の者達に知られたら面倒だったのだろう。
だが、京を監禁するなどとっくの昔に考えている。
それをしないのは、それが最悪なケースになるからだ。
どんなに想定しても、京が病むことしか想定できなかった。
その情景が頭に浮かび、想像でも忌々しくその切っ掛けのダンにめがけて氷攻撃を仕掛けた。
瞬時にダンの膝丈まで凍るが、彼はそれを簡単に呪文で解いた。
魔法に関してはダンの方が上なのだ。

「失礼しました。今のは失言です。申し訳ございません」

番を傷つけるような発言をしたことに不愉快に感じたが、すぐに謝罪をするダンを許す。
ダンはこの失敗を二度としないからだ。
それに、彼はこれまで番がいたことが無かったら感覚が分からないないのだ。

「・・・。京を攫おうなど、初日の夜に『運命』に逆らうのと平行に熟思済みだ」
「・・・」
「『運命』には逆らえない。体験するまでは馬鹿らしいとは思っていたが。
・・・京に拒否をされるくらいなら、転がされるのも悪くない」

そう言うと、ダンは眉をひそめた。
ダンはΩに嫌悪は無いはずだが。

「・・・悪い方に転がされないで下さいね」

今のところ面倒ではあるが、有益ではあると考えているようだ。

「お前も京を知っているだろう。その上で何かするように思うのか?」
「・・・。彼がすることにはさほど。異国のソレと変わらないとは思います。
問題は貴方ですよ」
「どういう事だ」
「Ωの迫害禁止などを憲法に組み込みそうです」
「そこまではしない。そもそも、俺の番で『運命』だと言っている京に愚行をするものがいるとは思えないからな」

鼻で笑うとダンはホッとしたように息を吐いた。

「ダン。異世界からの落ち人の対応には特に気をつけよ。
・・・彼等はこの地のΩと違い迫害されることにストレスを感じる」

この地のΩもけしてストレスに感じていないわけじゃない。
だが、αであるルボミールには関係が無かった。

彼等過去の落ち人が渓谷を見つけ出してまで帰りたがった理由はバースについていけないことが多い。どうせ死ぬかもしれないなら、『1%』でも帰る理由を託し渓谷に訪れるそうだ」
「ですが。渓谷はもう存在しないですからその『1%』もないでしょう」

そうなのだ。
ルミールの谷をルボミールが破壊した。
地震で山ごと吹っ飛ばし今は更地になっている。水源すら消し去った。

、渓谷はのまれてしまったのだ。不幸な天災だ」

そう言いながら浮かべる微笑はこれ以上ないくらい冷酷なものだった。
京に絶対見せないそれだ。
京達はこの地で生きていこうとしているのだ、それすらも教えてやる必要はない。

「本当に怖いのは貴方だと思いますが」
「何を言っているかわからん。それよりもスミオラ家にニコ・スミオラをの元に就かせる書状を手配せよ」
「宜しいのですか?」
「時間の問題だ。俺は京を手放す気はないのだからな。それにいい訳はいくらでも出る」
「・・・。先日思ったのですが、貴方・・・キョウ様に見せる態度と別人かと思うのですが。
今の態度は貴方らしいですけど」
「うるさい。・・・お前にもΩの番が出来ればわかる」
「あいにく『運命』なんてそんな簡単に何組も出ませんよ。なので抵抗剤を服用している私に聞くフェロモンを持つΩがいませんよ」
「そうだと良いがな」

そういうとルボミールは喉で笑った。

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