オメガバースの世界にトシマ区ごと異世界転生したけど、みんなオメガなのになかなかオメガバースしない話。

みゆきんぐぅ

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青の涙。

ルボミールが執務をしている間、気配を感じられるこの部屋に居ることさえ守れば何をしてもいいと言われた。
自由に仕事が出来そうで良かった。
タブレットを眺め、各所に連絡や進捗などの調整を行う。
鑑定施設やショーの方は慣れてきたようで他の者に任せ始めたタイミングで本当に良かった。
実状を聞いてずっとトシマ区に籠っていたい人間もいるが、やはり出たがる人間もいた。
異世界と言うことに気分が高揚しているようだ。
勿論出る前に自分たちは差別対象であり、あちらは差別感情ではなく区別だと思っており、傲慢なやり取りがある可能性が高いことは重々説明している。
よって仕事以外であまり外に1人で行くのではなく、SPやルボミールの手配してくれたαと同行すること、それと攫われた時のためにGPSを所持することを義務づけた。
くれぐれもここは平和な日本じゃないことを何度も言うと『箱入り娘の親かwww』と返ってきた。
・・・大丈夫だろうか。心配は尽きないが大事にしまい続けることは出来ないだろう。
そして、婚約のことも隠していても仕方ないし、まだ困惑しているがWEB会議で『運命の番』が見つかったこと、そして婚約をしたことを報告した。例のごとく異様な盛り上がりだったが祝福を貰った。

ちなみに、ハカセは気づいていないのか、彼からは何もなかった。
やたらルボミール・・・と言うか『α』に噛みついていくから困ってしまう。
それを如月に話したところ、先日の大臣達への顔みせの時に、京もふんだんに嫌味を言っていたので似たり寄ったりだと言われた。要するにものすごく心配したので、少し気を付けましょうね?ということだ。

しかし、あぁなったのはルボミールの気配が荒れそうだったのもあった。
信用のおける臣下であるダンが少しでも京を責めるようなことを言っただけで、気分を害するというのにあの男の発言は確実に怒るのが分かる。薬を飲んでいなかったらどうなっていたかわからない。
『お断りします』だけで引いてくれたならよかったが、あぁもしつこいとは思わなかった。
出会った時の、ルボミールもそんな感じだったが、Ωとはそういうものなのだろうか。
しかし、ニコの兄などはそう言った様子はなかったし、そういう人物だったのか?
そう思いつつタブレットをスワイプする。

ルボミールはハカセにΩの価値を上げろと言ったが、ハカセだけに任せる訳にはいかない。
だが・・・一体何をしたなら上がるのだろうか。
例え、京が『運命の番』のままルボミールと結婚したとしても、回復するとは思えない。

「『運命の番』か・・・」
「キョウ様。・・・ご質問してもよろしいでしょうか」
「ん?うん。どうかした?」
「先日おっしゃられていた『運命の番』を壊すとおっしゃられていた件ですが」
「うん。それがどうしたの?」
「・・・。もし、殿下を好ましいと思われているのなら、止めて置かれた方が良いかもしれません」

何か理由がありそうな制止に首をかしげる京。

「どうして?」
「・・・。『運命の番』の破壊は青の大魔法使いも手掛けていた研究でした。
キョウ様は青の大魔法使いをご存じですか?」
「存在は聞いたがどんな偉人なのかは聞いてないな」
「この世界では当たり前すぎて新たに説明されてないのかもしれませんね。
彼は不老不死で今もこの世界のどこかに存在すると言われています」
「・・・不老不死・・・」

この世界は本当にびっくり箱のような世界だ。
地球でもそのたぐいの話は合ったがどれも偽物。
しかし、魔法がある世界では真実のような気がする。

「青の大魔法使いであるモイス様は潤いの象徴とされ、青の大陸に大小あった国々を偉大なる魔法を使い、一つにまとめ上げたお方でもあります。
3大賢者の1人とも名を連ねており青の大陸だけでなく、この赤の大陸も人気のある方です。
一番神に近い人だとも今でも言われています」
「・・・つまり、その青の大魔法使いモイスの出来なかったことに、・・・万が一出来てしまうのが不味いということか?」
「いえ、そういうことでは・・・いや。一部の彼の信者は何かを言ってくるかもしれませんが・・・。
すみません、僕はそこまで詳しくはなくて・・・」
「・・・?」
「ぼ、僕が言いたかったのは!・・・モイス様が止められた理由です。
モイス様が壊そうとしていた『運命の番』は、かつての恋人でした」
「・・・、」
「その恋人とは結婚する約束でした。
しかし、その恋人は青の国のアステリア帝国の皇帝の『運命の番』だったのです。
その事実に、モイス様は嘆き『運命の番』を恋人の記憶から消します。
それは自分のことも忘れてしまいますが、それでもまた愛そうとしたのです。
魔法は成功し、恋人はモイス様のことも『運命の番』の名前を忘れてしまいました。
モイス様はホッとしましたが、問題はそこからでした。
誰が『運命の番』かものにのです」
「それは・・・大丈夫なのか?」

『運命の番』を離すことは出来ないと言っていた。
誰か覚えていなくとも、自分に『運命の番』をいたことを知れば探すのではないだろうか。

「恋人は心を壊してしまいました」
「!」
「・・・ハカセ様はどういう風に『運命の番』を壊そうとしているかはわかりませんが・・・」
「魔法使いはどうなった?・・・その・・・皇帝はどうなったんだ」
「皇帝は短命であったとだけ。・・・モイス様は恋人と姿を消してから姿を現していません。
・・・この事実は彼がねぐらにしている一つの屋敷に手記として残っていたのです」


この話は『青の涙』と言う話の元の話になっており、彼の弟子が長く姿を見せない師匠を心配し探している最中に見つけた手記から始まるそうだ。

「・・・」

話を聞きながら京の心臓がドクドクと脈打った。
『運命の番』が怖いと、なくしたいと思ったのに。





ルルが・・・死ぬ・・・?




「・・・、」



そう思った瞬間視野が狭くなって、周りの音が聞こえなくなっていった。
次第に、心音すら聞こえなくなっていき、意識を手放した。







「キョウッ!」



それと共に入ってきたのは、ルボミールだった。


☆☆☆



【別視点:ルボミール】



執務室に京の同席を禁止したのは大臣達の癖に、たった一日休んだルボミールのところにやたら足を運んでくる。
それらははっきりと言わないが、京が目当てなのがまるわかりだ。
隣の部屋の方をちらちらとみるのだから。

口をそろえて、同じ部屋に居たら仕事にならないから駄目だというのに、頻繁にくる大臣達は本当に仕事をしているのか?と問いただしたくなる。

それでもようやく来客の波がきれると、一息ついた。

あの男ハカセからは何かきているか」
「えぇ」
「なんと言っている」
「中央魔法研究技術館に行きたいそうです」
「国外か。・・・人と見元を手配しろ。一人で行かせるには行かない。」
「もう進めていますよ」

『中央魔法研究技術館』とはラージャ国の外にある。
その名の通り魔法について研究をする施設である。
半年あの男を見ていて、今さら国外に行きたいと言ってきても驚きはしない。
ただ、Ωを一人で行かせるには危険だ。
何よりも、京にとってはハカセは必要な手駒である。

「里帰りでもするか?」
「私が帰る場所はここですよ。ですが、よろしければ私が付きます」
「お前なら安心だ。頼む」
「わかりました」
「・・・、・・・、・・・」
「殿下?」
「ッ」


そんなときだった。
胸騒ぎが止まらない。
部屋が繋がっている扉を凝視していたが、居ても経ってもいられなくなって足は踏み出していた。




☆☆☆




・・・寒い



真っ暗な暗闇にたたずんでいた。
寒くて凍えてしまいそうなのに、・・・体が動かない。

おまけに酷く悲しい。


どこにいるの・・・?

『・・・〇〇』


何度叫ぼうとしても声にならない。




☆☆☆





「キョウッ!」

「ッ」
「キョウッ・・・何があった!」

ルボミールが叫ぶと肌がビリビリとする。
でも、周りを見回すと、またいつかの様に周りの人が青ざめ床に伏せていた。
視界の端にはダンもいたが、そのダンも辛そうに扉に寄り掛かっている。

「ル、ル」
「キョウ・・・!」
「そんなに、抑えつけたら、・・・駄目だ」
「ッ」

京の体を抱きしめながら、オーラが収まっていく。

「・・・あったかい」
「キョウ・・・」

何がなんだかわからないのに、目から涙が流れる。

「・・・。ッ・・・ダン、キサラギ。このまま連れていく」
「「かしこまりました」」

2人はルボミールに礼をとると、道を開くように体をどける。
京はルボミールに抱き上げながら、部屋を後にした。



☆☆☆


ベッドに横たわらせられると、離れようとしたルボミールの服を掴んで止めた。
今ははなれて欲しくなかったのだ。

「・・・ルル・・・寒い。傍に居て」
「っ・・・あぁ」

自分を抱きしめてくれる胸に、京はなんの疑問も持たずにすり寄る。
なぜこんなに安心するのかわからない。
頬に触れてくれる手が温かくてすり寄らせる。

その冷たさに驚いたルボミールが驚いたように、目を見開かせる。

「あったかい」
「・・・俺が温めてやる」
「・・・うん」

そう言うと唇を重ねる。
互いの息を奪い合うように貪りあうとベッドに沈み込んだ。


・・・
・・



「んぁっ・・・っ」
「上手に咥えられるようになったな」

そう言いながら指で京の深いところをえぐり、快感を引き出される。
長い3本の指でペニスの裏側をグリグリと擦られるともう駄目だった。
気持ちよくてたまらない。
きゅうきゅうとルボミールの指を締め付けながら、体を捩らせれる。
もっと体の中から熱くしてほしくて、本能的にルボミールのモノに手を伸ばす。
熱く硬くなったモノを服の上からまぐりながら、ルボミールをみるとゴクリと息を飲んだ。
しかし、入れる気はないようで項を舐められる。

「ひぃんっ」
「誘ってくれたのは嬉しいが。・・・今日はおあずけだ」
「なっ・・・でっ」
「俺のがそんなに欲しいのか?」
「っ・・・・ほ、しいっ」

こくこくと頷きながら求めるのに、ルボミールはしつこく項を舐め、吸い付き時折歯を立てるだけだ。

「ぅ~っ・・・るるぅっ」
「駄目だ。・・・今日は俺の指と、・・・ここを舐められる刺激で逝け」
「っ・・・中に・・・!」
「そこには今度嫌っていうほど入れてやる。・・・ほら、もう逝け」

そう言うと、京の奥を攻める指が早く強くなる。
こんなことをするように数回だというのに、京よりも良く知ったルボミールは快感を引き出した。

「だっ・・・だめっ・・・いくっ・・・いっちゃっ・・・・ひぁぁっぁ・・・!」

ぐちゅぐちゅといやらし水音を響かせながら果てると気を飛ばしたのか、かくんっと体を落とした。
荒く呼吸をさせている額に口づけると、魔法で体についた愛液を綺麗に取り去った。



『ルルが・・・いなくなると思ったら・・・怖くなった』


快感にあえぎながら泣きながらそう言った京。
『青の涙』の話を聞いて想像だけでそうなってしまったらしい。
ルボミール自身想像だけでも怒りで制御できなくなることもあるが、京は薬を飲んでいた。
それにも関わらず、あんな風になってしまったことに、漸く京がか弱いΩであることを思いだす。
先ほど触れた肌は氷の様に冷たくて本当に肝が冷えた。

「・・・」


漸く京が『運命の番』がどういうものか分かってくれただろうか。
そうであってほしいと思いつつ、京の唇にそっと口づけた。
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