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本文
【別視点:ダン:ハカセ:ルボミール】暗躍
ルボミールの読み通りトシマク側からαとβで研究に協力できる人物の要請があった。
ダンは前もって目星をつけていた「α」・「β」を各10人ずつ用意した。
「α」男5人と女5人、「β」男5人と女5人である。
それらに例の処置を施した。
隷属の首輪を付け、αには犬歯と生殖器を取り去るのは、αにとったら大変な屈辱だろう。
しかし、隷属の首輪を付けられた彼等にはどうしようもない。
それに・・・ここからが地獄の始まりだ。
今まで下に見ていたΩにいいように扱われるのだから。
そう思いつつも全く同情の気持ちは無い。
ルボミールが言う通り、本当にそんな効果の高い抑制剤や抵抗剤を作れるなら欲しい所だ。
待ち合わせの場所に行くと、そこには京の姿はなくハカセの姿があった。
いつもの様にへらへらと口元に笑みを浮かべているが、目が全く笑っていないことをダンは気づいていた。
『たかがΩ』と思ったのは、初日のあった瞬間だけだった。
ダンはその時のことを少し思い出した。
☆☆☆
京を番だと認識したルボミールの行動は早く、まだ半日・・・数時間しかたっていないのに、どうにかして囲い込もうとしていた。
それを隣で普段とは違うルボミールに可笑しく思いながらも、彼の為に動く。
番にしたいだとか関係なく、彼が欲したなら願いに添えるのがダンの役目だ。
トシマクの保護を議会に通している最中、京自体はおとなしかったがそこに居合わせたハカセは別だった。
街に出かけたいと騒いでいると連絡が入り、本来ダンも同席している議会もルボミールの指示で部屋に行くと、京が毅然とダメだというのに聞かず、ダンが2・3度攻防を繰り広げ、何度駄目だと良いどうして駄目なのかも懇々と京が説明したにも関わらず、『行きたい』の一点張り。
根負けした京はこちらに視線を向けてΩに誘発されない人物を貸してほしいこと訴えてきた。
バースを今知ったばかりだというのに、その危険性が分かるらしくハカセを1人で歩かせるのは危ないと思っている様だった。
今思えば、この男はこんなんだが、トシマクの要の技術者である。京が大切にしている人物だろう。
そして京はこうも言った『非常時である時は反撃しても構わない。けど軽率なことして私がここに居ることわすれるなよ?』と苦笑を浮かべて言ったのだ。要は暴走しすぎるなと言うことなのだろう。
嫌な予感がしたがそれは間違いなかった。
京から離れた瞬間雰囲気が変わると、口調はそのままななのに柔らかさが一気にそぎ落とされた。
そのことに驚きはしたが、京につけられていたSP達は何も反応を示さない。
Ωだから気づいていないのかと思ったがそうではないようだ。つまりこれもこの男なのだろう。
軽薄そうな態度の男を引き連れ行きたいという所に連れて行ってやった。
それは貴族令嬢が好きそうな場所とかではなく、魔法薬局や魔法道具が売っている場所だった。
魔法が無い世界と言うのがいまいち想像が出来ないが、存在しない世界から来たら興味を示すだろう。
魔法が存在しないのに、知っているのは不思議なことだが。
ハカセはなんにでも興味を示し店員に質問をするが店員はΩを見下し適当な応答を返す。
それでもハカセが聞いていると次第に店員は態度に示すようになった。
「Ωには使えない品ですよ」
「あはは。ここの世界のαとやらは優秀だと聞いたんだけど。程度がしれるね?」
そう言いながら、ハカセはこちらを見てきた。
相変わらずその目は笑っておらず、何を考えているかわからない表情をしている。
「説明を求めても出来ないほどオツムが弱いんだねぇ~。
というか。
王太子の右腕ともあろう人間がこんな店しか紹介出来ないの?
あんたも使えない側の人間かぁ~」
「!?貴様っ」
「治安も悪いし、この国との外交はやめさせた方が良いのかな~。
ボクの提案にきっとケー様は反対はしないしねぇ?
それでアンタのところの誰かさんがどうなろうと知ったこっちゃないし」
京にそんな提案されて飲まれた日には、ルボミールが荒れるのが目に見えてる。
荒れるだけならそれで構わないが、もし本当に『運命の番』だった場合最悪だ。
何故京がルボミールのフェロモンに返さないのかは分からないが、その島に籠られるのだけは困る。
報告によると大型の船を持っていると合った。
それなのにそんな船を持っているということは、魔法に代わる大きな力があるということだ。
「失礼いたしました。私がご案内します」
「出来るのぉ~?」
「!?ダン様っ私が!!・・・グッ」
Ωであるハカセがαのダンを馬鹿にした態度に、苛立ったように店員が前に立つがもう遅い。
ダンがその店員に圧力を与えると、ひぃっと声をあげて後ずさった。
バースにはα・β・Ω以外にも同じバース内でも階級がある。
αの中にも上級と下級とあり、ダンは上級よりの人間であり、同じαでも下級のαには圧を与えマウントを取ることで抵抗力をそぐことが出来る。
ようは力を見せてどちらが上かを本能的に知らしめるのだ。
しかし、これはΩやβにも有効で、弱いΩは失神しやすい。
連れて帰ることに面倒にも思ったが、これでは帰るしかない。
口実が出来たとほくそ笑みながら、ハカセの方を見ると思わず息を飲んだ。
そんなことに興味は1mmも感じてない様子だったからである。
当の本人は魔法道具をまじまじと見ていたのだ。
「ねぇ。魔力を増幅する機械とかないの」
「あります。こちらです」
結局その後もハカセの願いに付き合わされ、ルボミールが呼び出されるまで買い物をつづけた。
王太子のツケで購入する気満々だったのは、気が座っているというか図々しいというか、・・・とにかく驚かされたが。
本人が使えないものばかりを購入し、連れて帰ってくる頃にはΩと言う生き物が良く分からなくなった。
ハカセはΩなはずなのに、αに良く見かけるタイプの自分本位な人間そのものだった。
そのくせ頭が良いから質が悪い。
ルボミールの命令でなかったら不気味で距離を置いていたところだ。
あの時、度が過ぎると圧力を与えてみたりしたのだが、やっぱり利かなかった。
今から思えば、あれはトシマク産の効果なのだろう。
『運命の番』の気配まで防ぐ薬は、量産化が可能になればこの世界を大きく動かしていく可能性がある。
☆☆☆
ハカセの横暴さに気付いた日を思い出しながらハカセをみる。
こちらが渡した書類を何も言わずに目を通すハカセ。
もうラージャの言語を理解しているらしく、京がいないときは翻訳機を外し使わず読むし話す。
そのことも謎でハカセから警戒は解けない。
この男は自分の髪の色を見て、アストリアの人間だと知っていた。
確かにこの国の髪には珍しい色で、アストリアの特徴である髪の色だ。
言語を理解したとはいえ、それにしても活動的過ぎる。
・・・いや、活動的なのはあの方もだな
それは京の事だ。
ハカセのようにズバ抜けて頭の良さを感じたことは無いが、今必要な事や最適なことを見つけるのに優れていると感じた。
トシマクのΩはΩでは無い
発情期はあるようだが、この国のΩと全く違う生態だと思う。
そもそも魔法が使えないのだから、下に見れるかと言ったらそうもいかない。
主人には早く番って離宮なりなんなりに引っ込ませて欲しいところだが、そのためにトシマクの後任が必要になるだろう。
優秀だがハカセは無理だ。
続いてあったことある中で、リーダーに向いてそうなのは如月だ。
京も信用してるようだし、強く勧めたいところである。
そんな事を思いつつ、笑っていない男の目を見る。
「今日はシノノメ様はいらっしゃらないのですね」
「みてわかんない~?」
そういうと、ハカセは眉をピクリとさせた。
「もしかして・・・お前が?」
「なにがです」
「ケー様の番候補」
「違いますよ」
「ふーん。じゃ、あっちか」
つまらないように返事をしつつ、もう興味は次のものにうつったのかダンの後ろにある、窓のない木枠の2台の場所を見る。
「じゃ引き取る。
ああ。それと。
次回からサンプルを引き取る時はボクがするから、もし居ない時は必ず連絡して欲しいんだけど」
「・・・何故です?」
ダンの主人はルボミールだ。
まだ京にならわかるが、なぜハカセの言う事を聞かねばならぬのか。
「コレ、ケー様に見せたくないから」
「?望まれたのはシノノメ様と聞いておりますが」
ハカセがさしたのは後ろの馬車。
つまりはサンプリングであるαやβだ。
訝しげに眉を潜める。
「どうせ、後ろめたいαやβでしょう?足はついてる?」
言われた意味がわかってダンは息を飲んだ。
手足があるのか?と聞かれたのだ。
流石にそこまではしていないが、隷属の首輪もαの
犬歯を抜くのも同じくらい尊厳を欠くことなのに、平然と言うハカセにゾッとする。
「ケー様は研究職じゃないからね。
実情は殆ど知らない。
命を使うことを解っているだろうが、終わったら帰れると思ってると思うよ」
「・・・」
「まぁ勿論終わったなら帰すつもりだけど、なにが起こるかわからないからね。
・・・これだけの人間がいるのに一切話し声が聞こえないのは隷属の印でも掘ってるの~?」
「・・・。そこまではしてない。首輪だ」
「えぇ??その首輪、耐久性大丈夫なの?
あ。それと、もし暴れた場合、殺すかもしれないけど不可抗力だから。
さ。これにサインしてもらえる~?」
首輪どころか、刺青や焼き印などを所望した男が、出した書類には、検体に何があっても口出ししないことが記載されていた。
「・・・。この事はシノノメ様は」
「書くのか書かないのかさっさとしてくれる?でも納品出来ないでケー様を失望させるのはそっちだけどねぇ」
「っ」
そう言われてダンはサインせざる終えなかった。
☆☆☆
一連のことを報告するダンに渋い表情をするルボミール。
「・・・。あの男は本当に何を考えているかわからないな」
「えぇ。・・・もしかしたらキョウ様を裏切るやもしれません」
あの雰囲気は京には知らせたくない雰囲気だった。
しかし、ルボミールは首を振った。
「逆だな。キョウには検体の状態を知らせたくない様子だったのだろう?」
主にすべて報告するわけではないが、あえて秘密とするというのが良くわからない。
「・・・キョウには刺激が強い内容だったか。
しかし、まだ番っていない状態で正常なαをあの島に置いておくことは出来ない」
ハカセはもっと激しいことを言っていたのだが。
なんだか京がΩらしく見えてきた。
「気を付けねばならぬな。
第二・三段階まではどんなものを送ったのか隠し切ってくれるかはあの男にかかっているか。
ダン。その件関してはあの男の指示に従え。
受け渡し場所などが変わった場合は、こちらには事後報告で構わない」
「承知しました」
「そんな簡単に進むとは思えない。魔法もそうだろう?」
ハカセが首輪ではなく入れ墨や焼き印を所望していたことに対し、ルボミールは何も言わなかった。
それどころか、それなら外れることもないしいいかもしれないと賛同したくらいだ。
ハカセはこの主と少し似た思考を持っているかもしれないと、ダンは思うのだった。
┬┬┬
「しおり」「おきにいり」ありがとうございます!
と、、・・・・糖度がたりない。。(ノω・、)クスン…
ダンは前もって目星をつけていた「α」・「β」を各10人ずつ用意した。
「α」男5人と女5人、「β」男5人と女5人である。
それらに例の処置を施した。
隷属の首輪を付け、αには犬歯と生殖器を取り去るのは、αにとったら大変な屈辱だろう。
しかし、隷属の首輪を付けられた彼等にはどうしようもない。
それに・・・ここからが地獄の始まりだ。
今まで下に見ていたΩにいいように扱われるのだから。
そう思いつつも全く同情の気持ちは無い。
ルボミールが言う通り、本当にそんな効果の高い抑制剤や抵抗剤を作れるなら欲しい所だ。
待ち合わせの場所に行くと、そこには京の姿はなくハカセの姿があった。
いつもの様にへらへらと口元に笑みを浮かべているが、目が全く笑っていないことをダンは気づいていた。
『たかがΩ』と思ったのは、初日のあった瞬間だけだった。
ダンはその時のことを少し思い出した。
☆☆☆
京を番だと認識したルボミールの行動は早く、まだ半日・・・数時間しかたっていないのに、どうにかして囲い込もうとしていた。
それを隣で普段とは違うルボミールに可笑しく思いながらも、彼の為に動く。
番にしたいだとか関係なく、彼が欲したなら願いに添えるのがダンの役目だ。
トシマクの保護を議会に通している最中、京自体はおとなしかったがそこに居合わせたハカセは別だった。
街に出かけたいと騒いでいると連絡が入り、本来ダンも同席している議会もルボミールの指示で部屋に行くと、京が毅然とダメだというのに聞かず、ダンが2・3度攻防を繰り広げ、何度駄目だと良いどうして駄目なのかも懇々と京が説明したにも関わらず、『行きたい』の一点張り。
根負けした京はこちらに視線を向けてΩに誘発されない人物を貸してほしいこと訴えてきた。
バースを今知ったばかりだというのに、その危険性が分かるらしくハカセを1人で歩かせるのは危ないと思っている様だった。
今思えば、この男はこんなんだが、トシマクの要の技術者である。京が大切にしている人物だろう。
そして京はこうも言った『非常時である時は反撃しても構わない。けど軽率なことして私がここに居ることわすれるなよ?』と苦笑を浮かべて言ったのだ。要は暴走しすぎるなと言うことなのだろう。
嫌な予感がしたがそれは間違いなかった。
京から離れた瞬間雰囲気が変わると、口調はそのままななのに柔らかさが一気にそぎ落とされた。
そのことに驚きはしたが、京につけられていたSP達は何も反応を示さない。
Ωだから気づいていないのかと思ったがそうではないようだ。つまりこれもこの男なのだろう。
軽薄そうな態度の男を引き連れ行きたいという所に連れて行ってやった。
それは貴族令嬢が好きそうな場所とかではなく、魔法薬局や魔法道具が売っている場所だった。
魔法が無い世界と言うのがいまいち想像が出来ないが、存在しない世界から来たら興味を示すだろう。
魔法が存在しないのに、知っているのは不思議なことだが。
ハカセはなんにでも興味を示し店員に質問をするが店員はΩを見下し適当な応答を返す。
それでもハカセが聞いていると次第に店員は態度に示すようになった。
「Ωには使えない品ですよ」
「あはは。ここの世界のαとやらは優秀だと聞いたんだけど。程度がしれるね?」
そう言いながら、ハカセはこちらを見てきた。
相変わらずその目は笑っておらず、何を考えているかわからない表情をしている。
「説明を求めても出来ないほどオツムが弱いんだねぇ~。
というか。
王太子の右腕ともあろう人間がこんな店しか紹介出来ないの?
あんたも使えない側の人間かぁ~」
「!?貴様っ」
「治安も悪いし、この国との外交はやめさせた方が良いのかな~。
ボクの提案にきっとケー様は反対はしないしねぇ?
それでアンタのところの誰かさんがどうなろうと知ったこっちゃないし」
京にそんな提案されて飲まれた日には、ルボミールが荒れるのが目に見えてる。
荒れるだけならそれで構わないが、もし本当に『運命の番』だった場合最悪だ。
何故京がルボミールのフェロモンに返さないのかは分からないが、その島に籠られるのだけは困る。
報告によると大型の船を持っていると合った。
それなのにそんな船を持っているということは、魔法に代わる大きな力があるということだ。
「失礼いたしました。私がご案内します」
「出来るのぉ~?」
「!?ダン様っ私が!!・・・グッ」
Ωであるハカセがαのダンを馬鹿にした態度に、苛立ったように店員が前に立つがもう遅い。
ダンがその店員に圧力を与えると、ひぃっと声をあげて後ずさった。
バースにはα・β・Ω以外にも同じバース内でも階級がある。
αの中にも上級と下級とあり、ダンは上級よりの人間であり、同じαでも下級のαには圧を与えマウントを取ることで抵抗力をそぐことが出来る。
ようは力を見せてどちらが上かを本能的に知らしめるのだ。
しかし、これはΩやβにも有効で、弱いΩは失神しやすい。
連れて帰ることに面倒にも思ったが、これでは帰るしかない。
口実が出来たとほくそ笑みながら、ハカセの方を見ると思わず息を飲んだ。
そんなことに興味は1mmも感じてない様子だったからである。
当の本人は魔法道具をまじまじと見ていたのだ。
「ねぇ。魔力を増幅する機械とかないの」
「あります。こちらです」
結局その後もハカセの願いに付き合わされ、ルボミールが呼び出されるまで買い物をつづけた。
王太子のツケで購入する気満々だったのは、気が座っているというか図々しいというか、・・・とにかく驚かされたが。
本人が使えないものばかりを購入し、連れて帰ってくる頃にはΩと言う生き物が良く分からなくなった。
ハカセはΩなはずなのに、αに良く見かけるタイプの自分本位な人間そのものだった。
そのくせ頭が良いから質が悪い。
ルボミールの命令でなかったら不気味で距離を置いていたところだ。
あの時、度が過ぎると圧力を与えてみたりしたのだが、やっぱり利かなかった。
今から思えば、あれはトシマク産の効果なのだろう。
『運命の番』の気配まで防ぐ薬は、量産化が可能になればこの世界を大きく動かしていく可能性がある。
☆☆☆
ハカセの横暴さに気付いた日を思い出しながらハカセをみる。
こちらが渡した書類を何も言わずに目を通すハカセ。
もうラージャの言語を理解しているらしく、京がいないときは翻訳機を外し使わず読むし話す。
そのことも謎でハカセから警戒は解けない。
この男は自分の髪の色を見て、アストリアの人間だと知っていた。
確かにこの国の髪には珍しい色で、アストリアの特徴である髪の色だ。
言語を理解したとはいえ、それにしても活動的過ぎる。
・・・いや、活動的なのはあの方もだな
それは京の事だ。
ハカセのようにズバ抜けて頭の良さを感じたことは無いが、今必要な事や最適なことを見つけるのに優れていると感じた。
トシマクのΩはΩでは無い
発情期はあるようだが、この国のΩと全く違う生態だと思う。
そもそも魔法が使えないのだから、下に見れるかと言ったらそうもいかない。
主人には早く番って離宮なりなんなりに引っ込ませて欲しいところだが、そのためにトシマクの後任が必要になるだろう。
優秀だがハカセは無理だ。
続いてあったことある中で、リーダーに向いてそうなのは如月だ。
京も信用してるようだし、強く勧めたいところである。
そんな事を思いつつ、笑っていない男の目を見る。
「今日はシノノメ様はいらっしゃらないのですね」
「みてわかんない~?」
そういうと、ハカセは眉をピクリとさせた。
「もしかして・・・お前が?」
「なにがです」
「ケー様の番候補」
「違いますよ」
「ふーん。じゃ、あっちか」
つまらないように返事をしつつ、もう興味は次のものにうつったのかダンの後ろにある、窓のない木枠の2台の場所を見る。
「じゃ引き取る。
ああ。それと。
次回からサンプルを引き取る時はボクがするから、もし居ない時は必ず連絡して欲しいんだけど」
「・・・何故です?」
ダンの主人はルボミールだ。
まだ京にならわかるが、なぜハカセの言う事を聞かねばならぬのか。
「コレ、ケー様に見せたくないから」
「?望まれたのはシノノメ様と聞いておりますが」
ハカセがさしたのは後ろの馬車。
つまりはサンプリングであるαやβだ。
訝しげに眉を潜める。
「どうせ、後ろめたいαやβでしょう?足はついてる?」
言われた意味がわかってダンは息を飲んだ。
手足があるのか?と聞かれたのだ。
流石にそこまではしていないが、隷属の首輪もαの
犬歯を抜くのも同じくらい尊厳を欠くことなのに、平然と言うハカセにゾッとする。
「ケー様は研究職じゃないからね。
実情は殆ど知らない。
命を使うことを解っているだろうが、終わったら帰れると思ってると思うよ」
「・・・」
「まぁ勿論終わったなら帰すつもりだけど、なにが起こるかわからないからね。
・・・これだけの人間がいるのに一切話し声が聞こえないのは隷属の印でも掘ってるの~?」
「・・・。そこまではしてない。首輪だ」
「えぇ??その首輪、耐久性大丈夫なの?
あ。それと、もし暴れた場合、殺すかもしれないけど不可抗力だから。
さ。これにサインしてもらえる~?」
首輪どころか、刺青や焼き印などを所望した男が、出した書類には、検体に何があっても口出ししないことが記載されていた。
「・・・。この事はシノノメ様は」
「書くのか書かないのかさっさとしてくれる?でも納品出来ないでケー様を失望させるのはそっちだけどねぇ」
「っ」
そう言われてダンはサインせざる終えなかった。
☆☆☆
一連のことを報告するダンに渋い表情をするルボミール。
「・・・。あの男は本当に何を考えているかわからないな」
「えぇ。・・・もしかしたらキョウ様を裏切るやもしれません」
あの雰囲気は京には知らせたくない雰囲気だった。
しかし、ルボミールは首を振った。
「逆だな。キョウには検体の状態を知らせたくない様子だったのだろう?」
主にすべて報告するわけではないが、あえて秘密とするというのが良くわからない。
「・・・キョウには刺激が強い内容だったか。
しかし、まだ番っていない状態で正常なαをあの島に置いておくことは出来ない」
ハカセはもっと激しいことを言っていたのだが。
なんだか京がΩらしく見えてきた。
「気を付けねばならぬな。
第二・三段階まではどんなものを送ったのか隠し切ってくれるかはあの男にかかっているか。
ダン。その件関してはあの男の指示に従え。
受け渡し場所などが変わった場合は、こちらには事後報告で構わない」
「承知しました」
「そんな簡単に進むとは思えない。魔法もそうだろう?」
ハカセが首輪ではなく入れ墨や焼き印を所望していたことに対し、ルボミールは何も言わなかった。
それどころか、それなら外れることもないしいいかもしれないと賛同したくらいだ。
ハカセはこの主と少し似た思考を持っているかもしれないと、ダンは思うのだった。
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