オメガバースの世界にトシマ区ごと異世界転生したけど、みんなオメガなのになかなかオメガバースしない話。

みゆきんぐぅ

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忘れたころにやってきた。②

スミオラ家のリコに襲撃をされた少し後。
言葉が通じない人物との会話は疲れた。
先日会ったルーカスよりも会話のできない人間だった。

ルボミールはダミアンとクルトからの報告に、怒りをあらわにダミアンが言った通り抗議すると言いだし始めたところで、京はルボミールを止めた。

「理由が知りたい」
「・・・何が知りたい」
「俺が話して聞きたいんだけど」
「駄目だ」
「どうして?」
「相手は未婚のαだ」

相手が男である時点で京の興味はそういった意味ではないし、リコも自分に好意などなかったように見えたのに、過保護すぎるそれに、自分は箱入り娘かと思ったが、この世界の人間はΩ以外京達よりはるかに高い事を思い出した。
しかし、それで諦められる内容ではない。

「そんなのダミアンだってそうだろう?
それに相手の反応をみて質問をしたい」
「駄目だ」

即答な答えに苦笑を浮かべる。

「ルルが聞き漏れをするとかそういう事を気にしているわけじゃないんだ。
けど、彼は少しニコに対して少し気になる動きがある。だから、お願い、ルル」
「・・・ならば俺も同席する」
「それはとても心強いのだけどな。
王太子のルルがいると答えにくいこともあると思うから、隣の部屋で隠れていてくれないか?」

聞いては駄目たとは言わないが、対話するときはあの男から隠れていて欲しかった。
相手は明らかに自分を見下しているから、その方がうっかり口を滑らせることもあるだろう。

「・・・」
「有力な情報が聞き出せないと思ったらすぐに終わらせるから」

懇願の眼差しを送り続けていると、本当に渋々と言った形で応諾した。

「・・・、・・・ダミアンとクルトはつかせるぞ」
「うん。ありがとう、ルル」

番ってない状態なのに、他のαと同じ部屋に入れるのは不安なのだろう。

「あの男がキョウに近づこうとしだ場合、最優先に取り押さえろ」
「「はい」」


過保護だなぁ・・・と、思いつつも急にとびかかってきたりするのだろうか?と、思ってしまうほどの念の入れ方に少し怯える京だった。


☆☆☆


リコは有力貴族だということで別室で待機させているという部屋に向かう。
ルボミールは約束通り隣の部屋に入っていくのを見届けると、ニコが心配そうに駆け寄ってくる。
ルボミールに気を使って話しかけにくかったようだ。
初めて会った時もバースを知り激怒していた兄を心配していたのを思い出す。
トシマ区に来るのは即答だったが、兄に思入れがあるのかもしれない。
京だったらあんな兄は願い下げだが。

「ニコ。心配しなくても悪いようにはしない。俺は話をしに行くだけだ」
「ですが、にぃさまは・・・」
「Ωを嫌悪しているようだな。まぁそれならそれで仕方ない。
冷静に話せないならそれまでだ」
「・・・。にぃさまは、スミオラ家の宝なのです」

そんなことを言っていた。
その言葉を聞くたびに、京はニコを撫でてやりたくなるが、彼はただの子供ではなく今は仕事をし、この世界では後数年で大人である。子供扱いは失礼だ。
撫でたくなる手をきゅっと結ぶと、ニコは兄への思いを続ける。

「だから、にぃさまは、Ωのです」

その言葉の言い回しは以前聞いた時よりも少し変わっている様に感じた。
それは京の元にきてからの心境の変化なのだろうか。

「・・・。これはお守りです。にぃさまには僕に渡されたと話してください」
「これは、兄から渡されたものなのか?」

その言葉にコクリと頷くニコは俯いた。

「そんな大切なものを」
「キョウ様に持っていて欲しいのです。そして、その意味をにぃ様にも理解してほしいのです」

お守りを持つ意味と言うのがどういう意味か良くは分からないが、京はそれを見る。

「スミオラ家は正しく戻らねばなりません」

確かにあんなので当主が務まるのか疑問であるが、α至上主義のこの世界にはあるべき姿なのだろう。


・・・・俺の方が異端なのを忘れそうだ

全人類が平等である世界ではなかったが、ここまで不平等ではなく恵まれていたのだなと思う。


☆☆☆



扉を開けた瞬間から睨んできた男は、京を見るなり息を飲んだ。
今までの様子とは明らかにことなり、敵意がなくなった視線に京は眉を顰める。

向いに座ると、両サイドに護衛の様にダミアンとクルトが立った。
体格差で彼等が文官なのを忘れそうだ。


「リコ殿。少しは頭が冷えたかな?」
「・・・、・・・あぁ」

まるで別人のようだ。
そう答えながら、両手で手を覆い伏せる。
カードを伏せておくことはせずに、テーブルの上にニコから預かったタリスマンを置いた。

「ニコからだ」
「そうだろう、・・・いや。失礼しました」

口調をただしたリコに両サイドにたつ、ダミアンとクルトも驚いたようだった。

「事情を伺えますか」
「・・・、」

まるで憑き物が落ちたかの様であるそれを気にならないわけがない。
京はニコに渡されたタリスマンを眺めつつ尋ねると、途端にリコが首に巻かれていたスカーフを外し、胸元を開いた。
咄嗟のことに京は体を後ろに引かせ、ダミアンとクルトも警戒をしたのだがその胸に刻まれた文様に息を飲んだ。

「・・・タトゥ・・・?」
「えぇ。・・・そのタリスマンはこのタトゥの威力を減少せるもの。
これのタトゥは我が家の使命を忘れ、金に目がくらんだもの達が刻んだ怠惰です」
「?」
「我らの血には記憶が刻まれています。血が濃ければ濃いほど。・・・ニコも私にもスミオラ家の記憶が刻まれているのです。
それは、スミオラ家の意味を示すもの。
魔法道具は金儲けの道具ではなく、道を指し示すもの。貴方をこの世界で導くものなのです」

困惑が困惑を呼ぶ。
言葉は理解できているはずなのに意味が全く理解できない。

「申し訳ない。今の言葉では貴方を召喚よんだ様に聞こえたかもしれないが、それは違う。
貴方を呼んだのは別のモノ。それは人なのか魔術なのかはたまた刻のひずみなのか、それは私にはわかりません。
本当なら今の貴方には必要がなかったものですが、貴方がこの世界に落ちてきたことにより『運命』は周り出しました」
「・・・、・・・すまない。殿下を及びしても良いか?」
「もちろんです」


☆☆☆


部屋にルボミールとニコも通された。
簡単に説明をするとルボミールには見当がつくのか理由を聞くことはしなかった。
それが余計困惑してしまう。

「『「運命」が回りだした』とはどういう事なのですか」
「申し訳ありません。すべてを申し上げることは出来ません」

その言葉に、ルボミールのオーラが苛立ったように揺らめく。
それを引き留めるように手を取った。

「我らの血には魔力が記されています。
そのために、うかつなことを話せば気づかれてしまう可能性があるのです」
「気づかれる?・・・誰かがいるというのか」
「はい。しかし、それを誰かなどは言えません」
「・・・。気づかれると何がダメなんだ。それが分からねば対抗のしようがない」
「その言葉自体はそんなに意味を持っていません。しかし私達が意識をして話したときに条件がそろってしまうのです」

分かるようで全くわからないのは変わらなかった。
しかし。


「気づかれたら、・・・おそらくはキョウ様は元の世界へと還されるでしょう」
「・・・」
「・・・」


部屋の中には微妙な沈黙と不機嫌なオーラが漂った。




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