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本文
デート。
地獄のエステが終わり戻ると、本当に完成していた。
それに驚きながらも、彼女たちの要望でタキシードを着た後写真を撮られることになった。
疲労困憊の人々の原動力がなんなのかようやくわかった。
『尊い・・・┌(┌^o^)┐。゜(ホモォ)』
と、感激しながら写真を撮られる。
手を繋いだところや、額にキスをしたところや壁ドン。
次第にエスカレートしていく要望に京が爆発した。
「っ~・・・もうこれでおわり!っルルっいくぞっ」
そういうとルボミールの手を引いてその場を駆けだした。
こういう事は見せるものじゃないし、何よりもそんなルボミールを他の人間に見せるのが嫌だったのだ。
☆☆☆
2人で駅前までたどり着くころには、恥ずかしい気持ちも収まっていた。
当たりを見回して、以前はほぼ素通りだったし、そのあたりを紹介することにした。
イケブクロは観光地と言うわけじゃないから、困ってしまうのだが。
それに今は人手がたりなくて、殆どの店は防犯のためシャッターが下りており、なんだか寂しく感じてしまう。
それはそうだ、5000人程度しか来ていないのだからここら辺はまだいい方なのだろう。
「活気がないな」
「ん?あぁそうだな」
人が確かにいないとは思っていたが、それ以上にラージャとは違う様式の建物に見入っていたルボミールは、たいして気にしては居なかった。
「この駅、1日で200万人以上の人間が利用していたんだ」
線路上に残された列車はの各路線数台ずつ路線に残されている。
観光地化に向けて整備は行っているが、現状は毎日動いているわけではなく、今日は駅はしまった状態だ。
「・・・!・・・そんなに?・・・だから、こんなに道も広いのか」
「まぁ多い方だけど、他のところはもっと広い道路もあったけどね。
だから、こんなに人がいないと、・・・やっぱりなんだか寂しいな」
たいしてそんな思入れがあったわけじゃないが、そんな風に思っているとルボミールがするりと手をつないできた。
「観光地化したらその賑わいも戻るさ」
「そうだと、いいんだけど」
どちらかといえば、観光地でなかったイケブクロ。
あるのはビルばかりで、
目新しいのは最初だけだろう。
もっとより良いものを見つけなければなのだが。
「大丈夫。キョウならきっと上手くいく。ショーも成功してるのだし、もし何かあったら俺が力になる」
「ルル・・・」
「そうだな。今日はデートなのだがキョウが思うおすすめはないか?
そこがラージャの民が好きそうか見てみよう。・・・とはいっても俺は王族だからな・・・。
そうだ。
今度懇意のある貴族で番にΩがいる者を連れてこようか。
トシマクの抵抗剤と抑制剤を飲んできてもらい、彼等にも意見を聞くんだ」
いろんな意見を聞きたいと思っていたが、京が聞けるのはこの島に来ているラージャのΩとβくらいだ。
彼等からは色々聞いてはいるけれど、もっといろいろな人の意見も聞きたいと思っていた。
「それは面白いかも。・・・でもαで貴族が得体のしれないトシマ区の抵抗剤なんて飲むかな。
貴族ってプライド高そうだし」
「王族である俺が飲んでいるのに、飲めないというなら、それはそれで見てみたいがな」
それは圧力と言うのではないだろうか・・・。
でも、嵐山の報告ではラージャの民の協力の元、第3陣まで来た彼等の治験を実施し今のところ成功しているという結果を得られた。
本当は数年を見たいところなのだが、この島で数日間なら大丈夫なのだろうか・・・。
詳しくはプロの嵐山に任せるしかないのだが。
「あまり無茶しなくていいぞ?あまり強引すぎると、ルルに不満が集中する」
「大丈夫だ。それくらいでは不満など出させない」
笑顔なのに強引なことを言うルボミールに苦笑を浮かべた。
こうなってしまっては引かないような気がしたからだ。
なにかお願いするときは、気を付けようと思うのだった。
飲食店の通りを歩きながら、ラージャの人が好みそうでラージャになさそうなものを物色しながら食べ歩く。
今日は予め、ラージャから視察が来ると言っていたから、みんな店を開いていたくれたようだ。
ルボミールを見てみなαだと分かったのか、興味津々の様だ。
遠巻きから見つけると、なにやらきゃっきゃ騒いている。
「・・・。なんか・・・ごめん。有名人にあったような感じなんだと思う・・・。
嫌なら・・・やめさせるか?」
「いや。大丈夫だ」
「それなら良いんだけど・・・。ルルはカッコイイから」
「キョウにそう言ってもらえるのは嬉しいな」
「っ・・・俺にだけじゃなくたってルルはモテるじゃないか。
大臣達がすごかったよ」
京からは何も言っていないから、ダミアンたちが報告してくれたのだろう。
ルボミールは眉間に皺を寄せる。
「あの件か。・・・すまなかった。もうあんなことは無い」
「それだけルルがみんなに慕われてるという事だろう?」
「どうだかな」
そう言う声がやたら冷たくて見上げると、なんだか冷たい雰囲気を感じた。
何を怒る部分があったのか、不思議に思って見上げるがニコリと笑みを返した。
「あの者達は、・・・ここの者達よりも純粋な思いではないことは確かだな。
勿論全員がそうだとは言わないが」
「なんか大変だな。・・・大丈夫か?」
政に携わる人間が綺麗なだけでは、・・・正しいことだけでは務まらないとは知っている。
京もそういう世界にいたから分かるため、いたわる声をかけると、フッと笑みを浮かべられた。
「こうして、キョウと一緒の時間を取れただけで元気になれる」
「俺別にそんな癒しの効果はないぞ?」
「キョウが知らないだけだ。・・・俺にだけ効く癒しの効果だよ」
「・・・ルルがそう言うなら、そうなのかもだけど。ちゃんと休まないと駄目だからな」
「あぁ。こうしてたまには2人で出かけよう」
それは休まっているのだろうか?とも思ったが、心が安らかになるのなら外にでるのものもいいかもしれない。
「そんな、ルルに連れていきたいところがあるんだ。ちょっと歩くけど、・・・いいか?」
「キョウと一緒ならどこにでも」
きゅっと握られる指先が温かかった。
☆☆☆
「っ・・・」
目をキラキラと輝かせて、そして驚いているルボミールに良かったと口元に笑みを浮かべる。
「これは・・・魔法か?いや、キョウ達は魔法が使えなかったんだな」
「うん。なんかハカセが使えるようにする道具を作ってくれたけど、
これは魔法じゃないよ。
俺達の世界じゃ普通にある水族館ていうんだ」
水槽の下を歩くと魚たちが、2人の上をすいすいと泳いでいく。
「・・・」
「そんなに見とれちゃう?」
「っ・・・、あぁ。本当に素晴らしい。海の中を歩いているみたいだ」
「海の中にしては水圧が無いけどね。・・・ほら、こっち。不思議じゃない?」
「!・・・これは、そとの建物が見えるのか・・・ただのガラスで良く水が漏れない」
「すごい分厚いからね。でも不思議だ。こっから海が見えるなんて」
「以前も言っていたな」
「うん。トシマ区は少し内陸側にあった場所で、その前にたくさんビルがあったから海なんて見えなかったんだけど」
懐かしんで話していると、真剣な面持ちをしたルボミールに視線を投げられる。
「・・・、・・・キョウ」
「ん?」
「リコの話を覚えているか」
「どの話?・・・タトゥの話?」
ニコの兄、リコは出会った当初Ωである弟や京に対してあからさまな嫌悪を向けていた。
だがそれは、親族のα至上主義の人間の所為で、Ωであるニコと仲のいいリコを危惧し、幼い頃に体にΩを嫌悪するタトゥの所為で、Ωを虐げるようにさせられていたのだ。
α至上での世界ならあり得ない話ではないとは思ったが、『スミオラ家の宿命』とは何なのだろうか。
京達は偶然でこちらに来たと思っていた。
しかし、ここに召喚したものが居るかもしれないという事実。
そして・・・わからない誰かに戻されるかもしれないということ。
「元の世界に還りたいか」
ライト下で京を見下ろす形で、その表情は陰になっていて良く見えない。
けど、肌がゾクリと震える。
少し前なら怖いと思ってしまったのだが。
いや、ルボミール以外になら今だって怖いだろう。
「還えれるなら還りたいな」
その途端、部屋の温度が下がり水槽に霜が降りていく。
この話題は場所を選んだ方が良かったようだ。
京は苦笑を浮かべた後、きゅっとルボミールの手を握る。
「そしたら、もう一回俺だけを呼んでくれるか?」
「・・・、」
「ここには、来ない方が良い人間も来ているんだ。
・・・トシマ区の抑制剤とか作っているのは嵐山さんという人なんだけど、その人たちはΩ同士の夫婦で故郷では財閥の後継ぎで製薬会社の社長でもある。
それ以外にだってあっちに家族を残してきている人も入るし。
・・・俺もあっちに家族は置いてきたから、一応もう戻らないというか・・・雅を後継ぎにしてもらえないかとか話したりもしたいし」
「・・・ここに、・・・、、戻ってきたいのか?」
雅が引き受けてくれるかは確かめてみないと分からないが、もう戻らないことは話しておきたい。
驚いている声に苦笑を浮かべる京。
「ここというか、ルルの元にだよ」
「っ」
「でも、みんなを返しちゃったらトシマ区はなくなるし、何より薬をつくれる人がいなくなっちゃうからなぁ・・・。何もない俺だけど良い?」
「っ・・・」
「『運命』をまだ怖いと思うことは、わぁっ」
京よりも倍はある大きな体に、ぎゅうっと抱き寄せられる。
少し苦しい気もしたけれど、なぜかそれが酷く落ち着く。
京も首に手を伸ばしてしがみついた。
まだ怖い。
けど、還れるかもしれないと知ったとき、喜ぶよりも『運命』を唐突になくすルボミールが壊れるかも知れないと心配になる。
それは、この先もし番って『運命』が壊れて番を強制解除されるかもしれないと思う恐怖よりも強かった。
・・・もし、・・・そんなことになってしまったなら・・・
来るかわからない未来に怯えそうになった京はルボミールの香りを吸い込む。
すると、その不安が分かるのか、ルボミールが京を抱きしめたまま、頭をを撫でた。
「・・・呼び戻す方法も知らない。・・・すまない」
「・・・うん」
そんなのは分かっていた。
でももし戻れるならしたかっただけだ。
「その不安はすべて俺が取り払う。
キョウが一生笑えるように俺がする・・・だから」
「永遠に俺の傍にいてくれ」
その返事に京はコクリと頷くと、応えるように口づけた。
それに驚きながらも、彼女たちの要望でタキシードを着た後写真を撮られることになった。
疲労困憊の人々の原動力がなんなのかようやくわかった。
『尊い・・・┌(┌^o^)┐。゜(ホモォ)』
と、感激しながら写真を撮られる。
手を繋いだところや、額にキスをしたところや壁ドン。
次第にエスカレートしていく要望に京が爆発した。
「っ~・・・もうこれでおわり!っルルっいくぞっ」
そういうとルボミールの手を引いてその場を駆けだした。
こういう事は見せるものじゃないし、何よりもそんなルボミールを他の人間に見せるのが嫌だったのだ。
☆☆☆
2人で駅前までたどり着くころには、恥ずかしい気持ちも収まっていた。
当たりを見回して、以前はほぼ素通りだったし、そのあたりを紹介することにした。
イケブクロは観光地と言うわけじゃないから、困ってしまうのだが。
それに今は人手がたりなくて、殆どの店は防犯のためシャッターが下りており、なんだか寂しく感じてしまう。
それはそうだ、5000人程度しか来ていないのだからここら辺はまだいい方なのだろう。
「活気がないな」
「ん?あぁそうだな」
人が確かにいないとは思っていたが、それ以上にラージャとは違う様式の建物に見入っていたルボミールは、たいして気にしては居なかった。
「この駅、1日で200万人以上の人間が利用していたんだ」
線路上に残された列車はの各路線数台ずつ路線に残されている。
観光地化に向けて整備は行っているが、現状は毎日動いているわけではなく、今日は駅はしまった状態だ。
「・・・!・・・そんなに?・・・だから、こんなに道も広いのか」
「まぁ多い方だけど、他のところはもっと広い道路もあったけどね。
だから、こんなに人がいないと、・・・やっぱりなんだか寂しいな」
たいしてそんな思入れがあったわけじゃないが、そんな風に思っているとルボミールがするりと手をつないできた。
「観光地化したらその賑わいも戻るさ」
「そうだと、いいんだけど」
どちらかといえば、観光地でなかったイケブクロ。
あるのはビルばかりで、
目新しいのは最初だけだろう。
もっとより良いものを見つけなければなのだが。
「大丈夫。キョウならきっと上手くいく。ショーも成功してるのだし、もし何かあったら俺が力になる」
「ルル・・・」
「そうだな。今日はデートなのだがキョウが思うおすすめはないか?
そこがラージャの民が好きそうか見てみよう。・・・とはいっても俺は王族だからな・・・。
そうだ。
今度懇意のある貴族で番にΩがいる者を連れてこようか。
トシマクの抵抗剤と抑制剤を飲んできてもらい、彼等にも意見を聞くんだ」
いろんな意見を聞きたいと思っていたが、京が聞けるのはこの島に来ているラージャのΩとβくらいだ。
彼等からは色々聞いてはいるけれど、もっといろいろな人の意見も聞きたいと思っていた。
「それは面白いかも。・・・でもαで貴族が得体のしれないトシマ区の抵抗剤なんて飲むかな。
貴族ってプライド高そうだし」
「王族である俺が飲んでいるのに、飲めないというなら、それはそれで見てみたいがな」
それは圧力と言うのではないだろうか・・・。
でも、嵐山の報告ではラージャの民の協力の元、第3陣まで来た彼等の治験を実施し今のところ成功しているという結果を得られた。
本当は数年を見たいところなのだが、この島で数日間なら大丈夫なのだろうか・・・。
詳しくはプロの嵐山に任せるしかないのだが。
「あまり無茶しなくていいぞ?あまり強引すぎると、ルルに不満が集中する」
「大丈夫だ。それくらいでは不満など出させない」
笑顔なのに強引なことを言うルボミールに苦笑を浮かべた。
こうなってしまっては引かないような気がしたからだ。
なにかお願いするときは、気を付けようと思うのだった。
飲食店の通りを歩きながら、ラージャの人が好みそうでラージャになさそうなものを物色しながら食べ歩く。
今日は予め、ラージャから視察が来ると言っていたから、みんな店を開いていたくれたようだ。
ルボミールを見てみなαだと分かったのか、興味津々の様だ。
遠巻きから見つけると、なにやらきゃっきゃ騒いている。
「・・・。なんか・・・ごめん。有名人にあったような感じなんだと思う・・・。
嫌なら・・・やめさせるか?」
「いや。大丈夫だ」
「それなら良いんだけど・・・。ルルはカッコイイから」
「キョウにそう言ってもらえるのは嬉しいな」
「っ・・・俺にだけじゃなくたってルルはモテるじゃないか。
大臣達がすごかったよ」
京からは何も言っていないから、ダミアンたちが報告してくれたのだろう。
ルボミールは眉間に皺を寄せる。
「あの件か。・・・すまなかった。もうあんなことは無い」
「それだけルルがみんなに慕われてるという事だろう?」
「どうだかな」
そう言う声がやたら冷たくて見上げると、なんだか冷たい雰囲気を感じた。
何を怒る部分があったのか、不思議に思って見上げるがニコリと笑みを返した。
「あの者達は、・・・ここの者達よりも純粋な思いではないことは確かだな。
勿論全員がそうだとは言わないが」
「なんか大変だな。・・・大丈夫か?」
政に携わる人間が綺麗なだけでは、・・・正しいことだけでは務まらないとは知っている。
京もそういう世界にいたから分かるため、いたわる声をかけると、フッと笑みを浮かべられた。
「こうして、キョウと一緒の時間を取れただけで元気になれる」
「俺別にそんな癒しの効果はないぞ?」
「キョウが知らないだけだ。・・・俺にだけ効く癒しの効果だよ」
「・・・ルルがそう言うなら、そうなのかもだけど。ちゃんと休まないと駄目だからな」
「あぁ。こうしてたまには2人で出かけよう」
それは休まっているのだろうか?とも思ったが、心が安らかになるのなら外にでるのものもいいかもしれない。
「そんな、ルルに連れていきたいところがあるんだ。ちょっと歩くけど、・・・いいか?」
「キョウと一緒ならどこにでも」
きゅっと握られる指先が温かかった。
☆☆☆
「っ・・・」
目をキラキラと輝かせて、そして驚いているルボミールに良かったと口元に笑みを浮かべる。
「これは・・・魔法か?いや、キョウ達は魔法が使えなかったんだな」
「うん。なんかハカセが使えるようにする道具を作ってくれたけど、
これは魔法じゃないよ。
俺達の世界じゃ普通にある水族館ていうんだ」
水槽の下を歩くと魚たちが、2人の上をすいすいと泳いでいく。
「・・・」
「そんなに見とれちゃう?」
「っ・・・、あぁ。本当に素晴らしい。海の中を歩いているみたいだ」
「海の中にしては水圧が無いけどね。・・・ほら、こっち。不思議じゃない?」
「!・・・これは、そとの建物が見えるのか・・・ただのガラスで良く水が漏れない」
「すごい分厚いからね。でも不思議だ。こっから海が見えるなんて」
「以前も言っていたな」
「うん。トシマ区は少し内陸側にあった場所で、その前にたくさんビルがあったから海なんて見えなかったんだけど」
懐かしんで話していると、真剣な面持ちをしたルボミールに視線を投げられる。
「・・・、・・・キョウ」
「ん?」
「リコの話を覚えているか」
「どの話?・・・タトゥの話?」
ニコの兄、リコは出会った当初Ωである弟や京に対してあからさまな嫌悪を向けていた。
だがそれは、親族のα至上主義の人間の所為で、Ωであるニコと仲のいいリコを危惧し、幼い頃に体にΩを嫌悪するタトゥの所為で、Ωを虐げるようにさせられていたのだ。
α至上での世界ならあり得ない話ではないとは思ったが、『スミオラ家の宿命』とは何なのだろうか。
京達は偶然でこちらに来たと思っていた。
しかし、ここに召喚したものが居るかもしれないという事実。
そして・・・わからない誰かに戻されるかもしれないということ。
「元の世界に還りたいか」
ライト下で京を見下ろす形で、その表情は陰になっていて良く見えない。
けど、肌がゾクリと震える。
少し前なら怖いと思ってしまったのだが。
いや、ルボミール以外になら今だって怖いだろう。
「還えれるなら還りたいな」
その途端、部屋の温度が下がり水槽に霜が降りていく。
この話題は場所を選んだ方が良かったようだ。
京は苦笑を浮かべた後、きゅっとルボミールの手を握る。
「そしたら、もう一回俺だけを呼んでくれるか?」
「・・・、」
「ここには、来ない方が良い人間も来ているんだ。
・・・トシマ区の抑制剤とか作っているのは嵐山さんという人なんだけど、その人たちはΩ同士の夫婦で故郷では財閥の後継ぎで製薬会社の社長でもある。
それ以外にだってあっちに家族を残してきている人も入るし。
・・・俺もあっちに家族は置いてきたから、一応もう戻らないというか・・・雅を後継ぎにしてもらえないかとか話したりもしたいし」
「・・・ここに、・・・、、戻ってきたいのか?」
雅が引き受けてくれるかは確かめてみないと分からないが、もう戻らないことは話しておきたい。
驚いている声に苦笑を浮かべる京。
「ここというか、ルルの元にだよ」
「っ」
「でも、みんなを返しちゃったらトシマ区はなくなるし、何より薬をつくれる人がいなくなっちゃうからなぁ・・・。何もない俺だけど良い?」
「っ・・・」
「『運命』をまだ怖いと思うことは、わぁっ」
京よりも倍はある大きな体に、ぎゅうっと抱き寄せられる。
少し苦しい気もしたけれど、なぜかそれが酷く落ち着く。
京も首に手を伸ばしてしがみついた。
まだ怖い。
けど、還れるかもしれないと知ったとき、喜ぶよりも『運命』を唐突になくすルボミールが壊れるかも知れないと心配になる。
それは、この先もし番って『運命』が壊れて番を強制解除されるかもしれないと思う恐怖よりも強かった。
・・・もし、・・・そんなことになってしまったなら・・・
来るかわからない未来に怯えそうになった京はルボミールの香りを吸い込む。
すると、その不安が分かるのか、ルボミールが京を抱きしめたまま、頭をを撫でた。
「・・・呼び戻す方法も知らない。・・・すまない」
「・・・うん」
そんなのは分かっていた。
でももし戻れるならしたかっただけだ。
「その不安はすべて俺が取り払う。
キョウが一生笑えるように俺がする・・・だから」
「永遠に俺の傍にいてくれ」
その返事に京はコクリと頷くと、応えるように口づけた。
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