オメガバースの世界にトシマ区ごと異世界転生したけど、みんなオメガなのになかなかオメガバースしない話。

みゆきんぐぅ

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発情期休暇は各自取ることにしましょう。

ダンの配慮でルーカスは少し離れさせられた。
王族ではあるがダンの主人はルボミールである。
それを全面に出し、京と如月とニコの3人を結界で包む。

あれがこの世界の常識なのかと呆気取られてしまう。
ダンもリコも驚いてはいるが、それは自分が王太子であるルボミールの番であるΩだからだ。
そして、王太子の婚約者なのにルーカスのこんな態度も、自分がΩなのだからだろう。

・・・理不尽な世界だ。

故郷もけして平等ではなかったが、ここまでじゃない。
改めて違う世界の理に考えさせられる。

トシマ区の外がこんな世界だとは知らない頃は、枯渇していく食料や資源に、外がどんな世界でも探索し国があるなら外交をせねばならなければならないと思っていた。
あのまま島に籠っていたら食料は確保できたとしても、必要な材料が確保できずにきっと衰退していっていたからだ。それにいずれは侵略されていたことは間違いない。
この世界のバースと言う概念は京達にとっては『差別』だが、この世界では『区別』であり京達が非常識になるのだ。
Ωには平等を掲げる権利がない。
そんなΩしかいない島など蹂躙されるのは必然だ。
トシマ区のΩだけでも守っていけたらとおもっていたが、・・・それだけでは駄目なのだ。
京が何らかの出来事でルボミールの『運命』でなくなった時、そして京が死んだとき。
きっとトシマ区は侵略される。

「・・・、」

それを打開できる何かが、この知識に隠されていないだろうか。
彼等を還すことが出来ないなら、守れるだけの何かが欲しい。
ふと、本棚の表紙を見てしまうが、読めるのはラージャの言葉だけだ。

「キョウ様は先ほどから何を探してらっしゃるのですか?」
「ん?」

ハカセを探しつつ、ふと気になるタイトルがあると止まって少し見たりしているから気になったらしい。
勿論ハカセのことは心配しているのだが、なんだか状況を考えてもひっ迫している様には感じていないため、なんだかひょっこり出てきそうな気がしている。
それは、普通の京なら感じないことなのだが、それに気づいていなかった。

「・・・うーん。・・・みんなが幸せになれる方法かな」

子供だからというわけでなく、説明が難しくそう答えた。

「みんなが幸せに・・・?」

言っている意味が分からないと不思議そうにするニコにコクリと頷く。

「そう。俺の幸せのためにね」
「??」
「ニコが笑ってると嬉しいてこと」

そういうとわしゃわしゃと頭を撫でた。
少し恥ずかしいだろう?

「キョウ様は僕が幸せだと嬉しいのですか?」
「あぁ」
「なら、僕は今幸せです」

そういうニコがふわりと微笑むから京も嬉しくなってしまう。
それは如月やリコも感じたようで微笑みで浮かべていた。
リコは相変わらず呪いのタトゥの所為で2人きりでニコと会うことは出来ないが、ニコから譲り受けたこのタリスマンを持っている京が近くに居る時は普通に接することが出来ているようだ。

「もっとだよ。もっと幸せになってほしいんだ」

無いのが当たり前だったニコは欲が少ない。
そう感じるのは京のエゴなのかもしれないが・・・。
しかし、ニコは難しい顔をして、今度は京が首をかしげる番だった。

「どうかしたか?」
「・・・それは、キョウ様はたくさん無理をするということではないですか?」
「その通りです。ニコ」
「・・・如月」
「ですが、ニコの所為でと言う事ではないのです。京様は人のために動くそんなお方なのですよ」

良いことを言っているのに、その視線は少し呆れている。
いつもの『少しは休んでください』という奴だろう。
だけどなぁと思っていると、如月がエスパーの様に先読みした。

「貴方が休まないとニコも休めないですし、歳の近い友達も出来ませんよ」
「・・・そうだった」
「あのっ僕お休み無くてもっ」
「・・・こんな子供にこんなことを言わせてしまっていいのですか??」
「っ・・・良くない」
「キョ、・・・キョウ様、僕は!」
「いや。いいんだ。・・・俺も最近疲れがたまってきているし」
「ではショーのメンバーのように週休二日制はいかがですか?
それとニコにもしっかりと発情期の休暇を取らせるべきです」
「?・・・、・・・・え?」

そう言われて、初めてニコが休んだ日を考えた。
京が言うまで休んでいなかったし、ここ数か月ずっとあっている。
まさか自分と同じ様にしているのかとニコを見つめる。
如月やトシマ区の人間がそうしてしまうのは、わからないでもない。
嵐山から連続して毎日飲むのは良くないとは言われているが、成長期のニコは別だ。

「貴方が働いているのだから、ニコだって薬を飲むに決まっているでしょう」
「っ・・・駄目でしたか・・・?」
「ニコは何一つ悪くありませんよ」
「っ・・・あぁ、ニコは悪くない。気づかなかった俺の所為だ」
「私も言えませんでしたから、京様の所為だけではありません」

如月は責めすぎたと反省したのか、京をフォローをしてくれる。
そんなときだった。

「一つ良いですかねぇ」

珍しく話に割ってきたのはダンだ。そんな彼に慌ててる如月。

「良くないです」
「まぁまぁ。如月。何?ダン」

そう尋ねれば、ダンがにっこりとそれはそれは胡散臭い笑みを口元に浮かべている。

「それは、キョウ様とキサラギもそうするのですよね?」
「「・・・」」
「今の流れだと上の者が示す。・・・と言うようにお見受けしたのですが」
「いや、」
「・・・それとこれとは」
「別の話じゃないですよね?・・・聞いてますよ?アラシヤマ氏から連続服用は良くないと言われているんですよね?」
「っ・・・ルルには、良いって」

しどろもどろで応える。
本当は良い顔はしていない。
しかし、京の立場上仕方がないと許容してくれているだけだ。

「では、キサラギもそれでいいと?」
「っダンッ!京様を責める言い方をするなっ」
「それは・・・良くない」

そういって如月を見上げると困った様に眉を下げる如月。
しかし、あきれ声のダン。

「そんなに発情期が嫌なのですか?」
「・・・。仕方がないだろう。あんなになるなんて・・・今までの俺達は発情期なんてものもなければ、孕むことができない体だったんだ」
「どうせ、発情期になったら訳が分からなくなりますよ」

白銀の髪を揺らめかせクスリと笑う。
やたら金色の目がキラキラ輝いているのは、ダンの思った通りに話が進みそうだからだ。

「・・・発情期の休みは取っていい。けど、それをどう使うかは個人の自由ってことでどうだろう」
「そうしましょう」

その即答は絶対に使わない奴だ。
ダンにもそれは分かってしまったらしい。

「往生際が悪いですねぇ・・・。まぁ良いですが焦らしすぎると大変なのは貴方達ですよ」
「「・・・、・・・」」

正直、京はルボミールと体を重ねているが、我慢させているところが多い。
本人は言わないが、発情期を受け入れて欲しいと思っているのも感じている。
特に今はネックガードを手にいれたし、発情期を迎えてたとして噛まれても平気・・・な、はずだ。

京のネックガードはルボミールに、如月のものはダンにつけられているから、安全と言えないのが怖い。
発情期の勢いでもなく、ここまでしてくれてる彼等に噛まれるのが怖いというのは、要は彼等を信じていないということにもなり得る。
しかし、この気持ちは理解してもらうのはこの世界の住人、ましてやαには難しいだろう。

「・・・それよりも今はハカセだ」

話を逸らせると、京は前を向いた。この図書館は円形に本棚があり先は見えないのだが、あとどれくらいあるのだろうか。
そんなことを思っていると司書が声をかけてくれる。

「ご安心くださいませ。血痕はありませんし、出場記録もありませんのでこの建物のどこかに居るはずです」

それは前回皇帝陛下の指示で調査したときに、調べた内容だ。
血痕は拭き取ってもルミノール反応の様に魔法で探せるらしい。
そして、この司書はここに来るまでも安心させるように何度もそう言ってくれる。

だから、

「最深部に向かいましょう。・・・ただ今日はもう遅いので明日にしましょう」
「わかった」

ここには窓がなく気づかなかったが、結構な時間だった。
αの者はともかく、ニコには辛かっただろう。
また、周りを見れなかったと反省する京だった。


☆☆☆


宿泊先で休んでいる時だった。
やたら、ルボミールの荒れているのが分かる。
苛立ちに渦巻いているようで、それを感じると京も不安になった。
動こうとした足をピタリと止めて、ピアスに集中する。

『・・・ルル?大丈夫?』

何があったのだろうか。

こんなに、荒れるなんて・・・。

京は努めていたわる様に声をかけると返信はとても早く、それだけで気配が少し柔らかくなった。

『あぁ』
『何か嫌なことを言われたのか?』
『そうだな』

国同士の話に京が聞けることは少ないだろう。
それに聞くなら直接会った時だ。
だが、ルボミールが機嫌が悪くなりそうなことには思い当たることがある。

『・・・。他人がどう言おうと気にするな。俺はルルを好きなのは変わらない』

京は側室の一人なんてこと、嫌だ。
それは以前ルボミールにも言った言葉だ。

だが、国の問題となったら・・・

αはΩと違い複数人と番うことも、婚姻関係を結び性行為を行う事だって出来るのだ。
いざとという状況を考えるととても苦しく、やはり番うのは怖く感じてしまう。

『やることは終わった。・・・慰めてくれないか?』

弱ったような声。抵抗してくれたのだろうか。

『慰める?』
『今から行く』

それは嬉しい反面、少し嫌だった。
ルボミールは夜会に参加していてつまりは、そういう事だ。
京もパーティに参加すると、思ったよりも人の香りが移ることを知っている。
特に今は微かな香りでも感じ取ってしまいそうだった。

『キョウ?』
『・・・他の人の気配を纏わせてきたら怒るからな』
『!・・・あぁ』

思わず拗ねたように言ってしまったことに瞬時に恥じたのだが、やたら嬉しそうな反応だったから良しとしよう。

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