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本文
悪夢。
気付いた時に包まれた腕に安心した。
周りを見ようとも視界はルボミールの胸しかない。
あの状況で瞬時に自分を守ろうとしてくれたらしい。
αの動体視力は本当にすごい。
「ルル・・・怪我はないか?・・・ルル?」
見上げれば固まっているルボミールに、いぶかし気に声を掛ければハッとしたように腕を離した。
「ぁ・・・あぁ。キョウこそ大丈夫か?」
当たりを見渡せば、降りたたった世界は谷底だった。
茶色地面に呆然と立ち尽くすが、遠くに見えたビル並みに困惑する。
「ここがキョウ達の世界か」
「・・・と、思ったんだけど、俺が知ってる世界とは違うような・・・あ」
そう言いかけてハッとした。
こんな場所見たことが無いと思ったが、京達だけが戻ってきたのだから、ここはトシマ区だと言うことだろうか。
あの世界では殆ど使う事がなくなったスマートフォンを出して、地図アプリを開きGPSで自分の位置を確認すると、トシマ区にある東雲の別邸をさしていた。
「ここはトシマ区跡地だ。
・・・戻ってきたのがあの日なのであれば、・・・うん。やっぱり連絡きてるな」
着信詳細を見ながらつぶやいた。
すぐに掛けることはなくルボミールを見上げる。
「ルル。こっちに来たら少し言っておかなければならないことがある」
「なんだ?」
「わかっていると思うが、この世界では魔法とかバースがない。
だから魔法とか異世界から来たとか言うと変人扱い・・・もしくは病気なのかと疑われる」
「なるほどな。わかった」
「だから、過去のことは記憶喪失と言うことにしておこう」
「キョウも知らない方がいいのか」
「そうだな・・・目を覚ましたらここに居たと言う事にしておこう。
大丈夫。・・・この後俺の家族が迎えに来ると思う。そしたら俺が保護する様に話を進ませるから。
そしたら・・・一緒だ」
「・・・あぁ」
この時、ルボミールの微妙そうにしていた表情が不安なものだと勘違いしていた。
空に飛んでいるヘリが不思議なのか、ルボミールは当たりを見回していた。
理解が追い付いていないのかもしれない。
京もラージャに初めて行った時や、魔法を目の当たりにしたときは混乱した。
暫くして京のGPSに気付いた者達から連絡が入り向かいに来るように指示をする。
途中でいくつかのヘリがこちらに向かってきたた。
その中には自衛隊や警察のヘリもあるが、マスコミのヘリもハイエナの様に飛んでいるが、降りてこないところを見ると中は立ち入り禁止になっていっるのだろうか。
するとドローンが飛んできてしまった。
「・・・まずいな」
上空からは撮られているだろうが、足元を探られるのは困る。
SPに電話を掛けた。
「すぐに来ては駄目だ。一度自衛隊か警察かに保護してもらう。その後、マスコミに気付かれないように迎えにきてくれ」
『わかりました』
「ルル。不味いことが起きた。ちょっと不自然じゃない程度に倒れて顔が見えないようにしてくれないか」
「どういうことだ」
「あの空に飛んでいる奴らに俺がどこのだれか知られるのが不味いんだ。・・・もう手遅れかもしれないが」
「・・・。なるほど。ならこうするか」
そういうと、京を抱き込むとそのまま倒れこんだ。
「!」
「こうしたら見られないだろう」
「・・、ありがとう。ルル」
救助のヘリが来るまでずっとそのまま抱きしめられていた。
力強いその腕に抱かれると、不安が解けていった。
☆☆☆
家に戻り東雲の力があればどうにかなると思っていた。
しかし、病院で念のためにと得意先の大学病院へ搬送され、受けさせられた精密検査中に分かったことを聞きながら京は困惑した。
幼い頃から主治医をしてくれている意思が、京に通常の男性には無い物があると興奮しながら言った。
周りの者は騒然としていたが京にはそれがなんだかわかった。
・・・Ωの、ままなのか・・・?
駆け付けた執事が驚愕な声を漏らしていた。
「っそんな!坊ちゃんは今までそんなこと今まで一度もっ」
「そんなことは我々も承知しています」
それはそうだ。京の主治医はこの病院の次期院長の男だ。
その主治医が眉を顰めながら、こちらを見てくる。
「京君。あまり驚いていないね。・・・実は結構昔から何かあったのかな?」
「いいえ。驚いて言葉が見つからなかっただけです。
・・・それより一緒に居た彼は」
「隣の部屋だよ。一緒に傍に居ただけと聞いたけど、彼の事が気になるの?」
「引き取るつもりでいますから」
迷いもせずそう言うと、主治医が驚いたようにした。
「それは・・・お勧めしないな」
「なぜですか?」
「その、言いにくいことだが、彼は地球上でまだ発見されていない遺伝子を持っているよ」
「そうですか」
目を輝かせている男はそれで論文でも書くつもりなのだろうか。
「・・・それだけ?」
「雇うのに必要なことはまず第一に健康であるかだけです。その点には問題ありますか」
「いいや。全く。おとなしいものだよ」
ピアスに訴えかけても全く返事がない。
京は不安でピリピリしているのに、ルボミールは平気なのだろうか・・・?
「、・・・それなら帰ってももう良いですね」
「良くないね。まだ検査が終わってない。京君も彼もこれからまだいろいろ調べないと」
「そんなことさせるわけがない!」
「!・・・だがっ」
尚も食い下がる男にジロリと睨む。
「貴方はいつからそんなに研究熱心になったのですか?
今更何か研究論文を真面目に出さなくとも、貴方は十分に潤っていますよね。
それにこちらにはそれなりの心遣いをしていたと思いますが・・・。
もう不要なのであればそのようにしますが」
我ながら腹黒い切替しだったと思う。
しかし、ルボミールに不要に触れさせるわけにはいかない。
今は京が守らねば。
「!・・・いや、それは困る」
「なら話は終わりですね。・・・帰るぞ」
「しかし、京様・・・お体は大丈夫なのでしょうか」
「どうせ現代科学じゃどうしようもない」
「っ・・・それが分かっているなら何故研究に協力しないんだっ!」
そういう男に京はため息をつきながらそちらを見た。
「俺の血や細胞ならさっき散々取っていただろう」
「っ」
「続きは俺が倒れた時にお願いします」
「っ・・・京君!・・・回診をしよう」
「来ていただいても入れませんよ?それにたぶんすぐには帰れません」
そう言うと、京は部屋から出るとルボミールを連れて地下駐車場から病院を抜け出した。
☆☆☆
トシマ区消失の唯一の生存者に病院は沢山のマスコミで溢れていた。
追跡を気にしまっすぐには家に帰れなかった。
まずは病院に記者会見を開いてもらい裏を突いた。
だが、それだけでは追手がつくかもしれないので、そのままフェリーに乗り北海道へ向かい、再び東京へ戻ってくるという遠回りをし、屋敷についたのは3日後だった。
迎えてくれた両親は流石に心配していたらしい。
呼ばれて部屋に向かえば父親と父の弟である伯父がいた。
「しばらく見ないうちに綺麗になったな」
そんなことをいう伯父に京は眉をピクリと動かす。
もっと言葉を選べなかったのだろうか、
確かにこの伯父とは会うのは数年ぶりだが、今はその言葉はおかしいと思うのだが。
「・・・。母さんは」
「あぁ。アイツならフランス旅行途中だ。
お前が無事だと知ったら帰国を取りやめて、旅行の続きをするそうだ」
「・・・」
お前達の子供は京だけではない。
雅がいないことに触れないのは少々カチンと来てしまったが、この家の人間はこうである。
「それにしても、・・・私も久しぶりにお前と会ったが危うさを秘めた美しさに磨きがかかったな」
「・・・父さん・・・ふざけないでください」
「ふざけてなどいない。お前は昔から誘拐未遂や変質者に襲われたりしていただろう。
あの頃は何を血迷ったことをと思っていたんだが。
・・・これはより強固にする必要がありそうだ」
昔から誘拐未遂が多いことを言われると、それ以上言い返せない。
実際攫われたことも未遂も含めて多数ある。
それを防いでくれ手たのは如月達だ。
「それで一緒に助かったという人物を連れてきたと聞いたが」
「はい。記憶がないそうで」
「おかしな民族衣装を着ていたと聞いたが、変な宗教な人間か?」
「場所的にコスプレイヤーじゃないでしょうか」
「・・・そんな怪しい人間、リハビリ施設にでも入れておけ」
「身体能力も高いですし、手元に置こうかと思います」
そう言えば、父は眉を顰めたが思い出したよう言葉をつづけた。
「そうか・・・如月達の代わりを準備せねばな」
「・・・」
トシマ区消失は謎に包まれたまま、現在も調査が続けられている。
京自身は如月達があの世界で無事でいるのを知っているから、父親にそう言われても京は口を閉じた。
この人たちは使えるものしか見ない。
そしてこれで悪気が無い。だから余計に質が悪い。
ラージャでΩ虐げる人々の様だ。
「その男のことでおかしなことも聞いたが?」
口止めしたはずだが執事が言ったのだろうか。
元からそれほど信用はしていなかったが、面白いものではない。
しかし、こんな家ではあるが使えるのだから、以前の様に心に蓋をしなければ。
訂正をしたり、彼等と意見を交わしても無駄なのだ。
適当に言って退出をしようとしたところだった。
ドクンッ
「ッ!?」
心臓が大きく脈打ち覚えのある震えが走る。
心音の感覚が短くなって、・・・これは危険だと思った時には遅かった。
父親と伯父の目の色が変わる。
「っ・・・っ・・・なんだ、・・・これは」
「っ・・・兄さんっ・・・」
「・・・!」
自分のヒートは見たことがあっても、
αのラットは聞いたことがあるだけで、大事に囲われていた京には見た事がない。
思わず後ずさりをすると二人の血走った視線がこちらに注がれた。
視線は見たことがないほどギラ付いている。
それは息子に・・・いや。男に向けるような視線ではない。
ネクタイを緩め、笑みを浮かべる仕草にゾッとした。
「っ」
「京・・・こちらに来なさい」
「大丈夫、痛いことはしない」
「失礼しますっ」
「「京!!」」
その支配するような声に、京は怯えた。
震えて縺れそうになる足を動かし、捕まる寸前のところで逃げ出した。
☆☆☆
それからやっとのことで部屋に戻る。
部屋に鍵を掛けると、寝室に逃げ込んだ。
この部屋はトシマ区にあった部屋よりも広く、前室にも自室にも掛けたところでふわりと香る香りにハッとした。
「・・・ル、・・・ル」
「!・・・発情期が来ているのか・・・?」
「っ・・・うん」
ふらつく京を抱きとめると、常備している錠剤を胸ポケットから取り出すと口に含ませた。
最近は薬を飲み忘れても発情することがなかった。
だから、液状ではなく錠剤を持ち歩いていたのだが、錠剤の効き目は悪い。
それに合わせて、京は薬が効きにくい体にもなっていた。
「っ・・・ルル・・・俺は、隣の部屋、で」
「・・・。大丈夫だ」
「え?」
そういうと体がふわりと浮いた。
抱きかかえられ寝室に向かうと、寝室の鍵も閉められた。
そしてゆっくりとベッドに横たわせられた。
「俺はαじゃなくなったみたいだ」
「ぇ・・・?」
「キョウの発情を見てもあの時の様に何が何でも抱いて、・・・ここを噛みたいとはなってない」
「っぁ・・・」
そう言いながらルボミールが項を撫でた。
小さく喘ぐ京をルボミールはクスリと笑った。
「だが、魅力的なのは変わらないが。・・・ここに来て『運命』も感じない。
・・・それでもキョウを愛しいと・・・キョウ?」
「『運命』が・・・・感じない・・・?」
そう呟きながら体がガクガクと震えだした。
『運命』が無くなっただなんて、そんなの嘘だって言ってほしい。
「嘘・・・」
自分らしくないとはわかっていても、発情が来ているこのタイミングで聞いたそれに悲しみが強くなる。
愛していたはずのルボミールはここに居て、今もそれを感じているのに、何時かは自分から離れていくのではないかと思ったら・・・止まらなくなった。
ルボミールは京の異変に気付くと安心させるように、ルボミールは震える体を抱きしめて、京の額に口づけた。
「・・・、・・・あぁ。嘘だ。質が悪かったな。すまない」
「・・・!」
京の怯え具合に合わせたのだとすぐわかる。
けれど、情緒が安定しない京はほろりと涙がこぼれた。
「キョウ・・・。今日はキョウが満足するまでしよう」
「っ・・・なら、最後まで、・・・しよう?」
無くなってほしいと思っていたはずで、そしてそれでもルボミールに愛されたいと思っていたはずなのに、
今はその愛となくなってしまったものが欲しくてたまらない。
「・・・わがままで、・・・ごめん」
「そんなことはない。・・・こうなっているのは俺のが欲しいからなのだろう?」
「っ」
大きな手で扱かれるとスーツの中がねっちょりとヌルついているのが分かる。
京はその手にさえ感じてしまい、腰を押し付けるようにくねらせた。
「はぁっ・・・んっ・・・でも、・・・ルルは、・・・気持ち悪くないのか?」
気遣う言葉を掛けつつも説得力がないのは分かっているが、熱くなった体は止められなかった。
「こんなに可愛いキョウが気持ち悪い?
・・・ラットの時のような衝動はないが、煽られているのは間違いがないが」
「っ」
「それでキョウ。これで逝くか?」
ぐちゅぐちゅと手を動かされると気持ちよくて腰が揺れた。
シーツを手繰り寄せながら首を横にふる。
「っ・・・ぃゃっ」
「いやっていう行動じゃないな」
「っ」
「服を脱いでしてもらいたいことを言ってもらおうか」
そういって頬を撫でるルボミールは、『運命』がなくとも自分に欲情をしているのが分かる。
つい先ほど、自分に対する欲情を見せた男に嫌悪をしたと言うのに。
京は体を起こすと、ネクタイに指を入れて緩めると首からネクタイを取り去り、ワイシャツのボタンを外していく。
その間もルボミールの熱い視線を感じ、それだけで体が期待して震えた。
下着は前がいやらしく濡れてシミをつくり恥ずかしいほどに立ち上がっている。
その光景に興奮していると後ろからもトロリと濡れたのが分かる。
「ぁっ」
「こちらも溢れているな」
下着越しに尻の穴のあたりを撫でられるとたまらなかった。
早くその指が欲しくて、パクパクと開いているのが分かる。
「キョウ・・・早くしないとこの下着全体が濡れてしまうぞ?
・・・それともそういうところを見せてくれるのか?」
「ちがっ」
「ならば、早くみせてくれ」
「っ」
口元に意地悪気な笑みを浮かべつつも京を煽る様に乳首をつつく。
最近分かってきたが、ルボミールはこういう時は意地悪だ。
京は全部脱ぐとルボミールの前で全裸になると膝立ちになる。
「さて、・・・キョウは何してほしいんだ?
その可憐な乳首を舐めて欲しいのか?」
「ぁっ」
両乳首を親指でなじられ、体をくねらせると両乳首をきゅうっと摘ままれパっと離される。
「それとも・・・ここを舐めて欲しいか」
「ぁぅっ」
先ほどとは違い直に触れられるとたまらなくなった。
「こんなに蜜を零して・・・。・・・だが後ろは良いのか?」
もう片方の手が尻の割れ目を撫でそのまま引くつく穴を撫でた。
「ひゃぅっ・・・・ぁっぁっ・・・ぜんぶっ・・・ぜんぶしてぇっ」
とろけ始めた頭ではもう感じたいとしか思えなくなっていた。
すがる様にルボミールのぎらついた目が京に注がれている。
「わかった」
「んぁっ」
それから京は喘ぐことしかできない。
乳首を吸われ舐められ、ペニスを扱かれながら後ろを解され愛撫されるのは強烈で何度も逝きそうになる。
だが、ルボミールはそんな時にになるとタイミングをずらし、焦らされた。
ルボミールの指が4本入るころになったころ、京はルボミールの首にすがって耳元で哀願する。
「っ・・・おねがいっ・・・もうっ・・・るるがほしぃっ・・・っ」
「わかった」
そういうと、ルボミールは前をはだけさせると、相変わらず凶器じみたそれを見せつけた。
「っ・・・」
「良く解したが、・・・力は抜いておけ」
その言葉にこくりと頷く。
そして徐々に入ってっ来る熱い塊に、京は咄嗟に息を詰まらせるがなじむまでそこで待ってくれる。
いつもぐらいまでのところにくると、ルボミールは止まった。
京もきつかったから、そこで止まってくれたのは嬉しかったのだが、・・・なじんでくるとガーネットを見つめた。
「・・・もっと」
「キョウ・・・しかし」
「ゆっくりしてくれたら、・・・大丈夫だから」
「っ・・・っく・・・煽るな・・・!」
理性で止めようとするルボミールの腰に足を絡ませ、自分の腰を上げる。
「ひぃぁぁっ」
「ックソ」
「んあぁぁっっ」
そう呟くとパンッと腰を打ち付けられた。
最後まで挿入それは熱くて固くて・・・大きい。
腹のあたりまで届いているのではないかと思うほどで、京は思わず自分の手のひらをあてていると、ルボミールが舌打ちをする。
「っ・・・煽るなと、言っているだろう?」
「好きに、・・・していい」
「っ」
「我慢しなくていいから。・・・俺の事好きに抱いて?」
そういうと噛みつくように口づけられた。
その行為は京の発情が薬で落ち着くまで続けられた。
☆☆☆
あの事が起きてから、京は父と伯父を避けた。
食事の時間もずらし、これからのことを考えた。
だれかれ誘ってしまうなら、ルボミールに番ってもらってしまおうと思ったのだが、ルボミールは『α』ではなくなったと言っていた。
机の上に並べた3つの水晶を眺めつつ唸っていた。
良い手は無いかと考えていたが、もうこれしかない
「・・・仕方ない。・・・ルル!」
「なんだ?」
「これからの事なんだけど」
「あぁ」
「俺はこの家を出ようと思う」
「そうか」
「・・・ルルにはついてきてもらいたいんだけど」
そういうとルボミールはおかしそうに笑った。
「キョウがいないここに残っていても仕方がないだろう?」
あの日、父と伯父に呼ばれて出て行った後、発情が始まったからとは言え様子がおかしかった京に、ルボミールは何か感づいているらしい。
「キョウがいるところに行こう」
「ありがとう、・・・ルル」
京はその準備のため、引っ越しの準備を始めた。
以前は逃げ出したくとも逃げ出せなかった東雲家。
背負うものがたくさんあったのは今も同じなのだが、京はもう迷わなかった。
それに今どき同族の世襲制の会社なんて落ちぶれていくだけだ。
親戚だってそれなりにいるのだから。
・・・なんて思えたのはルボミールがそれを示してくれたからなのだが。
「ルルのおかげだ。この家から出られるのは」
「キョウの為になったならよかった。
・・・俺はこの世界では何もできない。
だから俺に出来ることは何でも言ってほしい」
そんな風に言わせてしまうのは悲しく思う。
もっとルボミールがうまく生きていける環境が作りたい。
即日で逃げられないのはいたいところだが、着実に準備を進めていた。
☆☆☆
数日後。
新しい新居は未だ見つからない。
今は少しでも条件の良い所の物件を見て居たいと思っている時に、執事に呼び出された。
あの2人の用事ではなく来客だというから、部屋に向かったのだがそこには主治医がいた。
「やぁ。京君。お久しぶり」
「お久しぶりです。俺はまだどこも悪くないですよ」
「ハハ!手厳しいなぁ」
「人の事モルモットくらいに思っている人には丁度いいと思いますよ」
しれっと答えつつも京は席に座った。
そこにはすでにお茶が準備されていた。
執事が気を利かせたのだろうか。
ソーサーを取ればまだぬくもりを感じ、最近淹れられたことが分かる。
京は特に気にせず口にしながら、主治医に視線を戻す。
「でも気になるじゃないか」
「そうですか」
「冷たいね。・・・影がねなんか生殖器みたいなんだ」
CTかレントゲンの結果の様だ。
「・・・そうですか。で、それだけ聞きに来たのですか?」
「ん?そういうわけじゃないんだけど。
というか、最近京君香水つけてる?」
「・・・、」
その言葉にピクリと京は眉を動かした。
薬を飲み忘れた時などよく『いい匂い』と言われていたからである。
「えぇ」
内心びくつきながらも『今日は薬のんだから大丈夫だ』と、怯えそうになるのを抑える。
それでも手が震えているのか、カップの水面の揺れているのに気付いた。
「大丈夫?」
「!」
するといつの間に隣に来たのか、主治医がそこに掛けていた。
「顔が赤いし、少し首元を開けようか」
「っ・・・やっ」
その手を払いのけようとしたが、カップがひっくりかえり、自分の服が濡れただけだった。
カップが転がり、絨毯にシミを作る。
すると、男はボタンを外して、慌てて手を握るが全く力が入らない。
愕然としていると扉から入ってきたのは、避けていたはずの父と伯父だった。
「っ」
「こらこら。息子に乱暴は止めていただこうか。先生」
「!」
「いえいえ。紅茶をかぶってしまったようなので、やけどしてないか確かめるだけですよ」
「やけど?それはいけないな。京の綺麗な肌に傷が出来てしまっては」
「そうだな。早く脱がそうか」
両腕を伯父に抑えられ、ワイシャツのボタンを主治医に外される。
「っ・・・大丈夫です!離してくださいっ」
「京。何を暴れているんだ。・・・お前の主治医なんだ。安心して見てもらうといい」
「それにしてもこないだはもっといい香りが強かったと思うのだが」
「兄さんは父親だし、それでそそらないなら見てればいいよ。
俺と先生で体中・・・て、あれ??京。これはなにかな」
主治医に外されたボタンの所為で、ワイシャツを大きく開かれてしまう。
そこには沢山の華が咲いていて、男たちは不機嫌に眉を顰めた。
「・・・お前があの男を連れてきたわけはそういうことなのか」
「っ・・・離せ!・・・ぁぐっ」
対して力の入らない体で暴れたところだった、『パシンッ』という破裂音と共に頬に痛みが走った。
父親に殴られたのだ。
愛情らしい愛情なんて感じたことはなかったが、暴力を振られたことはなかったのに。
恐る恐る視線を向ければ、激高している父親がいた。
「あの男は追い出せ」
「それなら、私にくださいませんか?
前に言ったでしょう。
現人類には持ちえない遺伝子を持っているんです。彼は新人類かもしれませんから」
「・・・好きにしろ」
「そういう意味で、京君も新人類かもしれないんですけど」
「これは駄目だ」
「・・・そうですか」
実の親の会話だと思えない。
それから父は執事を呼び寄せるとルボミールを気絶させておくように命じる。
「っ・・・・やだっ・・・ルルには酷いことするな!」
「・・・。それならいい子にしていろ」
「っ」
そういうとソファーの上に大きく足を開かされた。
自分の子供・・・それ以前に男の体をみて何が楽しいのだろうか。
京はルボミールを愛しているので、男にでも興奮するが彼等は血縁者や医者、それも異性愛者のはずなのに。
もしかして彼等は『α』に当たるのだろうか。
溢れる疑問に思考を巡らせたいところではあるが、そんな時間はない。
こんなことをしても・・・ルルを助けてくれるわけない・・・っ
「やっぱり嫌だ!」
そう叫ぶと体をひねらせて逃げようとするが、伯父に掴まれたままの手は放してくれなくて、ついに体を引き寄せられてしまう。
嗅いだことのないフレグランスに京は余りの事態に恐怖に震えた。
「る・・・るるっ・・・ルル!!」
「泣き叫けべ」
しかし、伯父は恐ろしいくらいにいびつで愉快そうに微笑んだ。
「お前の泣き顔は酷くそそる。・・・尻の穴が閉じなくなるほどかわいがってやる」
「っ・・・!!?」
「困った体になったが・・・お前が子供を産めるなら問題ない」
「と、・・・とうさんまで、ほんき・・?」
「困った人達だよね。本当はちゃんと研究したかったんだけど。孕ませれば結果は同じだって」
「っ・・・」
ホロリと目から涙が流れると、伯父がそれを舐めとる。
気持ち悪くて鳥肌が立ち、暴れるが・・・どれも結局逃げ出せることはなかった。
ガコンッ
途端に部屋に響く騒音に京は震える。
しかもその音は一回ではなかった。
何度も何度も繰り返された。
父達は咄嗟のことに慌てふためき、SP達に電話をするもつながらないようだった。
扉は徐々に穴が開き、姿を見えてくると最後に空を切って扉がけり破られた。
「キョウは返してもらうぞ」
「ルル・・・っ」
急なことに手を離した伯父の隙をつき、京は逃げ出すとその腕の中に飛び込んだ。
☆☆☆
ルボミールに上着を掛けられ、屋敷の中を手を引かれて歩く。
そして連れてかれたのは地下駐車場だった。
そこには執事が居てびくつくと、彼は苦笑した。
「京様、時間がありません。お早く。
・・・すでに、初日に身につけられていたものは車に積んであります」
「大丈夫だ。キョウ。キョウの危険を知らせてくれたのは彼だ」
「!・・・わかった」
ルボミールに手を引かれると、車に乗り込んだ。
・・・
・・
・
執事の提案で東京から離れることにした。
少し落ち着いて考えたくて、人気のないふ頭まで来ていた。
執事は車に残り、2人は海風をあたりながら、この先を考える2人。
今は人が怖い。
「・・・俺が異常なのかな」
今まで誘拐や痴漢など居ても『東雲』の所為だと思っていた。
だが、身内や医者にまで襲われたことを考えると、もう自分が可笑しいのかと思ってしまう。
「この世界の人間にΩのフェロモンが聞くなんてな」
苦笑交じりでそう呟くとルボミールが強く抱きしめてくれる。
「俺はどんなキョウでも愛している。
・・・キョウには悪いが・・・この世界にきてよかったと思っている」
「・・・え?」
「『運命』が無くなってもキョウを愛していると思えるからな」
「ルル・・・」
「だが・・・キョウは『運命』が無くなったら、俺の事をなんとも思わなくなってしまうのかもしれないな」
そう言って頬を撫でるルボミールは、寂しげな笑みを浮かべている。
「そんなことない。・・・たぶん」
「そこは絶対と言ってくれないのか?」
「あはは。ごめん。・・・でも好きだと思うよ。
ルルはカッコいいし、男前で。
俺のことをいつだって助けてくれる」
「本当か・・・?それは、嬉しいな」
なんだか照れている様子にこちらまで恥ずかしくなってしまう。
「たまに、暴走しておかしなことをするのが玉に瑕だけど」
「・・・すまなかった」
「あはは。・・・、・・・やっぱり番っておけばよかったな」
「そう思ってくれる気持ちだけで俺は嬉しい」
ちゅっと額に口づけてくれるルボミール。
彼はどうやら額にするのが好きなようだ。
「そうだな。・・・俺も戻れるなら戻りたい。
・・・。
キョウには黙っていたことがあるのだが、
キョウはおそらく『Ultimate』のΩかもしれない」
「アルティメットのΩ??」
「発情期でもないのに、どんなαも引き付けるそういうΩがいるとされているんだ」
その言葉に京は嫌そうな顔をすると、ルボミールはおかしそうに笑った。
「有能なαを手玉に転がせるんだぞ?」
「そんなの要らないよ。それ以前に実際にそんなことしたらルルが大変じゃないか」
「良くわかっているじゃないか。安心したぞ」
それは京のことを試したのだろうか。
「ラージャに居た頃なら番えたのにな」
「・・・そうだな。・・・還りたい」
『『だから言ってってば!!』』
その聞き覚えのある声に呆然とする2人だった。
┬┬┬
しおりありがとうございます❤
てか分割したほうが良かったでしょうかね。。
あしたも長くなるかと思います。
周りを見ようとも視界はルボミールの胸しかない。
あの状況で瞬時に自分を守ろうとしてくれたらしい。
αの動体視力は本当にすごい。
「ルル・・・怪我はないか?・・・ルル?」
見上げれば固まっているルボミールに、いぶかし気に声を掛ければハッとしたように腕を離した。
「ぁ・・・あぁ。キョウこそ大丈夫か?」
当たりを見渡せば、降りたたった世界は谷底だった。
茶色地面に呆然と立ち尽くすが、遠くに見えたビル並みに困惑する。
「ここがキョウ達の世界か」
「・・・と、思ったんだけど、俺が知ってる世界とは違うような・・・あ」
そう言いかけてハッとした。
こんな場所見たことが無いと思ったが、京達だけが戻ってきたのだから、ここはトシマ区だと言うことだろうか。
あの世界では殆ど使う事がなくなったスマートフォンを出して、地図アプリを開きGPSで自分の位置を確認すると、トシマ区にある東雲の別邸をさしていた。
「ここはトシマ区跡地だ。
・・・戻ってきたのがあの日なのであれば、・・・うん。やっぱり連絡きてるな」
着信詳細を見ながらつぶやいた。
すぐに掛けることはなくルボミールを見上げる。
「ルル。こっちに来たら少し言っておかなければならないことがある」
「なんだ?」
「わかっていると思うが、この世界では魔法とかバースがない。
だから魔法とか異世界から来たとか言うと変人扱い・・・もしくは病気なのかと疑われる」
「なるほどな。わかった」
「だから、過去のことは記憶喪失と言うことにしておこう」
「キョウも知らない方がいいのか」
「そうだな・・・目を覚ましたらここに居たと言う事にしておこう。
大丈夫。・・・この後俺の家族が迎えに来ると思う。そしたら俺が保護する様に話を進ませるから。
そしたら・・・一緒だ」
「・・・あぁ」
この時、ルボミールの微妙そうにしていた表情が不安なものだと勘違いしていた。
空に飛んでいるヘリが不思議なのか、ルボミールは当たりを見回していた。
理解が追い付いていないのかもしれない。
京もラージャに初めて行った時や、魔法を目の当たりにしたときは混乱した。
暫くして京のGPSに気付いた者達から連絡が入り向かいに来るように指示をする。
途中でいくつかのヘリがこちらに向かってきたた。
その中には自衛隊や警察のヘリもあるが、マスコミのヘリもハイエナの様に飛んでいるが、降りてこないところを見ると中は立ち入り禁止になっていっるのだろうか。
するとドローンが飛んできてしまった。
「・・・まずいな」
上空からは撮られているだろうが、足元を探られるのは困る。
SPに電話を掛けた。
「すぐに来ては駄目だ。一度自衛隊か警察かに保護してもらう。その後、マスコミに気付かれないように迎えにきてくれ」
『わかりました』
「ルル。不味いことが起きた。ちょっと不自然じゃない程度に倒れて顔が見えないようにしてくれないか」
「どういうことだ」
「あの空に飛んでいる奴らに俺がどこのだれか知られるのが不味いんだ。・・・もう手遅れかもしれないが」
「・・・。なるほど。ならこうするか」
そういうと、京を抱き込むとそのまま倒れこんだ。
「!」
「こうしたら見られないだろう」
「・・、ありがとう。ルル」
救助のヘリが来るまでずっとそのまま抱きしめられていた。
力強いその腕に抱かれると、不安が解けていった。
☆☆☆
家に戻り東雲の力があればどうにかなると思っていた。
しかし、病院で念のためにと得意先の大学病院へ搬送され、受けさせられた精密検査中に分かったことを聞きながら京は困惑した。
幼い頃から主治医をしてくれている意思が、京に通常の男性には無い物があると興奮しながら言った。
周りの者は騒然としていたが京にはそれがなんだかわかった。
・・・Ωの、ままなのか・・・?
駆け付けた執事が驚愕な声を漏らしていた。
「っそんな!坊ちゃんは今までそんなこと今まで一度もっ」
「そんなことは我々も承知しています」
それはそうだ。京の主治医はこの病院の次期院長の男だ。
その主治医が眉を顰めながら、こちらを見てくる。
「京君。あまり驚いていないね。・・・実は結構昔から何かあったのかな?」
「いいえ。驚いて言葉が見つからなかっただけです。
・・・それより一緒に居た彼は」
「隣の部屋だよ。一緒に傍に居ただけと聞いたけど、彼の事が気になるの?」
「引き取るつもりでいますから」
迷いもせずそう言うと、主治医が驚いたようにした。
「それは・・・お勧めしないな」
「なぜですか?」
「その、言いにくいことだが、彼は地球上でまだ発見されていない遺伝子を持っているよ」
「そうですか」
目を輝かせている男はそれで論文でも書くつもりなのだろうか。
「・・・それだけ?」
「雇うのに必要なことはまず第一に健康であるかだけです。その点には問題ありますか」
「いいや。全く。おとなしいものだよ」
ピアスに訴えかけても全く返事がない。
京は不安でピリピリしているのに、ルボミールは平気なのだろうか・・・?
「、・・・それなら帰ってももう良いですね」
「良くないね。まだ検査が終わってない。京君も彼もこれからまだいろいろ調べないと」
「そんなことさせるわけがない!」
「!・・・だがっ」
尚も食い下がる男にジロリと睨む。
「貴方はいつからそんなに研究熱心になったのですか?
今更何か研究論文を真面目に出さなくとも、貴方は十分に潤っていますよね。
それにこちらにはそれなりの心遣いをしていたと思いますが・・・。
もう不要なのであればそのようにしますが」
我ながら腹黒い切替しだったと思う。
しかし、ルボミールに不要に触れさせるわけにはいかない。
今は京が守らねば。
「!・・・いや、それは困る」
「なら話は終わりですね。・・・帰るぞ」
「しかし、京様・・・お体は大丈夫なのでしょうか」
「どうせ現代科学じゃどうしようもない」
「っ・・・それが分かっているなら何故研究に協力しないんだっ!」
そういう男に京はため息をつきながらそちらを見た。
「俺の血や細胞ならさっき散々取っていただろう」
「っ」
「続きは俺が倒れた時にお願いします」
「っ・・・京君!・・・回診をしよう」
「来ていただいても入れませんよ?それにたぶんすぐには帰れません」
そう言うと、京は部屋から出るとルボミールを連れて地下駐車場から病院を抜け出した。
☆☆☆
トシマ区消失の唯一の生存者に病院は沢山のマスコミで溢れていた。
追跡を気にしまっすぐには家に帰れなかった。
まずは病院に記者会見を開いてもらい裏を突いた。
だが、それだけでは追手がつくかもしれないので、そのままフェリーに乗り北海道へ向かい、再び東京へ戻ってくるという遠回りをし、屋敷についたのは3日後だった。
迎えてくれた両親は流石に心配していたらしい。
呼ばれて部屋に向かえば父親と父の弟である伯父がいた。
「しばらく見ないうちに綺麗になったな」
そんなことをいう伯父に京は眉をピクリと動かす。
もっと言葉を選べなかったのだろうか、
確かにこの伯父とは会うのは数年ぶりだが、今はその言葉はおかしいと思うのだが。
「・・・。母さんは」
「あぁ。アイツならフランス旅行途中だ。
お前が無事だと知ったら帰国を取りやめて、旅行の続きをするそうだ」
「・・・」
お前達の子供は京だけではない。
雅がいないことに触れないのは少々カチンと来てしまったが、この家の人間はこうである。
「それにしても、・・・私も久しぶりにお前と会ったが危うさを秘めた美しさに磨きがかかったな」
「・・・父さん・・・ふざけないでください」
「ふざけてなどいない。お前は昔から誘拐未遂や変質者に襲われたりしていただろう。
あの頃は何を血迷ったことをと思っていたんだが。
・・・これはより強固にする必要がありそうだ」
昔から誘拐未遂が多いことを言われると、それ以上言い返せない。
実際攫われたことも未遂も含めて多数ある。
それを防いでくれ手たのは如月達だ。
「それで一緒に助かったという人物を連れてきたと聞いたが」
「はい。記憶がないそうで」
「おかしな民族衣装を着ていたと聞いたが、変な宗教な人間か?」
「場所的にコスプレイヤーじゃないでしょうか」
「・・・そんな怪しい人間、リハビリ施設にでも入れておけ」
「身体能力も高いですし、手元に置こうかと思います」
そう言えば、父は眉を顰めたが思い出したよう言葉をつづけた。
「そうか・・・如月達の代わりを準備せねばな」
「・・・」
トシマ区消失は謎に包まれたまま、現在も調査が続けられている。
京自身は如月達があの世界で無事でいるのを知っているから、父親にそう言われても京は口を閉じた。
この人たちは使えるものしか見ない。
そしてこれで悪気が無い。だから余計に質が悪い。
ラージャでΩ虐げる人々の様だ。
「その男のことでおかしなことも聞いたが?」
口止めしたはずだが執事が言ったのだろうか。
元からそれほど信用はしていなかったが、面白いものではない。
しかし、こんな家ではあるが使えるのだから、以前の様に心に蓋をしなければ。
訂正をしたり、彼等と意見を交わしても無駄なのだ。
適当に言って退出をしようとしたところだった。
ドクンッ
「ッ!?」
心臓が大きく脈打ち覚えのある震えが走る。
心音の感覚が短くなって、・・・これは危険だと思った時には遅かった。
父親と伯父の目の色が変わる。
「っ・・・っ・・・なんだ、・・・これは」
「っ・・・兄さんっ・・・」
「・・・!」
自分のヒートは見たことがあっても、
αのラットは聞いたことがあるだけで、大事に囲われていた京には見た事がない。
思わず後ずさりをすると二人の血走った視線がこちらに注がれた。
視線は見たことがないほどギラ付いている。
それは息子に・・・いや。男に向けるような視線ではない。
ネクタイを緩め、笑みを浮かべる仕草にゾッとした。
「っ」
「京・・・こちらに来なさい」
「大丈夫、痛いことはしない」
「失礼しますっ」
「「京!!」」
その支配するような声に、京は怯えた。
震えて縺れそうになる足を動かし、捕まる寸前のところで逃げ出した。
☆☆☆
それからやっとのことで部屋に戻る。
部屋に鍵を掛けると、寝室に逃げ込んだ。
この部屋はトシマ区にあった部屋よりも広く、前室にも自室にも掛けたところでふわりと香る香りにハッとした。
「・・・ル、・・・ル」
「!・・・発情期が来ているのか・・・?」
「っ・・・うん」
ふらつく京を抱きとめると、常備している錠剤を胸ポケットから取り出すと口に含ませた。
最近は薬を飲み忘れても発情することがなかった。
だから、液状ではなく錠剤を持ち歩いていたのだが、錠剤の効き目は悪い。
それに合わせて、京は薬が効きにくい体にもなっていた。
「っ・・・ルル・・・俺は、隣の部屋、で」
「・・・。大丈夫だ」
「え?」
そういうと体がふわりと浮いた。
抱きかかえられ寝室に向かうと、寝室の鍵も閉められた。
そしてゆっくりとベッドに横たわせられた。
「俺はαじゃなくなったみたいだ」
「ぇ・・・?」
「キョウの発情を見てもあの時の様に何が何でも抱いて、・・・ここを噛みたいとはなってない」
「っぁ・・・」
そう言いながらルボミールが項を撫でた。
小さく喘ぐ京をルボミールはクスリと笑った。
「だが、魅力的なのは変わらないが。・・・ここに来て『運命』も感じない。
・・・それでもキョウを愛しいと・・・キョウ?」
「『運命』が・・・・感じない・・・?」
そう呟きながら体がガクガクと震えだした。
『運命』が無くなっただなんて、そんなの嘘だって言ってほしい。
「嘘・・・」
自分らしくないとはわかっていても、発情が来ているこのタイミングで聞いたそれに悲しみが強くなる。
愛していたはずのルボミールはここに居て、今もそれを感じているのに、何時かは自分から離れていくのではないかと思ったら・・・止まらなくなった。
ルボミールは京の異変に気付くと安心させるように、ルボミールは震える体を抱きしめて、京の額に口づけた。
「・・・、・・・あぁ。嘘だ。質が悪かったな。すまない」
「・・・!」
京の怯え具合に合わせたのだとすぐわかる。
けれど、情緒が安定しない京はほろりと涙がこぼれた。
「キョウ・・・。今日はキョウが満足するまでしよう」
「っ・・・なら、最後まで、・・・しよう?」
無くなってほしいと思っていたはずで、そしてそれでもルボミールに愛されたいと思っていたはずなのに、
今はその愛となくなってしまったものが欲しくてたまらない。
「・・・わがままで、・・・ごめん」
「そんなことはない。・・・こうなっているのは俺のが欲しいからなのだろう?」
「っ」
大きな手で扱かれるとスーツの中がねっちょりとヌルついているのが分かる。
京はその手にさえ感じてしまい、腰を押し付けるようにくねらせた。
「はぁっ・・・んっ・・・でも、・・・ルルは、・・・気持ち悪くないのか?」
気遣う言葉を掛けつつも説得力がないのは分かっているが、熱くなった体は止められなかった。
「こんなに可愛いキョウが気持ち悪い?
・・・ラットの時のような衝動はないが、煽られているのは間違いがないが」
「っ」
「それでキョウ。これで逝くか?」
ぐちゅぐちゅと手を動かされると気持ちよくて腰が揺れた。
シーツを手繰り寄せながら首を横にふる。
「っ・・・ぃゃっ」
「いやっていう行動じゃないな」
「っ」
「服を脱いでしてもらいたいことを言ってもらおうか」
そういって頬を撫でるルボミールは、『運命』がなくとも自分に欲情をしているのが分かる。
つい先ほど、自分に対する欲情を見せた男に嫌悪をしたと言うのに。
京は体を起こすと、ネクタイに指を入れて緩めると首からネクタイを取り去り、ワイシャツのボタンを外していく。
その間もルボミールの熱い視線を感じ、それだけで体が期待して震えた。
下着は前がいやらしく濡れてシミをつくり恥ずかしいほどに立ち上がっている。
その光景に興奮していると後ろからもトロリと濡れたのが分かる。
「ぁっ」
「こちらも溢れているな」
下着越しに尻の穴のあたりを撫でられるとたまらなかった。
早くその指が欲しくて、パクパクと開いているのが分かる。
「キョウ・・・早くしないとこの下着全体が濡れてしまうぞ?
・・・それともそういうところを見せてくれるのか?」
「ちがっ」
「ならば、早くみせてくれ」
「っ」
口元に意地悪気な笑みを浮かべつつも京を煽る様に乳首をつつく。
最近分かってきたが、ルボミールはこういう時は意地悪だ。
京は全部脱ぐとルボミールの前で全裸になると膝立ちになる。
「さて、・・・キョウは何してほしいんだ?
その可憐な乳首を舐めて欲しいのか?」
「ぁっ」
両乳首を親指でなじられ、体をくねらせると両乳首をきゅうっと摘ままれパっと離される。
「それとも・・・ここを舐めて欲しいか」
「ぁぅっ」
先ほどとは違い直に触れられるとたまらなくなった。
「こんなに蜜を零して・・・。・・・だが後ろは良いのか?」
もう片方の手が尻の割れ目を撫でそのまま引くつく穴を撫でた。
「ひゃぅっ・・・・ぁっぁっ・・・ぜんぶっ・・・ぜんぶしてぇっ」
とろけ始めた頭ではもう感じたいとしか思えなくなっていた。
すがる様にルボミールのぎらついた目が京に注がれている。
「わかった」
「んぁっ」
それから京は喘ぐことしかできない。
乳首を吸われ舐められ、ペニスを扱かれながら後ろを解され愛撫されるのは強烈で何度も逝きそうになる。
だが、ルボミールはそんな時にになるとタイミングをずらし、焦らされた。
ルボミールの指が4本入るころになったころ、京はルボミールの首にすがって耳元で哀願する。
「っ・・・おねがいっ・・・もうっ・・・るるがほしぃっ・・・っ」
「わかった」
そういうと、ルボミールは前をはだけさせると、相変わらず凶器じみたそれを見せつけた。
「っ・・・」
「良く解したが、・・・力は抜いておけ」
その言葉にこくりと頷く。
そして徐々に入ってっ来る熱い塊に、京は咄嗟に息を詰まらせるがなじむまでそこで待ってくれる。
いつもぐらいまでのところにくると、ルボミールは止まった。
京もきつかったから、そこで止まってくれたのは嬉しかったのだが、・・・なじんでくるとガーネットを見つめた。
「・・・もっと」
「キョウ・・・しかし」
「ゆっくりしてくれたら、・・・大丈夫だから」
「っ・・・っく・・・煽るな・・・!」
理性で止めようとするルボミールの腰に足を絡ませ、自分の腰を上げる。
「ひぃぁぁっ」
「ックソ」
「んあぁぁっっ」
そう呟くとパンッと腰を打ち付けられた。
最後まで挿入それは熱くて固くて・・・大きい。
腹のあたりまで届いているのではないかと思うほどで、京は思わず自分の手のひらをあてていると、ルボミールが舌打ちをする。
「っ・・・煽るなと、言っているだろう?」
「好きに、・・・していい」
「っ」
「我慢しなくていいから。・・・俺の事好きに抱いて?」
そういうと噛みつくように口づけられた。
その行為は京の発情が薬で落ち着くまで続けられた。
☆☆☆
あの事が起きてから、京は父と伯父を避けた。
食事の時間もずらし、これからのことを考えた。
だれかれ誘ってしまうなら、ルボミールに番ってもらってしまおうと思ったのだが、ルボミールは『α』ではなくなったと言っていた。
机の上に並べた3つの水晶を眺めつつ唸っていた。
良い手は無いかと考えていたが、もうこれしかない
「・・・仕方ない。・・・ルル!」
「なんだ?」
「これからの事なんだけど」
「あぁ」
「俺はこの家を出ようと思う」
「そうか」
「・・・ルルにはついてきてもらいたいんだけど」
そういうとルボミールはおかしそうに笑った。
「キョウがいないここに残っていても仕方がないだろう?」
あの日、父と伯父に呼ばれて出て行った後、発情が始まったからとは言え様子がおかしかった京に、ルボミールは何か感づいているらしい。
「キョウがいるところに行こう」
「ありがとう、・・・ルル」
京はその準備のため、引っ越しの準備を始めた。
以前は逃げ出したくとも逃げ出せなかった東雲家。
背負うものがたくさんあったのは今も同じなのだが、京はもう迷わなかった。
それに今どき同族の世襲制の会社なんて落ちぶれていくだけだ。
親戚だってそれなりにいるのだから。
・・・なんて思えたのはルボミールがそれを示してくれたからなのだが。
「ルルのおかげだ。この家から出られるのは」
「キョウの為になったならよかった。
・・・俺はこの世界では何もできない。
だから俺に出来ることは何でも言ってほしい」
そんな風に言わせてしまうのは悲しく思う。
もっとルボミールがうまく生きていける環境が作りたい。
即日で逃げられないのはいたいところだが、着実に準備を進めていた。
☆☆☆
数日後。
新しい新居は未だ見つからない。
今は少しでも条件の良い所の物件を見て居たいと思っている時に、執事に呼び出された。
あの2人の用事ではなく来客だというから、部屋に向かったのだがそこには主治医がいた。
「やぁ。京君。お久しぶり」
「お久しぶりです。俺はまだどこも悪くないですよ」
「ハハ!手厳しいなぁ」
「人の事モルモットくらいに思っている人には丁度いいと思いますよ」
しれっと答えつつも京は席に座った。
そこにはすでにお茶が準備されていた。
執事が気を利かせたのだろうか。
ソーサーを取ればまだぬくもりを感じ、最近淹れられたことが分かる。
京は特に気にせず口にしながら、主治医に視線を戻す。
「でも気になるじゃないか」
「そうですか」
「冷たいね。・・・影がねなんか生殖器みたいなんだ」
CTかレントゲンの結果の様だ。
「・・・そうですか。で、それだけ聞きに来たのですか?」
「ん?そういうわけじゃないんだけど。
というか、最近京君香水つけてる?」
「・・・、」
その言葉にピクリと京は眉を動かした。
薬を飲み忘れた時などよく『いい匂い』と言われていたからである。
「えぇ」
内心びくつきながらも『今日は薬のんだから大丈夫だ』と、怯えそうになるのを抑える。
それでも手が震えているのか、カップの水面の揺れているのに気付いた。
「大丈夫?」
「!」
するといつの間に隣に来たのか、主治医がそこに掛けていた。
「顔が赤いし、少し首元を開けようか」
「っ・・・やっ」
その手を払いのけようとしたが、カップがひっくりかえり、自分の服が濡れただけだった。
カップが転がり、絨毯にシミを作る。
すると、男はボタンを外して、慌てて手を握るが全く力が入らない。
愕然としていると扉から入ってきたのは、避けていたはずの父と伯父だった。
「っ」
「こらこら。息子に乱暴は止めていただこうか。先生」
「!」
「いえいえ。紅茶をかぶってしまったようなので、やけどしてないか確かめるだけですよ」
「やけど?それはいけないな。京の綺麗な肌に傷が出来てしまっては」
「そうだな。早く脱がそうか」
両腕を伯父に抑えられ、ワイシャツのボタンを主治医に外される。
「っ・・・大丈夫です!離してくださいっ」
「京。何を暴れているんだ。・・・お前の主治医なんだ。安心して見てもらうといい」
「それにしてもこないだはもっといい香りが強かったと思うのだが」
「兄さんは父親だし、それでそそらないなら見てればいいよ。
俺と先生で体中・・・て、あれ??京。これはなにかな」
主治医に外されたボタンの所為で、ワイシャツを大きく開かれてしまう。
そこには沢山の華が咲いていて、男たちは不機嫌に眉を顰めた。
「・・・お前があの男を連れてきたわけはそういうことなのか」
「っ・・・離せ!・・・ぁぐっ」
対して力の入らない体で暴れたところだった、『パシンッ』という破裂音と共に頬に痛みが走った。
父親に殴られたのだ。
愛情らしい愛情なんて感じたことはなかったが、暴力を振られたことはなかったのに。
恐る恐る視線を向ければ、激高している父親がいた。
「あの男は追い出せ」
「それなら、私にくださいませんか?
前に言ったでしょう。
現人類には持ちえない遺伝子を持っているんです。彼は新人類かもしれませんから」
「・・・好きにしろ」
「そういう意味で、京君も新人類かもしれないんですけど」
「これは駄目だ」
「・・・そうですか」
実の親の会話だと思えない。
それから父は執事を呼び寄せるとルボミールを気絶させておくように命じる。
「っ・・・・やだっ・・・ルルには酷いことするな!」
「・・・。それならいい子にしていろ」
「っ」
そういうとソファーの上に大きく足を開かされた。
自分の子供・・・それ以前に男の体をみて何が楽しいのだろうか。
京はルボミールを愛しているので、男にでも興奮するが彼等は血縁者や医者、それも異性愛者のはずなのに。
もしかして彼等は『α』に当たるのだろうか。
溢れる疑問に思考を巡らせたいところではあるが、そんな時間はない。
こんなことをしても・・・ルルを助けてくれるわけない・・・っ
「やっぱり嫌だ!」
そう叫ぶと体をひねらせて逃げようとするが、伯父に掴まれたままの手は放してくれなくて、ついに体を引き寄せられてしまう。
嗅いだことのないフレグランスに京は余りの事態に恐怖に震えた。
「る・・・るるっ・・・ルル!!」
「泣き叫けべ」
しかし、伯父は恐ろしいくらいにいびつで愉快そうに微笑んだ。
「お前の泣き顔は酷くそそる。・・・尻の穴が閉じなくなるほどかわいがってやる」
「っ・・・!!?」
「困った体になったが・・・お前が子供を産めるなら問題ない」
「と、・・・とうさんまで、ほんき・・?」
「困った人達だよね。本当はちゃんと研究したかったんだけど。孕ませれば結果は同じだって」
「っ・・・」
ホロリと目から涙が流れると、伯父がそれを舐めとる。
気持ち悪くて鳥肌が立ち、暴れるが・・・どれも結局逃げ出せることはなかった。
ガコンッ
途端に部屋に響く騒音に京は震える。
しかもその音は一回ではなかった。
何度も何度も繰り返された。
父達は咄嗟のことに慌てふためき、SP達に電話をするもつながらないようだった。
扉は徐々に穴が開き、姿を見えてくると最後に空を切って扉がけり破られた。
「キョウは返してもらうぞ」
「ルル・・・っ」
急なことに手を離した伯父の隙をつき、京は逃げ出すとその腕の中に飛び込んだ。
☆☆☆
ルボミールに上着を掛けられ、屋敷の中を手を引かれて歩く。
そして連れてかれたのは地下駐車場だった。
そこには執事が居てびくつくと、彼は苦笑した。
「京様、時間がありません。お早く。
・・・すでに、初日に身につけられていたものは車に積んであります」
「大丈夫だ。キョウ。キョウの危険を知らせてくれたのは彼だ」
「!・・・わかった」
ルボミールに手を引かれると、車に乗り込んだ。
・・・
・・
・
執事の提案で東京から離れることにした。
少し落ち着いて考えたくて、人気のないふ頭まで来ていた。
執事は車に残り、2人は海風をあたりながら、この先を考える2人。
今は人が怖い。
「・・・俺が異常なのかな」
今まで誘拐や痴漢など居ても『東雲』の所為だと思っていた。
だが、身内や医者にまで襲われたことを考えると、もう自分が可笑しいのかと思ってしまう。
「この世界の人間にΩのフェロモンが聞くなんてな」
苦笑交じりでそう呟くとルボミールが強く抱きしめてくれる。
「俺はどんなキョウでも愛している。
・・・キョウには悪いが・・・この世界にきてよかったと思っている」
「・・・え?」
「『運命』が無くなってもキョウを愛していると思えるからな」
「ルル・・・」
「だが・・・キョウは『運命』が無くなったら、俺の事をなんとも思わなくなってしまうのかもしれないな」
そう言って頬を撫でるルボミールは、寂しげな笑みを浮かべている。
「そんなことない。・・・たぶん」
「そこは絶対と言ってくれないのか?」
「あはは。ごめん。・・・でも好きだと思うよ。
ルルはカッコいいし、男前で。
俺のことをいつだって助けてくれる」
「本当か・・・?それは、嬉しいな」
なんだか照れている様子にこちらまで恥ずかしくなってしまう。
「たまに、暴走しておかしなことをするのが玉に瑕だけど」
「・・・すまなかった」
「あはは。・・・、・・・やっぱり番っておけばよかったな」
「そう思ってくれる気持ちだけで俺は嬉しい」
ちゅっと額に口づけてくれるルボミール。
彼はどうやら額にするのが好きなようだ。
「そうだな。・・・俺も戻れるなら戻りたい。
・・・。
キョウには黙っていたことがあるのだが、
キョウはおそらく『Ultimate』のΩかもしれない」
「アルティメットのΩ??」
「発情期でもないのに、どんなαも引き付けるそういうΩがいるとされているんだ」
その言葉に京は嫌そうな顔をすると、ルボミールはおかしそうに笑った。
「有能なαを手玉に転がせるんだぞ?」
「そんなの要らないよ。それ以前に実際にそんなことしたらルルが大変じゃないか」
「良くわかっているじゃないか。安心したぞ」
それは京のことを試したのだろうか。
「ラージャに居た頃なら番えたのにな」
「・・・そうだな。・・・還りたい」
『『だから言ってってば!!』』
その聞き覚えのある声に呆然とする2人だった。
┬┬┬
しおりありがとうございます❤
てか分割したほうが良かったでしょうかね。。
あしたも長くなるかと思います。
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