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【最終話】
日が沈みかけてから完全に沈むまでは早く、あたりはすっかり夕闇になるころ。
夜景が無ければルボミールの顔も見にくい。
血縁者や信用していたはずの男に襲われたことに、傷つきルボミールに慰められている時だった。
埠頭で波音くらいしかしていなかったのに、唐突に聞こえた声に京をかばうように立つとあたりを見渡す。
しかし、どこにも人の気配は感じない。
一瞬京の勘違いかと思ったのだが、ルボミールの様子を見れば勘違いじゃないのだろう。
「今の・・声・・・」
シリルとモイスの声がしたような気がしたのだ。
京は上を見上げるとルボミールはまだ当たりを警戒している。
「来たのか・・・?」
『違います』
「「!」」
聞こえたのやはりシリルの声だ。
近くに聞こえたはずなのに姿が見当たらない。
「賢者シリル様、どちらにいらっしゃるのですか」
ルボミールは当たりを見渡しながらそう尋ねると、胸ポケットから声がしてきた。
『キョウにお渡しした球からです』
今度ははっきりと聞き取れた。
京は胸ポケットの中に、薬の他に小さな袋にこの球をいれて身に着けている。
慌てて袋を開けると球が光っている。
『困ったことがあったら呼んでくださいと言ったはずですが?』
『そもそも、1人で会いに行くなんて無謀すぎるじゃん!!』
前者のシリルの言い分はまだわかる。・・・後者のモイスには『お前が言うな』と言う気分にさせた。
現にルボミールがピクっと動いたのはイラついたのだろう。
そもそも会いに行ったのは父親と伯父に主治医である。
『貴方が言うことですか・・・?』
その思いは共通なのか冷え冷えとするシリルの声が聞こえてくる。
しかし、それを止めたのはコンラッドだ。
『まぁまぁ二人とも。
魔力のあても付いたのですから、2人を召喚出来ることを伝えなくていいのですか?』
「!」
『魔力のあてとは王太子が言っていた件です。
側近の方にあなた方を元に戻したいなら500人ほどの魔術師の魔力を準備しろと言ったところ一時間もしないうちに揃えましたよ』
側近とはダンのことだろうか。
というか、そんな脅しなような言い方をしたのだろうか・・・。
「ありがとうございます。・・・ただ、少し時間を貰えますか」
この世界に未練は残さないために。
自分で惑わしたのかあれがどういう事なのかわからない。
だがこのまま逃げるのはしたくなかった。
それにこのまま逃げては執事が疑われてしまうからだ。
・・・
・・
・
地球でのすべきことを終え、戻ってきた先は見た事がない空間だった。
全体的に薄暗く、奥には薄青白く光る球体。
その手前に見覚えのある人間が立っている。
「成功したようですね」
ホッとしたようにつぶやくシリル。
そしてその横から駆け出してきたのはモイスだ。
今にも泣きそうな顔をしてこちらに手を伸ばしてきたところを、ルボミールが京を遠ざけるように肩を引くとバランスを崩しそのまま抱き上げてしまった。
「っ」
「「・・・」」
そのまま2人はにらみ合っていると、シリルはため息をつきコンラッドはおかしそうに笑っている。
「本当に生意気なクソガキだな・・・」
「賢者とは思えない言葉遣いだな」
「ハッ!別に賢者が丁寧な口調じゃなきゃいけないなんてないだろうが」
「けど、モイスは王太子にだけは言葉が汚くなりますね。まぁ反してキョウには借りてきたネコのようにごろついてますけど」
コンラッドの言葉にギロリと睨むモイス。
話しが進まなくて、京がモイスの名前を呼べばコロリと態度を変えてこちらに体を向ける。
「モイス」
「っ警戒心の無い京が如月がいない状態で戻せば、ああなることは分かっていたはずなのに」
反省を口にしているはずなのに、まるで自分のことをわかっているようなそんな物言いに頭が痛くなる。
モイスの前で如月と話しているところなど数えるほどなのに、それでも知っていると言う事は普段の京を知っていると言う事だ。日常的に覗いているのだろうか・・・?
「・・・。あまり賢者としての職権乱用をしないでくれませんか・・・」
「覗かれても困るようなことなんてしてないでしょう?」
「以前しないって言ってた」
「えー?言ったっけ。
まぁそれはさて置き。
ボクがしたいのは京に危険な目を合わせたことを謝りたい。ごめんなさい。」
そう言って頭を下げるモイスに京は小さくため息をついた。
「俺は良い。・・・もともとこの世界の人間じゃないのに、ルルのいるこの世界においてもらえるだけで。
・・・でも、ルルは違う。
この世界の人間でラージャ国の王太子だ。
そのことでラージャ国で混乱したはずだ。ルルの場合は背負うものが違う。
・・・今回の事で、ルルを異世界移転なんて危険なことをさせたのは許せない」
「っ」
ルボミールは魔力も用意し地球へ来てくれるつもりで、次期王子の座をルーカスにと言ってくれてはいた。
けど、今回のようなだまし打ちのようなのは違うと思うのだ。
「けど・・・モイスのおかげでルルが『運命』なんてなくても愛してくれてるって知ることができた」
京がそう言うとモイスはこちらをじっと見てきてた。
「京が泣くようなことがあったら、この男を殺しても良い・・・?」
「なぜそんな両極端なんだ・・・。・・・だ」
呆れ交じりで返そうとしたのをルボミールが遮った。
「構わない。
キョウが不安に感じた時、例えば『運命』が無くなってキョウと別れて他に走るようなことがあれば、俺を殺してくれ」
「ルルッ」
「俺はキョウを幸せにする気しかないからな」
「!」
そう言い切ったルボミールに、京は頬が熱くなるのを感じた。
「・・・俺も、ルルの事を幸せにする」
「あぁ。ありがとう、キョウ」
嬉しい言葉に口元が緩んでしまいそうだ。
「幸せそうなところ、いくつか水を差しても良いでしょうか」
「・・・わかってるなら後にしなさい」
コンラッドの言葉にシリルがこめかみに手を当てる。
そんな言葉を気にもせずに続けた。
「これは王太子も知りたいところだと思いますよ。
いや。知っても結果は変わらないですがね」
そう言いながらモイスに視線を合わせた。
「キョウを愛しているのですか?かつてのケーシーの様に」
コンラッドの遠慮のない問いかけにシリルは息を飲んだ。
しかし、一方のモイスは眉間に皺を寄せた。
「はぁ?んなわけないじゃん。京とケーシーは別だよ。
ボクが京に口出ししてるのは心配してるだけだよ!?」
くわっと憤慨しているモイスの言葉に京以外の一同が驚いた。
ケーシーに重ねているのかと思ったのだが、ここまで全力で否定されたら違うのだと知る。
「てっきり、ケーシーの代わりにしているのかと思ってました」
「えぇ」
「全然違う!純粋に心配からだ」
京とルボミールは暫く見合った後にため息をついた。
「モイス。心配してくれてありがとう。・・・でも、俺達は大丈夫だ」
その言葉に納得いかなそうだったが、彼の過去を考えると『α』と言うものは永遠に疎ましいものなのだろう。
それがたとえ善人だとしてもだ。
「今回の事、都合の良いように話を作って構わないですよ。構いませんよね?シリル」
「えぇ」
「三賢者に愛された異世界のΩの『運命』の番であるルボミールに、
三賢者に名前を連ねる青の大魔法使いである『モイス』が試練を与え、異世界に飛ばされた『運命』を救いに行っていた。・・・とかね?民衆はそういう話好きでしょう?」
そうは言うが、何も実証しようがない。
印象操作するには本物に感じるようにさせなければその判断要素が無い。
しかし、2人の考えていることが分かったのか、シリルが答える。
「あの球を使って構いません」
「え」
「モイスがすでに、トシマ区の守護をになると言っているのです。
それだけで十分かと思いますが、より民衆に信用されないというなら、その球をお使いなさい」
「承知しました。・・・賢者様方有難く使わせていただきます。」
ルボミールが頭を下げるのでそれに合わせて京も頭を下げた。
京としては別に話を作らなくていいし、広めなくても良いと思うのだが、ルボミールに任せることにした。
そしてそれからしばらくした後、京とルボミールはラージャへと帰っていった。
☆☆☆
2人が居なくなったのはこの世界では半日程度だったのと、賢者が3人そろっていた為急遽集められた魔術師は500人程度で済んだことで、ルボミールの後処理は1日程度で済んだ。
そして、それが済んだらもルボミールに時間を貰いトシマ区に来ている。
『運命の番』だからと言って王太子の時間をそう何度も取れるものではないと思うのだが、そもそも自分の所為だからと説明責任を果たしたいと言ってくれたのだ。
この事に関しては陛下にも謝罪をされた。
トシマ区は保護されている立場だが、そもそも呼んでしまったのは未来のルボミールであるからだ。
地球育ちの京にはいまだによくわからないことで、それを考えていると如月に声を掛けられる。
「京様?・・・少しお休みになられますか。5分くらいなら取れます」
心配気に覗き込んできた如月に京はお礼を言いながら首を横に振った。
如月には地球であったことも三賢者にあったことも話してある。
だからいつも以上に気にかけてくれているのだろう。
京はその言葉に首を横に振った。
「大丈夫だ。今日は昨日の続きだ。皆帰れるようになったことを話さなければ」
「・・・はい」
三賢者の足りない魔力をラージャの魔術師で補ってもらうことになった事は、早く教えてやりたい。
広場につくと先日以上の人数が集まっていた。
式典でもないので司会などいない。
約束の時間になると京はマイクスタンドの前に立った。
ルボミールはその少し後ろに控えている。
マイクをオンにすると、見渡し改めて人の多さを確認する。
ここに来たばかりの時は立った5000人だと思っていたのだが、目で見るのと全然違う。
「今日も集まってくれてありがとう」
激高し来てくれないことも考えていた。
しかし、ここには京の話を聞くためにそろってくれたことに感謝する。
「まず、・・・先日のことを訂正させてもらいたい。
二転三転し本当に申し訳ないが、皆は帰れることになった」
するとざわめきが起きた。
「還りたい人間だけじゃなく、全員だ」
そう言った時に何故か否定的な声が聞こえたのは不思議に思ったが、京は続ける。
「送還するための対価・・・犠牲が必要なため出来ないと思っていた。
しかし、ラージャやこの世界で最高権力を持つ三賢者の方々と話し合い、最良の形を見つけ、
皆で地球に帰ることが出来ることになった」
「待ってください!!!」
京がそのまま謝罪を口にしようとしたときに、1人の女性がそれを止めた。
「京様と王太子は『運命の番』なのではないのですか?!」
ここに来たばかりでも『青の涙』の話は知っている。
言語教育のために来た者達が教えているのだ。
そしてまた、京自身がそれを公言しているのだ。
「そのことだが、・・・俺達兄妹と数名は帰らない」
京は還る気もないし、雅も還したくなくなっていて本人に言えば当然の様に『還るわけないじゃない』と返ってきた。
しかし。
「私も帰りたくありません!」
「俺も!」
そんな声が次々と上がってくるではないか。
皆が帰りたいものだと思っていたのだが違ったのである。
正式に帰りたい人数を割り出したところ、・・・帰りたいという人物は数名だった。
京はこの責任を取り、代表を降りようとしたのだが『責任を感じるのであれば、このまま続けてくれ』と言われてしまった。
そう言えば、自分が代表になったときも、皆がやりたくないから回ってきたのだったと思い出し苦笑をするのだった。
☆☆☆
還りたいと訴えた人物を地球に返した。
トシマ区ごと還したくはあったが、ここにはラージャの物を入れすぎてしまった。
その為、転移前のトシマ区をトレースし地球に残すことになった。
残る人物の記憶は地球に居る人間から消すことになった。
それを得意とするのはモイスに頼んだ。
覚えているままでは大量行方不明に混乱することは必須だ。
なお、島の統率者たちは全員残ることになった。
驚いたことにその中に嵐山もいる。
当初は還るつもりでいたが、この地に居る間に住みやすいことに気が付いたそうだ。
嵐山も己の立場に嫌気をさしていた為、不安はある土地ではあるがこの地に残り、抑制剤を作る道を選んだ。
そして、トシマ区の観光地化は当初の目的通りその一ヵ月後に行われた。
リコやニコの頑張りのおかげで、ネックガードは精度を増し取り付けシステムの方も街の病院に設置することになり一安心だ。
丸く収まったわけなのだが、京はもの足りなかった。
こういう時はどう聞いたらよくわからない。
欲しいものは欲しい。けど相手を思うと言えない。
だから如月伝いにダンにルボミールのスケジュールを取りたいと思っていたのだが、ダンに聞くのではなくルボミールに直接聞いた方がいいと説得される。
でも、京は恥ずかしかった。
それはつまり素面の状態で『抱いてくれ』と言っているようなものだからである。
何時までも口にできずに頬を染める京にルボミールに病気を疑われた所でようやく言葉を放った。
「つ、・・・番たい!・・・から、・・・いつ、はつ・・・」
最後の一言が言えなくてただルボミールを見つめると、驚いたのちにクスリと笑みを浮かべた後、ちゅっと額に口づけた。
「いつでも準備はできている」
「・・・えっ」
「当たり前た。発情期がいつ来て良いように俺が動くのは普通のことだ」
「そ、・・・そうなのか?」
「あぁ。後はキョウの気持ち次第だけだ」
「っ・・・待たせて、・・・ごめん」
「フッ・・・その間、俺のことを考えてくれていたのだろう?」
頬に手を添えられると口づけられた。
その唇を甘受しながら、目がとろりととける。
「それからキョウ。・・・部屋を移るぞ」
「え?」
「ここでは以前の様に他のαを押さえつけてしまうし、落ち着かないからな。
・・・それと、薬は今日から飲むことは禁止だ」
「っ・・・うん」
そうやって頷いて連れてかれた部屋がまさか宮殿だとは思わなかった。
いや、両親も番用の宮殿があると聞いていたのだが、その時にはルボミールには後宮はないと言っていたからである。
一体こうなることをいつから想定していたのだろうか。
そんなわけで、京は発情期が来るまでルボミール用の宮殿に籠る様になり、その3日後に今までの我慢していた発情が唐突に爆発したように押し寄せてきた。
☆☆☆
それは、与えられた宮殿のサロンでお茶を飲みながらタブレットを使い仕事をしている時だった。
緊張したのは初日の2時間程度だった。
薬が体になじみすぎてしまったのか、来てほしい時になかなか来ない発情期に油断していた。
ドクンッ
「ッ!」
全身がぞくぞくと震えた。
寒いわけではないのに震えが止まらない。
すぐに発情期が来たのだと分かる。
今まで全く薬を飲んでない状態できた発情期は初日だけだ。
冷静な頭で、タブレットで如月にそのことを伝えた後、記憶は途絶えた。
・・・
・・
・
次に目を覚ましたのは、ベッドの上だった。
だが、なんだかおかしい。
視界は潤み、その中に微かにルボミールが見える。
そしてそれを認識した途端快感が体の中をうずめいた。
「ひぃぁっ」
「目が覚めたか・・・?」
ぐちゅぐちゅと水音が響き、あらぬところを弄られているのが分かる。
京の中で形を変えて、快感を引き起こすように、そして緊張をほぐすように動くのはルボミールの指だ。
一本・・・いや、3本以上の指が入れられているのが分かる。
「るる・・・っ」
瞬きをすると視界がクリアになる。
そこには欲情したルボミールが見えた。
京の呼びかけに嬉しそうにほほ笑むと噛みつくように口づける。
キスの合間にも刺激はやまなくて、声が弾んだ。
「ぁ!っ・・・んんぅっ・・ふぁっ・・・ぁぁっっそこっ」
「イくのか?」
「っ・・・っ・・・・んぁぁっ・・・んっ・・・ひぃっ・・・やぁっ・・・なんっ」
「キョウの気配が消えるのを感じて呼びかけても返事がないからこちらに飛んだら、ヒートにはまってしまったんだ」
「!」
そう言いながら、京の手を掴むと股間に導かれた。
「・・・・!?」
以前いっていたことは本当だった。
通常のセックスの時だって大きいいのに、これは長さも太さも・・・・そして根元の部分のコブに絶句してしまう。
思わず指で弄るとルボミールの眉がピクリと動いた。
「・・・、あまり煽るな」
本当に余裕がないのかいつもより命令口調だ。
だが、それに恐怖を感じるよりも、言われたままに煽りたくなった。
「こんなたまらない香りを放つキョウを前にして、噛みつかずに中にも入れないように我慢しているのだぞ?」
「っ・・・起こし、・・・て」
そう言いながらゆるゆると扱くとルボミールの視線が鋭くなる。
「俺ばっかり、・・・んっ・・はっ。・・・はぁっ・・・ぁっ・・・こんなおっきいの・・・入いるかな?・・・ここに」
きゅうっとルボミールの指を締め付ける、舌打ちを後にあった視線は吹っ切れたのかニィっと意地悪気な笑みを浮かべた。
「・・・入れなければ、おあずけなだけだ」
「!」
「いいのか?・・・これが欲しくないのか?」
「っ・・・ほしぃっ・・・番いたいっ・・・!」
そう京が言うとずるりと指が引き抜かれる。
「・・・痛くないようにゆっくりする。・・・四つん這いになってくれ」
「・・・ルルの顔見てたい。・・・んぅっ」
齧る様に口づけられ、そして耳元で囁かれた。
「後ろからじゃないと番うために噛めないんだ」
「!」
「・・・その後は何度だって前から抱くから。お願いだ」
「っ・・・う、・・・うん」
普段のセックスだったら絶対にこんな動物のような体勢、絶対恥ずかしがっていた。
だが、発情中の京はそんなこと考えらなくなっていた。
『番う』といわれたら余計に体は熱くなり、ルボミールを求めた。
足を開き腰を高くつき上げ、恥ずかしい所をすべてルボミールにさらしている。
「・・・ひくひく動いてる」
そう言いながら親指の先端で弄られるが、それすら興奮した。
「はっ・・・やくぅ」
覆いかぶさるようにされると耳元にルボミールの吐息が聞こえた。
「っ・・・力は抜いていろ」
「っ・・・うん」
徐々に入ってくるものは今までのものとはくらべものにならなかった。
濡れる孔でなければきっと辛かった、
それでもゆっくりと入ってくる熱に痛さ以外にも疼きを感じてしまう。
そんな体になったのはルボミールの愛撫の賜物だ。
「ぁ・・・ぁぁっ」
「っ・・・はぁ・・・大丈夫か・・・?」
「だっ・・・じょぶっ」
「辛いのは最初だけだ。・・・俺の形を覚えるまで今日はする」
「!」
「キョウもすぐにこれを好きになる」
いやらしいことを耳元で囁きながらずずずっと押し入ってきた。
そして明らかに太くなったところは、コブなのだろう。
「はぅっ・・・んんんっ」
「っ・・・いくぞ」
「っ・・・きてっ・・・奥まで・・・!」
そこはゆっくり入れるよりも、一気にしてしまった方が楽だ。
京の声をきくと逃げないように腰を引き寄せ掴まれた。
そして、少し引かれたと思ったら・・・。
「んぁぁぁぁぁぁっ」
一気に根元まで入れられると、まるで猫のような声を上げながら体をしならせた。
痛くはないが、圧迫感に辛い。それなのに、じんじんと快感がうずいている。
「はぁっ・・・るるっ・・はやく、うごいてぇっ」
「っ・・・あぁ」
ルボミールも限界だったのかそういうとピストンされる。
少ししか動いていないのに、気持ち良い所がすべて擦られる。
「ぁっ・・・あぁっ・・・やぁっ・・・き、もちっ」
「っ」
「るるぅ・・・もっと・・・そこしてぇっ」
甘い鳴き声を奏でながらもっととせがんだ。
ルボミールはそれに応え、京を追い上げていく。
突き上げながら、項や耳を舐めた。
すると、京のからだがひくひくと動きだす。
「・・・イくのか?」
「うんっ・・・かんでぇっ」
「っ」
そう言うと、ちゅっと項に口づけると歯がたてられたのが分かる。
「ぃぁっ・・・・」
項への牙と、蹂躙される刺激に京は翻弄される。
ルボミールの腰の打ち付けが早くなり、熱いしぶきを感じるのと同時に項が熱くなった。
京はどの刺激にも耐えられないまま達し、荒い呼吸を繰り返す。
その間も京の項から流れる血を舐めとるルボミール。
一度言ったはずなのに発情期の興奮は止まるはずもなく、首をひねるとルボミールの頭に腕を回すと口づけた。
「はぁっ・・・んぅ」
「・・・番えたぞ」
「あり、がとう・・・」
「こちらこそ、ありがとう」
そんなことを言っているのに、もてあそぶように乳首をつまれる。
「さぁ・・・夜は長い。次はどうして欲しい?」
そう言って欲望を滾らせた笑みに京は甘えるように抱き着いた。
セックスをして寝て水分補給を繰り返して、京の発情がようやく落ち着いたのは3日後だった。
☆☆☆
3か月後。
京達が異世界に帰った例の件はコンラッドの言った話とは少し違う話で広めた。
トシマ区の代表でラージャの王太子の番である京は、『唐突に表れた時空のはざまに、番のΩを守るために落ちたαを自らの命を顧みず助けたΩ』として、三賢者から加護(宝珠)を受けた。と、世界に広められらた。
それを聞いたときに逆だと言ったのだが『あの時、自分を守るためにキョウが見えないところで動いていてくれたのは、執事から聞いている』と、言われ丸め込まれてしまった。
それにしても、ルボミールに日本語を教えて欲しいと言われ教えていたのだが、まさかあんなことで役に立つとは思わなかった。
きっと話せなかったら、執事が助けを求めにも行かなかっただろう。
また、青の大陸のアストリア帝国でΩの迫害禁止と、ラージャへ京との婚約に対し最大の祝福を受けた。
勿論ラージャ国内でもΩの迫害禁止され、罰金や禁固を言い渡すような刑罰が設定された。
京はそんなことが書かれたラージャの新聞を読みながら、少しでもこの世のΩが幸せになればいいなと思っている時だった。
「っ」
ふらついた京に如月が駆け寄る。
「京様!」
「キョウさまっ」
心配げにニコがのぞき込んでくる。
余りにも大げさで苦笑を浮かべる。
というか、如月も仕事して書類かタブレット見てたはずなのによく気づいたものだ。
「大丈夫だ。最近寝不足で」
「えぇ!?だめですよ!ちゃんと休まないと!」
「え・・・でも」
「おなかに赤ちゃんがいるんですから!」
「「え?」」
声がそろったのは京と如月である。
ぽかんとそちらを見ると、冗談ではないようでキっと厳しい眼差しを送るニコ。
「発情期に番って営んだなら子供を授かるのは、・・・あ。」
「「・・・」」
「ダ、・・・ダミアンさんっクルトさんっ至急殿下にお伝えください!」
「「わかりました」」
ニコの悲鳴のような叫び声に2人は事態を把握したらしい。
こうなったらルボミールに言ってもらわねばと考えたのだ。
だが。
「その必要はない」
立ち上がった2人を止めたのは、京とルボミールだけが通ることが許されている通路の扉から、ルボミールが現れた。
「やはりしらなかったか」
「・・・ルルは知ってたの?・・・あれ、俺聞いてたのかな」
そういう京にクスクスと笑うルボミール。
足早に歩んでくると額に口づけた。
「キョウはいつも通りに暮らしていればいい。
その他に人を付ける予定だ。
だが、駆けたり激しい運動はしては駄目だぞ?
それと、ニコの言う通り体調が悪いと思ったらすぐに言うんだ。
それから」
ルボミールの口から注意が止まらなくなる。
長いと思いつつ、どれも京を思っての言葉で文句を言えるわけがない。
「うん。わかった」
「きっとキョウに似た可愛い子供が生まれるはずだ」
「ルルにそっくりな子も欲しいな」
「そうか?・・・しかし、キョウにそっくりだと心配が絶えないからその方がよいのだろうか。
・・・あぁ、勘違いするな。
キョウにそっくりでは可愛すぎて余計な虫が湧くのが腹立たしいだけだ。
・・・その恋人に、お前を呼ばせるのも腹立たしいくらいだ」
子供の話からキョウの話にすり替わったことに苦笑を浮かべつつも幸せを感じた。
ここに来た時はオメガバースなんて世界になじめないと思っていたのに。
蓋を開けてみれば一番にルボミールのことを考えるようになっている。
「俺が愛しているのはルルだけだ。そうだろ?」
「あぁ。・・・俺も愛している」
2人で愛を囁きあいながら、まだ見ぬ子供に愛しさを募らせた。
不安はあるが2人なら乗り越えていける。
そんな気がした。
【完了】
夜景が無ければルボミールの顔も見にくい。
血縁者や信用していたはずの男に襲われたことに、傷つきルボミールに慰められている時だった。
埠頭で波音くらいしかしていなかったのに、唐突に聞こえた声に京をかばうように立つとあたりを見渡す。
しかし、どこにも人の気配は感じない。
一瞬京の勘違いかと思ったのだが、ルボミールの様子を見れば勘違いじゃないのだろう。
「今の・・声・・・」
シリルとモイスの声がしたような気がしたのだ。
京は上を見上げるとルボミールはまだ当たりを警戒している。
「来たのか・・・?」
『違います』
「「!」」
聞こえたのやはりシリルの声だ。
近くに聞こえたはずなのに姿が見当たらない。
「賢者シリル様、どちらにいらっしゃるのですか」
ルボミールは当たりを見渡しながらそう尋ねると、胸ポケットから声がしてきた。
『キョウにお渡しした球からです』
今度ははっきりと聞き取れた。
京は胸ポケットの中に、薬の他に小さな袋にこの球をいれて身に着けている。
慌てて袋を開けると球が光っている。
『困ったことがあったら呼んでくださいと言ったはずですが?』
『そもそも、1人で会いに行くなんて無謀すぎるじゃん!!』
前者のシリルの言い分はまだわかる。・・・後者のモイスには『お前が言うな』と言う気分にさせた。
現にルボミールがピクっと動いたのはイラついたのだろう。
そもそも会いに行ったのは父親と伯父に主治医である。
『貴方が言うことですか・・・?』
その思いは共通なのか冷え冷えとするシリルの声が聞こえてくる。
しかし、それを止めたのはコンラッドだ。
『まぁまぁ二人とも。
魔力のあても付いたのですから、2人を召喚出来ることを伝えなくていいのですか?』
「!」
『魔力のあてとは王太子が言っていた件です。
側近の方にあなた方を元に戻したいなら500人ほどの魔術師の魔力を準備しろと言ったところ一時間もしないうちに揃えましたよ』
側近とはダンのことだろうか。
というか、そんな脅しなような言い方をしたのだろうか・・・。
「ありがとうございます。・・・ただ、少し時間を貰えますか」
この世界に未練は残さないために。
自分で惑わしたのかあれがどういう事なのかわからない。
だがこのまま逃げるのはしたくなかった。
それにこのまま逃げては執事が疑われてしまうからだ。
・・・
・・
・
地球でのすべきことを終え、戻ってきた先は見た事がない空間だった。
全体的に薄暗く、奥には薄青白く光る球体。
その手前に見覚えのある人間が立っている。
「成功したようですね」
ホッとしたようにつぶやくシリル。
そしてその横から駆け出してきたのはモイスだ。
今にも泣きそうな顔をしてこちらに手を伸ばしてきたところを、ルボミールが京を遠ざけるように肩を引くとバランスを崩しそのまま抱き上げてしまった。
「っ」
「「・・・」」
そのまま2人はにらみ合っていると、シリルはため息をつきコンラッドはおかしそうに笑っている。
「本当に生意気なクソガキだな・・・」
「賢者とは思えない言葉遣いだな」
「ハッ!別に賢者が丁寧な口調じゃなきゃいけないなんてないだろうが」
「けど、モイスは王太子にだけは言葉が汚くなりますね。まぁ反してキョウには借りてきたネコのようにごろついてますけど」
コンラッドの言葉にギロリと睨むモイス。
話しが進まなくて、京がモイスの名前を呼べばコロリと態度を変えてこちらに体を向ける。
「モイス」
「っ警戒心の無い京が如月がいない状態で戻せば、ああなることは分かっていたはずなのに」
反省を口にしているはずなのに、まるで自分のことをわかっているようなそんな物言いに頭が痛くなる。
モイスの前で如月と話しているところなど数えるほどなのに、それでも知っていると言う事は普段の京を知っていると言う事だ。日常的に覗いているのだろうか・・・?
「・・・。あまり賢者としての職権乱用をしないでくれませんか・・・」
「覗かれても困るようなことなんてしてないでしょう?」
「以前しないって言ってた」
「えー?言ったっけ。
まぁそれはさて置き。
ボクがしたいのは京に危険な目を合わせたことを謝りたい。ごめんなさい。」
そう言って頭を下げるモイスに京は小さくため息をついた。
「俺は良い。・・・もともとこの世界の人間じゃないのに、ルルのいるこの世界においてもらえるだけで。
・・・でも、ルルは違う。
この世界の人間でラージャ国の王太子だ。
そのことでラージャ国で混乱したはずだ。ルルの場合は背負うものが違う。
・・・今回の事で、ルルを異世界移転なんて危険なことをさせたのは許せない」
「っ」
ルボミールは魔力も用意し地球へ来てくれるつもりで、次期王子の座をルーカスにと言ってくれてはいた。
けど、今回のようなだまし打ちのようなのは違うと思うのだ。
「けど・・・モイスのおかげでルルが『運命』なんてなくても愛してくれてるって知ることができた」
京がそう言うとモイスはこちらをじっと見てきてた。
「京が泣くようなことがあったら、この男を殺しても良い・・・?」
「なぜそんな両極端なんだ・・・。・・・だ」
呆れ交じりで返そうとしたのをルボミールが遮った。
「構わない。
キョウが不安に感じた時、例えば『運命』が無くなってキョウと別れて他に走るようなことがあれば、俺を殺してくれ」
「ルルッ」
「俺はキョウを幸せにする気しかないからな」
「!」
そう言い切ったルボミールに、京は頬が熱くなるのを感じた。
「・・・俺も、ルルの事を幸せにする」
「あぁ。ありがとう、キョウ」
嬉しい言葉に口元が緩んでしまいそうだ。
「幸せそうなところ、いくつか水を差しても良いでしょうか」
「・・・わかってるなら後にしなさい」
コンラッドの言葉にシリルがこめかみに手を当てる。
そんな言葉を気にもせずに続けた。
「これは王太子も知りたいところだと思いますよ。
いや。知っても結果は変わらないですがね」
そう言いながらモイスに視線を合わせた。
「キョウを愛しているのですか?かつてのケーシーの様に」
コンラッドの遠慮のない問いかけにシリルは息を飲んだ。
しかし、一方のモイスは眉間に皺を寄せた。
「はぁ?んなわけないじゃん。京とケーシーは別だよ。
ボクが京に口出ししてるのは心配してるだけだよ!?」
くわっと憤慨しているモイスの言葉に京以外の一同が驚いた。
ケーシーに重ねているのかと思ったのだが、ここまで全力で否定されたら違うのだと知る。
「てっきり、ケーシーの代わりにしているのかと思ってました」
「えぇ」
「全然違う!純粋に心配からだ」
京とルボミールは暫く見合った後にため息をついた。
「モイス。心配してくれてありがとう。・・・でも、俺達は大丈夫だ」
その言葉に納得いかなそうだったが、彼の過去を考えると『α』と言うものは永遠に疎ましいものなのだろう。
それがたとえ善人だとしてもだ。
「今回の事、都合の良いように話を作って構わないですよ。構いませんよね?シリル」
「えぇ」
「三賢者に愛された異世界のΩの『運命』の番であるルボミールに、
三賢者に名前を連ねる青の大魔法使いである『モイス』が試練を与え、異世界に飛ばされた『運命』を救いに行っていた。・・・とかね?民衆はそういう話好きでしょう?」
そうは言うが、何も実証しようがない。
印象操作するには本物に感じるようにさせなければその判断要素が無い。
しかし、2人の考えていることが分かったのか、シリルが答える。
「あの球を使って構いません」
「え」
「モイスがすでに、トシマ区の守護をになると言っているのです。
それだけで十分かと思いますが、より民衆に信用されないというなら、その球をお使いなさい」
「承知しました。・・・賢者様方有難く使わせていただきます。」
ルボミールが頭を下げるのでそれに合わせて京も頭を下げた。
京としては別に話を作らなくていいし、広めなくても良いと思うのだが、ルボミールに任せることにした。
そしてそれからしばらくした後、京とルボミールはラージャへと帰っていった。
☆☆☆
2人が居なくなったのはこの世界では半日程度だったのと、賢者が3人そろっていた為急遽集められた魔術師は500人程度で済んだことで、ルボミールの後処理は1日程度で済んだ。
そして、それが済んだらもルボミールに時間を貰いトシマ区に来ている。
『運命の番』だからと言って王太子の時間をそう何度も取れるものではないと思うのだが、そもそも自分の所為だからと説明責任を果たしたいと言ってくれたのだ。
この事に関しては陛下にも謝罪をされた。
トシマ区は保護されている立場だが、そもそも呼んでしまったのは未来のルボミールであるからだ。
地球育ちの京にはいまだによくわからないことで、それを考えていると如月に声を掛けられる。
「京様?・・・少しお休みになられますか。5分くらいなら取れます」
心配気に覗き込んできた如月に京はお礼を言いながら首を横に振った。
如月には地球であったことも三賢者にあったことも話してある。
だからいつも以上に気にかけてくれているのだろう。
京はその言葉に首を横に振った。
「大丈夫だ。今日は昨日の続きだ。皆帰れるようになったことを話さなければ」
「・・・はい」
三賢者の足りない魔力をラージャの魔術師で補ってもらうことになった事は、早く教えてやりたい。
広場につくと先日以上の人数が集まっていた。
式典でもないので司会などいない。
約束の時間になると京はマイクスタンドの前に立った。
ルボミールはその少し後ろに控えている。
マイクをオンにすると、見渡し改めて人の多さを確認する。
ここに来たばかりの時は立った5000人だと思っていたのだが、目で見るのと全然違う。
「今日も集まってくれてありがとう」
激高し来てくれないことも考えていた。
しかし、ここには京の話を聞くためにそろってくれたことに感謝する。
「まず、・・・先日のことを訂正させてもらいたい。
二転三転し本当に申し訳ないが、皆は帰れることになった」
するとざわめきが起きた。
「還りたい人間だけじゃなく、全員だ」
そう言った時に何故か否定的な声が聞こえたのは不思議に思ったが、京は続ける。
「送還するための対価・・・犠牲が必要なため出来ないと思っていた。
しかし、ラージャやこの世界で最高権力を持つ三賢者の方々と話し合い、最良の形を見つけ、
皆で地球に帰ることが出来ることになった」
「待ってください!!!」
京がそのまま謝罪を口にしようとしたときに、1人の女性がそれを止めた。
「京様と王太子は『運命の番』なのではないのですか?!」
ここに来たばかりでも『青の涙』の話は知っている。
言語教育のために来た者達が教えているのだ。
そしてまた、京自身がそれを公言しているのだ。
「そのことだが、・・・俺達兄妹と数名は帰らない」
京は還る気もないし、雅も還したくなくなっていて本人に言えば当然の様に『還るわけないじゃない』と返ってきた。
しかし。
「私も帰りたくありません!」
「俺も!」
そんな声が次々と上がってくるではないか。
皆が帰りたいものだと思っていたのだが違ったのである。
正式に帰りたい人数を割り出したところ、・・・帰りたいという人物は数名だった。
京はこの責任を取り、代表を降りようとしたのだが『責任を感じるのであれば、このまま続けてくれ』と言われてしまった。
そう言えば、自分が代表になったときも、皆がやりたくないから回ってきたのだったと思い出し苦笑をするのだった。
☆☆☆
還りたいと訴えた人物を地球に返した。
トシマ区ごと還したくはあったが、ここにはラージャの物を入れすぎてしまった。
その為、転移前のトシマ区をトレースし地球に残すことになった。
残る人物の記憶は地球に居る人間から消すことになった。
それを得意とするのはモイスに頼んだ。
覚えているままでは大量行方不明に混乱することは必須だ。
なお、島の統率者たちは全員残ることになった。
驚いたことにその中に嵐山もいる。
当初は還るつもりでいたが、この地に居る間に住みやすいことに気が付いたそうだ。
嵐山も己の立場に嫌気をさしていた為、不安はある土地ではあるがこの地に残り、抑制剤を作る道を選んだ。
そして、トシマ区の観光地化は当初の目的通りその一ヵ月後に行われた。
リコやニコの頑張りのおかげで、ネックガードは精度を増し取り付けシステムの方も街の病院に設置することになり一安心だ。
丸く収まったわけなのだが、京はもの足りなかった。
こういう時はどう聞いたらよくわからない。
欲しいものは欲しい。けど相手を思うと言えない。
だから如月伝いにダンにルボミールのスケジュールを取りたいと思っていたのだが、ダンに聞くのではなくルボミールに直接聞いた方がいいと説得される。
でも、京は恥ずかしかった。
それはつまり素面の状態で『抱いてくれ』と言っているようなものだからである。
何時までも口にできずに頬を染める京にルボミールに病気を疑われた所でようやく言葉を放った。
「つ、・・・番たい!・・・から、・・・いつ、はつ・・・」
最後の一言が言えなくてただルボミールを見つめると、驚いたのちにクスリと笑みを浮かべた後、ちゅっと額に口づけた。
「いつでも準備はできている」
「・・・えっ」
「当たり前た。発情期がいつ来て良いように俺が動くのは普通のことだ」
「そ、・・・そうなのか?」
「あぁ。後はキョウの気持ち次第だけだ」
「っ・・・待たせて、・・・ごめん」
「フッ・・・その間、俺のことを考えてくれていたのだろう?」
頬に手を添えられると口づけられた。
その唇を甘受しながら、目がとろりととける。
「それからキョウ。・・・部屋を移るぞ」
「え?」
「ここでは以前の様に他のαを押さえつけてしまうし、落ち着かないからな。
・・・それと、薬は今日から飲むことは禁止だ」
「っ・・・うん」
そうやって頷いて連れてかれた部屋がまさか宮殿だとは思わなかった。
いや、両親も番用の宮殿があると聞いていたのだが、その時にはルボミールには後宮はないと言っていたからである。
一体こうなることをいつから想定していたのだろうか。
そんなわけで、京は発情期が来るまでルボミール用の宮殿に籠る様になり、その3日後に今までの我慢していた発情が唐突に爆発したように押し寄せてきた。
☆☆☆
それは、与えられた宮殿のサロンでお茶を飲みながらタブレットを使い仕事をしている時だった。
緊張したのは初日の2時間程度だった。
薬が体になじみすぎてしまったのか、来てほしい時になかなか来ない発情期に油断していた。
ドクンッ
「ッ!」
全身がぞくぞくと震えた。
寒いわけではないのに震えが止まらない。
すぐに発情期が来たのだと分かる。
今まで全く薬を飲んでない状態できた発情期は初日だけだ。
冷静な頭で、タブレットで如月にそのことを伝えた後、記憶は途絶えた。
・・・
・・
・
次に目を覚ましたのは、ベッドの上だった。
だが、なんだかおかしい。
視界は潤み、その中に微かにルボミールが見える。
そしてそれを認識した途端快感が体の中をうずめいた。
「ひぃぁっ」
「目が覚めたか・・・?」
ぐちゅぐちゅと水音が響き、あらぬところを弄られているのが分かる。
京の中で形を変えて、快感を引き起こすように、そして緊張をほぐすように動くのはルボミールの指だ。
一本・・・いや、3本以上の指が入れられているのが分かる。
「るる・・・っ」
瞬きをすると視界がクリアになる。
そこには欲情したルボミールが見えた。
京の呼びかけに嬉しそうにほほ笑むと噛みつくように口づける。
キスの合間にも刺激はやまなくて、声が弾んだ。
「ぁ!っ・・・んんぅっ・・ふぁっ・・・ぁぁっっそこっ」
「イくのか?」
「っ・・・っ・・・・んぁぁっ・・・んっ・・・ひぃっ・・・やぁっ・・・なんっ」
「キョウの気配が消えるのを感じて呼びかけても返事がないからこちらに飛んだら、ヒートにはまってしまったんだ」
「!」
そう言いながら、京の手を掴むと股間に導かれた。
「・・・・!?」
以前いっていたことは本当だった。
通常のセックスの時だって大きいいのに、これは長さも太さも・・・・そして根元の部分のコブに絶句してしまう。
思わず指で弄るとルボミールの眉がピクリと動いた。
「・・・、あまり煽るな」
本当に余裕がないのかいつもより命令口調だ。
だが、それに恐怖を感じるよりも、言われたままに煽りたくなった。
「こんなたまらない香りを放つキョウを前にして、噛みつかずに中にも入れないように我慢しているのだぞ?」
「っ・・・起こし、・・・て」
そう言いながらゆるゆると扱くとルボミールの視線が鋭くなる。
「俺ばっかり、・・・んっ・・はっ。・・・はぁっ・・・ぁっ・・・こんなおっきいの・・・入いるかな?・・・ここに」
きゅうっとルボミールの指を締め付ける、舌打ちを後にあった視線は吹っ切れたのかニィっと意地悪気な笑みを浮かべた。
「・・・入れなければ、おあずけなだけだ」
「!」
「いいのか?・・・これが欲しくないのか?」
「っ・・・ほしぃっ・・・番いたいっ・・・!」
そう京が言うとずるりと指が引き抜かれる。
「・・・痛くないようにゆっくりする。・・・四つん這いになってくれ」
「・・・ルルの顔見てたい。・・・んぅっ」
齧る様に口づけられ、そして耳元で囁かれた。
「後ろからじゃないと番うために噛めないんだ」
「!」
「・・・その後は何度だって前から抱くから。お願いだ」
「っ・・・う、・・・うん」
普段のセックスだったら絶対にこんな動物のような体勢、絶対恥ずかしがっていた。
だが、発情中の京はそんなこと考えらなくなっていた。
『番う』といわれたら余計に体は熱くなり、ルボミールを求めた。
足を開き腰を高くつき上げ、恥ずかしい所をすべてルボミールにさらしている。
「・・・ひくひく動いてる」
そう言いながら親指の先端で弄られるが、それすら興奮した。
「はっ・・・やくぅ」
覆いかぶさるようにされると耳元にルボミールの吐息が聞こえた。
「っ・・・力は抜いていろ」
「っ・・・うん」
徐々に入ってくるものは今までのものとはくらべものにならなかった。
濡れる孔でなければきっと辛かった、
それでもゆっくりと入ってくる熱に痛さ以外にも疼きを感じてしまう。
そんな体になったのはルボミールの愛撫の賜物だ。
「ぁ・・・ぁぁっ」
「っ・・・はぁ・・・大丈夫か・・・?」
「だっ・・・じょぶっ」
「辛いのは最初だけだ。・・・俺の形を覚えるまで今日はする」
「!」
「キョウもすぐにこれを好きになる」
いやらしいことを耳元で囁きながらずずずっと押し入ってきた。
そして明らかに太くなったところは、コブなのだろう。
「はぅっ・・・んんんっ」
「っ・・・いくぞ」
「っ・・・きてっ・・・奥まで・・・!」
そこはゆっくり入れるよりも、一気にしてしまった方が楽だ。
京の声をきくと逃げないように腰を引き寄せ掴まれた。
そして、少し引かれたと思ったら・・・。
「んぁぁぁぁぁぁっ」
一気に根元まで入れられると、まるで猫のような声を上げながら体をしならせた。
痛くはないが、圧迫感に辛い。それなのに、じんじんと快感がうずいている。
「はぁっ・・・るるっ・・はやく、うごいてぇっ」
「っ・・・あぁ」
ルボミールも限界だったのかそういうとピストンされる。
少ししか動いていないのに、気持ち良い所がすべて擦られる。
「ぁっ・・・あぁっ・・・やぁっ・・・き、もちっ」
「っ」
「るるぅ・・・もっと・・・そこしてぇっ」
甘い鳴き声を奏でながらもっととせがんだ。
ルボミールはそれに応え、京を追い上げていく。
突き上げながら、項や耳を舐めた。
すると、京のからだがひくひくと動きだす。
「・・・イくのか?」
「うんっ・・・かんでぇっ」
「っ」
そう言うと、ちゅっと項に口づけると歯がたてられたのが分かる。
「ぃぁっ・・・・」
項への牙と、蹂躙される刺激に京は翻弄される。
ルボミールの腰の打ち付けが早くなり、熱いしぶきを感じるのと同時に項が熱くなった。
京はどの刺激にも耐えられないまま達し、荒い呼吸を繰り返す。
その間も京の項から流れる血を舐めとるルボミール。
一度言ったはずなのに発情期の興奮は止まるはずもなく、首をひねるとルボミールの頭に腕を回すと口づけた。
「はぁっ・・・んぅ」
「・・・番えたぞ」
「あり、がとう・・・」
「こちらこそ、ありがとう」
そんなことを言っているのに、もてあそぶように乳首をつまれる。
「さぁ・・・夜は長い。次はどうして欲しい?」
そう言って欲望を滾らせた笑みに京は甘えるように抱き着いた。
セックスをして寝て水分補給を繰り返して、京の発情がようやく落ち着いたのは3日後だった。
☆☆☆
3か月後。
京達が異世界に帰った例の件はコンラッドの言った話とは少し違う話で広めた。
トシマ区の代表でラージャの王太子の番である京は、『唐突に表れた時空のはざまに、番のΩを守るために落ちたαを自らの命を顧みず助けたΩ』として、三賢者から加護(宝珠)を受けた。と、世界に広められらた。
それを聞いたときに逆だと言ったのだが『あの時、自分を守るためにキョウが見えないところで動いていてくれたのは、執事から聞いている』と、言われ丸め込まれてしまった。
それにしても、ルボミールに日本語を教えて欲しいと言われ教えていたのだが、まさかあんなことで役に立つとは思わなかった。
きっと話せなかったら、執事が助けを求めにも行かなかっただろう。
また、青の大陸のアストリア帝国でΩの迫害禁止と、ラージャへ京との婚約に対し最大の祝福を受けた。
勿論ラージャ国内でもΩの迫害禁止され、罰金や禁固を言い渡すような刑罰が設定された。
京はそんなことが書かれたラージャの新聞を読みながら、少しでもこの世のΩが幸せになればいいなと思っている時だった。
「っ」
ふらついた京に如月が駆け寄る。
「京様!」
「キョウさまっ」
心配げにニコがのぞき込んでくる。
余りにも大げさで苦笑を浮かべる。
というか、如月も仕事して書類かタブレット見てたはずなのによく気づいたものだ。
「大丈夫だ。最近寝不足で」
「えぇ!?だめですよ!ちゃんと休まないと!」
「え・・・でも」
「おなかに赤ちゃんがいるんですから!」
「「え?」」
声がそろったのは京と如月である。
ぽかんとそちらを見ると、冗談ではないようでキっと厳しい眼差しを送るニコ。
「発情期に番って営んだなら子供を授かるのは、・・・あ。」
「「・・・」」
「ダ、・・・ダミアンさんっクルトさんっ至急殿下にお伝えください!」
「「わかりました」」
ニコの悲鳴のような叫び声に2人は事態を把握したらしい。
こうなったらルボミールに言ってもらわねばと考えたのだ。
だが。
「その必要はない」
立ち上がった2人を止めたのは、京とルボミールだけが通ることが許されている通路の扉から、ルボミールが現れた。
「やはりしらなかったか」
「・・・ルルは知ってたの?・・・あれ、俺聞いてたのかな」
そういう京にクスクスと笑うルボミール。
足早に歩んでくると額に口づけた。
「キョウはいつも通りに暮らしていればいい。
その他に人を付ける予定だ。
だが、駆けたり激しい運動はしては駄目だぞ?
それと、ニコの言う通り体調が悪いと思ったらすぐに言うんだ。
それから」
ルボミールの口から注意が止まらなくなる。
長いと思いつつ、どれも京を思っての言葉で文句を言えるわけがない。
「うん。わかった」
「きっとキョウに似た可愛い子供が生まれるはずだ」
「ルルにそっくりな子も欲しいな」
「そうか?・・・しかし、キョウにそっくりだと心配が絶えないからその方がよいのだろうか。
・・・あぁ、勘違いするな。
キョウにそっくりでは可愛すぎて余計な虫が湧くのが腹立たしいだけだ。
・・・その恋人に、お前を呼ばせるのも腹立たしいくらいだ」
子供の話からキョウの話にすり替わったことに苦笑を浮かべつつも幸せを感じた。
ここに来た時はオメガバースなんて世界になじめないと思っていたのに。
蓋を開けてみれば一番にルボミールのことを考えるようになっている。
「俺が愛しているのはルルだけだ。そうだろ?」
「あぁ。・・・俺も愛している」
2人で愛を囁きあいながら、まだ見ぬ子供に愛しさを募らせた。
不安はあるが2人なら乗り越えていける。
そんな気がした。
【完了】
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