34 / 217
婚約編
早く言っておけばよかった。(夜会③・・・?)
しおりを挟む『 』
優し気な表情を浮かべたその眼差し。
何かを言っているのに聞き取れない。
「ガリウス・・・?」
もう一度言ってほしいのに、彼はそんな様子のシャリオンに苦笑を浮かべるだけだった。
☆☆☆
目が覚めて見えた視界は見覚えがなく、一瞬にしてシャリオンの体を固くさせた。
「・・・、」
起き上がり、見回すがやはり知らない部屋。
バクバクと心臓が早くなる。
こんな状況初めてだった。
「・・・、ここは」
どこなのだろうか。
見た限りそれなりの調度品が並び、貴族の家かホテルの様だ。
だがなぜここに居るのだろうか。
思い出せない。
「?」
今日は夜会最終日であったはずだ。
朝から前日、お茶を飲み可笑しくなったことを、みんなに散々注意された。
自分から参加させてもらいたいと申し出たが、侯爵主催でそれも主催者の出すお茶に薬が仕込まれているなんて思わない。・・・とは、とても言えなくて、素直に返事をする。
みんなにも心配も迷惑も掛けてしまったのは事実だ。
今日は飲み食いしないと心に決めて会場についた。
会場にはアボットはいなかったが、勉強会は今日はまだ開催されないということだった。
本当に良く席を外す主催者だ。
だが、パーティ会場でヘインズはいて、どう接触して奥方のことを聞き出そうか思案していたところだった。
「そうだ。・・・あの時急に真っ暗になったんだった」
部屋の中は夜でも魔法で明るかったのに、その部が屋急に光が落ちたのだ。
咄嗟にガリウスに抱かれて、しがみついた。
そして・・・気づいたらここに居た。
「・・・そうだ、・・・ガリウス」
ハッとして当たりを見回すが彼はいなかった。
「ガリウス・・・っガリウス!」
部屋の外にいるだろうか?
探しに行くために広いベッドの上を這いながら首の違和感に気づく。
嫌な予感がして、喉のあたりに何かまとわりついている。
手をやった感触にサッと血の気が引いた。
そこに固い何かがあった。
まさかと思いつつも、手で伝うとそれは一周回っており、それが首輪なのだと理解する。
爪にカツンと当たる感覚は鉄の様にも感じる。
「っ」
取ろうとしても取れなくて、次第に焦りが募っていく、
横に引っ張っても、前に引っ張っても取れない。
ガリウスもゾルもいない。一緒に来ていた3人の姿もない。
焦ってはいけないと思うのに慌ててしまう。
そんなときだった。
「そんなことしても外れないし、傷つくだけだ。やめておけ」
「!」
扉が開いた音もしなかった。
そのことに驚きながらも、悠然とこちらに歩いてきたのは・・・。
「メサ・・・?」
ハイシア家に出入りをし、つい先日も会ったばかりの男。
行商人のメサだ。
助けに来たと思いたかったが、いつも出入りするメサをは全く違う。
謙遜するようなところは一切なく、むしろ傲慢そうなその態度に困惑する。
「体調はどうだ」
「っ・・・、」
不意に伸ばされた腕をよけようとしたが、その腕に捕まってしまった。
「っ・・・離しっ」
「そう睨むな。可愛い顔が台無しだ。・・・と、言いたいところだが、その表情もいいな。
貴方にそんな目で見られたことがない」
クスクスと笑う男。
態度が悪い、と言うかこれが素の対応なのだろう。
睨んでいるのに、『良い』と、変なことを言われてしまいどう反応していいかわからなかった。
「だが、そういう態度はよくないな。これからずっと俺と一緒になるのに」
「!・・・どういう、いみ・・・?」
冗談を言っているようには見えないその表情。
手荒に引き寄せられた腕は未だに離されない。
それどころか、体が未着するほどの距離に引き寄せられた。
腕を張って拒否しようとするが、びくともしなかった。
シャリオンは拒否をすることで、男が余計に興奮することを知らないのだ。
「ぃっ・・・やめっ!」
抵抗すればするほど、男の眼がギラつき愉快そうに笑みを浮かべる。
シャリオンの動きを封じながら、体の上をゆっくりと撫でていく手が気持ち悪い。
本当にここはどこで、どうしてこんなことを?
「!っ・・・メ・・・メサ!っ・・・説明して」
「時間延ばしをしても無駄だ」
勝手に人の体を撫でまわす手を掴む。
にやりと意地悪い表情を浮かべていた。
「無駄って、・・・なんでだっ」
「フッ・・・助けに来ると思っているのか」
「っ」
ジロリと男を睨む。
「どういう・・・」
頭の隅でそれを考えていた。
ハイシア家につかえるウルフ家は優秀だ。
その者達が、自分を長く見失うことは考えにくい。
・・・そう思いたかった。
気を失ってどれくらいたったのだろうか。
未だにここに居るということは、遠くに離されたのだろうか。
冷静にならないと
腕の力を抜いて、一息置くと男が不審げにこちらを見てきた。
「思ってない。・・・助けに来ないということは、僕はそれだけの価値だということだ。
ハイシア家に今は婚約中のガリウスがいる」
「・・・」
そういうと、男の掴んできていた手が急に離された。
話してくれる気になったということなのだろうか
「どうしてこんなことを・・・」
「知ってどうする。俺はお前を自由にしてやる気はない」
「っ・・・」
「それとも、俺に媚びてみるか?・・・貴方の色香に惑わされて要らないことを言ってしまうかもな」
何をされたのか分かってサッと血の気が引く。
この男に、・・・媚びる・・・?
「っ・・・色香ってなんだ。僕はそんなもの」
「気づいていないのか?あの男と婚約してから貴方は・・・。・・・いやそんなことはどうでもいいな」
「!!!」
一瞬何が起きたかわからなかった。
手も触れてないのに、・・・それどころか手の届く距離でもないのに、服の前がビリビリと敗れていく。
それは渡されたタリスマンごと切られ、ベッドから転がり落ち床で割れる音がした。
「いい格好になった」
「っ・・・まさか、・・・黒魔術」
「知っていたのか」
「アボット侯爵が」
「・・・おしゃべりめ。・・・まぁいい。とりあえずその肌についた見苦しい跡を消そうか?シャリオン」
「!」
そういってベッドに上ってきた男に引きつってしまう。
「他の男に抱かれることに、触られることに慣れろ。じゃないとお前はこの先、生きてはいけない」
「!?」
そういわれた言葉の意味を理解できなかった。
いや。したくなかった。
「っ・・・」
初めてこんなことをしたときは、ガリウスを好きではなかった。
だけど、自分が自分でもわからなくなるくらいに感じていたというのに。
今はメサにどこを触られて感じない。
気分が悪くなる一方で、・・・シャリオン自身困惑していた。
嫌で嫌で、目元には涙が浮かぶ。
その瞳で男を睨むがいびつな笑みを浮かべる。
「別に感じなくてもいい。・・・することは同じだ」
「!」
そういうと男は自分の前をくつろげると、シャリオンのモノとは正反対に興奮しているソレに香油をまぶし手で扱き広げる。
「痛みの中でお前がどういう存在なのか理解するにはいい機会だ。良かったな?」
「ッ」
足首を掴まれると無理やり引き寄せられ、足を広げられる。
ッ・・・・ガリウス・・・!
絶望の中、シャリオンは何度もその名前を呼んだ。
ちゃんと好きだと言っておけばよかった
2
あなたにおすすめの小説
公爵子息だったけど勘違いが恥ずかしいので逃走します
市之川めい
BL
魔王を倒した英雄によって建国されたグレンロシェ王国。その後は現在までに二人、王家の血を引く者から英雄が現れている。
四大公爵家嫡男、容姿端麗、成績優秀と全てにおいて恵まれているジルベールは、いつか自分も英雄になると思い、周りには貴公子然とした態度で接しながらも裏では使用人の息子、レオンに対して傲慢に振る舞い性的な関係まで強要していた。
だが、魔王の襲来時に平民であるはずのレオンが英雄になった。
自分とレオンの出生の秘密を知ったジルベールは恥ずかしくなって逃走することにしたが、レオンが迎えに来て……。
※性描写あり。他サイトにも掲載しています。
魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺
ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。
その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。
呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!?
果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……!
男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?)
~~~~
主人公総攻めのBLです。
一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。
※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。
クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~
槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。
公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。
そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。
アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。
その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。
そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。
義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。
そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。
完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった
水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。
そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。
ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。
フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。
ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!?
無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる