婚約破棄され売れ残りなのに、粘着質次期宰相につかまりました。

みゆきんぐぅ

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執着旦那と愛の子作り&子育て編

・・・もう少しゆっくりで良いんだよ?

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ウチの子可愛い、ウチの子天才!

それは5カ月たっても、今でも心からそう思っている。
けれど、盲目にそれだけを思っていたわけではない。

魔力が高いこと、アシュリーのまるで王族のような容姿。
勿論、公爵家なので王族の血は確かに流れているのだが・・・。
最近は金髪に青系色の瞳が一族に産まれるのは珍しい。

・・・『王族のような見た目』なんてこと周り広まったら面倒になるのは分かっている

ガリウスやレオンには言わないが、ハイシア家は有力な貴族から疎まれているのをシャリオンも知っている。
笑顔で賛辞を送りながらも嫌味を言われるなんてよくあった。
レオンには直接言えないことをシャリオンにぶつけていくのだ。

『王家の皆さまと仲が宜しい様で。ハイシア家は安泰ですなぁ』
『領地に残られている伴侶殿シャーリーはお元気ですかな?お1人で寂しいでしょう。
お父上に領地に帰りたいと相談されてはいかがですか?きっと瓜二つの愛息子の声は無視なさらないでしょうからな』
『流石はハイシア家。王家の婚約が破棄になったのもそちらから言ったのでしょう?』
『その美貌で実はルーク殿下の婚約者にとお考えですか?』
『ハイシア領は何もせずとも税収が取れる。実に羨ましい。私の息子をいかがですか』

今思い直しても失礼なことだと思う。
しかし、相手は同じ公爵で、より今の王家と近い位置にいる者や、力を持った貴族達でシャリオンも強くは言えなかった。
勿論、レオンに言えばどうにかなったかもしれないがしたくなかった。
大事にしたくないという気持ちよりも、彼等がまだ幼さの残るシャリオンに言うのは馬鹿にしているからだ。
それにたとえ言ったとして彼等は言っていないとシラを切るだろう。

悔しさを感じないわけなどなく、その度にシャリオンは笑顔を浮かべつつも毅然とした態度で応えた。
そうしているうちに、いつしか面と向かって言うものは減っていったが。
そもそも気分が悪くなることだが、言われても気にしなければいいのだ。

彼等がそこまでシャリオンに嫌がらせをしてくるのは、簡単でハイシア家にこれ以上力を持たせたくないからだ。
レオンは宰相であるが、陛下の幼馴染でありどうしても親しくなる。

勿論、公の場では王である陛下に臣下としての態度で応対しているが、王家から特別扱いなど受けているのではないかと勘繰られる。
シャリオンがライガーの婚約者に決まったことも、シャリオンがらみの事件の采配もそうだ。
ファングスの件で多くの貴族が爵位が下がった。
それは有力な規則も一律でそれに制止が掛からない訳がなかった。
しかし、、それを王命で家格には関係なく刑を執行した。
今までのケースだったら表向きの罰はあったが、本当に罰になるのか?と言うような名ばかりの罰だったが、あの時は例外を認めなかった。
・・・それは王家とハイシア家との癒着を噂された。
公爵家と言えど、王家が一つの家に肩入れをするのは良いイメージを与えない。
つまりはシャリオンはより一層一部の貴族から恨みを買っているのだ。

小さくため息をつく。
あの出来事で自分がしたことに後悔はないが、それで子供達を巻き込むのは本意ではない。

「・・・、」

子供達が少しでも心健やかに育つように、やることは沢山ある。
高い魔力を持っていることもそうだ。
早くセレスから魔力コントロールを覚えてもらわなければ。
彼も急いでくれているとはわかっていても、気がせってしまう。

公爵家として礼儀は勿論勉学や、護身術も覚えさせなければ。
後は何が足りないだろうか。
そんなことを延々と考えている時だった。

『シャリオン。すぐに子供部屋に来てくれ』
「・・・、・・・わかった」

頭に直接響いた声はゾルだ。傍に居るゾルとは別のゾルから声を掛けられる。
呼びかけられた声は落ち着いていたが、だがそれが逆に可笑しく感じてしまう。
ゾルからこんな風に声を掛けられることは少ないからだ。

数か月前に、シャリオンがあまりにも休みを取らずに心配をかけてしまったが、2回もあんなことはしないだろう。
特に、あの時のシャリオンは子供達のことを本気に心配していたし、あとからゾルからも謝られた。

と言う事は・・・、一体何が。

シャリオンは側近のゾルを引き連れて部屋に向かうのだった。


☆☆☆


子供部屋に向かうと警備の者がこちらに気付き開けた扉から中に入る。
そして、部屋に入って早々に目に入った光景に思わず息を飲んだ。

「っ!?」

いついかなる時も取り乱してはいけない。
けれど、あまりのことにシャリオンの困惑は止まらなかった。

「「ちーちーっ」」
「っ・・・!」

シャリオンの視線は自分の目の高さ。
そこに、愛しい我が子達が可愛らしい声で、『父』と呼んだ。
目の高さが一緒なのは、・・・彼女達が・・・ふわふわと浮いているからだ。
まっすぐと進めないのかふわふわとよたつく子供達をシャリオンは抱き寄せる。


「シュリィ!リィンッ」

シャリオンが触れると胸に飛びついた途端浮力が消え、2人の体重が腕に一気にのしかかった。
頭では絶対に離せないとは思っているが、最近は1人でも重く感じているのに2人一度に抱くなんて無理だったが、
ふらついた体はゾルによって支えられた。
どうやら子供達にしか目が行っていなかったが、すぐそばにいたらしい。

「ッ・・・どうしたの。というか。声が聞こえたような気がするんだけど・・・」

クーイングと言うより言葉を話しているように聞こえたのは、いかにせ親ばかがすぎるだろうか。

「いや」

しかし、ゾルは真剣な表情のまま首を横に振った。
すると、腕の中の子供達がシャリオンを見上げてくる。

「ちーちぅ・・?」
「ちーち」

必死に言おうとしてくれるのは嬉しいのだが、我が子を見つめてしまう。

「・・・、・・・」

そんなシャリオンに、子供達は不安に思ったのか、表情がくしゃりと歪み始めた。

「!」
「ぅ・・・」
「うー」
「シュリィ、リィン。良くできたね。父上驚いてしまったよ」

2人がこんなことをしたのは、言いたそうな言葉からして、・・・・間違っていなければシャリオンに見せたかったのだ。
驚いて固まっているシャリオンに怒られていると勘違いしてしまった・・・と、言う事だろうか。
早すぎる成長に困惑している。
ゾル達でさえあり得ないことだからシャリオンを呼んだのだろう。

謎はあるが、今はそれよりもだ。

シャリオンは優しく2人に微笑みながら額に口づけた。
ゾルに視線で助けを求めると、アシュリーを抱き上げてくれた。
シャリオンの細い腕では、2人を抱き上げるなど無理だったからだ。

そして、大きな寝具の上につくと2人を横たわらせると、コロンと転がり這ってくる。
どうやら、普段会えない時間に会えたのが嬉しいらしい。

「あぅー」
「あー」

パタパタと手を動かして寄ってくる2人の天使にシャリオンは苦笑した。

「全く。・・・まだ完全に浮けないのにあんな危ない所で浮いちゃ駄目。
怪我したらどうするの」
「「うーっ」」
「・・・シャリオン。そういうことではない」

そういうゾルを見上げれば呆れと困惑が見えた。

「仕方ないじゃない。出来てしまったなら。
それよりも危ないことはちゃんと教えないと」
「・・・、」
「でも・・・心配だなぁ・・・。この部屋から出たりしては駄目だよ・・・?」
「「あー!」

元気よく返事を返してくれるが、心配は絶えない。
外に・・・いや。
まだこの城の居住区なから良い。
ハイシア家やウルフ家以外の人間が出入りする空間に、現れて・・・それも浮いてるところを見られるのは不味い。

「僕、・・・浮上の魔法なんて見た事ないんだけど」
「「・・・」」
「まぁ。・・・そこはガリィかセレスに聞いてみようか。
皆には悪いけど、今まで以上に2人をよろしくね。
・・・浮くとなると・・・這うより速そうだけど・・・」

そう言うと使用人は緊張した表情からクスリと笑った。

「お任せください。念のため窓の外にも警備を付けます」
「うん。・・・この子達はちょっと元気がありすぎるみたいだ・・・。
セレスが来れるようになったら多少は変わるかもしれないから、・・・短い間になると思うけどよろしくね」
「「「はい」」」


頼もしい返事を聞きながら我が子に視線を落とすと、きゃっきゃとシャリオンの興味を引くように服を引っ張るガリオンに苦笑する。

「やんちゃに、おてんばだなぁ。ガリィに似たのかな?」
「「うー?」」
「坊ちゃんもそれはそれは元気なお子さまでしたよ」
「え、そう?」
「えぇ。流石に5カ月で浮きも話もしませんでしたが」

心配を感じ取ってくれたらしい執事のその冗談に、思わず笑ってしまうシャリオンだった。


☆☆☆


それから間もなくしてガリウスがあらわれた。
ゾルが連絡をしてくれたらしい。
部屋に顔を出すなり、2人がシャリオンの時のようにふわりと浮かび上がり飛んでいこうとするのを、シャリオンが慌てて止めた。

「こら!」
「「うー!」」
「まだちゃんと飛べるようになってないんだから、ベッドの上から出ちゃ駄目!」

この部屋はベッドから万が一落ちても怪我をしないように柔らかな絨毯が敷き詰められているが、どれくらい飛べるかわからないうちは危ない。
シャリオンが引き留めると、ポスンとベッドに戻ってきた2人に『めっ!』と言い聞かせる。
すると、返事をするように『あー!』と返してくれる子供達。
そんな様子のシャリオンに驚いていたガリウスだったが苦笑を浮かべながらこちらに歩み寄ってきた。
それに合わせて子供たちがガリウスにむかってふわふわと浮かび始める。
手を広げ子供達が飛び込んでいくとそれを抱きとめた。

「ただいま戻りました。・・・元気に良い子でいましたか?」
「「あー!」」
「そうですか。・・・今父上に叱られていませんでしたか?」
「「あぅ・・・」」
「ふふ。・・・ちゃんと父上の言う事を聞くのですよ?」
「「あー」」

そう言いながらガリウスが撫でてやると嬉しそうにする子供達にガリウスの笑みはより一層優し気になる。
子供達を抱きかかえたまま、ベッドに這い上りシャリオンの隣にかけると、その間に子供達をおろした。

「ゾルから連絡着た後、その後がなくて心配しました」
「『帰ってこい』とは呼びましたが」
「言葉が足らないでしょう」
「足りたところですぐに帰宅しますよね」

相変わらずガリウスには厳しいゾルに2人で苦笑を浮かべる。

「レオン様は慌てて『帰れ』としかいいませんし」
「まぁ口に出しにくい内容ではあるね」

精々5歳6歳でようやく魔法を使えるところ、産まれたばかりの子が話し魔法を使っているなどと知れたら騒ぎになる。

・・・あともう一ヵ月。ただの赤ん坊で居てくれたらよかったんだけどなぁ

そう思いながら2人の頬を交互に撫でた。
話したことも、浮上したこともとても素晴らしいことだ。
シャリオン達だけは2人をほめてやりたい。
そう思っているのに、募っていった不安が・・・強くなっていく。

「・・・・、」

その様子をガリウスに見られていることにも気づかないまま、子供たちを見つめるシャリオンだった。
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