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ベ○バラかっ!
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ドボン。
冷たい液体の中に体を半分、お尻を打って目が覚めた。
(えっ?何事?痛いし、冷たいんだけど?)
顔を上げてぎょっとする。
(えっ?タカ○ヅカ?)
目の前に広がるのは、幼い頃に見たアニメ、「ベ○サイ○の薔薇」のアニメの世界。華やかなドレスを着飾った貴婦人達と紳士達。
(私、何かの劇してたっけ?そう言えば、ベ○バラもリメイクされるって聞いたな。でも、OPは変更して欲しくないなぁ、あれは神曲!)
現状からの逃避を行うのは仕方のないことだった。
女の脳裏には主人公の裸体に巻き付く薔薇の蔦、幼心に衝撃を受けたOPが頭に流れていた。
女は、50代半ばに差し掛かる独身女だった。
二次元より三次元。推しのイベントに参加するためだけに働く看護師であった。
暇があればアニメに興じ、口ずさむのはアニソンである。自分の幼少時代から現在のアニソンまで、琴線に触れるものは心置きなく歌詞を歌い手を調べた。
幼かった頃に比べるとJ-POPの人気者達もアニソンを歌っているので、完全にオバサンだが、ヒットチャートもある程度は理解していると自負している。
故郷に年老いた親と地元に嫁いだ姉のいる女は、いろんなジャンルの漫画、アニメを見て育った。
姉が花○ゆめ派だったので、自然にLa○a派になった。なのに初めて揃えたコミックは「リン○に○けろ!」だった。少女漫画至上主義の姉には理解されず、姉妹喧嘩の時には、互いのコミック片手に“破るぞ、捨てるぞ”合戦で最終的に疲弊して終わっていた。
男同士の熱い友情に胸をときめかせたが、理解しつつもBLには、のめり込めなかった。類友がキャ○○バや聖○○のBLに嵌まっても勧められは読むが自分で漫画を書いたり、小説を書いたりはしなかった。そう言うのがあっても全然よいが、自分の書く物語は常にノーマルCPが基本だった。鬼とか悪魔とか神剣とか魔法とかが大好物で初めて創作した物語は『魔天妖鬼士』とか言う中二病を全面に出した物で身近な友達に読んでもらったりした。昨今の支流である異世界転生、転移系に初めて触れたと感じたのはLa○aで連載されていた「彼○○ら」でヒーローの不器用な愛にはドキドキしたものだ。
結婚せず、子供もいない世界で生きていく。先に死ぬであろう親を見送った後、自分は孤独死するのかななどと真剣に思いながらアニメで現実逃避する毎日の繰り返しだった。
50代を越えた頃、何をしてなくても胸が痛くなる時があった。
これは?心臓か?更年期?いつかポックリ行くのかな。
そんな風に思って仕事を終えた帰り道、急に胸が痛くなって踞ったのは覚えていた。
故郷にいる家族に謝って意識が失われたと思ったらかなり痛い状況だった。
噴水のような所に尻餅をついていたのだ。頬に当たる空気は秋から冬っぽい冷たさがあり、状況が掴めない私は、どうすればよいか、我に返ると恥ずかしくて再び気を失いたかった。
しかも着ている服の重いこと。下半身は水の中でぐんぐん水を吸い上げている。
(こ、これは、現実逃避している場合じゃない。なんかヌルヌルしてるし、早く出ないと変な病気に罹りそう。)
夢ではないらしく、流れる水の冷たさに息を吐く。
周囲の空気が震えたのを感じた。
目の前には真っ青になりながらも私を睨み付けるピンクブロンドのトイプードルみたいなふわふわな令嬢。そして、震える彼女の肩を抱いている優男。彼氏かな?
「お嬢様!こ、此方へ。」
血相を飼えたメイドさんが手を差し出すがやんわり断って立ち上がる。滑りそうな足に力を入れて噴水の縁を支えに立ち上がりハイヒールを脱ぎ捨て去ると縁を跨いで腰掛けた。やはり、ドレスがくそ重い。
駆け寄ってきたメイドさんがふわふわのタオルを頭に掛けてくれた。手を差し伸べてくれていたメイドさんは先程視界に入ったピンクブロンドのトイプードルに何やら言っているけど耳に水が入ったかな?ぼわぼわしてる。立ち上がって片足トントンして水を出したいけど、このドレスが邪魔をする。
それにしても、ロング丈のメイド服可愛いな。メイドと言えば、○○先生の「△マ」だよねぇ、あの緻密といって言い描き込みは溜め息ものだったよね。
にしても、忌野際に見る夢にして度が過ぎる。感覚とかもリアルだし、どうみても日本じゃないし、私、お嬢様願望とかないんだけど。
「さ、お嬢様。」
いい年こいてるんだ、お嬢様とかやめてくれ。手を引かれるのも恥ずかしいので戸惑っているとひょいと体が浮いた。
「失礼、風邪を召されてはなりません。さぁ、」
おや、美丈夫。二次元から出てきたような?
見た目と違って力持ち。
人垣が分かれていく。まだ明るい屋外で茶会でもしていたのかな?
視線が痛いけど、好奇心が勝ってついつい周りに目をやってしまった。ベ○バラみたいに髪の毛をこれでもかと高く結い上げている夫人も令嬢もいないなぁ。あれは夜会用の髪型なんかな?中世の様式とか知らんし。チラリと視線をやると皆が顔を伏せ頭を下げていく。げげっ。
「オーランド侯爵令嬢、ライル第三王子殿下、この一件、陛下に報告させて頂きます。」
後ろで聞こえた言葉。
何かほんまに夢なんやろか。
あかん、ほんまに、風邪引く。ゾクリとした背中の感覚が意識を遠ざけていく。
これしきで意識を失うなんて、有り得ん!さすが夢!と思いながら、私の意識は暗転した。
冷たい液体の中に体を半分、お尻を打って目が覚めた。
(えっ?何事?痛いし、冷たいんだけど?)
顔を上げてぎょっとする。
(えっ?タカ○ヅカ?)
目の前に広がるのは、幼い頃に見たアニメ、「ベ○サイ○の薔薇」のアニメの世界。華やかなドレスを着飾った貴婦人達と紳士達。
(私、何かの劇してたっけ?そう言えば、ベ○バラもリメイクされるって聞いたな。でも、OPは変更して欲しくないなぁ、あれは神曲!)
現状からの逃避を行うのは仕方のないことだった。
女の脳裏には主人公の裸体に巻き付く薔薇の蔦、幼心に衝撃を受けたOPが頭に流れていた。
女は、50代半ばに差し掛かる独身女だった。
二次元より三次元。推しのイベントに参加するためだけに働く看護師であった。
暇があればアニメに興じ、口ずさむのはアニソンである。自分の幼少時代から現在のアニソンまで、琴線に触れるものは心置きなく歌詞を歌い手を調べた。
幼かった頃に比べるとJ-POPの人気者達もアニソンを歌っているので、完全にオバサンだが、ヒットチャートもある程度は理解していると自負している。
故郷に年老いた親と地元に嫁いだ姉のいる女は、いろんなジャンルの漫画、アニメを見て育った。
姉が花○ゆめ派だったので、自然にLa○a派になった。なのに初めて揃えたコミックは「リン○に○けろ!」だった。少女漫画至上主義の姉には理解されず、姉妹喧嘩の時には、互いのコミック片手に“破るぞ、捨てるぞ”合戦で最終的に疲弊して終わっていた。
男同士の熱い友情に胸をときめかせたが、理解しつつもBLには、のめり込めなかった。類友がキャ○○バや聖○○のBLに嵌まっても勧められは読むが自分で漫画を書いたり、小説を書いたりはしなかった。そう言うのがあっても全然よいが、自分の書く物語は常にノーマルCPが基本だった。鬼とか悪魔とか神剣とか魔法とかが大好物で初めて創作した物語は『魔天妖鬼士』とか言う中二病を全面に出した物で身近な友達に読んでもらったりした。昨今の支流である異世界転生、転移系に初めて触れたと感じたのはLa○aで連載されていた「彼○○ら」でヒーローの不器用な愛にはドキドキしたものだ。
結婚せず、子供もいない世界で生きていく。先に死ぬであろう親を見送った後、自分は孤独死するのかななどと真剣に思いながらアニメで現実逃避する毎日の繰り返しだった。
50代を越えた頃、何をしてなくても胸が痛くなる時があった。
これは?心臓か?更年期?いつかポックリ行くのかな。
そんな風に思って仕事を終えた帰り道、急に胸が痛くなって踞ったのは覚えていた。
故郷にいる家族に謝って意識が失われたと思ったらかなり痛い状況だった。
噴水のような所に尻餅をついていたのだ。頬に当たる空気は秋から冬っぽい冷たさがあり、状況が掴めない私は、どうすればよいか、我に返ると恥ずかしくて再び気を失いたかった。
しかも着ている服の重いこと。下半身は水の中でぐんぐん水を吸い上げている。
(こ、これは、現実逃避している場合じゃない。なんかヌルヌルしてるし、早く出ないと変な病気に罹りそう。)
夢ではないらしく、流れる水の冷たさに息を吐く。
周囲の空気が震えたのを感じた。
目の前には真っ青になりながらも私を睨み付けるピンクブロンドのトイプードルみたいなふわふわな令嬢。そして、震える彼女の肩を抱いている優男。彼氏かな?
「お嬢様!こ、此方へ。」
血相を飼えたメイドさんが手を差し出すがやんわり断って立ち上がる。滑りそうな足に力を入れて噴水の縁を支えに立ち上がりハイヒールを脱ぎ捨て去ると縁を跨いで腰掛けた。やはり、ドレスがくそ重い。
駆け寄ってきたメイドさんがふわふわのタオルを頭に掛けてくれた。手を差し伸べてくれていたメイドさんは先程視界に入ったピンクブロンドのトイプードルに何やら言っているけど耳に水が入ったかな?ぼわぼわしてる。立ち上がって片足トントンして水を出したいけど、このドレスが邪魔をする。
それにしても、ロング丈のメイド服可愛いな。メイドと言えば、○○先生の「△マ」だよねぇ、あの緻密といって言い描き込みは溜め息ものだったよね。
にしても、忌野際に見る夢にして度が過ぎる。感覚とかもリアルだし、どうみても日本じゃないし、私、お嬢様願望とかないんだけど。
「さ、お嬢様。」
いい年こいてるんだ、お嬢様とかやめてくれ。手を引かれるのも恥ずかしいので戸惑っているとひょいと体が浮いた。
「失礼、風邪を召されてはなりません。さぁ、」
おや、美丈夫。二次元から出てきたような?
見た目と違って力持ち。
人垣が分かれていく。まだ明るい屋外で茶会でもしていたのかな?
視線が痛いけど、好奇心が勝ってついつい周りに目をやってしまった。ベ○バラみたいに髪の毛をこれでもかと高く結い上げている夫人も令嬢もいないなぁ。あれは夜会用の髪型なんかな?中世の様式とか知らんし。チラリと視線をやると皆が顔を伏せ頭を下げていく。げげっ。
「オーランド侯爵令嬢、ライル第三王子殿下、この一件、陛下に報告させて頂きます。」
後ろで聞こえた言葉。
何かほんまに夢なんやろか。
あかん、ほんまに、風邪引く。ゾクリとした背中の感覚が意識を遠ざけていく。
これしきで意識を失うなんて、有り得ん!さすが夢!と思いながら、私の意識は暗転した。
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