異世界転生、アニオタオバサン令嬢

さちもん

文字の大きさ
8 / 10

メ◎○ルかっ!

しおりを挟む
毎日の作業と平行してこの世界での勉強を頑張っている。オーレリィはとても優秀な令嬢だったけど友達はトイプーのせいで少なかった。
学園に通う必要があったのは、ライル殿下の婚約者だったから。学園の従業が終われば城で王妃教育泊まり込みことまではなかったけど、帰宅したところでご飯がある訳ではなかったので城で出されたマナー確認のための軽食で腹を満たしていた(満たしたことはないけどね。)

そんな生活を送っていたオーレリィに唯一と言っていい、優しく接してくれていた先生がいた。
背の高い、細身の金髪美人。
ヴィオレ・スミス伯爵夫人と言う名の彼女はその名に相応しい美しい紫の瞳の貴婦人でありながら、教師。
私は、彼女の佇まいに“メ○◎ル”と言う某アニメのヒロインと同じ愛称を付けた。
彼女にはオレンジ色の髪を持つ双子の妹がいて、一卵性なのに此方はキリッとした男装の麗人で学園に通う王女陛下の近衛として学園にも来ており、女生徒のみならず男子学生にも人気を泊している。
私が付けた愛称は“エ◎ラル○ス”某女海賊である。
二人を改めて見た私は、悶えた。エ◎ラル○スの名前はジョーヌ・ルーカス伯爵。一文字違えば映画監督だなと思った。此方はエメラルド色の瞳で、眉間から頬に掛けての傷があったなら私は、ひれ伏していただろう。
元ネタのアニメは、姉が全巻漫画を持っていた。
もちろん、TVアニメも劇場版2つとも見ている。感動している。永遠の命もさほど良いものではないのだな、人の心の美しさや醜さを学んだ気がした。

TVアニメの主題歌も好きだけど、やっぱり、劇場版の“さようなら”の方だと思う。
英語版も日本語版もどちらも秀逸で美しいんだ。
皆にも聞いて欲しい!
出来れば劇場版を観て欲しい!
“クレア”の話は、マジ泣ける。泣いた。
あの素晴らしい映画の挿入歌も秀逸なんだよねぇ。
“や○しくし◎◎いで”子供の頃に聞いた時は大人っぽい歌だなぁとしか思わなかったけど、大人になるとねぇ。
しみじみしゃうよね。
崩れ落ちる“◎○城”の中で、機械の体を錆び付かせながら聞かせる歌、くうっ~~っ!
もっかい劇場で見たかったっ!
物語が壮大だから、本にするのは私には無理だ。
ならばやっぱり歌を残すしかないよね。
帰ったらハインリヒに聞いてもらおう。

「オーレリィ様?聞いてますの!」
ハッとして我に返る。
目の前には3人のご令嬢。
あー、サーサリィの取り巻きか。
わざわざ違うクラスにまでやってくるなんて、暇ね。
「どうして、サーサリィ様が転校することになったのですか!」
親に聞けよ。
「親御さんにお聞き下さい。センシティブな問題ですのでこのような公の場でお話するわけにはいきませんわ。」
「な、生意気ですわよ!」
いやいや、私元侯爵令嬢、現公爵令嬢ですけど。
「あ、あんたなんか、侯爵家の穀潰しの癖に!ライル殿下の婚約者の地位をサーサリィ様から奪った卑怯者の癖に、」
節穴令嬢だな。
あの頃の私とサーサリィの姿を見ていればどちらが冷遇されていたか分かったでしょうに。
一緒に行動はしてなかったし、オーレリィは滅多に授業に出なかった。家の仕事を押し付けられてたからね。
一時、サーサリィは、私に成り済まして王妃教育を受けていたことがあった。そのまま正式に婚約者になってればよかったのに。双子だったから顔の作りはそっくりだ。けれどね、勉強嫌いなサーサリィはそっちは私がすべきだって途中で投げ出した。
両親はサーサリィのことを可愛がっていたけど、バカてあることは分かっていたから婚約者として私を推薦した。けど、サーサリィに泣きつかれて、最終的にはライル殿下が自らサーサリィを選ぶよう仕向けていた。
夕食や湯浴みなどの生活を盾にオーレリィは何度もサーサリィのために試験を受けた。試験日にオーレリィの欠席届けを出して、サーサリィとして試験を受けさせた。
オーレリィの内申点は試験を受けないし、再試も1/3ほどで止めておけと命じた。試験の日は夕食が幾分豪華になり、適温の湯浴みが出来るオーレリィには御褒美日てあった。
秘密を知らない者達はオーレリィは不出来でサーサリィを冷遇してライル殿下の婚約者の地位を奪った女と言うレッテルを貼っていた。
ところが、いつの間にかオーレリィは侯爵家を除籍され、気付くとビルフラン公爵と言う名家の令嬢に収まっているではないか。それなのにサーサリィもライル殿下も居なくなった。疑問だらけで親に聞いてみてもオーランド侯爵家の世代交代とサーサリィの転校とライル殿下の謹慎が発表されたことの情報収集に忙しく娘の疑問には答えてくれなかった。
「自分のクラスに戻りたまえ、君達の声は些か騒がしい。」
どう答えようかと思っていたら声がかかった。
「ジオン殿下!」
彼は、ライル殿下の双子の弟。
っつーか、顔面偏差値高過ぎるぞ、この世界。
「親に聞くと良い。我が兄の失態も通達があったはずだ。」
令嬢達は去っていった。
沈黙の降りる教室にこの方がいるのは珍しい。付与魔法の天才と言われている殿下は普段研究塔に籠っていることが多い。
「ビルフラン嬢、後程時間をとってくれないだろうか。」
めっちゃイヤだけど仕方ない。
「かしこまりました。」

その場には、王女殿下とメーテルとエメラルダスがいた。
「この度は、我が兄が申し訳なかった。」
二人してと言うか4人ともに頭を下げられてビックリする。
「まず、私は、教師と言う立場で、あなたを取り巻く現状を何となく分かっていながら助けることが出来なかったことを謝ります。」
ヴィオレ先生が頭を下げた。う、麗しい……。
「サーサリィ嬢が試験を個室で受けていると聞いた時から怪しさを感じていたの。普段の彼女の学習態度は優秀な生徒の者ではなかったから。文字の癖も提出物と普段とは違うものだし、かといってオーレリィ嬢は試験を受けないことで有名で再試も密室で受けて、私は答案用紙を見る立場になかった。」
ヴィオレ先生がオーランド侯爵家に質問状を送ったこともあったけど、余計に警戒されて以後オーレリィに近付くことが出来なかったそうだ。
そう言えば先生に近付くなって言われたことがあったな。
「妹から相談されて王女殿下の耳に入ったのです。」
エ○ラル◎スじゃなかった、ジョーヌ様の言葉。
「私は、ジョーヌから聞く前から兄の評価が下がっていることを耳にしていました。そこで、ジオン兄様に尋ねてみたのてすが、兄様は全く役に立ちませんでした。」
あ、殿下が凹んでいる。
「俺は、学業より研究に夢中で、ライル兄上は性格も合わないから滅多に話をすることもなかった、相手をめんどくさくてね、そんな兄上の婚約者にも関り合いたくなかった。」
重々しく殿下は言った。
殿下はライル殿下とは種の違う双子だ。
そんなことあるのか、あるか。
女王陛下って大変だな………。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~

天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。 どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。 鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます! ※他サイトにも掲載しています

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」  行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。  相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。  でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!  それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。  え、「何もしなくていい」?!  じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!    こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?  どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。  二人が歩み寄る日は、来るのか。  得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?  意外とお似合いなのかもしれません。笑

処理中です...