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四章
ラーネポリア:2
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兄弟神達は、美醜に拘わる女神のために、自分の愛する種族の中でも彼らが美しいと思える者を誕生させてやることにした。
一の兄神は魔族、二の兄神は獣人族、一の姉神は妖精族をそれぞれ女神の世界に誕生させた。
魔族と言っても多種多様、獣人に至っては魔族の倍の種が存在するが、女神が気にいるだろうと送り込んだ種族は、確かに美しいが女神の判断基準からは外れていた。
彼女が唯一と言って許せたのが、一の姉神の愛する種族である妖精族だが、彼らは基本引きこもりで自分達の集落からあまり出てこないので人族と混ざることも稀であった。
兄弟達の愛する種族は、人族とは比べ物にならないほどの魔力や身体能力を持っていた。寿命すら彼らの方が長い。
何故、自分の生み出した人族は弱いのかと呟きを拾った妹神は言った。
「それは、お姉様と兄様方の修練の差でしょう。愛する種族に力を与えるためには自身を鍛えねばなりません。恐れながら、お姉様はあまりされていなかったでしょう?」
姉神は愕然とした。
教育を受ける過程で学んでいるはずのことが頭から抜けていたのだ。
「イタズラっ子達が干渉した人族が、魔力や身体能力に優れているのもイタズラっ子達が文句を言いながらも鍛錬を怠っていなかったからです。お姉様は加護をお与えになっていましたが、それでは根本的な強さになりません。ですから、お姉様の人族はお兄様達の者達と混ざり合うことで強くなるしかないのです。」
妹女神の言葉に思い浮かべたのは、自分の愛する美しい人族と兄の作り出した醜い者達が混ざり合うということへの絶望だった。
姉女神は、混乱したまま動けなくなった。
しかし、混乱したのは人族も同様であった。
女神によって植え付けられた美しさ、賢さ、そして身分。
魔物から人々を守っていたはずの自分の地位を奪われる恐怖。
人族の王は、権力をもって、他種族を排除、迫害しはじめたのだった。
姉女神に特に愛されていた人族の王は考えも極端で、言葉巧みに魔族や獣人族に隷属の首輪をつけ、魔物を討伐する駒とし、また美しい妖精族の存在を知ると自分の駒達に集落を襲わせ、攫うと自分達上流階級の性奴隷とした。
激怒したのは兄弟神達だ。
彼らの怒りの塊を何とか受け流した女神であったが、その怒りの塊は女神の世界に大穴を開けることになった。
神々の怒りだ。普通の魔素などではなく、瘴気渦巻く大穴が出来た。
大穴からは兄弟神の怒りを表す噴石のように飛び出してくる瘴気玉が矢のように降っていた。
兄弟神達も妹神も現れた大穴に驚いた。
『あれは、これ以上広げてはならない。あれが広がるとこの世界が消滅し虚無が生まれる。』
母神の言葉が神々の脳裏に広がった。
女神は自分の愛する子らを逃がすため信託を人族の王に降ろした。
『西へ逃げよ。』
と。人族を守るため大穴からの瘴気を食い止めるための山脈を造る。
その山の向こうまで逃げよと。
手のひらに掬われた人族と僅かな他種族を女神は転移させ、山脈を作り瘴気からの防波堤とした。
大穴からの瘴気が世界を満たすと人々は死に絶え、虚無が広がってしまう。
とある兄神は、大穴に網を張った。塞ぐ事はできないが漏れ出る瘴気の量を減らすことは出来る。
またある兄神は、瘴気を魔物に変化させた。力の大小はあるが、自分達の送り込んだ者達なら対処できると確信していた。
そして、妹神は自分の眷属である神龍に姉神の造った山脈にしばらくの間鎮座するように命じた。
大穴からの瘴気は山脈に届く頃には魔素に変化し、神龍の糧となる。
また多少の瘴気は神龍に触れるだけで魔素になるため心配もいらない。
ここ数百年、神界では神龍が身ごもれるほどの神気がなかった。
神気とは単なる呼び名で魔素と同様のもの。
子が生まれるのは神界にとって慶事である。
「私の研究は神龍を育てること、溢れんばかりの瘴気は、あの子にとって良き餌に変換されるでしょう。姉上の人族も守れますし、一石二鳥ですわね。」
神龍は存在するだけで、虚無を退ける力を持つ。神龍から生まれるのは龍だけではなく、神獣と呼ばれる神の加護を持つ獣が生まれる。
神獣が増えることは良きこと。母神も妹姫の考えに賛成した。
高く聳え立つ山脈は人族とそれ以外の種族を隔離する壁となった。
姉神の愛する人族は山脈の向こう側で人族が中心の世界を作り上げ、山脈のこちら側、大穴の存在する世界では人族だけではなく、様々な種族が協力しながら国を興し暮らすようになった。
大穴が国土の北に面している国、それがラーネポリアであった。
長い時が経ち、ラーネポリアには様々な種族、混血児が誕生した。
現国王は、魔族と妖精族の血が流れているし、辿ればもっと多くの種族の血の痕跡が分かるだろう。
そんなラーネポリアにも自身の種族を大切に思う者は存在していたが、国王も領主も種族への誇りを持つこと、純血種というのを大切にしたい思いがあることは認めつつ、極端な思考に走ることを禁じた。生まれた子に自身の種族の力が弱いからと迫害することは許されない行為であると法律で決めたのだった。
♫種族・分類について、あまり何も考えずにいたら、モヤモヤしたので、自分なりに考えてまたアップしようかなって思い削除しました。
一の兄神は魔族、二の兄神は獣人族、一の姉神は妖精族をそれぞれ女神の世界に誕生させた。
魔族と言っても多種多様、獣人に至っては魔族の倍の種が存在するが、女神が気にいるだろうと送り込んだ種族は、確かに美しいが女神の判断基準からは外れていた。
彼女が唯一と言って許せたのが、一の姉神の愛する種族である妖精族だが、彼らは基本引きこもりで自分達の集落からあまり出てこないので人族と混ざることも稀であった。
兄弟達の愛する種族は、人族とは比べ物にならないほどの魔力や身体能力を持っていた。寿命すら彼らの方が長い。
何故、自分の生み出した人族は弱いのかと呟きを拾った妹神は言った。
「それは、お姉様と兄様方の修練の差でしょう。愛する種族に力を与えるためには自身を鍛えねばなりません。恐れながら、お姉様はあまりされていなかったでしょう?」
姉神は愕然とした。
教育を受ける過程で学んでいるはずのことが頭から抜けていたのだ。
「イタズラっ子達が干渉した人族が、魔力や身体能力に優れているのもイタズラっ子達が文句を言いながらも鍛錬を怠っていなかったからです。お姉様は加護をお与えになっていましたが、それでは根本的な強さになりません。ですから、お姉様の人族はお兄様達の者達と混ざり合うことで強くなるしかないのです。」
妹女神の言葉に思い浮かべたのは、自分の愛する美しい人族と兄の作り出した醜い者達が混ざり合うということへの絶望だった。
姉女神は、混乱したまま動けなくなった。
しかし、混乱したのは人族も同様であった。
女神によって植え付けられた美しさ、賢さ、そして身分。
魔物から人々を守っていたはずの自分の地位を奪われる恐怖。
人族の王は、権力をもって、他種族を排除、迫害しはじめたのだった。
姉女神に特に愛されていた人族の王は考えも極端で、言葉巧みに魔族や獣人族に隷属の首輪をつけ、魔物を討伐する駒とし、また美しい妖精族の存在を知ると自分の駒達に集落を襲わせ、攫うと自分達上流階級の性奴隷とした。
激怒したのは兄弟神達だ。
彼らの怒りの塊を何とか受け流した女神であったが、その怒りの塊は女神の世界に大穴を開けることになった。
神々の怒りだ。普通の魔素などではなく、瘴気渦巻く大穴が出来た。
大穴からは兄弟神の怒りを表す噴石のように飛び出してくる瘴気玉が矢のように降っていた。
兄弟神達も妹神も現れた大穴に驚いた。
『あれは、これ以上広げてはならない。あれが広がるとこの世界が消滅し虚無が生まれる。』
母神の言葉が神々の脳裏に広がった。
女神は自分の愛する子らを逃がすため信託を人族の王に降ろした。
『西へ逃げよ。』
と。人族を守るため大穴からの瘴気を食い止めるための山脈を造る。
その山の向こうまで逃げよと。
手のひらに掬われた人族と僅かな他種族を女神は転移させ、山脈を作り瘴気からの防波堤とした。
大穴からの瘴気が世界を満たすと人々は死に絶え、虚無が広がってしまう。
とある兄神は、大穴に網を張った。塞ぐ事はできないが漏れ出る瘴気の量を減らすことは出来る。
またある兄神は、瘴気を魔物に変化させた。力の大小はあるが、自分達の送り込んだ者達なら対処できると確信していた。
そして、妹神は自分の眷属である神龍に姉神の造った山脈にしばらくの間鎮座するように命じた。
大穴からの瘴気は山脈に届く頃には魔素に変化し、神龍の糧となる。
また多少の瘴気は神龍に触れるだけで魔素になるため心配もいらない。
ここ数百年、神界では神龍が身ごもれるほどの神気がなかった。
神気とは単なる呼び名で魔素と同様のもの。
子が生まれるのは神界にとって慶事である。
「私の研究は神龍を育てること、溢れんばかりの瘴気は、あの子にとって良き餌に変換されるでしょう。姉上の人族も守れますし、一石二鳥ですわね。」
神龍は存在するだけで、虚無を退ける力を持つ。神龍から生まれるのは龍だけではなく、神獣と呼ばれる神の加護を持つ獣が生まれる。
神獣が増えることは良きこと。母神も妹姫の考えに賛成した。
高く聳え立つ山脈は人族とそれ以外の種族を隔離する壁となった。
姉神の愛する人族は山脈の向こう側で人族が中心の世界を作り上げ、山脈のこちら側、大穴の存在する世界では人族だけではなく、様々な種族が協力しながら国を興し暮らすようになった。
大穴が国土の北に面している国、それがラーネポリアであった。
長い時が経ち、ラーネポリアには様々な種族、混血児が誕生した。
現国王は、魔族と妖精族の血が流れているし、辿ればもっと多くの種族の血の痕跡が分かるだろう。
そんなラーネポリアにも自身の種族を大切に思う者は存在していたが、国王も領主も種族への誇りを持つこと、純血種というのを大切にしたい思いがあることは認めつつ、極端な思考に走ることを禁じた。生まれた子に自身の種族の力が弱いからと迫害することは許されない行為であると法律で決めたのだった。
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