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四章
ラーネポリア
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人族を愛する女神が、成人を迎えた日、全能神である母神は彼女に天地創造、一つの自分だけの世界を造ることを許可した。
少々傲慢なところがあり、好き嫌いのハッキリしている女神のことだ、きっと失敗する。母神はそう思っているが失敗は彼女の成長につながるだろうと考えていた。
まだ成人を迎えていない妹神の方が思慮深く天地創造には向いているのだが敢えてのことだと兄弟達は女神を見守ることにした。
女神は自分の世界に存在する子らは、彼女の理想の姿をしていて、優秀と決めていたので、見た目は誰も皆似たような感じになっていた。
けれど、女神にとっては自分の理想の姿をした人族こそ正義、彼女にとって醜いと言われる種族を愛する兄や姉、そして、まだ天地創造が許されていない弟妹などを見下し、自分の世界こそ一番なのだと自慢を繰り返していた。
高慢ちきな女神に兄姉は憤りながらも”平穏すぎる世界は進歩しない””色々な種族がいてこそ人類は進化する”と忠告したが争いが少しもない世界のどこがだめなのだと女神は反論した。
姉の態度に嫌気が差していた弟妹の一人がイタズラ心で姉の世界に干渉した。
生まれてくる人々の髪や瞳、そして肌に様々な色を誕生させたのだ。
もう一人の弟は姉の愛する人族に、彼女が理想としない骨格を持つ者を誕生させた。
人族の中で特にお気に入りだった国王夫妻ばかりを愛でていた女神は弟達のイタズラに気づくのが遅れた。激怒した女神は母神に新たに生まれた醜い人族を消去したいと願い出た。
母神は、「一度生まれた魂を神の意志で勝手に消去してはいけない。今後はお前が望む時にのみ、兄弟達からの干渉を許可しよう」として、突っぱねた。
女神は突然、自分の作った世界が色褪せたように思ったが、初めての仕事を楽しみにしていたのも事実。そのため弟達のイタズラを許容した。
しかし、弟たちが干渉した人族はそれぞれに優秀で、物理的な力も持っていたため、女神はいつか自分の愛する人族の子を害するのではないかと、愛する子らに過剰な加護を与え続けた。
贔屓された者達は知恵と美貌を与えられ、自然と人族の間で身分というものが誕生した。
高い身分の者達を弟のイタズラで生まれた醜い人達が傷つけぬよう、上の者の知恵で下の者達が従えるよう、彼らの世界に共通の敵を生み出すことにした。
”魔物”の誕生だった。
共通の敵である魔物を討伐する英雄として、女神のお気に入りを充てがうことで、彼らは低階層の人族の尊敬を集める存在にしようとした。
しかし、学ばない女神は、また自分の世界の自慢を声高に言うようになった。
面白くないのは、まだ、未成年だからという理由だけで天地創造が許されていない弟妹達である。優秀であると言われる女神の妹神は、穏やかな性格なこともあり姉神のことは気にしない、反面教師とすると避けていたが、妹神よりも若い神達は、いちいち絡んでくる女神に嫌気が差し、囁いた。
「姉上の世界の魔物は弱すぎる。アレでは、姉上のお気に入り達は進化しないだろう、いずれ魔物を狩り尽くし、また元のような平和な世界になる、となると、低位階層の者達は恵まれない環境に鬱憤を募らせていくだろう。このままでいいのか?」
この弟神は、口が達者だった。
ある意味単純な女神は弟神の言葉を受けて少し魔物を強くすることにした。
その瞬間、弟神は「俺の力も貸してやる!」とばかりに姉神の力に自分の力を上乗せした。
上乗せした結果、人族では太刀打ちできない魔物が誕生してしまった。
お気に入り達よりも骨格の良い人族も自身の力と魔術を駆使して魔物に向かったが敵わなかった。
女神は愛する子らが苦しむ姿を見て、再び母神に願った。
母神は言う、
『お前の造った世界に権利のない未熟な子らが干渉したのは良くないが、その子らに傲慢な態度で自慢を繰り返したお前にも責任の一端はある。
再構築には全てを一度消去しなくてはならないが、そうするとお前の力は成人前に戻ってしまい、今後の天地創造は出来なくなるだろう。
そして、一度消去された世界の場所には虚無の穴が開く。虚無の穴は神々のこの世界の打撃となるため安易には出来ない。
よって、自分の世界に、他種族を受け入れよ。他種族共存の道しかない。人族の中に他種族の”血”が”魔力”が交じることで、安易に作り出された憐れな魔物達を倒すことは可能となるだろう。それが嫌なら妹神に交代だ。彼女とて天地創造は一からしたかっただろう、その尻拭いをするのだ。』
交代となった場合どうなるのか姉神は尋ねた。
『お前には今一度、修行のやり直しをさせる。干渉は許さない。』
自分の作った美しい世界が妹によって歪められるのは嫌だと姉神は駄々をこねた。
『では、どうする。お前にその世界をやり直し出来るほどの力はない。』
姉神は考えに考えた。
「妹神の助けを借りながら、世界を良い方向へ導きます。せっかくの世界だもの、亡くしたくない。」
姉女神と母神の前に妹神が現れた。
「では、お姉様が、世界をより良き方向へ導けたと思えたら、私はお姉様の世界への干渉を終了させて、改めて天地創造を行いたいですわ、私には贔屓にしている種族はありませんから、お姉様の人族を贔屓することもありませんけど。」
その後、姉女神は、他の兄弟に頭を下げて自分の世界に他種族の者達を誕生させてほしいと願った。干渉はしないと決めていた兄弟達も弟達のイタズラには多少なりとも同情していたことや、自分の愛する種族が新たな地で新たな生活をすることは楽しみだったため、女神の願いを叶えることにした。
少々傲慢なところがあり、好き嫌いのハッキリしている女神のことだ、きっと失敗する。母神はそう思っているが失敗は彼女の成長につながるだろうと考えていた。
まだ成人を迎えていない妹神の方が思慮深く天地創造には向いているのだが敢えてのことだと兄弟達は女神を見守ることにした。
女神は自分の世界に存在する子らは、彼女の理想の姿をしていて、優秀と決めていたので、見た目は誰も皆似たような感じになっていた。
けれど、女神にとっては自分の理想の姿をした人族こそ正義、彼女にとって醜いと言われる種族を愛する兄や姉、そして、まだ天地創造が許されていない弟妹などを見下し、自分の世界こそ一番なのだと自慢を繰り返していた。
高慢ちきな女神に兄姉は憤りながらも”平穏すぎる世界は進歩しない””色々な種族がいてこそ人類は進化する”と忠告したが争いが少しもない世界のどこがだめなのだと女神は反論した。
姉の態度に嫌気が差していた弟妹の一人がイタズラ心で姉の世界に干渉した。
生まれてくる人々の髪や瞳、そして肌に様々な色を誕生させたのだ。
もう一人の弟は姉の愛する人族に、彼女が理想としない骨格を持つ者を誕生させた。
人族の中で特にお気に入りだった国王夫妻ばかりを愛でていた女神は弟達のイタズラに気づくのが遅れた。激怒した女神は母神に新たに生まれた醜い人族を消去したいと願い出た。
母神は、「一度生まれた魂を神の意志で勝手に消去してはいけない。今後はお前が望む時にのみ、兄弟達からの干渉を許可しよう」として、突っぱねた。
女神は突然、自分の作った世界が色褪せたように思ったが、初めての仕事を楽しみにしていたのも事実。そのため弟達のイタズラを許容した。
しかし、弟たちが干渉した人族はそれぞれに優秀で、物理的な力も持っていたため、女神はいつか自分の愛する人族の子を害するのではないかと、愛する子らに過剰な加護を与え続けた。
贔屓された者達は知恵と美貌を与えられ、自然と人族の間で身分というものが誕生した。
高い身分の者達を弟のイタズラで生まれた醜い人達が傷つけぬよう、上の者の知恵で下の者達が従えるよう、彼らの世界に共通の敵を生み出すことにした。
”魔物”の誕生だった。
共通の敵である魔物を討伐する英雄として、女神のお気に入りを充てがうことで、彼らは低階層の人族の尊敬を集める存在にしようとした。
しかし、学ばない女神は、また自分の世界の自慢を声高に言うようになった。
面白くないのは、まだ、未成年だからという理由だけで天地創造が許されていない弟妹達である。優秀であると言われる女神の妹神は、穏やかな性格なこともあり姉神のことは気にしない、反面教師とすると避けていたが、妹神よりも若い神達は、いちいち絡んでくる女神に嫌気が差し、囁いた。
「姉上の世界の魔物は弱すぎる。アレでは、姉上のお気に入り達は進化しないだろう、いずれ魔物を狩り尽くし、また元のような平和な世界になる、となると、低位階層の者達は恵まれない環境に鬱憤を募らせていくだろう。このままでいいのか?」
この弟神は、口が達者だった。
ある意味単純な女神は弟神の言葉を受けて少し魔物を強くすることにした。
その瞬間、弟神は「俺の力も貸してやる!」とばかりに姉神の力に自分の力を上乗せした。
上乗せした結果、人族では太刀打ちできない魔物が誕生してしまった。
お気に入り達よりも骨格の良い人族も自身の力と魔術を駆使して魔物に向かったが敵わなかった。
女神は愛する子らが苦しむ姿を見て、再び母神に願った。
母神は言う、
『お前の造った世界に権利のない未熟な子らが干渉したのは良くないが、その子らに傲慢な態度で自慢を繰り返したお前にも責任の一端はある。
再構築には全てを一度消去しなくてはならないが、そうするとお前の力は成人前に戻ってしまい、今後の天地創造は出来なくなるだろう。
そして、一度消去された世界の場所には虚無の穴が開く。虚無の穴は神々のこの世界の打撃となるため安易には出来ない。
よって、自分の世界に、他種族を受け入れよ。他種族共存の道しかない。人族の中に他種族の”血”が”魔力”が交じることで、安易に作り出された憐れな魔物達を倒すことは可能となるだろう。それが嫌なら妹神に交代だ。彼女とて天地創造は一からしたかっただろう、その尻拭いをするのだ。』
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