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好きです
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檜垣くんと初めてキスをした日、ぼくはベッドで恥ずかしさに耐えながらゴロゴロ転げていた。隣の部屋にいる姉ちゃんにはやかましいと壁ドンされた。その単語でまたやらかしたことを思い出して悶えた。壁ドン違いだけど。
ところでぼくは、重大なことに気づいてしまった。
……檜垣くんに、好きだって言ってない。
ニュアンス的には伝えているけど、そんな状態でキスしたり、そこから先に進もうとしたり、身体目当てとか思われてもおかしくないのでは。
付き合ったのは同情と好奇心が五分五分に見えていただろうし、実際付き合うと決めた理由は9割好奇心だ。残りはまあ、好きかもっていう、まっとうな理由だけど。
だから、多分好き、と告げた。
そこからは、何もない。
ぼくが嫉妬をしたことで好かれている実感はわいたみたいだけど、それはまた違うよな。
わかってるだろうから言わないっていうのはダメだ。それで拗れていくのは本当、王道パターンだから。現実では平和でいたい。不穏なイベントを起こしたくない。
改めて告白するのは、今更すぎてちょっと気恥ずかしくはある。いや、ぼくは童貞のくせに壁ドンからの路ちゅーすらやらかしてしまった男。それを考えれば恥ずかしいものなど何もない。
……うう。思い出すとまたベッドを転がりたくなってくる。
よし。とりあえず練習しよう。隣に聞こえないくらいの声で。
「す、す……」
練習ですら言えないとか。
「ひ、檜垣くん、好きだよ」
これ練習してるほうが恥ずかしくない? 死にそう。
明日言おう。今、一度は言葉にできたし、好きって言うくらいなんてことない。檜垣くん、待ってろよ。泣くほど喜ばせてやるからな。
とまあ。そんな感じで。あれから10日ほど経ったんだけど、実は未だに言えてない。
キスは何回かした。お互い初めての恋人だからか、どこかぎこちなく、進めるキッカケもなくってそれ以上の進展はなし。
高校生で当たり前のように実家暮らし、学校では檜垣くんは女子に囲まれてるしぼくは他の友人といることも多い。そんな状況ではなかなか難しい。
でも。明日は文化祭だ。文化祭とくれば、告白で新しいカップルができたり、恋人同士で周ったり……恋愛ムードがあちらこちらで見られるのは間違いない。中学ではそんな雰囲気薄かったけど、高校生ともなれば!
そういう空気の中でなら、ぼくも言える気がする。
ただ……漫画みたいにキャンプファイヤーやフォークダンスなんかあればその時がチャンスなんだけど、うち後夜祭すらないからなあ。どういうタイミングで……言えば……?
まあ、当日になればなんとかなるだろ。
うちのクラスはヨーヨー釣りなんて地味な出し物。
その分、やることも少なく他をまわれるからいいといえばいい。受付も持ちまわりで、檜垣くんを客寄せに……みたいなこともない。一年はだいたい毎年こんな感じなのだと聞いた。
一緒に文化祭楽しもうって約束してるし、クラスの打ち上げも特にないし、時間はいくらでも作れるはず。
そう。思っていた。考えが甘かった。何故ならば。
恋のチャンス! と考えるのは何もぼくたちばかりでもなく。そして檜垣くんはイケメン。……あとは、わかるな?
告白待ちの嵐。優しい檜垣くんは無碍にできず、呼び出されると誠実に、お断りに向かってしまうわけ。
当たり前だけど、ぼくらは付き合ってることを公言してはいない。したくない。
女の子がちょっといいかなって声をかけて近づいてくるたび檜垣くんがぼくの様子を窺うので、いたたまれなくなって傍にいるのもキツくなってきた。
釘は刺しておいたものの、いつ『酒井と付き合ってるから!』と言い出すんじゃないかとヒヤヒヤした。
あんまり隠し事ができるタイプじゃないしな、檜垣くん。
あまりにも呼び出し回数が多いので、結局は別行動をとることになった。
檜垣くんは疲れ果て、クラスで受付けを買って出てるらしい。ぼくは別の友達とまわってる。誰も呼び出されることはない……。平和だ。これが普通だ。檜垣くんがモテるのは知っていたけど、まさかあそこまでとは。普段は勉強の虫だし帰宅部だから、ここぞって感じなのかな。
しばらくすると、図書室で待ち合わせて一緒に帰りたいとラインが来た。それと合間に雑談がポチポチ入る。
たまに既読が途切れるのは、呼び出されているからだろう。
今日もまた、夕暮れの図書室か。でも、これは。いや……。檜垣くんがしてくれた告白を、今度はぼくがなぞるというのは、シチュエーションとしてはなかなか……ありでは?
そう思いついた途端、時間が流れるのが速くなった。
ドキドキして、緊張して、告げた時の檜垣くんの顔を想像して……。
きっと、とても綺麗な顔で泣くか笑うか。楽しみ。
あー。でもこんな日だし、他にも誰かいるかなあ。まあ、その時は当初の目的通り、落ち合うだけにして下校すればいい。
放課後も告白されてそうだし遅れてくるかなあと思ったけど、気がはやってやや早めに図書室へついてしまった。
意外にも、誰もいない。定番すぎるから逆に敬遠するのか?
でも……本棚の裏に身を寄せてれば、誰かの告白シーンとか見られるかもしれない。さすがに趣味が悪すぎるか。
誰かと二人きりになっても気まずいし、本を探すフリをしながら隠れているなら、まあ問題ないな。
檜垣くんには、待ってるからゆっくり来て、とメッセージを送って、奥へ足を向けた……途端、後ろで引き戸の開く音がした。
ほぼ同時につくだなんて、運命的なものを感じる。檜垣くんも、早く会いたいと思ってくれたのかな。
「あれ……?」
檜垣くんじゃない。眼鏡の文学少女。檜垣くんが好きだった、相手。
文学少女はツカツカと足早にぼくの前まで来て……。
「好きです!」
「えーっ!?」
まさ、かの……。罰ゲーム? 罰ゲームか!?
そんなの参加するコに見えないけど、でもそもそも接点なんてなんにもないし!
これは夢にまで見たシチュエーションで、正直悪い気はしないというか、本当だったら嬉しい……。
「ええ……」
少女の肩越しに見える扉には、走ってきたのか息を切らせている檜垣くんの姿があった。なんだこれ。漫画かよ。
だからぼくは、不穏なイベントなんて求めてないって。
「あ、ありがとう。気持ちは嬉しいんだけど、付き合ってる人がいるから……」
チラチラと檜垣くんを見ながら言ってみるけど、泣きそうな顔をしてる。
ぼくの視線が気になったのか、文学少女は振り返り、顔を真っ赤にしてスミマセンとだけ告げて走り去ってしまった。泣いてる檜垣くんの横を擦り抜けて。
……また、泣いてるのか。初めて泣いてる君を見たのも、この図書室だったっけ。その涙は、今はぼくのためのものでいいんだよな?
「入ってきなよ」
「うう……」
こっち、と手を引いて扉を閉めて。誰か入ってきても目につかない、本棚の後ろのほうへ身を寄せる。
誰か隠れていたりしたらどうしようかと思ったけど、幸い誰もいなかった。
司書さんもいないし、不用心だな。誰かが無断で本を持ち出したりしたらどうするんだろう……。
「はい、ハンカチ」
「今日は持ってる……」
「持ち歩くようにしたんだ」
「でも借りる……」
「借りるんだ……」
他愛ないやり取りをしながら、頭を撫でてやる。
「ソレ、嬉し涙じゃないよなあ、どう見ても。ちゃんと断ってただろ。なんで?」
「酒井がああいうシチュエーションに弱いの、知ってる。本物のヒロインが現れたら、オレは勝てない……」
「いや、だから……。断ってただろ……」
「そうだ! なんで断ったんだ!」
ぼくは何故責められているのか。
「だっ、だからあ。きっ、君がいるからだって……」
「そうか。オレが見ていたから、オーケーを出しづらく」
「何言ってんだ、馬鹿」
思わず撫でていた手を止めて、頭にチョップをかましてしまった。
頭いいくせに、ほんと馬鹿。君がいるから断ったんだって言うの、どれだけ照れくさかったと思ってるんだ。相変わらず思い込んで突っ走るな。
ああ、でも……。こんなに不安にさせてるの、ぼくが……ちゃんと、好きだって言えてないからなんだよな。
い、言うなら今じゃない? これ以上なくない?
「檜垣くんのことが好きだから、断ったんだよ」
「えっ!? オレは、に、ニセモノのヒロインなのに?」
「偽物とか言うなよ。ぼくのヒロインは君だけだよ。両想いの恋人がいるのに、他の相手と付き合ったりしない。一途なんだ、ぼくは」
「り、りょうおも……」
ぷすぷすと頭から煙でも出さんばかりの様子で、檜垣くんがその場にへたりこんだ。ぼくも追ってしゃがみこむ。
「好きだよ」
「うん……」
「わかってる?」
「うん……」
「檜垣くんは?」
「あっ、オレ……オレもすき! だいすき!」
「うん、よろしい」
顔を傾けて、触れるだけのキスをした。
「でも、本当にいいのか? あの子、優しくて小さくて、可愛いのに」
「あのな……。それ、妬かせる作戦? 無自覚? 好きだった子のことをぼくの前で褒めたらダメ」
「あっ……。ご、ごめん」
檜垣くんは膝を抱えて、どんどん縮こまっていく。
今なら君の身体も充分小さいよと言いたくなるほど。
「その。オレも嫉妬……した。酒井はオレのなのにって。でも、すぐにそんな資格ないって思い直して、悲しくなって……」
「それで、泣いたんだ?」
「ん……」
可愛いくて頬を撫でると、甘えるように擦り寄せてきた。可愛い。
「資格あるから、もっと妬いてくれていいよ」
「頑張って嫉妬する」
「……頑張るようなものでもないだろ……」
相変わらず面白いな……檜垣くん。
「酒井が好きだって言ってくれて嬉しい」
「なかなか言えずにごめん」
泣き止んだか。幸い目元もそんなに赤くなってない。
目の端を軽く舐めて、頬にもキスをする。こんな甘いの、らしくないとはわかってるけど、恋人ができたらしてみたかった。
誰もいない図書室、二人きり。キスより先……。うーん、さすがに学校ではまずいか。
告白できただけで、今日のところはよし。
「帰ろうか」
「……た、立てない」
「腰でも抜けた?」
「いや、その……」
ああ。立てないけど、勃ってる、みたいな。ぼくはよくても檜垣くんのほうがよくなかったか……。
それだけぼくのことが好きなんだって嬉しくはなるけど、逆にぼくの好きを疑われそうでもある。なんでお前は平気なんだと。
やっぱり男同士って葛藤があるし、檜垣くんがどうこうってあまり想像できないというか。
ぶっちゃけ女装姿のほうでなら想像はしてみたけど、申し訳なさで勃たなかったんだよな……。浮気みたいで。
「ごめん、気持ち悪いよな。すぐ鎮めるから」
「好きな相手が反応してくれてるのに、気持ち悪いわけないでしょ。嬉しいよ」
「でも酒井、オレを抱きたくないって言った」
「……言ってないだろ?」
「カラオケで言った」
いや。抱きたいとは言ってないけど、抱きたくないとも言ってない。
思考が極端なんだよなー、檜垣くんは。そこが面白くもあるんだけど。
「それに酒井は、さわるくらいなら、できる……って言った。したい、じゃなくて」
「あー……」
確かにその言い方はまずかったかもしれない。それ以上はできないって言ってるようなものだし。
「檜垣くんはさ、したい? ぼくのを」
「だって……勃ってないだろ」
「勃ってたら?」
「し……した、い」
「抱かれたい?」
「そっ、そこまでは、まだ」
檜垣くんが死ぬほど恥ずかしがってるのを見て、ぼくまで変な気分になってきた。
「ならさ。いつもひとりでする時、ぼくのこと……考える?」
「そんなの聞いてどうするんだ」
「聞きたい」
「…………か、考えて、する」
思わず想像して、身体が熱くなった。そして見てみたいと思った。
「ぼくにされるのを想像しながら?」
「いや、さ、酒井に、するのを……」
「何がしたい?」
「キスとか、身体にさわっ……。オレは何を言わされてるんだ」
「言って」
自分でも、これは言葉責めとかにあたるのではという気がしてる。でも止まらなかった。聞きたかった。檜垣くんの口から。
「……もう無理」
「なら、見せて?」
「えっ?」
「ここで、ぼくのことを想いながらして?」
「こっ、ここで!?」
「幸いハンカチも二枚あるし……」
喉が乾く。こんなところで何をさせようとしてるんだろう。
でも好奇心とか、欲望とか。そういうのが上回った。
ぼくはきちんと檜垣くんのことが好きだったんだなって、なんか安心した。
肉欲を伴わなければ、いきすぎた友情のような気もするし……檜垣くんがあまりにぼくを好きすぎるから、ほだされて流されてるだけかもと少し思ってはいた。従順な犬を可愛がるみたいに好きなのかもって。
でも今ぼくは、檜垣くんのやらしい姿を見たいと思っている……。
「ぼくに触ってもいいよ? どこでも。君の好きなとこ」
こくりと、檜垣くんが唾を飲み込んだのがわかる。
興奮されてる……。男に欲情されるなんて普通なら気持ち悪いんだろうけど、嬉しい。むしろ触れてほしいとさえ思う。
「どこでも?」
「うん。どこでも」
檜垣くんは震える指先でぼくの唇をなぞった。
「酒井……」
「おさわりだけじゃだめだよ。ちゃんとして、自分の」
二人だけとはいえ、図書室で性器を露出するのは躊躇いがあるらしく、すっかり固まってしまっている。
もしかしてこれは、虐めに近いのでは……。いくら見てみたいからって、プレイに昇華するにはぼくらの仲はまだプラトニックすぎる。
「ごめん、やっぱなし!」
「え……」
ショック受けた顔された。裏目に出まくってる。
「やっぱり見たくないとかじゃなく、さすがに虐めすぎたなと思っただけだから、変なふうに捉えるなよ?」
「そ、そうか。良かった……」
「そのかわりに、今日は深いキス、するから」
これならロマンチックで済む範囲。……多分な。
寄せた唇はおとなしく受け入れられ、舌先で促すと今日はゆっくり開いてくれた。
隙間からしのびこませて、舌先を甘く吸う。絡めるってどうやったらいいかわからなくて、表面をなぞるだけになってしまった。難しい。
ジュースなんか飲んでいなかったのに、とっても甘ったるい気がした。
「あのさ。一人でやれって言わないから、少しだけ触ってもいい?」
「む、無理にしなくても……」
「ぼくが触りたいだけ」
「……ん」
許可を得てそっと触れる。本当に……固くなってる。
布の上からなら全然問題ないな。むしろ檜垣くんがやらしい顔してくれると、直に触りたくもなる……。
「あっ、待っ……」
「え」
イッた? ズボン越しに撫でただけだぞ。
「パンツが……」
「ご、ごめん。まさかこれだけで、その」
「だって、酒井が触ってくれてると思ったら……。ひ、人に触られるの初めてだったし」
下着が気持ち悪いんだろう、檜垣くんはもぞもぞと足を動かしている。
「ハンカチ使っていいよ」
「さすがにお前のは使えない」
檜垣くんはポケットから自分のハンカチを取り出すと、ベルトを外しズボンの中に手を差し入れた。拭うのをじいっと見ていると、手が止まった。
「あ、あまり見るな……」
見るよーという意志を込めて、頬にキスをする。檜垣くんの身体がぴくりと震えた。
頬、熱いな……。
「また勃った?」
「……ああー。もう。さ、酒井は平然としてるし、オレだけこんな……」
確かに自分でも驚くほど反応しない。興奮はしてるのに。
いざって時に勃たなかったら檜垣くんを傷つける。それが怖い。
「別に平然とはしてない。もっとやらしい姿見てみたいなって思うし」
「やらしくないだろ。情けないだろ」
「やらしい」
「だ、だから、あまり見るなって」
むしろぼくのせいだからと拭いてあげようとしたら拒まれた。
「……いっ、いっかい、だけ……」
檜垣くんは下着の中に差し入れた手を、ゆる、と動かした。
荒い息を吐きながら俯く。
してくれてる。ぼくが見たいって言ったから。
「はぁ、は……。酒井。酒井……ッ」
「うん」
求められてる。ぼくを呼ぶ声がこんなにも愛おしい。
でも目をつぶってシテるのが気に食わない。
だって目の前にぼくがいるのに、妄想の中のぼくと、なんて。
「檜垣くん。目を開けて、ぼくを見て?」
「え、あ……やだっ……」
見させようと目の下を指先でなぞると、檜垣くんはふるふると首を横に振った。
「さ、酒井に……み、見られてるのが、わかるから……」
「開けても開けなくてもガン見してる」
「言わないで……」
「目を開けてくれたら、キスしてあげる」
「ッ……」
ゆっくりと開かれた目は潤んでて、まばたきすると大粒の涙が端から零れ落ちた。
キスは、してあげるっていうより、ぼくがしたかったんだけど。
「可愛いな」
「えっ……」
何度か唇を重ねて、頭や頬を撫でるとそのたび気持ち良さそうに身体を震わせた。吐き出す息が熱くて、近くにいるとぼくにまでその熱が移りそうだった。
ああ、思えば。可愛いって、口に出して言ったのは初めてだったかも。
檜垣くんはぼくの目を見ながら、ぼくの名前を呼んで果てた。それだけで、とても満ち足りた気分になった。
「さ、酒井は……勃たないんだな」
「一人でしてるとこ見せてもらえて、興奮はしたよ」
「そうか。気持ち悪くなかったならいい……」
「だから、可愛かったって。エロ可愛い」
「かっ……。可愛くは、ないだろ」
「ならぼくが、君を好きだからそう思うのかもな」
檜垣くんが、ジッとぼくを見る。男なのに、恋する乙女みたいな顔してる。
深いキスをして、少しだけ撫でて、えっちなとこ見せてもらっただけなのに……情みたいなものがわいてるというか、本当に凄く可愛く見えるし、愛しいって思う。
こういうぼくの気持ちも、きちんと檜垣くんに伝わってればいいんだけどな。
「好きだよ」
今まで言わないでいた分、たくさん言っておこう。また不安にさせるといけない。
もっといちゃいちゃしていたかったけど、それからすぐに司書さんが来てしまって、逃げるように下校した。
檜垣くんはふらふらしてて足元もおぼつかないような感じだったから、家まで送っていってあげた。
きっと頭の中が、恥ずかしさとかでいっぱいいっぱいなんだろう。
少なくともぼくの頭の中は、さっきの檜垣くんのエロイ姿でいっぱいだ。どうしてか、目の前で見ていた時より興奮してる気がする。
やっぱり直に触ってあげればよかったかなとか、むしろ触りたかったとか、もっとキスしたかったとか……そんなことばかり考えてしまって。
ぼくはその日の夜、初めて檜垣くんで抜いた。
ところでぼくは、重大なことに気づいてしまった。
……檜垣くんに、好きだって言ってない。
ニュアンス的には伝えているけど、そんな状態でキスしたり、そこから先に進もうとしたり、身体目当てとか思われてもおかしくないのでは。
付き合ったのは同情と好奇心が五分五分に見えていただろうし、実際付き合うと決めた理由は9割好奇心だ。残りはまあ、好きかもっていう、まっとうな理由だけど。
だから、多分好き、と告げた。
そこからは、何もない。
ぼくが嫉妬をしたことで好かれている実感はわいたみたいだけど、それはまた違うよな。
わかってるだろうから言わないっていうのはダメだ。それで拗れていくのは本当、王道パターンだから。現実では平和でいたい。不穏なイベントを起こしたくない。
改めて告白するのは、今更すぎてちょっと気恥ずかしくはある。いや、ぼくは童貞のくせに壁ドンからの路ちゅーすらやらかしてしまった男。それを考えれば恥ずかしいものなど何もない。
……うう。思い出すとまたベッドを転がりたくなってくる。
よし。とりあえず練習しよう。隣に聞こえないくらいの声で。
「す、す……」
練習ですら言えないとか。
「ひ、檜垣くん、好きだよ」
これ練習してるほうが恥ずかしくない? 死にそう。
明日言おう。今、一度は言葉にできたし、好きって言うくらいなんてことない。檜垣くん、待ってろよ。泣くほど喜ばせてやるからな。
とまあ。そんな感じで。あれから10日ほど経ったんだけど、実は未だに言えてない。
キスは何回かした。お互い初めての恋人だからか、どこかぎこちなく、進めるキッカケもなくってそれ以上の進展はなし。
高校生で当たり前のように実家暮らし、学校では檜垣くんは女子に囲まれてるしぼくは他の友人といることも多い。そんな状況ではなかなか難しい。
でも。明日は文化祭だ。文化祭とくれば、告白で新しいカップルができたり、恋人同士で周ったり……恋愛ムードがあちらこちらで見られるのは間違いない。中学ではそんな雰囲気薄かったけど、高校生ともなれば!
そういう空気の中でなら、ぼくも言える気がする。
ただ……漫画みたいにキャンプファイヤーやフォークダンスなんかあればその時がチャンスなんだけど、うち後夜祭すらないからなあ。どういうタイミングで……言えば……?
まあ、当日になればなんとかなるだろ。
うちのクラスはヨーヨー釣りなんて地味な出し物。
その分、やることも少なく他をまわれるからいいといえばいい。受付も持ちまわりで、檜垣くんを客寄せに……みたいなこともない。一年はだいたい毎年こんな感じなのだと聞いた。
一緒に文化祭楽しもうって約束してるし、クラスの打ち上げも特にないし、時間はいくらでも作れるはず。
そう。思っていた。考えが甘かった。何故ならば。
恋のチャンス! と考えるのは何もぼくたちばかりでもなく。そして檜垣くんはイケメン。……あとは、わかるな?
告白待ちの嵐。優しい檜垣くんは無碍にできず、呼び出されると誠実に、お断りに向かってしまうわけ。
当たり前だけど、ぼくらは付き合ってることを公言してはいない。したくない。
女の子がちょっといいかなって声をかけて近づいてくるたび檜垣くんがぼくの様子を窺うので、いたたまれなくなって傍にいるのもキツくなってきた。
釘は刺しておいたものの、いつ『酒井と付き合ってるから!』と言い出すんじゃないかとヒヤヒヤした。
あんまり隠し事ができるタイプじゃないしな、檜垣くん。
あまりにも呼び出し回数が多いので、結局は別行動をとることになった。
檜垣くんは疲れ果て、クラスで受付けを買って出てるらしい。ぼくは別の友達とまわってる。誰も呼び出されることはない……。平和だ。これが普通だ。檜垣くんがモテるのは知っていたけど、まさかあそこまでとは。普段は勉強の虫だし帰宅部だから、ここぞって感じなのかな。
しばらくすると、図書室で待ち合わせて一緒に帰りたいとラインが来た。それと合間に雑談がポチポチ入る。
たまに既読が途切れるのは、呼び出されているからだろう。
今日もまた、夕暮れの図書室か。でも、これは。いや……。檜垣くんがしてくれた告白を、今度はぼくがなぞるというのは、シチュエーションとしてはなかなか……ありでは?
そう思いついた途端、時間が流れるのが速くなった。
ドキドキして、緊張して、告げた時の檜垣くんの顔を想像して……。
きっと、とても綺麗な顔で泣くか笑うか。楽しみ。
あー。でもこんな日だし、他にも誰かいるかなあ。まあ、その時は当初の目的通り、落ち合うだけにして下校すればいい。
放課後も告白されてそうだし遅れてくるかなあと思ったけど、気がはやってやや早めに図書室へついてしまった。
意外にも、誰もいない。定番すぎるから逆に敬遠するのか?
でも……本棚の裏に身を寄せてれば、誰かの告白シーンとか見られるかもしれない。さすがに趣味が悪すぎるか。
誰かと二人きりになっても気まずいし、本を探すフリをしながら隠れているなら、まあ問題ないな。
檜垣くんには、待ってるからゆっくり来て、とメッセージを送って、奥へ足を向けた……途端、後ろで引き戸の開く音がした。
ほぼ同時につくだなんて、運命的なものを感じる。檜垣くんも、早く会いたいと思ってくれたのかな。
「あれ……?」
檜垣くんじゃない。眼鏡の文学少女。檜垣くんが好きだった、相手。
文学少女はツカツカと足早にぼくの前まで来て……。
「好きです!」
「えーっ!?」
まさ、かの……。罰ゲーム? 罰ゲームか!?
そんなの参加するコに見えないけど、でもそもそも接点なんてなんにもないし!
これは夢にまで見たシチュエーションで、正直悪い気はしないというか、本当だったら嬉しい……。
「ええ……」
少女の肩越しに見える扉には、走ってきたのか息を切らせている檜垣くんの姿があった。なんだこれ。漫画かよ。
だからぼくは、不穏なイベントなんて求めてないって。
「あ、ありがとう。気持ちは嬉しいんだけど、付き合ってる人がいるから……」
チラチラと檜垣くんを見ながら言ってみるけど、泣きそうな顔をしてる。
ぼくの視線が気になったのか、文学少女は振り返り、顔を真っ赤にしてスミマセンとだけ告げて走り去ってしまった。泣いてる檜垣くんの横を擦り抜けて。
……また、泣いてるのか。初めて泣いてる君を見たのも、この図書室だったっけ。その涙は、今はぼくのためのものでいいんだよな?
「入ってきなよ」
「うう……」
こっち、と手を引いて扉を閉めて。誰か入ってきても目につかない、本棚の後ろのほうへ身を寄せる。
誰か隠れていたりしたらどうしようかと思ったけど、幸い誰もいなかった。
司書さんもいないし、不用心だな。誰かが無断で本を持ち出したりしたらどうするんだろう……。
「はい、ハンカチ」
「今日は持ってる……」
「持ち歩くようにしたんだ」
「でも借りる……」
「借りるんだ……」
他愛ないやり取りをしながら、頭を撫でてやる。
「ソレ、嬉し涙じゃないよなあ、どう見ても。ちゃんと断ってただろ。なんで?」
「酒井がああいうシチュエーションに弱いの、知ってる。本物のヒロインが現れたら、オレは勝てない……」
「いや、だから……。断ってただろ……」
「そうだ! なんで断ったんだ!」
ぼくは何故責められているのか。
「だっ、だからあ。きっ、君がいるからだって……」
「そうか。オレが見ていたから、オーケーを出しづらく」
「何言ってんだ、馬鹿」
思わず撫でていた手を止めて、頭にチョップをかましてしまった。
頭いいくせに、ほんと馬鹿。君がいるから断ったんだって言うの、どれだけ照れくさかったと思ってるんだ。相変わらず思い込んで突っ走るな。
ああ、でも……。こんなに不安にさせてるの、ぼくが……ちゃんと、好きだって言えてないからなんだよな。
い、言うなら今じゃない? これ以上なくない?
「檜垣くんのことが好きだから、断ったんだよ」
「えっ!? オレは、に、ニセモノのヒロインなのに?」
「偽物とか言うなよ。ぼくのヒロインは君だけだよ。両想いの恋人がいるのに、他の相手と付き合ったりしない。一途なんだ、ぼくは」
「り、りょうおも……」
ぷすぷすと頭から煙でも出さんばかりの様子で、檜垣くんがその場にへたりこんだ。ぼくも追ってしゃがみこむ。
「好きだよ」
「うん……」
「わかってる?」
「うん……」
「檜垣くんは?」
「あっ、オレ……オレもすき! だいすき!」
「うん、よろしい」
顔を傾けて、触れるだけのキスをした。
「でも、本当にいいのか? あの子、優しくて小さくて、可愛いのに」
「あのな……。それ、妬かせる作戦? 無自覚? 好きだった子のことをぼくの前で褒めたらダメ」
「あっ……。ご、ごめん」
檜垣くんは膝を抱えて、どんどん縮こまっていく。
今なら君の身体も充分小さいよと言いたくなるほど。
「その。オレも嫉妬……した。酒井はオレのなのにって。でも、すぐにそんな資格ないって思い直して、悲しくなって……」
「それで、泣いたんだ?」
「ん……」
可愛いくて頬を撫でると、甘えるように擦り寄せてきた。可愛い。
「資格あるから、もっと妬いてくれていいよ」
「頑張って嫉妬する」
「……頑張るようなものでもないだろ……」
相変わらず面白いな……檜垣くん。
「酒井が好きだって言ってくれて嬉しい」
「なかなか言えずにごめん」
泣き止んだか。幸い目元もそんなに赤くなってない。
目の端を軽く舐めて、頬にもキスをする。こんな甘いの、らしくないとはわかってるけど、恋人ができたらしてみたかった。
誰もいない図書室、二人きり。キスより先……。うーん、さすがに学校ではまずいか。
告白できただけで、今日のところはよし。
「帰ろうか」
「……た、立てない」
「腰でも抜けた?」
「いや、その……」
ああ。立てないけど、勃ってる、みたいな。ぼくはよくても檜垣くんのほうがよくなかったか……。
それだけぼくのことが好きなんだって嬉しくはなるけど、逆にぼくの好きを疑われそうでもある。なんでお前は平気なんだと。
やっぱり男同士って葛藤があるし、檜垣くんがどうこうってあまり想像できないというか。
ぶっちゃけ女装姿のほうでなら想像はしてみたけど、申し訳なさで勃たなかったんだよな……。浮気みたいで。
「ごめん、気持ち悪いよな。すぐ鎮めるから」
「好きな相手が反応してくれてるのに、気持ち悪いわけないでしょ。嬉しいよ」
「でも酒井、オレを抱きたくないって言った」
「……言ってないだろ?」
「カラオケで言った」
いや。抱きたいとは言ってないけど、抱きたくないとも言ってない。
思考が極端なんだよなー、檜垣くんは。そこが面白くもあるんだけど。
「それに酒井は、さわるくらいなら、できる……って言った。したい、じゃなくて」
「あー……」
確かにその言い方はまずかったかもしれない。それ以上はできないって言ってるようなものだし。
「檜垣くんはさ、したい? ぼくのを」
「だって……勃ってないだろ」
「勃ってたら?」
「し……した、い」
「抱かれたい?」
「そっ、そこまでは、まだ」
檜垣くんが死ぬほど恥ずかしがってるのを見て、ぼくまで変な気分になってきた。
「ならさ。いつもひとりでする時、ぼくのこと……考える?」
「そんなの聞いてどうするんだ」
「聞きたい」
「…………か、考えて、する」
思わず想像して、身体が熱くなった。そして見てみたいと思った。
「ぼくにされるのを想像しながら?」
「いや、さ、酒井に、するのを……」
「何がしたい?」
「キスとか、身体にさわっ……。オレは何を言わされてるんだ」
「言って」
自分でも、これは言葉責めとかにあたるのではという気がしてる。でも止まらなかった。聞きたかった。檜垣くんの口から。
「……もう無理」
「なら、見せて?」
「えっ?」
「ここで、ぼくのことを想いながらして?」
「こっ、ここで!?」
「幸いハンカチも二枚あるし……」
喉が乾く。こんなところで何をさせようとしてるんだろう。
でも好奇心とか、欲望とか。そういうのが上回った。
ぼくはきちんと檜垣くんのことが好きだったんだなって、なんか安心した。
肉欲を伴わなければ、いきすぎた友情のような気もするし……檜垣くんがあまりにぼくを好きすぎるから、ほだされて流されてるだけかもと少し思ってはいた。従順な犬を可愛がるみたいに好きなのかもって。
でも今ぼくは、檜垣くんのやらしい姿を見たいと思っている……。
「ぼくに触ってもいいよ? どこでも。君の好きなとこ」
こくりと、檜垣くんが唾を飲み込んだのがわかる。
興奮されてる……。男に欲情されるなんて普通なら気持ち悪いんだろうけど、嬉しい。むしろ触れてほしいとさえ思う。
「どこでも?」
「うん。どこでも」
檜垣くんは震える指先でぼくの唇をなぞった。
「酒井……」
「おさわりだけじゃだめだよ。ちゃんとして、自分の」
二人だけとはいえ、図書室で性器を露出するのは躊躇いがあるらしく、すっかり固まってしまっている。
もしかしてこれは、虐めに近いのでは……。いくら見てみたいからって、プレイに昇華するにはぼくらの仲はまだプラトニックすぎる。
「ごめん、やっぱなし!」
「え……」
ショック受けた顔された。裏目に出まくってる。
「やっぱり見たくないとかじゃなく、さすがに虐めすぎたなと思っただけだから、変なふうに捉えるなよ?」
「そ、そうか。良かった……」
「そのかわりに、今日は深いキス、するから」
これならロマンチックで済む範囲。……多分な。
寄せた唇はおとなしく受け入れられ、舌先で促すと今日はゆっくり開いてくれた。
隙間からしのびこませて、舌先を甘く吸う。絡めるってどうやったらいいかわからなくて、表面をなぞるだけになってしまった。難しい。
ジュースなんか飲んでいなかったのに、とっても甘ったるい気がした。
「あのさ。一人でやれって言わないから、少しだけ触ってもいい?」
「む、無理にしなくても……」
「ぼくが触りたいだけ」
「……ん」
許可を得てそっと触れる。本当に……固くなってる。
布の上からなら全然問題ないな。むしろ檜垣くんがやらしい顔してくれると、直に触りたくもなる……。
「あっ、待っ……」
「え」
イッた? ズボン越しに撫でただけだぞ。
「パンツが……」
「ご、ごめん。まさかこれだけで、その」
「だって、酒井が触ってくれてると思ったら……。ひ、人に触られるの初めてだったし」
下着が気持ち悪いんだろう、檜垣くんはもぞもぞと足を動かしている。
「ハンカチ使っていいよ」
「さすがにお前のは使えない」
檜垣くんはポケットから自分のハンカチを取り出すと、ベルトを外しズボンの中に手を差し入れた。拭うのをじいっと見ていると、手が止まった。
「あ、あまり見るな……」
見るよーという意志を込めて、頬にキスをする。檜垣くんの身体がぴくりと震えた。
頬、熱いな……。
「また勃った?」
「……ああー。もう。さ、酒井は平然としてるし、オレだけこんな……」
確かに自分でも驚くほど反応しない。興奮はしてるのに。
いざって時に勃たなかったら檜垣くんを傷つける。それが怖い。
「別に平然とはしてない。もっとやらしい姿見てみたいなって思うし」
「やらしくないだろ。情けないだろ」
「やらしい」
「だ、だから、あまり見るなって」
むしろぼくのせいだからと拭いてあげようとしたら拒まれた。
「……いっ、いっかい、だけ……」
檜垣くんは下着の中に差し入れた手を、ゆる、と動かした。
荒い息を吐きながら俯く。
してくれてる。ぼくが見たいって言ったから。
「はぁ、は……。酒井。酒井……ッ」
「うん」
求められてる。ぼくを呼ぶ声がこんなにも愛おしい。
でも目をつぶってシテるのが気に食わない。
だって目の前にぼくがいるのに、妄想の中のぼくと、なんて。
「檜垣くん。目を開けて、ぼくを見て?」
「え、あ……やだっ……」
見させようと目の下を指先でなぞると、檜垣くんはふるふると首を横に振った。
「さ、酒井に……み、見られてるのが、わかるから……」
「開けても開けなくてもガン見してる」
「言わないで……」
「目を開けてくれたら、キスしてあげる」
「ッ……」
ゆっくりと開かれた目は潤んでて、まばたきすると大粒の涙が端から零れ落ちた。
キスは、してあげるっていうより、ぼくがしたかったんだけど。
「可愛いな」
「えっ……」
何度か唇を重ねて、頭や頬を撫でるとそのたび気持ち良さそうに身体を震わせた。吐き出す息が熱くて、近くにいるとぼくにまでその熱が移りそうだった。
ああ、思えば。可愛いって、口に出して言ったのは初めてだったかも。
檜垣くんはぼくの目を見ながら、ぼくの名前を呼んで果てた。それだけで、とても満ち足りた気分になった。
「さ、酒井は……勃たないんだな」
「一人でしてるとこ見せてもらえて、興奮はしたよ」
「そうか。気持ち悪くなかったならいい……」
「だから、可愛かったって。エロ可愛い」
「かっ……。可愛くは、ないだろ」
「ならぼくが、君を好きだからそう思うのかもな」
檜垣くんが、ジッとぼくを見る。男なのに、恋する乙女みたいな顔してる。
深いキスをして、少しだけ撫でて、えっちなとこ見せてもらっただけなのに……情みたいなものがわいてるというか、本当に凄く可愛く見えるし、愛しいって思う。
こういうぼくの気持ちも、きちんと檜垣くんに伝わってればいいんだけどな。
「好きだよ」
今まで言わないでいた分、たくさん言っておこう。また不安にさせるといけない。
もっといちゃいちゃしていたかったけど、それからすぐに司書さんが来てしまって、逃げるように下校した。
檜垣くんはふらふらしてて足元もおぼつかないような感じだったから、家まで送っていってあげた。
きっと頭の中が、恥ずかしさとかでいっぱいいっぱいなんだろう。
少なくともぼくの頭の中は、さっきの檜垣くんのエロイ姿でいっぱいだ。どうしてか、目の前で見ていた時より興奮してる気がする。
やっぱり直に触ってあげればよかったかなとか、むしろ触りたかったとか、もっとキスしたかったとか……そんなことばかり考えてしまって。
ぼくはその日の夜、初めて檜垣くんで抜いた。
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