甘すぎるのも悪くない

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とけたそのあとで

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 先輩は奉仕されるよりはする方が好きな人だ。おれも同じ。でも先輩がしてくれることなら何でも嬉しいから、されるのも好き。
 
「絶対いつか言い出すと思った」
 
 ベッドの上で膝をつきあわせつつ、先輩が大きな溜息をついた。
 
「でもおれも先輩も一緒に気持ちよくなれますしー」
「別に、そんなことしなくたって、一緒に気持ちよくなってるだろう、いつも」
 
 うわ。なんという殺し文句。つまりそれは、おれので……って意味だし。
 先輩も自分が言ったことの大胆さに気付いたのか、しまった、というような表情で頬を染めている。可愛い。
 
「だ、大体だなぁ、俺と後輩くんじゃ身長差的に辛いだろう」
「顔一個分もないですよ。そんなこと言ったら世の男女はどうやってしてるんですか」
「それに押しつぶしそうで怖い」
「普段は抱かせろとか言うくせに、今更何を」
「抱かせてくれた試しもないしな」
 
 実際、先輩がおれを最後まで抱かないのは、体格差的に酷いことをしている気になるからだと思っている。
 おれの身長が伸びたらきっと抱く気でいるに違いない。まあ、その時はおれも……。おれの身長が高くなっても、先輩がそう思ってくれるのであれば、いいかなとか。
 いや、今問題なのはそこじゃない。話を逸らされている。
 
「いいじゃないですか。一度だけ。先輩奉仕好きだって言う割りに舐めてくれること少ないし。してほしいな」
「じゃあ、後輩くんが上乗ってくれよ。ほら、足こっち」
 
 ズボンの隙間から足首を掴まれる。そのままぐいっと引かれておれは焦った。
 
「待ってください。先輩が上じゃないと……」
「何だよ」
「後ろがほぐせません」
「……何、最後までする気なの、後輩くん」
「そりゃあ。男の夢としては、もう感じすぎちゃって舐められない! みたいな状態にもっていくのが、痛っ」
 
 額をぺしっと叩かれた。
 
「そんな状態になるくらいなら死んだ方がましだ」
「ええー……そこまで言いますか」
「結局最後まですんなら、後輩くんの夢を叶えるのはやめるぞ」
 
 そう言われたら、やっぱりおれとしては挿れたい。でもおれのを舐めながら乱れる先輩も見てみたい。
 考え込んでいると、先輩がおれの頬にキスをしながらすでに勃ち上がりかけているソコを乱暴に揉みしだいてきた。
 
「やっ、ちょっ……。痛い、何するんですか」
 
 今度はそのままやわやわと探られて、痛みより快感が強くなる。
 
「んっ……先輩ッ」
「ゆっくり考えろよ。ほら、奉仕しててやるから」
 
 にやにやと笑いながら言われた。指先は器用に、おれの熱を弄んでいる。こんな状態で考えがまとまる訳がない。というか頭の中、快感に支配されちゃう。
 
「先輩、口で……口でして」
「了解。たっぷりサービスしてやる」
 
 そんな感じで、珍しく張り切られた結果口で三回も抜かれて、男の夢どころか挿入もお流れになってしまった。
 先輩いつの間に、こんな……慣れたんだ。いくら同じ男同士だからツボが判るって言っても、上手すぎる。
 
「気持ちよかっただろ?」
 
 意地が悪い。あれだけ喘いで三回もイッておいて、よくなかったなんて筈ないのに。
 
「良かったです、けど……。おれも先輩に、したい」
「いいよ。今日は特に、してやりたい気分だったから」
 
 先輩はにっと笑って、それからさっき叩いたおれの額にちゅっとキスをした。
 
「明日一限目、体育あるしな」
 
 ……もうちょっと、ロマンチックな理由が良かったです、先輩。 
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